2014年3月5日水曜日

COPD:歩数増加と炎症性指標減少効果は線形的関連性

運動耐用能そのものより、実際の運動量に注目があつまってる、COPDの臨床。

CRP、IL-6値、運動耐用能とともに日々の歩数の関連性を検討


結論から言えば、運動量指標である歩行数と、運動耐用能指標である6MWT距離も同程度にCRP、IL-6といった炎症性使用減少と関連した。COPD中等症程度で、5千歩程度のさほど運動量が多くない群だから、運動能力・運動量が同程度の影響になったのかもしれない。運動能力に見合わない運動不足例などはどうなのか、クロス集計がほしかった。


Daily Step Count Is Associated With Plasma C-Reactive Protein and IL-6 in a US Cohort With COPD
Marilyn L. Moy, et. al.
Chest. 2014;145(3):542-550. doi:10.1378/chest.13-1052

年齢平均 72±8歳、平均FEV1量 1.5 ± 0.7 L(54 ± 20% predicted)

歩数中央値は、5203(IQR , 3,627 - 7,024)、 CRP 2.4 mg/L(IQR, 1.2 - 5.0、 IL-6 2.9 pg/mL (IQR, 2.05 - 5.1)

年齢・FEV1%予測値・喫煙指数・心臓疾患・現行スタチン使用・急性増悪既往・季節補正後、1日1千歩数増加毎、 CRP 0.94 mg/L、 IL-5 0.96 pg/mL減少(P = .020、 .044)

歩数4分位増加毎とCRP、IL-6の線形関係認める  (P = .0007、P = .023)
6分間歩行距離(6MWT距離)は有意にCRP、IL-6低値と相関。

中間部位プロアドレノメジュリン(MR‐ProAM):COPD予後因子

中間部位プロアドレノメジュリン(MR‐ProAM)はCOPD急性増悪、市中肺炎入院患者で増加。COPD患者の予後推定として役立つかも。


Stable-State Midrange-Proadrenomedullin Level Is a Strong Predictor of Mortality in Patients With COPD
Maaike C. et. al.
Chest. 2014;145(3):534-541. doi:10.1378/chest.13-106


MR-proADM, mean ± SD, nmol/L
PCT, median (IQR), ng/mL
Stable State
Exacerbation
Stable State
Exacerbation
Nonsurvivors (n = 78)
0.94 ± 0.41
1.08 ± 0.50
0.06 (0.04-0.09)
0.08 (0.04-0.19)
Survivors (n = 103)
0.72 ± 0.25
0.78 ± 0.27
0.05 (0.03-0.06)
0.05 (0.03-0.09)
Difference between groups, P value
< .001
< .001
< .001
0.005



【貧困地域からの転居による思春期メンタル疾患への影響】男児:うつ・PTSD・行為障害増加、女児では、うつ・行為障害改善

最貧困地域の子供は、情緒的問題を多くかかえる。近隣からのメンタル問題への影響検討報告

vaucherとは、教育バウチャーのことだろうか。高貧困地域を表す指標として利用。



貧困近隣者の多い地域からの脱出を推奨する介入は、男児において、うつ・PTSD・行為障害を増加させる。女児は、女児は逆に、うつ・行為障害減少をもたらす。

この性別による影響の違いは、女児は近隣との良好な関係を気づきやすく、男児は困難で、社会スキル困難ということも考えると、解説記事。

Associations of Housing Mobility Interventions for Children in High-Poverty Neighborhoods With Subsequent Mental Disorders During Adolescence
Ronald C. Kessler
JAMA. 2014;311(9):937-948. doi:10.1001/jama.2014.607.

The Moving to Opportunity Demonstration (1994 〜 1998 )
公営住宅居住家族4604、3689名の子供を、転居介入(貧困voucher低率地域群 vs 従来のvoucher比率群)と対照群に割り付け
voucher低比率転居群(n=1430)は、転居カウンセリングにてvoucher低比率地域への転居を促す。従来voucher群(n=108)は地域的にvoucher制限しない。対照(n=1178)は介入無し。
フォローアップ評価を10-15年後(2008年6月から2010年4月)、13-19年後(ランダム化後 0-8年)

回答率 86.9%- 92.9%

3689名の思春期子供をランダム化し、2872名インタビュー(男児 1407 女児 1465)

対照群に比較し、貧困voucher配布低率地域の子供は有意に大うつ  (7.1% vs 3.5%; odds ratio (OR), 2.2 [95% CI, 1.2-3.9])、PTSD (6.2% vs 1.9%; OR, 3.4 [95% CI, 1.6-7.4])、行為障害 (6.4% vs 2.1%; OR, 3.1 [95% CI, 1.7-5.8])減少。

従来voucher比率群での男児は、対照よりPTSD増加 (4.9% vs 1.9%, OR, 2.7 [95% CI, 1.2-5.8])
しかし、女児は、対照群に比べ、従来voucher比率群女児では、大うつ  (6.5% vs 10.9%; OR, 0.6 [95% CI, 0.3-0.9]) 、行為障害 (0.3% vs 2.9%; OR, 0.1 [95% CI, 0.0-0.4])減少。

本人の問題だけじゃ無く、仲間になるべき近隣の男児との関係があり、かれらは閉鎖的で、他コミュニティーからの転入したよそ者を排除する傾向にあるのでは? 
自我不確立、社会スキル不十分の10代男児はその状況にうまく対処できないということでは。生まれ育ったコミュニティーでしかメンタル面対処できない不器用さが男性にはあると思う。・・・私のように友達の居ない人間にはどこに居ても関係ないけどね。

【システマティック・レビュー&メタアナリシス:】怒り発作:心血管疾患イベント引き金になる

激怒・怒り発作(爆発):outbursts of anger

短期的心理学的ストレスは速効身体的反応に影響を与え、心血管イベントリスク一過性に高める。怒り発作の短期エピソードが急性心筋梗塞(MI)、急性冠症候群(ACS)、虚血性・出血性卒中、心室性不整脈ハッシュ層のトリガーとなるか?・・・システマティック・レビュー&メタアナリシス

Outbursts of anger as a trigger of acute cardiovascular events: a systematic review and meta-analysis
Elizabeth Mostofsky, et. al.
Eur Heart J (2014)doi: 10.1093/eurheartj/ehu033First published online: March 3, 2014


研究者間heterogeneityあり、 I2 は、MI/ACSで 92.5%、 虚血性卒中 89.8%
heterogeneity(ばらつき)あるが、全研究で、他のタイミング比較して、怒り爆発後、2時間で心血管イベントリスク高い

9つの研究のメタアナリシス:怒り爆発後2時間


he solid vertical line indicates no association; the diamonds indicate the combined estimates. * = One study (Lipovetzky) reported separate estimates for each hour prior to MI onset. We meta-analyzed these two estimates and included this pooled estimate in our meta-analysis of MI/ACS.


エディトリアル
The hostile heart: anger as a trigger for acute cardiovascular events
Suzanne V. Arnold, et. al.
Eur Heart J (2014) doi: 10.1093/eurheartj/ehu097 First published online: March 3, 2014

カテコラミン増加を介して、心筋酸素消費量増加、冠動脈痙攣、血小板凝集亢進、一過性虚血、不安定プラーク破裂、血栓傾向増大にて、虚血誘発及び不整脈を生じやすいという考察。介入としては、β遮断剤はREACH登録からはその効果不確定、精神的ストレスターゲットとしてセロトニン系薬剤も未だ不確定。multimodalな心理的評価と介入に関してもその効果研究は未だ。


CASE-Jなんて元々しょうも無いトライアル・・・だまされる医者は勉強やり直せ;製薬業界仲良し協定の存在はEBMの邪魔

 武田製薬ってのはいろいろ宣伝に問題があって、国際的にも「国際悪質製品賞」を受賞されたくらい世界的にもインチキ宣伝に定評がある。日本国内にはもっとひどいのが多く、目立たないくらい。サプリメントのひっどい宣伝のせいで、製薬業界がまともに見える状況なんだし。

 医者・医療関係者は、サプリメントのクソ宣伝のごときで、だまされるようじゃプロと言えない。武田製薬ごときMR活動にだまされるようじゃ・・・まだまだ素人。もっと、ずるっこい商品宣伝活動にやられっぱなしになる。


 武田製薬に関しては、まぁ、いつものことでと、関心が無かったのだが、反省文?をみて気になった部分があったので、メモがわりに・・・

 問題とされるのは、

1)製薬協より、2007年1月以降、学会発表を記事体広告に利用してはいけない旨の通知
2)心血管イベント発症頻度を示した曲線において、統計学的に有意差が内にもかかわらず、「交差している」という言葉を用い誤解を招くプロモーションを行ったこと

1) 気になるのは、「学会発表を記事体広告に利用してはいけない」という製薬業者団体の談合が実際あるのかという問題。これって、誰得なのだろうか?
 自らその広告資料に対して批判的スキルを持たない、ヒトが良い医師たちが製薬会社あるいは製薬卸担当者にだまされやすいことを心配してのことなのだろうか? 
 SacketのEBM本をみると、製薬会社情報提供者の鞄の中身のデータを狙えと書かれている。本来の医者の業務として、今の時代、臨床データの真偽を自らが判断する能力が要求されている。そしてあらゆる情報を入手できる事の方が正しいと思う。もし、1)がホントに存在するなら医師への情報源の統制であり、その情報制限は時代に逆行していると思う。


「学会」や「記事広告」をキーワードとして検索しても、該当部分、見つからないのだが・・・ 業界団体相互補助的記載しか見つからない。
他社や他社品のネガティブ情報の提供、例えば他社品の副作用に関する記事が掲載された新聞記事をコピーしてバラ撒くような行為は中傷・誹謗に当たります。また、かつて、プロモーション用印刷物等に記載できない表現を「社内用」と称する資料に盛り込み、「社外秘ですが」と断りながら、「自社品に有利な点を強調した競合品との偏った比較データ」等を医療関係者に紹介する動きがありました。 ここでいうような「社内用」資料による情報提供は、他社品の中傷・誹謗にあたるおそれがあります。 
・・・ 
郵送宣伝物や専門誌(紙)における広告などのプロモーション用資材は本質的内容を偽るものであってはなりません。なお、本質的内容を偽る(偽装された)プロモーション用資材の例としては医学雑誌等に記事の一部であるかのような形で掲載される広告があげられますので、広告と記事の区別を明確にする必要があります。特に、平成 14 年 8 月 15 日付プロモーションコード委員会委員長からの発信文書(製薬協発第 616 号)および「記事体広告作成上の注意点」で示されたように、記事体広告は製薬企業の広告の一種であることから承認外の効能・効果、用法・用量の推奨や、副次的作用のみを強調したり他社品を中傷・誹謗するような記事体広告は、厳に慎まなければなりません。 また、卸が作成・配布する「製品のプロモーション用資材」についても、当該企業が適正な資材となるよう卸に協力・指導する必要があります。
・・・・ 
郵送宣伝物や専門誌(紙)における広告などのプロモーション用資材は本質的内容を偽るものであってはなりません。なお、本質的内容を偽る(偽装された)プロモーション用資材の例としては医学雑誌等に記事の一部であるかのような形で掲載される広告があげられますので、広告と記事の区別を明確にする必要があります。
 ・・・
医師等の求めに応じて研究発表論文の別刷等、既に評価を受けた学術論文を提供する場合。ただし、企業が積極的に働きかけ、医師等から論文等の求めを誘導するような行為は慎まなければなりません。
・・・
なお、1998 年 11 月の IFPMA コードの改定に伴い、別途定める「未承認医薬品の学術資材の展示に関するガイドライン」のもとに国際学会で学術資材を展示する場合、未承認の医薬品に関しても記載できるものとしました。ただ、未承認の医薬品といってもどこかの国では承認されている必要があり、どの国でも未承認の場合は、このような記載は認められません。またこれは例外的に展示を認めたものであり、当該学術資材や関連資料の配布はできません。なお、医師等の求めに応じて研究発表論文の別刷等、既に評価を受けた学術論文を提供することは、この限りではありません。 
そういう文言がみつからないのだが・・・


2)CASE-Jに関して、私はどのように評価してか・・・当時のブログを見ると

CASE-J2006年 10月 19日
発表後すぐに感じた疑問点


1) メインアウトカムに、サブ解析であるはずの、肥満群比較があるのはなぜ?
2) 有意ではないものの・・・という詐欺もどき表現がある。
3)所詮、“非盲検無作為群間比較試験”であり、メーカーがいうほどエビデンスレベルが高くない点

と書いている。「交差」どうのこうのというより、何も言えない報告としか言えない。

特殊なサブグループデータでやっとの有意差を出したものや有意差が惜しいからなどといって、擬似的有意差みたいな表現で自社商品をごり押しするのは、武田に限ったことではないのが現状。私のサブ・スペシャリティーの呼吸器主要疾患のCOPDにおけるUPLIFTなんて、主要アウトカムでないのに死亡率改善効果が示されたと某ファイザーなどはスピリーバを売らんがため喧伝し続けてるではないか・・・。武田だけの話ではない。そして、製薬会社などは医者をだまして飯を食うのが商売というのをまず前提にしてつきあわなければならない。それを、アホな医者どもは忘れている。





当時、CCBの方が降圧効果迅速で早期死亡率に差がでたとかなんとか・・・ファイザーの方が宣伝してた頃、なんとかARB:カンデサルタン優位にしたかったのだろう・・・CASE-J。以下のグラフを出して、医者をだまそうとしてたわけだが・・・実際にだまされる医者って・・・アホ。

Hypertension. 2008; 51: 393-398 Published online before print January 2, 2008, doi: 10.1161/​HYPERTENSIONAHA.107.098475
We disclosed that candesartan-based and amlodipine-based regimens produced no statistical differences in terms of the primary cardiovascular end point, whereas candesartan prevented new-onset diabetes more effectively than amlodipine.

赤文字でCASE-J結論終了。

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