2013年7月26日金曜日

女性:高身長は、各種がん・がん全体リスク増加と相関

西洋人でも、アジア人種でも、身長が様々ながんのリスク要素であるという前向き研究結果があるとのこと、しかし、寄与要素に関する報告は十分でなかったということで、この報告という建前。

女性にしか検討されてないので、女性にのみ限定した話・・・
身長10cmほど増加すると、全てのがんで、13%ほど相対リスクが増加するという報告。

"Adult stature and risk of cancer at different anatomic sites in a cohort of postmenopausal women"
Kabat GC, et al
Cancer Epidemiol Biomarkers Prev 2013; 22(8): 1353-63. 

検討されたのはWHI登録者14万4701名の女性

身長は、全てのがんリスクに関して正の相関 (HR = 1.13; 95% CI, 1.11–1.16)
同様に、甲状腺、腎臓、子宮内膜、直腸結腸、大腸、卵巣、乳がん、多発骨髄症、メラノーマ(HRレンジ: 乳がん 1.13 から 多発性骨髄腫・甲状腺がん 1.29まで)

これらの相関は一般的に共役要素補正に感度無し、effect modificationのエビデンス少ない


説明としては、成長期である思春期に栄養学的・内分泌的影響を受けるのではないかというもの、ただ実際には、高身長は臨床上はさほど重要なものではなく、検診などで高リスクなどと判断してはいけない。


マウス:長寿薬は機能的若返りには役立ってない

ラパマイシンは、マウスで寿命延長効果があるわけだが、加齢現象にともなう身体的特性や行動機能へ改善はみられないようだ。


ラパマイシンは、FDA承認ほ乳類TOR(mTOR)阻害剤
e.g.)http://www.tmig.or.jp/J_TMIG/genome300/TOR.html
mTORはラプターなどとともにTORC1、TORC2と呼ばれるタンパク質複合体を形成し、細胞増殖因子、アミノ酸、細胞内ストレス、エネルギー状態な どのシグナルによって制御されている。mTORC1は下流にあるS6K、4E-BP1などをリン酸化することにより、mRNAの翻訳やタンパク質合成の制 御などを行っている。mTORC2はAktをリン酸化することにより細胞周期の調節などを行っている


Rapamycin extends murine lifespan but has limited effects on aging
Frauke Neff ,et. al.,
J Clin Invest. doi:10.1172/JCI67674.  

加齢は大多数の疾患・機能障害への大きなリスク、加齢プロセスへの治療ターゲット化が、新たな広汎に有効な加齢関連疾患に対する有効治療に関する革新的戦略となるのかもしれない。 FDA承認mTOR抑制剤 rapamycin治療マウスの寿命延長報告は、ほ乳類の中で最大寿命延長が薬剤範疇で示された最初の薬剤。
Rapamycin の寿命延長効果は、特異的な原因、例えばがんなどへの効果かもしれないが、この成分が実際にほ乳類で加齢進行速度を減少させているかは不明。構造的、機能的加齢phenotypeの包括的大スケール評価の結果、rapamycinが、C57BL/6J雄マウスの加齢速度を減少させてるか検討した。

加齢特性サブセットでは、rapamycinにより回復しているようにおもえる。Rapamycinは若年動物でのこれら特性に多く効果を示すが、これらの作用は、加齢へのmodulationではなく、加齢と無縁の薬物の効果の作用のようだ。 
故に、これらのデータからは、rapamycinの寿命延長効果と加齢そのものへの影響とは乖離した現象と説明。 

ラパマイシンの寿命延長効果


加齢関連神経行動phenotype


学習・記憶関連(escape latency実験など)






単純に寿命延長、すなわち、長寿効果とは言えない 「Extension of lifespan does not necessarily indicate effects on aging.」・・・っての序文は象徴的。

神経機能、身体機能改善も伴わなければ、長寿効果として意味が無い。

月の満ち欠けに「ヒトの睡眠」は影響される

高信頼レベル対照研究による33名のボランティア研究から「月からの影響」のエビデンス確認されたということで、欧米マスコミがいろいろ枝葉をつけて報道中。

"lunatic asylum"ってくらいで、欧米人は精神疾患との関連付け傾向が強い

Evidence that the Lunar Cycle Influences Human Sleep

Christian Cajochen, et.al.
Current Biology, 25 July 2013


月周期(29.5日程度)の内因性リズムと、その分子・遺伝子的基礎事項が海中生物で見られる。一方、民間伝承無数にあるが、人の生理・行動への月周期との関連性について一貫したものはない。
月齢(lunar phase)による、主観的・客観的睡眠測定項目と、月周期性がヒトへ影響するか検討。

夜間のライト増加、睡眠への月の影響による認識という内在性バイアス除外のため、後顧的に睡眠構成を解析、NREM睡眠脳波、ホルモンであるメラトニン・コルチゾール分泌を横断的状況下での厳重対照化検査施行。

研究中・研究後のどのポイントでも、ボランティア・研究者で月例に関わるposteriori analysisに気づいていない。

満月中、NREM睡眠中脳波デルタ波活動性、すなわち、深い睡眠を意味する状況が30%減少し、5分ほど就寝までの時間が延長され、脳波評価睡眠時間が20分減少した。

これらの変化は、主観的睡眠の質の減少と関連し、内在性メラトニンレベル減少と関連した。

月齢がヒトの睡眠内容に影響を与えるという、時間補正無し、高度対照状況下概日研究プロトコールによる、信頼できる最初のエビデンスである





Bad sleep? Blame the moon
By Charles Choi Published July 25, 2013 LiveScience
Read more: http://www.foxnews.com/health/2013/07/25/bad-sleep-blame-moon/#ixzz2a79A3M7c


Sunday's Supermoon Won't Drive You Mad
Stephanie Pappas, LiveScience Senior Writer   |   June 20, 2013 02:53pm ET
http://www.livescience.com/37610-june-supermoon-full.html

米国CDC:副作用報告減少しているのに、HPVワクチン摂取率伸びず、3回完遂率低下

Human Papillomavirus Vaccination Coverage Among Adolescent Girls, 2007–2012, and Postlicensure Vaccine Safety Monitoring, 2006–2013 — United States
http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm6229a4.htm?s_cid=mm6229a4_w

13-17歳のHPVワクチン接種率増加せず、3回投与全て完遂率も減少

次世代の健康へリスクをもたらす現象であると、CDC所長がプレスリリースにて報告
"Progress increasing HPV vaccination has stalled, risking the health of the next generation," said CDC Director Dr. Tom Frieden said in a press release. "Doctors need to step up their efforts by talking to parents about the importance of HPV vaccine just as they do other vaccines and ensure its given at every opportunity."
 Estimated human papillomavirus (HPV) vaccine coverage among adolescent girls aged 13–17 years, by number of doses — National Immunization Survey–Teen, United States, 2007–2012
http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm6229a4.htm?s_cid=mm6229a4_w#tab1

副作用報告数



各メディア伝えている
CDC saysCDC sounds the alarm on HPV vaccine
http://www.latimes.com/news/science/sciencenow/la-sci-sn-hpv-vaccination-rate--20130725,0,6804153.story


CDC sounds the alarm on HPV vaccine
http://www.nbcnews.com/video/nightly-news/52581816/#52581816
July 25, 2013


日本では、副作用ばかりに目をとらわれすぎ、米国でもこの報告をみると初期2-3年間は、Webber効果・現象やSecular effectとやらで・・・ゴタゴタが続くのは新薬・新しいワクチンの通例だが、通過儀礼を利用して政治的・イデオロギーごり押し運動する連中が出てくる気色悪さ

Webber effectとは、新薬販売開始出現2年間にその報告事例が増大すること。
Secular Effectとは、メディア露出過多となり、報告事例が増大すること。


腰を落ち着けて検討すべきなのに、みんなが右往左往する日本のワクチン

筋肉内注射ワクチン経験数の少ない臨床家も右往左往・・・

NIPPON DATA90: HbA1c値 と 全原因及び心血管疾患死亡率の相関 日本人でも明らかに・・・

HbA1c and the Risks for All-Cause and Cardiovascular Mortality in the General Japanese Population
NIPPON DATA90
Published online before print July 22, 2013, doi: 10.2337/dc12-2412 
Diabetes Care July 22, 2013


目的 HbA1cと心血管疾患(CVD)の相関が西側諸国で主に報告されている。東アジア諸国では、CVD死亡リスク評価に関してHbA1c値が有効かどうかは不明。 
研究デザインとメソッド 心血管死亡リスクを大規模コホートである、日本人ほぼ全員からのランダム選択被験者で評価。7120名の被験者(男性2962、女性4158名、平均年齢 52.3歳)
糖尿病治療無し被験者に於ける、HbA1cカテゴリー毎(<5 .0="" 5.0-5.4="" 5.5-5.9="" 6.0-6.4="" 6.5="" blockquote="" nbsp="" ox="">
結果 研究期間中、死亡 1,104名、CVD死 304、冠動脈疾患 61、卒中 127(脳梗塞 78、脳出血 25、分類不能卒中 24)
HbA1cと、全原因死亡率とCVDとの相関性は段階的で、連続性有り
多変量補正CVD死亡ハザード比は、HbA1c値段階 6.0-6.4%、6.5%以上で、HbA1c5.0%未満と比べ それぞれ、 2.18 (95% CI 1.22–3.87) 、2.75 (1.43–5.28)
HbA1cと、冠動脈死・脳梗塞死との類似の相関性認める 
結論 HbA1c高値 は、全原因死亡率、CVD・冠動脈性心疾患・脳梗塞死亡率と関連性が、西側諸国民と同様、東アジアでも見られた。

日本を東アジア人全部の代表としてみて良いのか?

英国:糖尿病コントロール不良でも、強化治療介入まで内服でも2年間放置

イギリスの医療事情もあるのだろうが、糖尿病コントロール不良と判断しても、治療強化まで2年程度放置、インスリン追加に至っては7年間って・・・ 

日常診療において、欧米のやり方が全て正しいわけじゃないって・・・




Clinical Inertia in People With Type 2 Diabetes
A retrospective cohort study of more than 80,000 people
Published online before print July 22, 2013, doi: 10.23
37/dc13-0331 
Diabetes Care July 22, 2013 



【目的】 2型糖尿病患者に於ける1剤、2剤、3剤経口血糖降下薬(OADs)治療強化までの期間と血糖コントロールレベルの相関

【研究デザイン・メソッド】 これは後顧的コホート研究で、 U.K. Clinical Practice Research Datalink(2004年1月から2006年12月、フォローアップ2011年4月まで)の2型糖尿病患者  81,573 名ベース。

【結果】 HbA1cカットオフを超えてからOAD追加治療強化までの期間平均は、HbA1c ≥7.0、 ≥7.5、 ≥8.0% (≥53, ≥58, or ≥64 mmol/mol)で、それぞれ2.9年、1.9年、1.6年で、OAD2剤服用では、7.2年間、7.2年間、6.9年間
インスリン強化までの期間中央値は、OAD1剤、2剤、3剤でそれぞれ、 7.1 年、6.1年、6.0年 
OAD1剤もしくはインスリンによる強化したときの平均HbA1cは、OADs1剤、2剤、3剤でそれぞれ8.7、9.1、9.7%
OADs1剤、2剤、3剤服用中患者で、OAD1剤あるいはインスリン治療による治療強化からの期間中央値は、7.2年間のフォローアップ期間を上回る。
OAD1剤、2剤、3剤で血糖コントロール不良患者確率は、OAD1剤強化フォローアップ終了後強化にて、21.1-43.6%であり、インスリンによる強化では5.1-12.0%である。
 

【結論】 血糖コントロール未到達2型糖尿病患者の治療強化の遅れが存在する。
OADsやインスリンによる強化まで数年の血糖コントロール不要期間である比率かなり高い。


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