2015年5月22日金曜日

食事回数を減らす脂肪蓄積しやすく、耐糖能異常を来しやすい

テレビタレントなどが、朝食や夕食などの欠食を勧めるのを見聞きするにつけ、無責任な連中だと・・・眉をひそめることが多い。直感的・経験的市井情報での無責任な噂話。こういうのが真実の如く市井に固着してしまう弊害が怖い


食事抜きが減量の早道と思うのはやはり誤りで、逆効果ということをマウスで証明


日内を通して全体量として少ない食事量にすることが減量の基本
だが、まぁ多くの人間にはそれができない・・・ってのが悩みですけどね・・・


少なくとも、食事回数を少なくして減量を目指すことはインスリン抵抗性悪化・肥満リスクを増加させることは確かなようだ・・・


でもこういう実験って いままでもあると思うけど・・・ヒトでの疫学研究でHELENA研究で朝食抜くとインスリン感受性、脂質異常きたすという報告がある。


Short-term food restriction followed by controlled refeeding promotes gorging behavior, enhances fat deposition, and diminishes insulin sensitivity in mice
Kara L. Kliewer,  et. al.
JNB DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.jnutbio.2015.01.010

齧歯類を体重増加研究目的で餌制限・餌再投与がなされる。24時間毎支給で割り当て餌前部完食し、短期的な満腹時間の後、次の日の餌の時間まで空腹時間が続く。
このため、アドリブ食(nibbling:少しずつ食べる方法)マウスでは非典型的な代謝異常が見られる。欠食による暴食の日内、累積的変化を、対照群と比較。
一時的絶食後、対照餌アドリブ摂取マウスと同じ量の餌を摂取する。
マウスは一時的絶食後、餌有る時間だけ暴食続け、代謝関連指標を餌投与時・空腹時測定。
脂肪組織のLipogenicすなわち脂質形成性やInflammatoryすなわち炎症性遺伝子発現が、代謝状況(餌時vs空腹時)によりかなり変化することが暴食マウスで見られた。
加えて、アドリブ食マウスと比較して累積餌摂取量減少に関わらず、餌制限暴食マウスは腹部内臓脂肪累積増加し、肝臓と末梢のインスリン感受性減少し、遺伝子発現特性が死亡蓄積性へ変化する。


暴食マウスの遺伝子発現の餌前後の日内差が、アドリブ食、小食頻回食に比べ、かなり変動することが、累積的代謝・行動異常をもたらす。



紫サツマイモの色素は糖尿病初期の血管内皮抗加齢作用の可能性

そういえば、今年は収穫時期判断失敗で収穫失敗した「安納芋」の代わりに「紅さつま」植えた。来年は、紫系のサツマイモ入手しよう・・・




Purple sweet potato color inhibits endothelial premature senescence by blocking the NLRP3 inflammasome
JNB DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.jnutbio.2015.04.012



紫サツマイモからのフラボノイド色素:Purple sweet potato color (PSPC)は、2型糖尿病の血管内皮細胞機能障害に対して抗老化作用をしめす。
D-ガラクトースは血管内皮細胞老化in vitro作用示され、これは2型糖尿病初期に見いだされるが、PSPCはROS蓄積、NLRP3 インフラマソーム(Inflammasome)をdown-regulateする。しかし、一度、NLRP3インフラマソーム過活動が生じると、PSPCでは抑制できない。





食い過ぎて太ればそれ以上に悪い・・・


COPD:シーブリはスピリーバ比較非劣性証明

COPD患者に対する、シーブリ(グリコピロニウム)とスピリーバ(チオトロピウム)とプラシーボをアドエア併用症例で比較

シーブリとスピリーバ比較でガチンコの差が出たのかと思ったが・・・違うようだ。非劣性は示されたということだけ(差が出たら、メーカーだまってないだろう)


シーブリ+アドエアとアドエア単独比較で肺機能改善、良好健康状態、レスキュー治療必要性減少が示されたが、スピリーバ+アドエアと比べて肺機能、健康状態指標などで優秀かどうかは疑問。



Glycopyrronium once-daily significantly improves lung function and health status when combined with salmeterol/fluticasone in patients with COPD: the GLISTEN study—a randomised controlled trial
Thorax 2015;70:519-527 doi:10.1136/thoraxjnl-2014-206670
http://thorax.bmj.com/content/70/6/519.abstract

1日1回グリコピロニウム50μg(GLY)、1日1回チオトロピウム(TIO)とプラシーボ+サルメテロール/フルチカゾンプロピオン酸(SAL/FP)50/500μg×2
GLY+SAL/FP vs TIO+SAL/FPが主
プライマリ目的は、12週後のトラフFEV1値非劣性比較


患者773名 (mean FEV1 57.2% predicted)をランダム化; トライアル完遂比率 84.9%


12週時点で、GLY+SAL/FPは、TIO+SAL/FPに対して、トラフFEV1非劣性:最小自乗平均治療差 : least square mean treatment difference (LSMdiff) −7 mL (SE 17.4) ;非劣性下限 −60 mL



12週時点でのトラフFEV1はGLY+SAL/FPでPLA+SAL/FPに対して有意に増加  (LSMdiff 101 mL, p < 0.001)

12週時点でのSt George's Respiratory Questionnaire total scoreは 、GLY+SAL/FPで対PLA+SAL/FP比較で有意改善を示した (LSMdiff −2.154, p=0.02)




GLY+SAL/FP はレスキュー薬剤使用を対PLA+SAL/FP比較で有意に減少 (LSMdiff −0.72 puffs/day, p < 0.001)


重大副事象イベントはGLY+SAL/FP、TIO+SAL/FP、 PLA+SAL/FP 何れも同様で 5.8%、 8.5% 、 5.8%




高齢者脂質低下薬剤により卒中30%減少の可能性

スタチンだろうが、フィブラートだろうが、脂質低下薬剤を用いると高齢者において、卒中イベントを3割もへらせることができる可能性を示唆するコホート研究


あくまでもコホート研究であるため評価には十分配慮が必要。心臓疾患リスク減少につながらないということはちょっとした驚き。
しかし、高齢者卒中予防のための一次予防に関して寄り評価すべきという結論には成だろう




Primary prevention with lipid lowering drugs and long term risk of vascular events in older people: population based cohort study
BMJ 2015; 350 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.h2335 (Published 19 May 2015)
Cite this as: BMJ 2015;350:h2335


【目的】 血管イベント既知病歴無しの高齢者での脂質低下薬剤(スタチンあるいはフィブラート系薬剤)使用と冠動脈及び卒中長期リスクの関連性を決定

【デザイン】 1999-2000年登録コホート研究をベースとしたongoingな前向き住民、5回の対面調査

【セッティング】 65歳以上の地域居住住民ランダムサンプル、フランス3都市 (Bordeaux, Dijon, Montpellier)

【被験者】 7484 名、男女63%)、平均年齢73.9歳、エントリー時血管イベント既往既往なし、平均フォローアップ9.1年間

【主要アウトカム測定】 ベースライン脂質低下薬剤使用者と非使用者比較冠動脈疾患・卒中補正ハザード比を関連性示唆寄与多要素補正Cox比例ハザードモデル。ハザード比は薬剤種類を問わない脂質低下薬剤使用と、スタチン・フィブラート製剤毎推定。

【結果】脂質低下薬剤使用者は、非使用者に比べ、卒中リスク減少 (ハザード比 0.66, 95% 信頼区間 0.49 to 0.90); 卒中ハザード比はスタチンで 0.68, 0.45 to1.01、 フィブラート系で 0.66, 0.44 to 0.98)

脂質低下薬剤使用と冠動脈疾患との相関性認めず  (ハザード比 1.12, 0.90 to 1.40)

卒中、冠動脈性心疾患とも、年齢、性別、BMI、高血圧、収縮期血圧、TG、Propensityスコアによる層別化でもこれらの因子により影響は示されず。

【結論】 血管イベント病歴無しの高齢者住民ベースコホートで、スタチン、フィブラート使用は30%ほど卒中イベントを減少させる。




 反スタチン・コレステロール賛美イデオロギーってのは他の薬害原理主義と同様薬効ベネフィットをそぐものである。スタチンによる治療ベネフィットが示されている以上、一方的に有害性を主張し続ける医療関係者は国民一般の利益を遺失させてるということも考えた上で著作・発現を行わなければならないはず・・・


noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note