2012年12月6日木曜日

MAC: intracellulareがaviumより重症・予後不良


非結核性抗酸菌症(NTMD)の種類である、MAC complexは、Mycobacterium avium と Mycobacterium intracellulare の組み合わせ



この2つを分けられるようになって、病態の違いが次第に分かるようになった。

Mintracellulareのほうがより重症で、予後不良。予後、治療上の相違がある。

Clinical Significance of the Differentiation Between Mycobacterium avium and Mycobacterium intracellulare in M avium Complex Lung Disease
Won-Jung Koh, et. al.
CHEST. 2012;142(6):1482-1488. doi:10.1378/chest.12-0494

M avium呼吸器疾患に比べ、M intracellulare肺疾患は以下の特徴が有る
・高齢 (64 vs 59 years, P = .002)
・より BMI (19.5 kg/m2 vs 20.6 kg/m2, P < .001)
・咳嗽のような呼吸器症状  (84% vs 74%, P = .005)
・結核治療の既往歴  (51% vs 31%, P < .001)
・疾患の線維性空洞病変 (26% vs 13%, P < .001)
・塗抹陽性喀痰 (56% vs 38%, P < .001)
・24ヶ月間抗生剤治療 (58% vs 42%, P < .001)
・抗生剤併用療法後の治療反応不良 (56% vs 74%, P = .001)


米国では、NTMは、MAC>(結核)>Xenopi>RGM>Kansasiiの症例頻度

結核は治癒率が高いから、prevalenceが相対的に低くなる


非結核性抗酸菌症治療に関して、米国での基本的な骨子は“CAM. EB. RFP+アミノグリコシド系薬”であり、日本の抗結核治療延長上のRFP+EB/INH24ヶ月レジメンとは随分異なり、より積極的である。
・週3回の間欠投与法が副作用軽減や高齢者治療のためには有効な方法として推奨されている

・比較的軽症であるNodular/Bronchiectatic typeに対する初回治療としてCAM1.000 mg. またはazithromycin(AZM) 500 -600 mgとEB25 mg/kgとRFP600 mgのすべてを週3回服用.

・より重症な空洞型に対してはCAM500 - 1.000 mgまたはAZM250 -300 mg. EB 15 mg/kg. RFP 450 ~ 600 mgを毎日

場合によりアミノグリコシド系薬追加,さらに重症あるいは再治療の場合はRFPに替えRBTとアミノグリコシド系誕の併用を推奨


一般的にはマクロライド系薬を含むレジメンで3-6 ヵ月で、|臨床症状は改善し12ヵ月以内で菌陰性化は達成するであろうとしている
高齢化に伴い、NTMD治療必要と思われる症例増加してきており、日本でも、より積極的なレジメンが使える環境が望ましいのだが、つい最近まで、保険適応として曖昧なまま放置されていたNTMD・・・日本の医療ってほんとまだまだ・・・

RHS:Reversed Halo Sign ・・・ 器質化肺炎と侵襲性真菌症鑑別

 この論文序文では、“ focal, rounded area of ground-glass opacity surrounded by a nearly complete ring of consolidation”と係れ、特発性器質化肺炎(COP)に特異的とされたが、他に、感染症・非感染性プロセスでも報告されつつある。非特異的所見とされつつあり、COPの鑑別に、影響をあたえつつある。

故に、COPでの特徴を、


Reversed Halo Sign in Invasive Fungal Infections: Criteria for Differentiation From Organizing Pneumonia
Edson Marchiori, et. al.
CHEST. 2012;142(6):1469-1473. doi:10.1378/chest.12-0114

reversed halo sign (RHS)は、侵襲性真菌感染(IFI : invasive fungal infection)と器質化肺炎の鑑別が必要

IFIではRHS内の網状陰影観察され、OPでは観察されない

コンソリデーション周縁の最大径は、IFIでは 2.04±0.85cm、 OPでは 0.50±0.22cm


胸水については、IFI 11/15(73%)、OPでは認めず

他の肺実質異常、コンソリデーション・ガラス状陰影・線状陰影は両群で見られる

RHS数はIFI、OPで差を認めず



Murrayの教科書には、“Sometimes, COP shows unique findings such as the reversed halo sign, which is defined as central ground-glass opacity surrounded by more dense air space consolidation of crescentic and ring shapes. This sign is seen in around 20% of patients who have COP.The presence of enlarged nodes is less common in COP than in the other IIPs.”と書かれている。








ムコール症とされるCT所見(別資料から)




上) 36歳のCOP、上葉の現局性円形陰影で、中心部均質なガラス状陰影で、スムーズな輪郭を有するコンソリデーションで、RHS。コンソリデーション外側外縁最大肥厚径は2mm
下) 39歳女性COP、右下葉の不完全な輪郭のコンソリデーションに囲まれたガラス状陰影の限局的所見で、RHSを形成、最大外縁肥厚径は7mm

欧米以外の国の心房細動頻度

 The Global Burden of Atrial Fibrillation and Stroke: A Systematic Review of the Epidemiology of Atrial Fibrillation in Regions Outside North America and Europe
Gregory Y. H. Lip, et. al.
CHEST. 2012;142(6):1489-1498. doi:10.1378/chest.11-2888


心房細動の欧米外のデータすくないとのこと



地域住民調査ベースの頻度 0.1%-4%

 日本の地域住民コホートでは、0.6%-1.6%
台湾は日本とほぼ同様の1.1%
インド 0.1% 、
中国 0.8%-2.8%、 タイ 0.4%
ブラジル 2.4%
オーストラリア 4%




病院ベース 2.8%-14%

病院ベースは、日本では 14%、マレーシア 2.8%
中国の研究データ無し

抗凝固療法使用は国毎・研究毎にばらつきが有り、卒中頻度は2.8%-24.2%
日本では ワーファリン使用が70.1%と多く、中国は0.5%-2.7%と使用頻度少ない




医療従事者結核菌暴露後評価:QFTなど変動激しく信頼性乏しい

Monthly Follow-ups of Interferon-γ Release Assays Among Health-care Workers in Contact With Patients With TB

CHEST. 2012;142(6):1461-1468. doi:10.1378/chest.11-3299
背景:  Interferon-γ (IFN-γ) release assays (IGRAs)、最近の結核感染検知のためのTST(ツベルクリン検査)の限界を補う可能性のため、臨床の場でのルーチン使用がなされている。しかし、IGRAsは、ダイナミックな検査で有り、T細胞の反応が時間経過により変動する。中程度感染国家である韓国に於ける結核患者接触医療従事者内の1年間の次毎のIGRAの陽転化・陰転化を評価。

方法:  活動性肺結核接触の49名の医療従事者を登録。活動性結核患者との接触歴を問診、理学所見、QuantiFERON TB Gold In-Tube assay (QFT-GIT)を月毎施行

結果:  48名のうち、25(52%)が連続検査で一定の結果を示さなかった。
<0 .35=".35" br="br" iu="iu" ml="ml">QFT-GITの一致した結果は、年齢、医療従事期間、ベースラインのIFN-γ値に相関するが、被験者の職業とは関連せず、結核暴露の程度とも関連せず、N95マスク装着とも関連せず
5名では、IFN-γ値の変動が、2回以上 >0.70 IU/mLとなった

結論:結核患者接触医療従事者のにおいて、IGRA所見の月間変動は普通。
このことから考えれば、このアッセイ・の再現性は低く、反復感染、真の転換、周期的抗原分泌などの様々な結果と考えられる。


結核感染流布のて度は、韓国はほぼ日本同様と思われる。その状況で、IGRAの変動激しく、その信頼性に疑問を呈した報告・

故に、入職時や暴露歴ありのQFT検査陽性医療従事者に対し、予防内服を実施すべきかどうか、議論がなされるべきである。

果たして以下の提言が正しいかどうか・・・


医療施設内結核感染対策について
日本結核病学会予防委員会
H22.3
http://www.kekkaku.gr.jp/hp/commit/commit7/Vol85No5P477-481.pdf


<見解:1 > QFT検査によるベースラインの意義
 ベースラインのQFT 検査が陰性であった者が結核患者と接触してから3 週間以後に行ったQFT で陽性になった場合,結核感染を受けたと判定する。但し,確実に診断するには8 ~12 週後に検査するのが適切である。
<見解:2 > 定期QFT検査
 結核患者と常時接触する職場(結核病棟など)では,雇入れ後も定期的なQFT 検査の実施が勧められる
<見解:3 > 実習生等に対するQFT検査
 医療職教育・養成機関の学生等が病院等にて実習をする場合,実習は定常的でなくかつ比較的短期間であることよりQFT 検査は必ずしも必要ではない。QFT を行わない場合,年齢を考慮すればほとんどの学生が未感染者であると考えられるので,結核既往のある者・明らかに結核患者と接触歴がある者以外のベースラインはQFT 陰性とみなす。

竜巻災害後のムコール菌症 ・・・ 災害後の致死的疾患として重要


東日本大震災・津波被災後ではどうだったのだろう?

2011年3月22日ミズーリ州の竜巻
http://www.cr.chiba-u.jp/~database-jp/wiki/wiki.cgi?page=20110522_tornado_Missouri

症例対照研究として検討
症例 13名、うち、5名(38%)は死亡
平均5つ(range 1-7)の外傷あり
11名(85%)は1つ以上の骨折
9(69%)は、鈍的外傷
5 (38%) は、貫通外傷

全員、竜巻に激しい被害のある地域に居住

貫通外傷は感染と関連( 補正オッズ比 症例 vs. 対象, 8.8; 95% 信頼区間 [CI], 1.1 to 69.2) )、外傷数多いほど関連 (補正オッズ比, 外傷1つ増加する毎に; 95% CI, 1.2 to 3.2)

 Apophysomyces trapeziformisの28SリボソームDNAのD1-D2領域 sequencingを13名前例で検出
Whole-genome sequencingにて、4つの独立した菌種と判明

生存者において、皮膚ムコール菌症の増加があり、死亡率とも関連。
壊死性軟部組織感染の原因として注意すべき病態である

Necrotizing Cutaneous Mucormycosis after a Tornado in Joplin, Missouri, in 2011
Robyn Neblett Fanfair, et. al.
N Engl J Med 2012; 367:2214-2225December 6, 2012DOI: 10.1056/NEJMoa1204781

米国CDC ・・・ ことしは流感流行立ち上がり早い


米国では、インフルエンザの流行立ち上がりが早いそうだ・・・

U.S. Flu Season Off To Early Start, CDC Urges Vaccination
Early Vaccine Coverage Data Shows Millions Unprotected Still
http://www.cdc.gov/flu/spotlights/early-season-nivw.htm


45 Hospitalized As Flu Season Arrives Early
http://www2.nbc4i.com/news/2012/dec/05/flu-season-arrives-early-45-hospitalized-ar-1265408/

CDC warns flu cases could rise this year

揮発性有機化合物(VOC)確率的ニューラルネット法による分析で、大腸がん検出正確性高い


揮発性有機化合物:volatile organic compounds (VOCs)による、がん検出は、最近、はやりになってる。


leave‐one‐out methodを用いたAprobabilistic neural network (PNN):確率的ニューラルネット法というな統計的標本抽出手法で判別


Exhaled volatile organic compounds identify patients with colorectal cancer
D. F. Altomare, et. al.
BJS Published: 12 05, 2012
http://www.bjs.co.uk/details/article/3803881/Exhaled-volatile-organic-compounds-identify-patients-with-colorectal-cancer.html


トライアル相で、37名の患者、41名の対照

PNNにて15組み合わせパターンにより、感度 88%、特異度 83%、 accuracy 85 %(area under the receiver operating characteristic (ROC) curve 0·852)

確認相で、PNN分析の正確性を25名の対象で検討
モデルでは19名の患者割り付けは正確で、包括的なaccuracyは76%であった。


犬によるがん嗅ぎ分け ・・・ 安定的判断可能 2011年 08月 19日

高用量vs低用量スタチン : 高用量では糖尿病発症増加させるが、臨床的ベネフィットはそれを上回る

糖尿病専門家の座談会とか見ると、HbA1cがすべてであるかのごとき内容で、かれらは重要なことを忘れてるのではないかといつも思う

大事なことは、死亡率や合併症であり、糖尿病そのものの検査値では無いはずなのに・・・

だから、メトホルミン処方の仕方がおかしいのは 、日本の糖尿病診療について指導的な地位に就いてる人たちのせいだとホントに思う、それに疑問を持たなかった実地医療の医師たちも同罪ではあるが・・・


高用量スタチンの糖尿病発症頻度増加はたしかに存在するらしい、だが、臨床的アウトカムから考えれば、そのベネフィットが有害性を上回るという話。

Cardiovascular Event Reduction Versus New-Onset Diabetes During Atorvastatin TherapyEffect of Baseline Risk Factors for Diabetes ONLINE FIRST
David D. Waters, MD; Jennifer E. Ho, MD; S. Matthijs Boekholdt, MD, PhD; David A. DeMicco, DPharm; John J.P. Kastelein, MD, PhD; Michael Messig, PhD; Andrei Breazna, PhD; Terje R. Pedersen, MD, PhD
J Am Coll Cardiol. 2012;():. doi:10.1016/j.jacc.2012.09.042


新規発症糖尿病( new-onset diabetes (NOD))リスク要素:
・空腹時血糖>100mg/dL
・空腹時TG>150mg/dL
・BMI>30kg/m2
・高血圧病歴


TNT (Treating to New Targets) (n = 7,595)
IDEAL (Incremental Decrease in Endpoints Through Aggressive Lipid Lowering) (n = 7,461) trials
以上の15,056名の冠動脈疾患有り・糖尿病無し群のトライアルのNOD 発症頻度・CVイベント

ベースラインNODリスク要素0-1 8825名では
NOD発症 
アトルバスタチン80mg群 142/4407 vs アトルバスタチン10mg/シンバスタチン20-40mg群 148/4418(3.22% vs 3.35%; ハザード比 [HR]: 0.97; 95% 信頼区間 [CI]: 0.77 to 1.22)

NODリスク要素数2-4 6231名では
アトルバスタチン80mg 368/3103 vs 低用量群 368/3,103 (14.3% vs. 11.9%; HR: 1.24; 95% CI: 1.08 to 1.42; p = 0.0027)

CVイベント数は有意にアトルバスタチン80mg群でリスク減少


新規発症糖尿病( new-onset diabetes (NOD))に関し、低用量スタチンに比べ、アトルバスタチン80mg/日は、NODリスク0-1の患者のNOD増加させないが、NODリスク要素2-4の場合は24%増加させる

ただ、CVイベント数は、NODリスク高低両群とも、アトルバスタチン80mgで、減少。

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note