2019年2月14日木曜日

ARIC研究:中年期全身性炎症と20年間の認知機能変化に関連

「全体的に見て、慢性炎症に関連する思考力および記憶力のさらなる変化はわずかであったが、それは中年の高血圧に関連して以前に見られたものより大きかった」という著者等の論評が気になる
SPRINT MIND:強化降圧療法では有意な認知症発症リスク軽減示せず・・・だが、MCIまで含めれば・・・
https://kaigyoi.blogspot.com/2019/02/sprint-mindmci.html

認知機能減衰は中年からすでに始まっているが、特に、中年期が最も介入としては有効なのかもしれない。慢性炎症が関連するのではなく、神経変性脳疾患のマーカーやそれの反応の結果の可能性もあるとも解説


Systemic inflammation during midlife and cognitive change over 20 years
The ARIC Study
Keenan A. Walker,  et al.
Neurology, Feb. 13, 2019
First published February 13, 2019, DOI: https://doi.org/10.1212/WNL.0000000000007094
http://n.neurology.org/content/early/2019/02/13/WNL.0000000000007094

目的:midlifeの全身性炎症と20年認知機能低下

方法: Atherosclerosis Risk in Communities cohort study
中年期炎症性バイオマーカー(フィブリノゲン、白血球数、von Willebrand factor、factor VIII)
CRPはvisit 2で粗高低
認知評価は 20年間3 visit spanning、記憶、遂行機能、言語で評価

結果: 12,336名の被検者総計 (ベースライン 年齢 56.8 [5.]]歳、 黒人 21%、女性 56%)

住民統計変数補・血管リスク要素・併存症補正後、中年炎症複合スコア1SD増加毎、認知複合総スコア:cognitive composite score20年間の付加的減衰 −0.035 SD (95% 信頼区間: −0.062 to −0.007)


中年期CRP値の1SD増加毎20年付加的認知衰退レベルと同様相関  (−0.038 SD, 95% 信頼区間: −0.057 to −0.019)

中年期炎症複合スコア最大4分位では、最小4分位より認知機能減衰7.8%加速;
CRP最大4分位では、最小4分位より11.6%加速
認知ドメイン特異的分析では、中年期炎症マーカー増加は記憶減少と最も多く一致した相関性を示す
inverse probability weightingを用いたattrition補正後も同様

結論:全身性炎症が早期の病理的役割を果たし、10年単位の高齢期への認知減衰のドライバーとなる




炎症trajectoryは示せていないため動的な変化が分からない

MRSAキャリア退院時decolonization介入は有効か?

プライマリアウトカムはMRSA感染を減らせるか?、セカンダリアウトカムとして、罹Sン法的ジャッジメント・全原因感染・感染関連入院を減らせるか?



Decolonization to Reduce Postdischarge Infection Risk among MRSA Carriers
Susan S. Huang, , et al., for the Project CLEAR Trial
February 14, 2019
N Engl J Med 2019; 380:638-650
DOI: 10.1056/NEJMoa1716771

背景
MRSAコロナイズ入院患者は退院後感染リスク高い


序文:メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は、米国で年間8万人以上の侵襲性感染症を引き起こす。皮膚、軟組織、手術に関連した感染症の最も一般的な原因で侵襲性MRSA感染率は、退院後6ヶ月以内に最も高く、1年間は正常化しない。
MRSAへのアプローチには、"hygiene"と"環境クリーニング”が含まれ、鼻腔ムピロシン、クロルヘキシジン抗菌浴槽による脱コロナイゼーションでキャリアの減少、感染の予防をもたらす対策。脱コロナイゼーションは手術部位の感染リスク、皮膚感染再発リスク、ICUでの感染リスク減少をもたらす。 対教育群に比べ脱コロナイゼーション介入が退院後MRSA感染患者(キャリア)間でMRSA感染確率減少の上で優れているか?

方法
MRSAコロナイゼーション患者(キャリア):多施設ランダム化対照治験:退院時衛生教育、教育+脱コロナイゼーション
脱コロナイゼーション:クロルヘキシジンによる口腔洗浄・入浴・シャワー+鼻腔ムピロシン5日間/月2回x6ヶ月間
フォローアップ1年間

プライマリアウトカム:  MRSA infection as defined according to Centers for Disease Control and Prevention (CDC) criteria.
セカンダリアウトカム: MRSA infection determined on the basis of clinical judgment, infection from any cause, and infection-related hospitalization.

全ての解析は比例ハザードモデル、per-protocol population、as-treated populationで解析

結果
per-protocol populationでは、MRSA感染率
教育群 98 / 1063 (9.2%) 、脱コロナイゼーション群 67 / 1058 (6.3%)
; MRSA感染の84.8% が入院となる
病原不問感染発生は  23.7% vs 19.6%で、感染85.8%が入院となる

MRSA感染ハザードは教育群より脱コロナイゼーション群で有意に低率 (ハザード比 0.70; 95% 信頼区間 [CI], 0.52 to 0.96; P=0.03; number needed to treat to prevent one infection, 30; 95% CI, 18 to 230); このハザード低下ははMRSA感染による入院リスク低下につながる (hazard ratio, 0.71; 95% CI, 0.51 to 0.99)

脱コロナイゼーションは全原因臨床的感染判断尤度低下もたらす (ハザード比, 0.83; 95% CI, 0.70 to 0.99)、感染関連入院低下をもたらす (hazard ratio, 0.76; 95% CI, 0.62 to 0.93); セカンダリアウトカムの治療桜花は多数比較で事前層別判断でないため解釈に注意が必要

as-treated analysisでは、アドヒアランス完全な脱コロナイゼーション群のみ教育軍と比較すると44%減少 (ハザード比, 0.56; 95% CI, 0.36 to 0.86)、全原因感染 40% 減少  (ハザード比, 0.60; 95% CI, 0.46 to 0.78)

副作用(すべて軽症)は被検者の4.2%


結論
退院時クロルヘキシジンとムピロシンによるMRSA decolonizationは教育のみの介入に比べMRSA感染リスクを30%減少する (Funded by the AHRQ Healthcare-Associated Infections Program and others; ClinicalTrials.gov number, NCT01209234.)





スクリーンショット規制始まるそうだが・・・困ったもんだ
規制すれば良いという・・・利権団体





インフルエンザ:タミフル投与の死亡率軽減効果検討 すべてのウィルス型が同等効果でない可能性

ゾフルーザ vs 対照で、有症状率をKaplan-meyer曲線で結局は差が無くなるのだから意味が無いという趣旨のウェブ記載をみて、乱暴な理論で目眩を感じた

高リスク群を含めインフルエンザ患者全般において抗ウィルス薬の死亡率、合併症、治療コスト、欠席・欠勤など社会的コスト、患者本人のQOLなど含めた形で議論すべきなのに・・・

タミフルの死亡率検討

Effect of early oseltamivir treatment on mortality in critically ill patients with different types of influenza: a multi-season cohort study
Theodore Lytras, et al.
Clinical Infectious Diseases, ciz101,  https://doi.org/10.1093/cid/ciz101
Published: 07 February 2019  Article history
https://academic.oup.com/cid/advance-article-abstract/doi/10.1093/cid/ciz101/5308530

ギリシャのICU入院検査確認インフルエンザ成人全員 (2010–2011 to 2017–2018の8季) とオセルタミビル治療を検討
早期オセルタミビル使用と死亡率との関連性は、対数二項モデルならびに死亡および退院の原因別および下位分布の危険性を推定する競合リスク分析を用いて評価した。 影響推定値はインフルエンザの種類によって層別化され、複数の共変量について調整。


1330名を検討、ICU死亡 622(46.8%)

A/H3N2患者の内、早期治療は有意に死亡率低下と関連  (相対リスク 0.69, 95% CrI 0.49–0.94;
部分分布ハザード比:subdistribution Hazard Ratio 0.58, 95% CrI 0.37–0.88)(subdistribution参照→https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjb/29/2/29_2_141/_pdf)

この効果は純粋に退院に対する患特異的ハザードによるもので、死亡に対する疾患特異的ハザードで増加はしていない

生存者間では、ICU滞在期間中央値は治療群で 1.8日間(95% Crl 0.5-3.5日間)短い

A/H1N1とインフルエンザBで死亡率の影響観察なし

結論:重度インフルエンザ診断患者において迅速にオセルタミビル治療することは、特にA/H3N2流行期において重要。オセルタミビル有効性はインフルエンザ全てのサブタイプで確認できず


IDSAがらみなのでギリシャの一地方の報告というよりは重きを感じなければならない報告では?

序文から
インフルエンザは世界的に死亡率の主要な原因であり[1]、オセルタミビルが最も頻繁に処方されているノイラミニダーゼ阻害剤(NAI)は、インフルエンザを治療するために現在利用可能な唯一の抗ウイルス薬です。重症患者や合併症のリスクが高い患者には、NAIの早期使用(症状の発症から48時間以内)が推奨されています。それにもかかわらず、これらの勧告を支持する証拠については議論が続いている。死亡率に対するNAIの影響に関する無作為化試験からの証拠の欠如[6]、および重症患者を倫理的に無作為化することの難しさは、勧告が必ず観察研究に頼っていることを意味します。しかし、入手可能な観察証拠は、質が低く、バイアスの危険性が高く、交絡、特に徴候による交絡については不完全に調整されていると批判されてきた。研究では死亡率が低く、比較的若く健康な患者を登録する傾向があります。
さらに重要なことに、NAIおよびインフルエンザ関連死亡率に関する事実上利用可能なすべての証拠は、インフルエンザA / H1N1pdm09に関連しています。しかしながら、すべての種類のインフルエンザに対してNAIが同等に有効であると推測するべきではありません。例えば、オセルタミビルはin vitroおよびin vivoでインフルエンザBに対して有効性が低いことが観察されており、ある研究では、オセルタミビル治療はインフルエンザA / H3N2患者の間で流行前A / H1N1患者よりも熱の持続時間が短かった。
この背景に対して、ギリシャの集中治療室(ICU)に入院した重症インフルエンザ患者のコホートにおいて、早期(症状発症から48時間以内)対後期オセルタミビル治療と死亡率との関連性を調べた。我々は、単なるA / H1N1型ではなくすべてのインフルエンザ型に焦点を当て、オセルタミビルの過去の観察研究で提起された一般的な方法論的問題に取り組むことによって現在の証拠を拡大しようとした。



ダイレクトなインフルエンザウィルスによる臓器障害というよりは併発・合併・続発症などの影響が大きそう・・・




noteへ実験的移行

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