2015年3月5日木曜日

抗うつ薬パキシルは、心筋梗塞後機能回復・リモデリング回復治療効果あり 、他SSRI全てにはない効果で特異的!

普段、使用可能な薬剤のことなので、驚いた心理的な作用ではなく、分子生理学的な機序・・・



Paroxetine-mediated GRK2 inhibition reverses cardiac dysfunction and remodeling after myocardial infarction

Sci Transl MedVol. 7, Issue 277, p. 277ra31 
Sci. Transl. Med. DOI: 10.1126/scitranslmed.aaa0154

G蛋白(ヘテロトリマー・グアニンヌクレチド結合蛋白)ー共有受容体(GPCR) キナーゼ 2(GRK2)は、機能低下したヒト心臓を up-regulateし、 心不全進行に決定的役割を果たす、GRK2活性は機能障害を呈するアドレナリンシグナル化を促進し、心筋細胞死をもたらす。
SSRIである、パロキセチンが、他のGRK類を超えて選択的にGRK2を阻害することを筆者等は見いだした。

野生種マウスを心筋梗塞後2週間時点で、その後4週間パロキセチン治療すると、フルオキセチン治療ではGRK2を阻害し内外、パロキセチンのSSRIの効果でコントロールされる。

全てのマウスは、同様の左室機能障害を治療前示すが、対照群とパロキセチン群は左室機能低下継続するが、パロキセチン群は左室機能・構造の改善をもたらし、心不全の徴候を一部阻害し、可逆的となる
遺伝子組み込みマウスにて、パロキセチンは、GRK2阻害性に働くことが示唆された。

パロキセチンのベネフィット効果は、ヒト心不全のスタンダードであるβ遮断剤より優れている。

心筋梗塞後GRK2のパロキセチンによる抑制は心機能を改善し、この薬剤のrepurposing作用として有望かもしれないし、今後の革新的なGRK2阻害剤開発スタートなのかもしれない。

大気汚染汚染改善と共に、小児肺発達の関連 ・・・


カリフォルニア州の数十年の大気汚染対策の大気環境コントロール政策

1994-1998年、1997-2001年、2007-2011年のカレンダーポイント、2120名の肺機能測定データ

Association of Improved Air Quality with Lung Development in Children
W. James Gauderman, et. al.

13年間3コホートスパンにおいて、FEV1、FVCの4年間成長は、NO2濃度減少と相関  (P < 0.001 for FEV1 and FVC)、PM2.5減少とも相関  (P= 0.008 for FEV1 and P < 0.001 for FVC) 、PM10減少とも相関(P < 0.001 for FEV1 and FVC)
この相関はいくつかの寄与要素補正後も持続


肺機能改善は、男女とも、喘息有無にかかわらず観察


低FEV1(15歳 予測比80%未満)比率は、7.9%から6.3%、3.6%と3期間を通じて、大気環境改善と共に改善 P=0.001)






上記コホートに於ける1994年から2011年までの大気汚染状況






 日本のNO2濃度




http://www.erca.go.jp/yobou/taiki/taisaku/02_02_01.html




喘息死亡数減少を吸入ステロイドのおかげと言っているが・・・
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000043713.pdf




これを上下に連結してみると





喘息死減少は、大気中NO2濃度減少によるものと無理矢理主張もできる・・・

喘息の講演会に行くと、喘息死昨今の減少=ガイドライン普及=吸入ステロイド普及・・・などと、演者が講演するが・・・その根拠はあるのだろうか?


NEJMの論文だって、大気汚染の時代的変遷と小児肺発達改善の関連無理矢理のような・・・


閉塞型無呼吸放置は血管再建再施行リスク高める

OSAのインパクトを理解している血管再建術担当医はかなり少ないというのがリアルな実感。



Treatment of OSA Reduces the Risk of Repeat Revascularization After Percutaneous Coronary Intervention
Xiaofan Wu, et. al.


コホート研究で、3群分類
(1) 中等度-重症 OSA  CPAP治療良好 (n = 128)
(2) 無治療 中等度・重症 OSA (n = 167)
(3) 無治療軽症 OSA (n = 95)
主要アウトカムは、繰り返す血管再建、重大心血管イベント(MACEs=死亡、非致死性心筋梗塞、反復血管再建)、重大心血管・脳血管イベント(MACCEs)
フォローアップ中央期間 4.8年 (IQR, 3.0 〜 7.1年)間

無治療中等症・重症OSAは、中等道・重症治療群OSAより、血管再建反復多し (25.1% vs 14.1%, P = .019)

両群有意差無しは、死亡率 (P = .64)、MACE (P = .33)、 MACCE (P = .76)

寄与要素多変量分析にて、無治療中等・重症OSAは、血管再建反復リスク高い (hazard ratio, 2.13; 95% CI, 1.19-3.81; P = .011)


COPDリハビリテーションは家族を巻き込むこと、急性増悪直後自己管理指導は今後工夫必要だが一定の効果はありそう

COPDにおけるリハビリテーションにおいて家族を巻き込む介入は一定の効果をもたらす。
急性増悪期に自己管理介入に関しては、仕組み確立していない。一部効果あるようで、今後の改良が必要。


Family-Based Psychosocial Support and Education as Part of Pulmonary Rehabilitation in COPD:
A Randomized Controlled Trial
Alda Marques, et. al.


42 対  ( FEV1, 70.4% ± 22.1% predicted)

family-based PR の患者 (P = .048) と 患者家族  (P = .004)では、対照群と比べ有意に家族協力あり

family-based PRの家族メンバーは、性的関係改善 (P = .026) 、心理的distress改善s (P = .033)

両群の患者は運動耐容能、昨日バランス、膝進展力、HRQOL改善を示した (P < .001)

結論は、familyベースのPRプログラムは、家族システムからの疾患への補正を協調・心理的補正面から促進させることとなるようだ。



Self-Management Following an Acute Exacerbation of COPD:
A Systematic Review
Samantha L. Harrison, et. al.

12ヶ月後、SM(セルフマネージメント)群と対照群で、再入院率、HRQOL有意差無し
死亡率、うつ症状、プライマリケア使用、運動能力に差を認めず

差があったのは、自己評価、不安症上、健康促進行動で少し

COPD急性増悪対応への知識向上、管理向上にはポジティブな作用あり

急性増悪直後自己管理(SM)介入にはばらつきがあり、そのアウトカムもばらつきが大きい。故に、科学的推奨として強く行うことは困難な現状。
訓練された医療専門家によるSM介入評価は選別された患者に対していかに効果があるか、今後の課題だし、その仕組み形成が重要だろう。


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