2018年6月22日金曜日

アルツハイマー病:HHV-6A、HHV-7関与?

アルツハイマー病にヘルペスウイルス関与か 米の研究班  2018年6月22日 9時14分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180622/k10011490541000.html


アメリカのマウントサイナイ医科大学などのグループは、亡くなった人から提供された脳を調べ、アルツハイマー病との関わりを解析した結果を21日、科学雑誌「ニューロン」に発表しました。

それによりますと、脳の中に見られるウイルスの痕跡を調べた結果、アルツハイマー病だった人の脳には、そうでない人の脳と異なり、2種類のヘルペスウイルスの痕跡が多く見られることがわかったということです。ヘルペスウイルスはほとんどの人が幼い時期に感染し、高熱や発疹を引き起こす原因にもなるものです。



原著:
Multiscale Analysis of Independent Alzheimer’s Cohorts Finds Disruption of Molecular, Genetic, and Clinical Networks by Human Herpesvirus. Neuron, 2018; DOI: 10.1016/j.neuron.2018.05.023


解説:https://www.sciencedaily.com/releases/2018/06/180621121914.htm




They found that human herpesvirus DNA and RNA were more abundant in the brains of those diagnosed postmortem with Alzheimer's disease and that abundance correlated with clinical dementia scores. And the two viruses they found to be most strongly associated with Alzheimer's, HHV-6A and HHV-7, were not as abundant in the brains of those with other neurodegenerative disorders. When they constructed networks that modeled how the viral genes and human genes interacted, they were able to show that the viral genes were regulating and being regulated by the human genes -- and that genes associated with increased Alzheimer's risk were impacted.

アルコール依存のメカニズム:扁桃体GABAクリアランス障害




アルコール関連問題にまでなるのは人口の10-15%のみに限定される。飲酒機会に遭遇する時に人によって行動のレパートリーは薬物報酬(drug reward)と健康的な変容との間に無数の選択下にある。Augierらはアルコール依存ラットに着眼し選択行動手順を確立し、少数のラットでは(ラットにとっては)高価値の砂糖などの選択肢があるのに、アルコール自己投与を続けることを見いだした。

少数派が人の臨床的状況に類似した行動trait(特性)顕著で、アルコール獲得と不利益な状況あるのに使用継続する高度のモチベーション
この原因は中央扁桃体のGABAクリアランスの障害による
剖検組織解析でヒトのアルコール症でも同様の病理が示されている。



A molecular mechanism for choosing alcohol over an alternative reward
Science 22 Jun 2018: Vol. 360, Issue 6395, pp. 1321-1326
DOI: 10.1126/science.aao1157

アルコール依存はヒトのreward上アルコール選択を導くことから生じる。高価値rewardよりアルコールを選択するラットは 〜15%存在


扁桃体でGABA transporter GAT-3発現はアルコール依存ラットにおいて選択的に減少

一方このtransciptノックダウンでアルコールより糖水を選ぶように本来の選択に戻る

GAT-3 発現は、アルコール依存患者においてそれ以外と比べ中心扁桃で選択的に減少、扁桃体でのGABAクリアランス障害が、種を超えて、関与しているようで、新しい治療手段のターゲットとなるかも



健康的な食生活選択の鍵を握る前頭前皮質

味覚を優先し食品を選択するか、健康的な食品を選択するかは悩ましいところだろうが、
健康な食品を選択する脳の解剖学的画像データは存在するのか?


背外側部前頭前皮質(dlPFC)および腹内側部前頭前皮質(vmPFC)における灰白質の量がそれを予測できる

dlPFCとvmPFVの神経解剖の違いが、個人の健康的な食生活選択に影響を及ぼす



Neuroanatomy of the vmPFC and dlPFC Predicts Individual Differences in Cognitive Regulation During Dietary Self-Control Across Regulation Strategies.
The Journal of Neuroscience, 2018; 38 (25): 5799 
DOI: 10.1523/JNEUROSCI.3402-17.2018


食選択以前に食品アイテムの健康度にフォーカスするよう促した
上記如く、dlPFC、vmPFCの灰白質量の個人差で規則性を見いだした

この知見を確認するため、二つ目のデータセットで不健康な食欲を引きつける食品を求める状況から離れるよう被検者に要求し、サンプルとタスクの規則性を確認





神経性食欲不振・過食症などの食選択機能不全状態を特徴とする摂食障害などや、自己制御不能の過体重・肥満への対応など、研究への一歩となるか? さらには神経フィードバック練習など脳の機能的制御で、こ前頭前皮質の灰白質量を変えることができると思われる・・・と解説


今までは、飢餓とか空腹とか、満腹とかだったが、理性的、抑制的判断に関わる脳の部位について検討ということで興味深い
理性が打ち勝てば理知的食選択ができるはず・・・

特発性肺線維症:制酸剤の生存率ベネフィット 研究バイアスに注意


IPFに関して制酸剤と鎮咳剤の推奨どうすれば良いのか日常管理上の課題の一つ


逆流性食道炎(GORD :oesophagealと表記のためGERDではない)と特発性肺線維症の関連示唆され、観察研究から制酸剤のベネフィット報告されるも、"immortal time bias"によりそのエビデンス打ち消された。故に、未だ不明。

The effect of anti-acid therapy on survival in idiopathic pulmonary fibrosis: a methodological review of observational studies
European Respiratory Journal 2018 51: 1800376; DOI: 10.1183/13993003.00376-2018
http://erj.ersjournals.com/content/51/6/1800376

10の観察研究、5つの研究中4つで、immortal time biasの影響を受けての制酸治療による死亡率へのベネフィット効果報告(pooled hazard ratio 0.46; 95% CI 0.30–0.69)、5番目ではバイアス関連不明
immortal time bias回避5研究では、制酸剤の死亡率への影響認めず (pooled hazard ratio 0.99; 95% CI 0.81–1.22)






Immortal time bias: 追跡中あるいは観察期間中において死亡が起きえない期間で、特にコホート研究において、登録時から薬物暴露開始までの期間には研究対象は必ず生存しており、疫学上の「Immortal time」期間となる。「Immortal time」を含めて解析すると、介入群の方が生存期間を長くカウントするバイアスを指摘。
COPDの吸入ステロイドに関するトライアルでintention-to-treat approachとaccording-to-treatment approachで前者0.75有意差有り、後者 0.94有意差無しとなる解離認め、暴露定義と暴露開始時期の定義再考必要となった。1−3回まで処方される期間は患者が生存してなければ処方されず、3回目の処方を暴露開始とカウントするなど考慮が必要とされた
https://www.jstage.jst.go.jp/article/yakushi/135/6/135_15-00006/_pdf




介入による効果がでないはずの時期に、介入機会を失うことが、効果判定にバイアスになる。故に、介入一定期間後での差で検定を・・・ということか?

noteへ実験的移行

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