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2020年7月3日金曜日

抗コリン薬:認知症発症と認知機能低下

確固たるエビデンスではないが、抗コリン薬による認知症発症と認知機能低下に関する疑念は深まっている

素人からみると、認知症リスクとは相関するが、MCIとは相関しないというのはどういうことなのだろう? MCI基準の不備? あるいは、抗コリン薬の認知機能への影響が大きすぎてMCIをすっ飛ばして認知症へ急激に進行するため?




抗コリン薬が認知機能に及ぼす長期的な影響を最終的に明らかにするために、抗コリン薬と高齢者の認知症、軽度認知障害、認知機能低下のリスクとの関連を検討するために、システマティックレビューおよびメタアナリシスを実施した。
この目的のために、2002年1月から2018年4月までに発表された≧12週間の追跡期間を持つ関連研究を同定した。この解析には、26研究、621,548人の参加者が含まれていた。

観察研究からの知見は、抗コリン薬の使用と相関して認知症の発生率と認知機能の低下が増加していることを示した。
研究はバイアスのリスクが大きい観察研究であったため、専門家は因果関係を結論づけることはできなかった。長期使用の管理の指針とするためには、質の高い研究からのより強力なエビデンスが必要である。



Anticholinergic drugs and incident dementia, mild cognitive impairment and cognitive decline: a meta-analysis
Nina T Pieper, et al.
Age and Ageing, afaa090,
https://doi.org/10.1093/ageing/afaa090
Published: 29 June 2020 Article history
https://academic.oup.com/ageing/article/doi/10.1093/ageing/afaa090/5864119

背景
抗コリン作用を有する薬剤の使用が認知機能に及ぼす長期的な影響は不明のままである。

方法
高齢者集団における抗コリン薬と認知症、軽度認知障害(MCI)、認知機能低下のリスクとの関係について、システマティックレビューとメタアナリシスを実施した。2002年1月~2018年4月の間に発表された研究で、強い抗コリン薬曝露と研究アウトカム測定との間に≧12週の追跡期間があるものを同定した。認知症およびMCIのアウトカムについて、抗コリン薬のいずれか、少なくとも短期(90日以上)または長期(365日以上)の抗コリン薬使用を報告した研究の調整オッズ比(OR)と、認知機能低下アウトカムについてのグローバル認知テストスコアの標準化平均差(SMD)をプールした。統計的不均一性はI2統計量を用いて、バイアスのリスクはROBINS-Iを用いて測定した。

結果
26の研究(621,548人の参加者を含む)が包含基準を満たした。抗コリン薬の「いづれかの」使用も認知症の発症と関連していた(OR 1.20、95%信頼区間[CI] 1.09-1.32、I2 = 86%)。
短期および長期の使用も認知症の発症と関連していた(OR 1.23、95%信頼区間[CI] 1.17-1.29、I2 = 2%、OR 1.50、95%CI 1.22-1.85、I2 = 90%)。
「いづれかの」抗コリン薬の使用は認知機能の低下と関連していた(SMD 0.15;95%CI 0.09-0.21、I2 = 3%)が、MCIについては統計学的に有意な差を示さなかった(OR 1.24、95%CI 0.97-1.59、I2 = 0%)。

結論
抗コリン薬の使用は、観察研究において認知症の発症率と認知機能の低下の増加と関連している。しかし、研究はバイアスのリスクがかなりある観察研究であったため、因果関係はまだ推測できない。長期使用の管理の指針とするためには、質の高い研究からのより強力なエビデンスが必要である。




抗コリン薬のいずれか、少なくとも短期および長期の確定的な抗コリン薬使用による認知症のオッズ比のメタ解析。任意の使用については1-90、91-365、366-1095および>1095日用量、短期使用(90日以上)については91-365、366-1095および>1095日用量、長期使用(365日以上)については366-1095および>1095日用量については公表されている調整済みORの逆分散加重平均として推定された^OR(95%CI)。

ǂOR (95% CI) estimated as the inverse variance weighted average of the published adjusted ORs for exposures of 90–364, 365–1459 and >1460 daily doses for short-term use (90+ days) and of 365–1459 and >1460 daily doses for long-term use (365+ days). *The Cai 2013 estimate is for 60+ days use versus <60 1-year="" 2006="" 2016="" 6="" a="" ancelin="" and="" as="" at="" baseline="" consecutive="" days="" estimated="" every="" follow-up="" for="" gomm="" long-term="" nbsp="" prescription="" quarter="" quarters.="" span="" use="">**OR (95% CI) estimated as the inverse variance weighted average of the published adjusted ORs for exposures of oxybutynin, solifenacin and tolterodine. Abbreviations: n, number of dementia cases; N, number of participants.




LAMAの認知症への影響は?
Pharmacokinetic-related factors
The pharmacodynamic and pharmacokinetic characteristics of inhalational anticholinergics play an important role in the efficacy and safety profile of these agents. All the inhaled agents result in less systemic exposure compared with agents that are taken orally or intravenously. This leads to a wider therapeutic index and excellent tolerance profile for all the inhalational medications. All the currently available anticholinergics are water-soluble agents and hence have limited penetration across biological membranes. When given in the inhaled form, they have reduced systemic absorption and are less likely to cross the blood–brain barrier. Table 1 provides the characteristics of inhaled anticholinergic agents currently approved for use in the treatment of COPD.9

Tiotropium is the first long-acting inhalational anticholinergic to be approved by the FDA for use in COPD. The systemically absorbed tiotropium is mainly eliminated by the urinary tract. Further, the renal clearance of tiotropium exceeds the creatinine clearance, which suggests the presence of active secretion into kidney tubules. Thus, renal impairment may affect its elimination and its safety profile.

Aclidinium is metabolized rapidly by plasma esterases, resulting in a very low maximum plasma concentration and thus low systemic exposure. Aclidinium is eliminated as its metabolite in urine (close to two-thirds of a dose) and in feces (close to one-third of a dose). Renal and liver clearances play minor roles in the total clearance of aclidinium bromide from plasma and dose adjustment is not needed. The residence time of aclidinium in the muscarinic acetylcholine M2 receptor is short and may explain the favorable cardiovascular profile.

Drug Healthc Patient Saf. 2013; 5: 49–55
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3596125/


血中維持時間の長いチオトロピウムに関して
Local concentrations in the lung are not known, but the mode of administration suggests substantially higher concentrations in the lung. Studies in rats have shown that tiotropium does not penetrate the blood-brain barrier to any relevant extent.
https://www.tga.gov.au/sites/default/files/auspar-tiotropium-bromide-161125-pi-01.pdf

ということで、吸入LAMAに関しては脳への直接影響は乏しいと思われる




ちなみに、眼科の先生各位におかれましては、「緑内障」という病名を安易に使わず、「閉塞隅角緑内障」なのかどうか確実に患者に説明いただきたい!

抗コリン薬の禁忌「緑内障」等の見直しについて
https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000529725.pdf

閉塞隅角緑内障になりやすい患者において気付かないまま発作を起こすかもしれない。開放隅角緑内障の患者では,急性の眼圧上昇は通常では認められない。開放隅角緑内障の患者では,アトロピンのような薬剤は一般に安全に使用できる。緑内障を適切に加療されている場合,更に安全に使用できる。」と記載されている。

2019年2月22日金曜日

COPD急性増悪入院時認知機能低下現象

極小規模の検討だが、COPD急性増悪時認知機能低下併存可能性あり、包括的考慮必要で、薬剤アドヒアランスなど考慮必要

序文から
COPDと併存疾患の関連は自己ケア管理に大きく影響を与え、ADL悪化までは影響無いにしろ記憶障害を有するMCIを含み検討すべきで、外来クリニックの小規模報告だとCOPDではMCI 16/45(36%) vs 対照 6/50(12%)、低酸素血症の影響も考えられる。
Montreal Cognitive Assessment (MoCA)インスツルメンツ(訳追加: 日本版:http://cogniscale.jp/wp-content/uploads/2017/09/MoCA-Test-Japanese_2010.pdf)を用いた報告だと、入院時 20未満 48%、退院後 24%で、退院後は 36%という報告もある。
寄与要素として、急性増悪時、呼吸困難、感染、その他合併症、低酸素血症、薬剤付加、なじみない環境など。

COPD急性増悪入院に関わる認知機能の推移評価


Cognitive function during exacerbations of Chronic Obstructive Pulmonary Disease 
Internal Medicine Journal

COPD急性増悪患者 Montreal Cognitive Assessment (MoCA) tool、CAT、mBORG呼吸困難スケール:入院24時間内、48時間から72時間、他院後6週間評価

COPD入院時認知障害著明でその後正常復帰改善はごく少数だが、経時的に改善はする



2018年1月22日月曜日

2型糖尿病:パレオダイエットと運動両方とも、脳の認知機能関連領域可塑性をもたらす

脱炭水化物の行き着く先?


パレオダイエット:Paleolithic dietとは、農業の発達する前の“穀類を制限し、野草や野生動物を主体にする食生活を擬似的に行うダイエット”で、自然界から容易に入手できなかった穀物、豆類、乳製品、芋類、食塩、砂糖、加工油は原則的には避ける
https://ja.wikipedia.org/wiki/パレオダイエットpaleolithic diet criticismhttps://www.mayoclinic.org/healthy-lifestyle/nutrition-and-healthy-eating/in-depth/paleo-diet/art-20111182https://thepaleodiet.com (個人的感想:パテント付きだからやだなぁ)


運動に関してのメニューはありふれたものだが、上記パレオダイエットと比較した報告



A Paleolithic Diet with and without Combined Aerobic and Resistance Exercise Increases Functional Brain Responses and Hippocampal Volume in Subjects with Type 2 Diabetes.
Stomby A et al.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5722796/
Front Aging Neurosci. 2017 Dec 4;9:391. doi: 10.3389/fnagi.2017.00391. eCollection 2017.
2型糖尿病は、エピソード記憶(episodic memory)を障害し、種々認知機能障害疾患のリスクを増加する
食事と運動は、この障害の可逆性を期待される。 
この研究では、運動不足(sedentary)2型糖尿病患者(ライフスタイル治療±メトホルミン治療)をランダム化12週間 Paleolithic diet (PD, n = 12)  high intensity exercise有無 (PDEX, n = 12)
エピソード記憶は、MRイメージング測定脳機能反応と海馬灰白質容積と相関
ランダム化ではなく、マッチ化非介入群(n=6)を参照とする
Paleolithic dietは、不飽和脂肪酸・蛋白高摂取、乳製品摂取や穀類、精製糖、塩摂取を排除
運動介入は、supervised 好気的運動・レジスタンス運動を週180分からなる
両介入とも有意に体重減少、インスリン感受性改善、ピーク酸素摂取量増加し、群間差認めず
さらに、両介入とも、右前海馬内・右内側後頭葉脳回内の脳機能反応を増加し、右後海馬の容積増加と関連する
記憶パフォーマンスには差を認めず 
結論:ライフスタイル修正は、2型糖尿病において脳の認知機能とリンクする領域のneuronal plasticity(ニューロン可塑性)改善の可能性。認知機能長期効果から推定すれば、認知症リスク減少など考えられ今後研究課題となろう

 Clinical trials registration number: Clinicaltrials. gov NCT01513798.



2015年8月26日水曜日

ランダム研究:高齢者への運動・食事療法介入により認知機能改善示せず

ランダム化介入知見エビデンス乏しいのに、認知症予防に食事・運動介入を絶対的是と断定する言動を繰り返す、「認知症」「アンチエイジング」「老年医学」関連学会の連中。

こういう否定的な報告に彼らは触れることはしないはず・・・





JAMAに、セデンタリー(運動不足)老人への身体活動介入前向きランダム化トライアル、加齢黄斑変性症:AMD発症リスク対照者への 食事介入(調査不飽和脂肪酸±ルテイン/ゼアキサンチン)二重マスクRCTでの認知機能への効果検討


いずれも、認知機能への有益性認めなかった



Effect of a 24-Month Physical Activity Intervention vs Health Education on Cognitive Outcomes in Sedentary Older Adults
The LIFE Randomized Trial
Kaycee M. Sink, et. al.; for the LIFE Study Investigators
JAMA. 2015;314(8):781-790. doi:10.1001/jama.2015.9617.


構造化中等度身体活動プログラム(ウォーキング、レジスタンス訓練、柔軟運動)818例 vs 教育ワークショップ/上肢運動ストレッチング 817名比較


 

運動不足老人への24ヶ月中等度運動プログラムでは、教育プログラムに比べ包括的あるいはドメイン特異的認知機能改善を優意に示せなかった。 






 Effect of Omega-3 Fatty Acids, Lutein/Zeaxanthin, or Other Nutrient Supplementation on Cognitive FunctionThe AREDS2 Randomized Clinical Trial
Emily Y. Chew, et. al.; for the Age-Related Eye Disease Study 2 (AREDS2) Research Group
JAMA. 2015;314(8):791-801. doi:10.1001/jama.2015.9677

長鎖不飽和脂肪酸PUFA  (LCPUFAs) (1 g) and/or ルテイン(10 mg)/ゼアキサンチン (2 mg) vs placebo を区分デザインで検証



加齢黄斑変性症高齢者において、経口LCPUFAsおよびルテイン/ ゼオキサンチンで認知機能有意に改善せず



2013年4月3日水曜日

システマティック・レビュー:PTSD認知行動療法研究エビデンス極めて乏しい

Interventions to Prevent
Post-Traumatic Stress Disorder
A Systematic Review
American Journal of Preventive Medicine; Am J Prev Med 2013;xx(x):xxx
http://www.ajpmonline.org/webfiles/images/journals/amepre/AMEPRE_3776%5B2%5D-stamped-040213.pdf

外傷暴露患者の治療に関しベストな診療に関してのエビデンスは乏しい。
急性ストレス疾患患者において、Brief cognitive behavioral therapyはPTSD症状重症度を減少させる可能性はある。





単一著者・・・


毎年外傷イベント数百万人が生じ、フラッシュバック・情緒的異常・睡眠障害などを来す、PTSD。 
この疾患治療に対する2563の要約文献調査し、19研究がレビューの登録資格と判断
うち、認知行動療法に関して有用性の可能性有ったが、エビデンスの実質かなり乏しい状態


薬物療法への批判が年々高まってる精神科領域
認知行動療法などへの関心は高まってるはずだが・・・そのエビデンスも乏しいという悲しき実態

2013年2月27日水曜日

うつへの介入:軽症ほど介入効果よろしい・・・というのは間違いらしい

初期うつにおける重症度が、低強度治療介による、ベネフィット影響

メタアナリシスによると、ベースラインでより重症の場合ほど、介入軽くても効果が大きい。逆に言えば、軽症うつは、介入効果に乏しい。

このトライアルでは、セラピスト誘導認知行動療法は、強度介入
軽度介入も、認知行動療法ベースの心理学的アプローチで、自己啓発本やインタラクティブなビデオやウェブサイトで、専門家の補助がほぼないもの

 
Influence of initial severity of depression on effectiveness of low intensity interventions: meta-analysis of individual patient data
BMJ 2013; 346 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f540 (Published 26 February 2013)Cite this as: BMJ 2013;346:f540

Beck Depression Inventoryもしくは Center for Epidemiologic Studies Depression Scaleで評価

低強度介入患者を参考にすると、多くはベースラインで中等度から重度

ベースライン重症度と治療効果に関し有意な相関 ( 相関係数 -0.1 95%CI, -0.19 - -0.0002)で重症ほど効果認める

全体的なeffect sizeは、軽度介入で -0.42(95% CI, -0.55〜-0.29)

"軽症、早期ほど、介入効果が良いはずだ・・・故に、早期発見・早期介入が対応の基本" ってのは、うつに関しては少なくとも間違いのようだ。

認知行動療法に関する社会資源を振り分ける上の参考になるのかもしれない


2012年7月25日水曜日

マインドフルネスベースストレス軽減トレーニング:老人の孤独さ改善し、炎症惹起軽減効果も?

以下の報告などからインスパイアされ、マインドフルネス瞑想に関心があり、関連書籍数冊手に入れて読み始めている。
 
瞑想訓練、運動は急性上気道感染予防効果あり  2012年7月12日


マインドフルネス・グループ介入:関節リウマチ ・・  精神的苦痛・疲労軽減 2011年 12月 20

 さらに、興味を引く報告が・・・

孤独老人は炎症惹起性遺伝子発現促進、合併症・死亡率増加につながる。
行動療法的治療により孤独さを軽減し、その健康リスクを軽減できるという報告があった。この研究では、 8-week Mindfulness-Based Stress Reduction (MBSR) program ( Wait-List control group対比) で検討。


Mindfulness-Based Stress Reduction Training Reduces Loneliness and Pro-Inflammatory Gene Expression in Older Adults: A Small Randomized Controlled Trial
J. David Creswell et. al.
Brain, Behavior, and ImmunityAvailable online 20 July 2012
研究予測通り、mixed effect linear modelにより、MBSRプログラムにより孤独さ軽減し、対照群ではやや増加(treatment condition ×time interaction: F(1,35)=7.86, p=.008)
さらに、ベースラインでは、孤独さと炎症惹起性NF-κB関連遺伝子のupregulationあり、MBSRではdownregulationあり。

最後に、MBSRによるCRP減少傾向あり(treatment condition ×time interaction: (F(1,33)=3.39, p=.075)



解説:http://www.cmu.edu/news/stories/archives/2012/july/july24_meditationstudy.html





日本の老年医学・老年精神医学って、"loneliness"へ正面からむきあってるのか、気になると共に、結婚してても、家族がいても、老年特有の孤独ってのがあると思う。

高齢者への心理的介入ってのは真正面から取り組む問題なのだろう・・・NF-κB発現だけでものを言っていいのかはわからないけど。

2012年5月30日水曜日

耳鳴治療:臨床心理・運動療法を含む専門家治療ベースでQOL、耳鳴り重症度・障害改善効果

耳鳴りは成人の21%まで発症し、不快で聴覚的問題と関連するが、コスト的問題の無い薬物手段や標準的手法は存在せず、問題の長期化が存在する。



Specialised treatment based on cognitive behaviour therapy versus usual care for tinnitus: a randomised controlled trial
The Lancet, Volume 379, Issue 9830, Pages 1951 - 1959, 26 May 2012

耳鳴の重症度・聴力障害で層別化
4つのブロック化
・音に焦点を当てた耳鳴再訓練治療を伴う認知行動療法の特異化ケア
・通常ケア
コンピュータ割り付け1:1

患者・評価者には割り付けマスク

プライマリアウトカムはHRQOL、耳鳴重症度(アンケートスコア)、耳鳴による障害程度(耳鳴ハンディキャップ一覧スコア)、治療開始前、3ヶ月後、8ヶ月後、12ヶ月後


2007年9月から2011年1月まで、741名のスクリーニング患者のうち492(66%)を登録・治療。

通常ケア割り付け 247名。245名特異的ケア割り付け

特異ケアにて、12ヶ月でHRQOL改善 (群間差 0.059, 95% CI 0.025 ~ 0.094; effect size of Cohen's d=0.24; p=0.0009)、耳鳴重症度減少 (−8.062, −10.829 ~ −5.295; d=0.43; p<0.0001) 、耳鳴障害改善 (−7.506, −10.661 ~ −4.352; d=0.45; p<0.0001)

治療は初期の耳鳴重症度と関連無く有効なようで、このトライアルでは副事象認めず

通常ケアと書かれてはいるが、耳科学的リハビリテーション、耳科学的フォローアップやsocial workとそのフォローアップを含むケアである。
一方介入群は、多職種的チーム医療、臨床心理士、運動療法士を含む介入である

こういう Multidisciplinary team 医療ってのは、日本のもっとも不得意な分野、医療制度上も資格制度上も・・・

こうやって、耳鳴りの訴え放置される事例多数・・・

2012年2月21日火曜日

睡眠時間と学業パフォーマンスの相関

テレビとかラジオとかで適当なこといってるのを見聞きする。7時間が最適だとか・・・なんとか・・・ ゴミ情報だけが氾濫し固定化するのがこの世の常なのか?特定の睡眠時間”神話”暴走は、子供の睡眠時間短縮容認となるなら、有害情報。


以下の報告だと、年齢的な分析だと、たとえば10歳では9時間ほど必要で、18歳ならほぼ7時間弱程度が最適なようだ。個人的ばらつきも考慮しなければならないが・・・


Sleep and Student Achievement
Eastern Economic Journal advance online publication 23 January 2012; doi: 10.1057/eej.2011.33

睡眠と学生学業パフォーマンスの関連は有意に蟻、年齢と共に至適睡眠時間は短縮化する。


Optimal sleep by age for various tests.



Optimal sleep by age for various tests.

2012年2月14日火曜日

大気汚染:高齢者女性の認知機能低下と関連し年時推移に相当、卒中急性リスクとも関連

環境省:大気環境モニタリング実施結果
http://www.env.go.jp/air/osen/monitoring.html


以上をみると、PM値はさほど問題となるところは少ないようだ。
だが、設置場所が適切かどうかも問題だろう。


公衆衛生上重要な、大気汚染について2つの報告



Exposure to Particulate Air Pollution and Cognitive Decline in Older Women
Jennifer Weuve, MPH, ScD; Robin C. Puett, MPH, PhD; Joel Schwartz, PhD; Jeff D. Yanosky, MS, ScD; Francine Laden, MS, ScD; Francine Grodstein, ScD

Arch Intern Med. 2012;172(3):219-227. doi:10.1001/archinternmed.2011.683


長期PM2.5-10とPM2.5暴露は高齢者の認知機能悪化と関連



Nurses' Health Study Cognitive Cohortでの検討

PM2.5-10とPM2.5 10μg/m3増加毎、 認知機能の2年間減衰 0.020 (95% CI, –0.032 to –0.008)悪化
PM2.510μg/m3増加毎、0.018 (95% CI, –0.035 to –0.002)悪化

認知推移差は、2歳離れた年齢の差と同様で、則ち、 10-μg/m3 増加毎長期暴露影響は、約2歳差の加齢効果と同等。





2012年2月9日木曜日

てんかん脳深部刺激療法による記憶改善効果

てんかん痙攣のfocusに対する電極による脳深部刺激療法(deep-brain stimulation)が患者たちの記憶機能改善したという報告


Memory Enhancement and Deep-Brain Stimulation of the Entorhinal Area
Nanthia Suthana, Ph.D., Zulfi Haneef, M.D., John Stern, M.D., Roy Mukamel, Ph.D., Eric Behnke, B.S., Barbara Knowlton, Ph.D., and Itzhak Fried, M.D., Ph.D.
N Engl J Med 2012; 366:502-510February 9, 2012


海馬や内側嗅領(entorhinal area)皮質へ脳深部刺激療法で、記憶パフォーマンスに与える影響を検討。


バーチャル環境内の目的地の学習による空間学習タスクで試験

内側嗅領への治療患者では、ランドマーク位置学習によりこれらの位置記憶を促進する。

被験者は、刺激治療してない被験者に比べ、迅速にランドマークに到達し、近道で到達する。

内側嗅領刺激はまた、θ-波の相のリセットをもたらすことが海馬の脳波所見から示された。

海馬直接刺激では効果的でない。

小シリーズ研究だが、施行による副事象は観察されてない。



2012年1月26日木曜日

軽度認知機能障害は男性に起きやすい

MCI(mild cognitive impairment;軽度認知機能障害)は男の方が多い。


The incidence of MCI differs by subtype and is higher in men:
The Mayo Clinic Study of Aging
Neurology WNL.0b013e3182452862; published ahead of print January 25, 2012, 

Mayo Clinic Finds Mild Cognitive Impairment is Common, Affects Men Most http://newsblog.mayoclinic.org/2012/01/25/mayo-clinic-finds-mild-cognitive-impairment-is-common-affects-men-most/


 1500名ほどの高齢者を3年間追跡し、この間、男性は1000名あたり72、女性は57名発症の頻度であるという報告。

 年齢、教育・婚姻状態などによる影響はあるが、性差の影響だけは一貫しているという報告。


2012年1月23日月曜日

RCT: "Cybercycle" Exergaming :高齢者認知機能改善目的のゲーム

2050年までに認知症は1億人に到達する。認知症減少のための介入が考案中。運動は認知機能に対しベネフィットを有するが、少数の老人しか運動をしない。バーチャル・リアリティー促進的運動、”exergame”をこれの使おうとする試み


exergame研究は良好な結果をもたらした。


Exergaming and Older Adult Cognition: A Cluster Randomized Clinical Trial
Am J Prev Med. 2012;2:109-119.

仮説:
1.virtual reality tours (“cybercycle”)を用いることで、運動機能・臨床状態を、従来の運動より改善?
2.運動努力は改善をもたらすか
3.brain-derived neurotrophic growth factor (BDNF)が増加するか?


Multi-site cluster randomized clinical trial (RCT)
3ヶ月の cybercycling vs 従来の運動 で、認知機能評価


Intent-to-treat analyses

年齢・教育補正クラスターランダム化で、、複合運動実践機能に関し有意なgroup x time interaction判明  (p=0.002)
cybercyclingは、伝統的運動よりmedium effectを有する(d=0.50)
Cybercyclistは、23%MCIの臨床的発症を減少。
運動努力とフィットネスは比較可能で、他のメカニズムが考えられる。
cybercyclist内での、BDNFとの有意なgroup x time interaction(p=0.05)は神経可塑性促進を示唆する。

Primary Cognitive Outcomes: Mean Difference From Baseline
運動遂行機能 Cybercycle (n= 38) 対照 (n= 41) P 値
Color trails difference -15.94 9.743 0.007
Stroop C -6.59 0.56 0.05
Digits backwards 0.36 -0.83 0.03






2012年1月20日金曜日

農薬と認知機能への悪影響

フランスLaboratoire Santé Travail EnvironementのIsabelle Baldi氏ら

20年以上ブドウ栽培に従事する40~50歳代の人を対象とした前向き研究 長期間の農薬への曝露により認知機能低下のリスクが2倍以上に高まる
http://mtpro.medical-tribune.co.jp /mtpronews/1012/1012014.html


この研究の論文


Neurobehavioral performance among agricultural workers and pesticide applicators: a meta-analytic study
Occup Environ Med oemed-2011-100204Published Online First: 19 January 2012

殺虫剤慢性低レベルの農業従事者暴露が、認知機能、精神運動機能減少の程度と関連することが示されている。
この研究は、 
(1) identify and quantify neurobehavioral deficits among agricultural workers and pesticide applicators
(2) analyse the potential confounders or moderators of these neurobehavioral deficits

17研究(21のコホートグループ)をメタ・アナリシスに含む

これらの研究は16の神経心理試験(23の注意機能の神経行動機能に関するパフォーマンス測定)
暴露登録者で、注意機能に関する神経行動、視覚運動統合、言語抽象化、知覚構成に関するすべての検査・測定値で、有意な減少が見られた。
記憶に関する3つの検査のうち一つ、持続注意機能に関する検査の5つのうち2つ、運動性言語の8つの内4つが有意な減少を示した。
コホート横断的に、effect size分布のうち9つがheterogenetiy有意にあり
コホートの変数、たとえば、農業労働者 vs 散布機、暴露期間、年齢、男性登録者比率などがこのheterogeneityを説明するにはほぼ不充分。
しかし、Block Desighという一つの検討では、暴露期間はこのパフォーマンス減少と有意に正の相関が見られた。
さらに、この検査でのパフォーマンス減少は高齢者で小さい。

この方面の研究には、研究数の増加、より一致した方法論が要求される。


高齢者:個性変容可能: Sudoku、クロスワードなどで新しいことへの探求性を開眼




高齢者へのSudokuやクロスワード・パズルを含む認知トレーニングは、新しい経験を開眼することに! 


"shifts in openness or willingness to seek out new and cognitively challenging experiences"という文書から、”openness”を翻訳すれば、”開眼”と言う言葉が妥当と考えた。

medpage(http://www.medpagetoday.com/Geriatrics/GeneralGeriatrics/30752)解説から・・・


16週間のinductive reasoningのトレーニング後、新しいactivityをトライする意志が対照群に比べ増加(P<0.05)したという報告

Joshua Jackson ( Washington University in St. Louis, Psychology and Aging)

高齢者はパーソナリティーの変化をもたらし、新しいこと、、知的チャレンジを見いだし、新規探求性への道へつながることとなる。高齢者に認知機能をより豊かにするような数多くの介入がデザインされたが、それへの開眼するような試みは少なかったと筆者ら。

筆者らの説明だと”認知機能改善を目的とする介入がパーソナリティー特性の変化までもたらす”という仮説の証明。

72.9歳の高齢者で、主に白人(94%)。平均的には教育としては15.5年。
仕事で15時間あるいはボランティアで週15時間過ごす場合には研究に参加しなくても良いとし、除外クライテリアは最近3年間卒中、積極的癌治療、MMSE 24未満

被験者を介入群、wait-list control群にランダム割り付け。研究評価完成に対し研究者に報酬。介入群85名は92%完遂。対照群は98被験者89%完遂。

介入は、クラスルームベースの"inductive reasoning(帰納的推理) training program"で、novel pattern recognitionを主としたものからなり、自宅施行を主にしたSudokuやクロスワードパズルをおこなった。パズルセットは前週のパフォーマンスをベースとした個別スキルレベルに応じて行った。レベルに達したとき、難易度を上げる。

パーソナリティー特性や帰納的推理テストを、介入前、期間中、介入後施行。二次latent growth modelを"openness to experience"のトレーニング効果として評価解析する。


検査前は、"openness to experience"と"帰納的推理スキル"の組み合わせ指標に2群差は認めず。

トレーニングにより"帰納的推理"能力が対照群比較で増加(P<0.05)。


著者らは、トレーニング群でpost-test openness scoreが対照群より高値であると報告し、帰納的推理の変化はopennessの変化に影響を与えないことも見いだした(z=1.47)。則ち、認知機能介入は、opennessに対し帰納的推理技術以上に、影響を与えた。

"(このタグは)使える”、”使えない”ということが、これらの研究で使われており、”これを使える”ということがより"open”になる・・・"openness to experinece"は健康状態をより良好西、死亡率リスクを減少させることにつながる・・・と筆者ら(の暴走?)。



研究の限界としては、メカニズムとして、"openness"変化を説明出来ず。帰納的推理トレーニングのためなのかどうかを直接検討した研究ではないということも。
個性が非心理薬理学的介入により変容したことを示す最初の研究の一つと著者らは胸を張っている。

Jackson JJ, et al "
Can an old dog learn (and want to experience) new tricks? cognitive training increases openness to experience in older adults"
Psychology and Aging 2012; DOI: 10.1037/a0025918.




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