2012年2月3日金曜日

(非特異的)腰痛


腰痛、肩こり・頚部痛・・・あたりが なんだか矛盾に充ち満ちた診療一般風景がある ・・・ 疾患群



 非特異的腰痛
Non-specific low back pain
The Lancet, Volume 379, Issue 9814, Pages 482 - 491, 4 February 2012


腰痛の生涯頻度は84%で、慢性腰痛は約23%、腰痛によりdisabilityを訴えるひとは11-12%。
重いものを持ったり運んだりなどのmechanical factorが主な病的役割を持ってるわけではなく、遺伝的素因も重要。多くの治療作用のメカニズムも不明で、治療の効果程度も今一つ。
患者選択、臨床的エビデンスを疼痛管理上考慮しなければならない。
しかし、適切なサポートを有する一般的な自己マネージメントが推奨され、手術や過剰な治療は回避すべき。


自殺取り組み:中途半端なサービスでなく、推奨事項を徹底すること


NHKと、それにつるんでいる精神科医の一部が、一般医師を小馬鹿にして、 なんだか、日本の自殺数の増加がすべて開業医のせいであるかのごとき悪しき放送を行っていた(プライマリケアでのうつ診断は即断するな!  2009年 08月 21日))。飽き足りなかったのだろう、似たような内容をシリーズで繰り返していた。


専門医に任せると、うつ病診断・治療は自殺数減少につながるのだろうか? ・・・・そういうエビデンスがないことは、以下の論文でも明らか。


中途半端な医療サービスは自殺を減少させない!


あのえらそうなNHK出演の精神科医は、以下の論文に提示されているような推奨事項はとりこんでるのだろうか?それなら、批判する資格はある。


こういうことを、自殺対策として、国が煽動して行うべきなのだが・・・日本ではシステミックな取り組みは無理なのだろうか?


以下の鍵となるサービスは、NCIによるメンタルヘルスへの自殺への取り組み

Key service recommendations
  • Ligature points; removal of potential ligature points on inpatient wards, including all non-collapsible curtain rails.
  • Assertive outreach; community services include an assertive outreach team that provides intensive support for people with severe mental illness who are difficult to engage in more traditional services.
  • 24 h crisis team; community services include a single point of access for people in crisis available 24 h a day. These teams are intended to promptly respond to mental health crisis in the community and so prevent inpatient admission. They provide short-term input until other services are available.
  • 7 day follow-up; written policy on follow-up of patients within 7 days of psychiatric inpatient discharge.
  • Non-compliance; written policy on response to patients who are non-compliant with treatment.
  • Dual diagnosis; written policy on the management of patients with dual diagnosis (patients diagnosed with a psychiatric illness and drug or alcohol dependence or misuse).
  • Criminal justice sharing; written policy on sharing information about risk with criminal justice agencies.
  • Review; written policy on multidisciplinary review and information sharing with families after a suicide.
  • Training; front-line clinical staff receive training in the management of suicide risk at least every 3 years.









こういう推奨の取り組みをしっかりしているかが鍵になるらしい。
 





Implementation of mental health service recommendations in England and Wales and suicide rates, 1997—2006: a cross-sectional and before-and-after observational study
The Lancet, Early Online Publication, 2 February 2012doi:10.1016/S0140-6736(11)61712-1


メンタルヘルス提供者は自殺予防に関して効果的であるかどうかの研究は稀。
鍵となるメンタルヘルスサービス推奨の取り入れを検討し 、取り込み方と自殺率の相関を検討。

Methods

イングランド・ウェールズの国民自殺データの記述的、公団的、前後解析
死亡前12ヶ月のメンタルヘルスサービス接触 した、1997-2006年まで自殺死データ収集。
データは National Confidential Inquiry into Suicide and Homicide by People with Mental Illnessの一部。データ欠損の場合、Mental Health Minimum Data Setを利用。
推奨を多く取り込んだサービスと、その数の少ないサービスで比較し、前後比較も行った。 
社会経済的なレベルの低さと、サービス業のレベルを比較。

Findings

組み入れた推奨平均数は1998年の0.3から2006年の7.2に増加。
組み入れ推奨数は横断的・前後解析ともに自殺率減少と相関。

24時間危機ケア提供は自殺率を大きく下げた : 11.44 / 10 000 患者接触/年  (95% CI 11.12—11.77) で、 9.32 (8.99—9.67)→ (p<0.0001)

dual diagnosisというlocal policy (10.55; 10.23—10.89 before vs 9.61; 9.18—10.05 after, p=0.0007) と、自殺後の多職種的レビュー (11.59; 11.31—11.88 before vs 10.48; 10.13—10.84 after, p<0.0001) も自殺率低下と相関。

推奨組み入れのないサービスでは自殺減少は少ない。

最大の自殺減少は最貧エリアのサービス(incidence rate ratio 0.90; 95% CI 0.88—0.92)と最多患者エリア (0.86; 0.84—0.88)

Interpretation

臨床的対象において、メンタル・ヘルスサービス 供給により、自殺率に影響を与える
。新しいinitiativeと自殺の関連の検討により、将来の自殺予防努力への情報助言として役立つ可能性があり、メンタルヘルスケアを受ける患者の安全性向上に役立つ可能性がある。

お恥ずかしい厚労省検診・保健指導”腹囲基準”問答

原発事故問題の時の東大の先生と共通する、東大の先生のお恥ずかしい”腹囲基準”問答・・・



第1回健診・保健指導の在り方に関する検討会 議事録
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000021sd3.html




 ○保坂構成員  ・・・略・・・
腹囲を最初に基準にして階層化ということをされているものの最初の基準を腹囲に置いている
わけですけれども、腹囲を基準にしてやるということが日本以外の国でやられているところがあ
るのかどうかということについてもどなたか教えていただけたらと思うのですが、よろしくお願
いします。
(これに対し、外山健康局長、答えず、 津下構成員 答えず・・・)
(保坂先生さすがに腹に据えかねたようで・・・)

保坂シゲリ氏(社団法人日本医師会常任理事)の再三の”腹囲基準が世界的な基準なのかの質問に回答することを避けた後、門脇 孝氏(東京大学大学院 医学系研究科糖尿病・代謝内科教授)の答弁。
○保坂構成員 全然論点がずれていて、腹囲というものを基準にしてこういったことをすることがどこか日本以外のところで行われていることがあるかどうか教えいただきたいという質問を私はしたわけです。
ですから、これが日本固有のものであれば、それについてこれがいいのかどうかということの議論はもう一回最初からする必要がありますけれども、外国でもやっていて、そこでいろんなこういうデータが出ているということをもし教えていただければ、私としてはとても参考になると思ってお聞きしたいのですが、どなたか御存じでしょうか。

○永井座長 これはヨーロッパもたしか最初は腹囲を前提としていたのが変わったのだと思いますけれども、門脇構成員、どうぞ。

○門脇構成員 もともとアメリカでは腹囲は、メタボリックシンドロームを診断する上での5項目の1つとして扱ってきました。日本と、永井座長が言われたようにヨーロッパでは腹囲をまず上位において、それを必須項目としてその中で他のリスクファクターを重積するものをメタボリックシンドロームとして扱ってきました。
ただ、ヨーロッパで一昨年、態度を変えて、アメリカと同じような形で腹囲を必須項目とはせずに、幾つかの項目の1つとして扱って、今、日本が腹囲を必須項目とするという点で欧米とは違うと思います。
日本肥満学会あるいはこのメタボリックシンドロームの基準をつくった8学会としては、大勢の意見は、やはり日本の内臓脂肪の研究の成果の上でこういう腹囲をまず必須項目とするということが出されて、むしろこれは世界に先駆けて先進的な取組みではないかと学会では今おおむね評価をしているということかと思いますけれども、保坂構成員の述べられたことも含めて、この検討会の検討課題とすればいいのではないかと思います。

○永井座長 そうですね。これは私も厚労科研でさせていただいたのですが、ある保健団体で、腹囲を基準として肥満者と非肥満者について調べています。確かに肥満者はBMIが高まるにつれてリスクの因子の数が増えます。ところが、同じリスクの数であれば非肥満者の方が心血管イベントは多いのです。ですから、非肥満者のハイリスクの人たちをどうするのかというのは議論が必要かなと思います。

どうぞ・・・

日本独自の基準だと最初から言えよ! 門脇先生!

どこの学会で評価されてんだろ! あんたたちが理事をしている学会でだけだろ!


こんなごまかい問答しか出来ない人が偉そうに出来る日本の医療や検診って・・・やっぱ、すごいわ!(ネガティブな意味で)


関連:
腹囲が必須条件から外れる 診断基準を国際統一:日本のお偉いさんは腹囲に固執しつづけるそうな  2008年 08月 20日

メタボ「腹囲」偏重に異議…厚労省研究班「関連強くない」  2009年 03月 01日

メタボ健診:線引き困難 腹囲基準根拠揺らぐ 厚労省、3万人データ解析  2010年 02月 10日

日本学校保健会からの医師会へのお達し:学校生活管理指導表の改訂 ;現場は空虚

財団法人 日本学校保健会からの医師会へのお達し
学校生活管理指導表の改訂について 
主な改善点 
1. 学習指導要領の改訂に伴う改訂。
2. 「その他注意すること」の欄を新設し、主治医・学校医の意見を明記できるようにし
た。
3. 従来の生活管理表は運動制限の方向性が強い傾向にあった。適正の範囲で体育の授業に参加できるよう配慮した。
4. 小学生用の管理表は学年別に運動強度が示されている。



学校生活管理指導表
〔平成23年度〕学校生活管理指導表の主な改善点
1. 学習指導要領の改訂に伴う改訂。
2. 「その他注意すること」の欄を新設し、主治医・学校医の意見を明記できるようにした。
3. 従来の生活管理表は運動制限の方向性が強い傾向にあった。適正の範囲で体育の授業に参加できるよう配慮した。
4. 小学生用の管理表は学年別に運動強度が示されている。

〔平成23年度改訂〕学校生活管理指導表(小学生用)

〔平成23年度改訂〕学校生活管理指導表(中学・高校生用)

学校生活管理指導表(アレルギー疾患用)

糖尿病患児の治療・緊急連絡法等の連絡表


閉塞型無呼吸:上気道関連神経の構造的リモデリング

閉塞型無呼吸に関して舌下神経の役割に関心が高まっているが、閉塞型無呼吸によりstructural neural remodelingが生じているという報告がなされた。

脳波シグナル・運動単位活動電位:motor unit potential (MUP) morphologyの定量的パラメータ解析

運動単位活動電位は閉塞型無呼吸で周期長く、size index増大


Neurogenic Changes in the Upper Airway of Patients with Obstructive Sleep Apnea
Am. J. Respir. Crit. Care Med. February 1, 2012 vol. 185 no. 3 322-329 



糖の毒性: “The Toxic Truth About Sugar” ;sugar tax導入を! アルコール・たばこ同様の扱い必要



“The Toxic Truth About Sugar” 
Nature 482,27–29(02 February 2012)doi:10.1038/482027a 
Published online 01 February 2012


University of California, San Francisco (UCSF)の研究者たちの意見



解説記事(http://healthland.time.com/2012/02/02/should-sugar-be-regulated-like-alcohol-and-tobacco/)を極一部訳




アルコール、たばこに関して介入が多く行われている介入が”sugar problem”にも応用可能で、特定消費税 、アクセス制御(販売流通制御)、自販機・スナックバーの厳格化免許制度などを提案。


砂糖は"empty calory"(栄養的価値のない空っぽのカロリー)、だが、カロリーに関して"empty"ということはなく、たとえフルクトースであっても、肝毒性そして、慢性疾患への悪影響を与えている、多くの人の命に関わる問題である。

AHAによると、1日ティースプーン22杯に抑えるべきなのに、34杯10代では消費している。
USの子供の17%は肥満で、過去50年で3倍もの糖摂取量となっている。

good fatとbad fatがあるごとく、"good calory"と"bad calory"、それに"bad amino acid"・"good amio acid"、"good carbohydrates・・・"がある。

Weight Assessment for Teen and Child Health (WATCH) programの責任者は、statementで、“But sugar is toxic beyond its calories.”と記載している。

・・・
UCSFの報告は、 糖のメタボリックな悪影響、超過糖は血圧を上げ、ホルモンシグナルをひん曲げ、肝臓を傷害し、アルコールに勝るとも劣らない悪影響を与えるとし
・・・ 
フランス、ギリシャ、デンマークなどでは、soda taxを徴収、米国内でも20の都市・州で採用、フィラデルフィアは昨夏、1オンスあたり2セントのsoda taxがなされ、Rudd Centerは1線と・・・


覚醒剤依存endophenotypeの存在:依存者の無病歴者同胞にも存在

Karen Ersche (Department of Psychiatry, University of Cambridge, England)のScience誌論文




前頭葉−線条体(fronto-striatal)システムの異常を、覚醒剤依存者と、慢性ドラッグ依存病歴のないその生物学的兄弟に見いだした。

この知見は、覚醒剤依存に関する神経認知的endophenotypeが存在する概念に一致する。


解説:medicalnewstoday:  http://www.medicalnewstoday.com/articles/241123.php






AFP:脳スキャンにて、前頭葉と運動・認知・行動に関与する基底核との結合に共通する特定の脆弱性が存在。同時掲載(Nora Volkow and Ruben Baler of the US National Institute on Drug Abuse)の概括論説で、脳の回路についての知識が増えることが病態の理解・治療に役立つだろう。それは肥満、病的賭け事、注意欠乏行動異常や強迫性障害などにも


プライマリ・ケア:抗生剤使用制限医師向け多面的柔軟教育プログラムの有効性


細菌の抗生剤耐性化の問題や医療費の問題で、プライマリ・ケアレベルでの対策が急務。

医師向けのよりソフトな多面的教育プログラムが効果をもたらす。


Effectiveness of multifaceted educational programme to reduce antibiotic dispensing in primary care: practice based randomised controlled trial

BMJ 2012; 344 doi: 10.1136/bmj.d8173 (Published 2 February 2012) Cite this as: BMJ 2012;344:d8173


経口抗生剤使用(1000登録患者あたりのアイテム数)は介入群で14.1減少、対照群では12.1増加。ネットの差は26.1。
ベースライン抗生剤使率補正後、年あたり経口抗生剤使用、介入群で対照群比較において、総数で42%(95%信頼区間 0.6%-7.7%)減少 (P=0.02)

ペニシリナーゼ耐性ペニシリン以外の他の全クラスの抗生剤減少が見られたが、 phenoxymethylpenicillins (penicillin V)とマクロライドが最大でかつ有意に区別される (7.3%, 0.4% to 13.7%、 7.7%, 1.1% to 13.8%)

指数としたコンサルテーション数日において入院数、7日以内の再診数は、介入群と対照群の有意差認めず

プログラム平均コスト £2923 (€3491, $4572) /実践(SD £1187)

介入群 コスト削減5.5% (−0.4% to 11.4%)で、介入平均毎1年間あたり約£830と等価



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禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note