2013年5月15日水曜日

万人に極端なナトリウム制限するな ・・・ 米国CDC配下専門家委員会

5.84g/日未満の減塩の必要性はない・・・と



国内食事ガイドライン推奨の極低レベルへのナトリウム制限は、健康アウトカム上の良好な理由付けはないと政府関連トップ集団指摘。

The National Academies Press
Sodium Intake in Populations: Assessment of Evidence (2013)
Board on Population Health and Public Health Practice (BPH)
Food and Nutrition Board (FNB)
http://books.nap.edu/openbook.php?record_id=18311&page=R2
解説:NYTimes
No Benefit Seen in Sharp Limits on Salt in Diet
http://www.nytimes.com/2013/05/15/health/panel-finds-no-benefit-in-sharply-restricting-sodium.html?pagewanted=all

1日 ナトリウム1.5gは、teaspoon半分より若干多い程度。50歳超、黒人、高血圧、糖尿病、慢性腎臓病患者を含むリスク状態のヒトでは心臓発作・卒中予防効果あり
AHAを含む機関では、リスク状態にある人だけでなく、全てにとされる。

だが、新しい専門委員会、アメリカ疾病管理予防センター(CDC)下のInstitute of Medicine の委託専門委員会では、全てのヒトで、1日2.3g/日未満にナトリウムを制限する合理性はないとされた。2005年公表の類似最終報告以降出現したエビデンスを検討。
ナトリウム至適量に着眼した問いかけはなされず、どの程度ナトリウムを摂取したら良いかの推奨もなされなてない。


232名のイタリア人中等度・重度心不全患者の ナトリウム 2.76g vs 1.84gで、より低ナトリウム摂取の法が入院数3倍超多く、低ナトリウム食 30 vs より高ナトリウム食 9,同様に死亡数 15 vs 6。
 Normal-sodium diet compared with low-sodium diet in compensated congestive heart failure: is sodium an old enemy or a new friend?
Clinical Science (2008) 114, (221–230) (Printed in Great Britain)

2011年報告の研究では、55歳以上高血圧28,800名、4.7年間尿ナトリウム分析研究で、ナトリウム1日3g未満と7g超では、心臓発作、卒中、うっ血性心不全、心臓疾患死が多い。
Urinary sodium and potassium excretion and risk of cardiovascular events.
JAMA. 2011 Nov 23;306(20):2229-38. doi: 10.1001/jama.2011.1729.
ナトリウムJカーブ現象? ナトリウム5g/日程度が最適? 2011/11/23

ナトリウム欠落すると、中性脂肪増加、インスリン抵抗性増加し、交感神経系活動増加すると、Michael H. Alderman (Albert Einstein College of Medicine)は述べる。



(ナトリウムを食塩の量に換算するには、ナトリウム(mg)×2.54÷1000=食塩(g)
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/anzen/hoei/hoei_002/hoei_002.html
(ここ6年間、加工食品・料理店の食品塩含有量減少せず 2013/05/14)

ホテルは部分的禁煙では効果無い。部分的禁煙ではニコチンだけでなく発がん性物質も暴露させる。



ホテルは完全喫煙でないと、非喫煙者を守れない。非喫煙者は、部分的禁煙客室ホテルを避けよう。


Thirdhand smoke and exposure in California hotels: non-smoking rooms fail to protect non-smoking hotel guests from tobacco smoke exposure


要約

序文 この研究は、完全禁煙と完全喫煙でないホテル内の喫煙汚染(いわゆる、三次喫煙: THS; thirdhand smoke)を検討し、終夜滞在非喫煙宿泊客に対する喫煙汚染暴露されるかの検討研究

方法 完全禁煙あり(n=10)と、完全禁煙無し(n=30)の層別化ランダムサンプル調査。表面・大気の喫煙空気汚染分析(ie. ニコチン、3-エチニルピリジン, 3EP)。
ゲストルーム終夜滞在同時宿泊・非喫煙者の尿中、指ぬぐい試料で、ニコチンやタバコ特異的発がん物質4-メチルニトロサミノ-1-3-ピリジル-1-ブタノンをコチニンの代謝産物による測定、4−メチルニトロサミノ- 1-(3-ピリジル)-1-ブタノール(NNAL)をそれぞれ測定。
 
知見完全禁煙ホテル比較で、表面ニコチン・大気3EPを、非喫煙・喫煙ルームで評価。
喫煙ルームでの大気ニコチン濃度は、完全喫煙あり無しのホテルの非喫煙ルームに比べ、有意に高値 。 
喫煙ルームの外側の廊下表面も、非喫煙ルームよりニコチン濃度高値 。 
完全禁煙無しホテルの無喫煙同泊者は、完全禁煙のホテル滞在者に比べ、指のニコチン濃度高く、尿中コチニン濃度高い。
同泊者は最大汚染10ルームに滞在後尿中NNALは有意増加。 
結論 ホテル内の部分的禁煙では、タバコ喫煙やタバコ特異的発がん物質暴露から、非喫煙客を防御できない。非喫煙者は、完全禁煙のホテルに滞在するよう助言する。
完全喫煙から部分的免除ポリシーでは、有効でない。 

アンジェリーナ・ジョリーの選択:予防的乳房切除

アンジェリーナ・ジョリー( Angelina Jolie )  の決断、その行動をトレースすると、学術的医療センターからの指導を求めてなかったことを問題視している向きがあるらしい。ビバリーヒルズの「包括的・集約的乳腺疾患センター」という訳になるだろうか、「comprehensive and integrative breast center」のPink Lotusと密接にし、予防的両側乳房切除(doble masterctomy)を選択した。
New York Times (The Opinion Pages)はわざわざリンクを目立つように記事にし、強烈な印象を与えているとのこと。
MedPage Today誌で接触した専門家は、超先端ケアを受けてるかのごとく誤解されることに対し、Jolieの選択に、やや懸念をもっていると表明している。
http://www.medpagetoday.com/HematologyOncology/BreastCancer/39129


乳がんの約5%ほどで、BRCA変異を認めるが、大多数は他の要素。
遺伝子変異キャリアであるリスクとしては、若年診断乳がん、強い家族歴、黒人やアシュケナージ・ユダヤなどの民族。
BRCA遺伝子変異のキャリアは、乳がんの生涯リスク 80%−90%、卵巣がんの生涯リスク 40%−50%
主なオプションは、サーベイランスであり、タモキシフェンなどの化学治療による予防的薬物療法、そして、予防的両側乳房切除である。特に、乳房切除は最も有効。
もしBRCA変異検診を行う場合、訓練された遺伝的なカウンセラー、バランスのとれたdiscussionを勧める。



BRCA in breast cancer: ESMO Clinical Practice Guidelines

全乳がんの25%未満が家族感受性あり、BRCA1, BRCA2, CHEK2, TP53 と PTEN 遺伝子変異は乳がん・卵巣がん関与5%〜10%未満。BRCA1、BRCA2は乳がん関連遺伝子としてはpenetrance(浸透度)としては高度。CHEK2, ATM, BRIP1と PALB2は、稀で、乳がんリスクとしては中間的。乳がんに於ける遺伝子の要素として、70%超は不明。
BRCA1/2遺伝子変異住民頻度は、1遺伝子あたり〜 1/800から 1/1000。 乳がんの家族超過リスク 15%〜20%と推定される。BRCA1やBRCA2のgermline mutation頻度は民族や地域によりばらつきがあり、アシュケナージユダヤ、アイスランド、オランダ、スウェーデン、ノルウェイ、ドイツ、フランス、スペイン、カナダ、東欧・南欧各国。
家族歴選択肢にしない場合の、BRCA1とBRCA2変異頻度は、一般的に低く、BRCA1で1%〜7%未満、BRCA2で1%〜3%。
頻度高率なのは、乳がん卵巣がん家族歴、発症年齢若年、男性乳がん、多発眼(両側乳がん、乳がん・卵巣がん同時発症)
家族歴未選択症例のまとめデータによると、BRCA1変異キャリアの平均的累積リスクは、70歳までで、乳がん 65%(信頼区間: CI, 44%-75%]、卵巣がん 39%(18%-54%).
BRCA2ではそれぞれ、45%(31%-56%)、 11%(2.4%-19%)。男性乳がんの相対リスクはそれぞれより高く、特にBRCA2では6%。前立腺がんリスク増加がBRCA2キャリアで認められ、特に男性、65歳未満。他のリスク増加は、膵がん(〜2%)、胃がん、頭頸部がん。




遺伝性乳癌患者に対する予防的切除は癌その他のリスクを低減
2010. 9. 3
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/search/cancer/news/201009/516505.html

卵管予防的切除:がん研有明病院がHBOCの“予防的切除”を開始した理由
新井 正美氏(がん研有明病院 遺伝子診療センター部長)
2012.10.1
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/search/cancer/cr/201210/526654.html

AHA/ASA専門家コンセンサス:21世紀における卒中定義update

AHA/ASAでも、治療には踏み込まないで、「silent infarction」の定義がなされた。

日本脳卒中学会
http://www.jsts.gr.jp/guideline/217_219.pdf

この学会の勝利?
長期治療エビデンスもない、ほんとの卒中の5倍も存在する一群。
「無症候性脳梗塞」・「silent infarction」の病名が、今後も存在するわけだが、長期的治療・予防介入エビデンスに乏しいことは強調されている。




AHA/ASA Expert Consensus Document
An Updated Definition of Stroke for the 21st Century
A Statement for Healthcare Professionals From the American Heart Association/American Stroke Association

pdf
Published online before print May 7, 2013,
doi: 10.1161/​STR.0b013e318296aeca


Table 1. Definition of Stroke
The term “stroke” should be broadly used to include all of the following: Definition of CNS infarction: CNS infarction is brain, spinal cord, or retinal
cell death attributable to ischemia, based on 1. pathological, imaging, or other objective evidence of cerebral, spinal cord,
or retinal focal ischemic injury in a defined vascular distribution; or 2. clinical evidence of cerebral, spinal cord, or retinal focal ischemic
injury based on symptoms persisting 24 hours or until death, and other etiologies excluded. (Note: CNS infarction includes hemorrhagic infarctions, types I and II; see “Hemorrhagic Infarction.”)
Definition of ischemic stroke: An episode of neurological dysfunction caused by focal cerebral, spinal, or retinal infarction. (Note: Evidence of CNS infarction is defined above.)
Definition of silent CNS infarction: Imaging or neuropathological evidence of CNS infarction, without a history of acute neurological dysfunction attributable to the lesion.
Definition of intracerebral hemorrhage: A focal collection of blood within the brain parenchyma or ventricular system that is not caused by trauma.
(Note: Intracerebral hemorrhage includes parenchymal hemorrhages after CNS infarction, types I and II—see “Hemorrhagic Infarction.”)
Definition of stroke caused by intracerebral hemorrhage: Rapidly developing clinical signs of neurological dysfunction attributable to a focal collection of blood within the brain parenchyma or ventricular system that is not caused by trauma.
Definition of silent cerebral hemorrhage: A focal collection of chronic blood products within the brain parenchyma, subarachnoid space, or ventricular system on neuroimaging or neuropathological examination that is not caused by trauma and without a history of acute neurological dysfunction attributable to the lesion.
Definition of subarachnoid hemorrhage: Bleeding into the subarachnoid space (the space between the arachnoid membrane and the pia mater of the brain or spinal cord).
Definition of stroke caused by subarachnoid hemorrhage: Rapidly developing signs of neurological dysfunction and/or headache because of bleeding into the subarachnoid space (the space between the arachnoid membrane and the pia mater of the brain or spinal cord), which is not caused by trauma.
Definition of stroke caused by cerebral venous thrombosis: Infarction or hemorrhage in the brain, spinal cord, or retina because of thrombosis of a cerebral venous structure. Symptoms or signs caused by reversible edema without infarction or hemorrhage do not qualify as stroke.
Definition of stroke, not otherwise specified: An episode of acute neurological dysfunction presumed to be caused by ischemia or hemorrhage, persisting 24 hours or until death, but without sufficient evidence to be classified as one of the above.
CNS indicates central nervous system.



神経画像で脳組織損傷証明された時は、症候なくても、それを卒中と呼ぶべき
AHA/ASAの専門家コンセンサス文書

虚血性卒中・一過性脳虚血の組織ベースの定義は、診断クライテリアの開発に影響を与え、卒中急性期に於ける様々な画像技術の導入に基づく

発症後24時間内・画像診断前患者における診断名、"acute cerebrovascular syndrome"は、脳梗塞・TIA・出血診断名として適切でない。


Kasneらによると卒中定義の概要
・中枢神経系(CNS)梗塞 -- CNS梗塞は、脳、脊髄、網膜神経細胞死であり、病理、画像、他の客観的証拠、臨床的証拠に基づく虚血が関与しており、臨床的エビデンスには24時間以上持続する徴候を含む。
・虚血性卒中:Ischemic stroke -- 巣性脳、脊髄、網膜梗塞による神経学的機能異常のエピソードのこと
・無症候性CNS梗塞梗塞:Silent CNS infarction -- 病巣部に基づく急性の神経学的機能障害病歴のない、CNS梗塞の画像あるいは神経病理学的エビデンス
・頭蓋内出血:Intracerebral hemorrhage -- 脳内血液の巣性集積で、外傷によらないもの(CNS梗塞後脳実質出血を含む、 type IとII)


委員会定義の他病型は、脳内出血;脳出血;くも膜下出血;くも膜下出血による卒中;脳静脈血栓による卒中;分類不能卒中


委員会作成時特に問題となったのは、「silent infarction」の取り扱い。
認知症や頭部外傷などの非卒中診断目的外のルーチンMRI検査での偶発的発見によるもの。「何をすべきか?、治療すべきか?、頸動脈手術を施行すべきか、あるいは、薬物治療による、より積極的治療をすべきか?」
「silent stroke」患者を治療することは、「silent infaction」に相当するのは、明確な定義上の「卒中」の5倍も存在するため、slippery slope(危険な先行き・坂道)となる可能性がある。そして、これらの治療への長期アウトカムに関してエビデンスがほぼない。

結局、執筆集団は、このタスクに関し、卒中定義により重きを置き、治療に関しては重きを置いてない。



心筋梗塞定義のアップデートと同様な動きとのこと
Third universal definition of myocardial infarction
Eur Heart J (2012) doi: 10.1093/eurheartj/ehs184First published online: August 24, 2012



自転車ヘルメット法制化ベネフィット不明

こういうニュースがあるようだが・・・

 自転車「ヘルメット義務化を」 【米国小児科学会】 自転車でのヘルメット着用の法的義務付けを 2013年5月14日 米国学会短信  


逆の報告



自転車関連頭部外傷減少のための法制化がなされているが、カナダの統計学的分析では、ヘルメットによる効果は懐疑的と判明。

Helmet legislation and admissions to hospital for cycling related head injuries in Canadian provinces and territories: interrupted time series analysis
BMJ 2013; 346 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f2674 (Published 14 May 2013)
Cite this as: BMJ 2013;346:f2674


National Trauma Registry Minimum Data Setからの、分割時系列分析(interrupted time series analysis)
カナダでは、
1994−2008年の間に、自転車関連外傷入院66,716
1994-2003年の間に、
ヘルメット法制州では、若年者頭部外傷発生率 54.0%(95%信頼区間 48.2%-59.8%)減少
ヘルメット未法制州・テリトリーでは、33.1%減少
成人では、法制化州において、頭部外傷発生率は26.0%(16.0%-36.3%)減少
しかし、未法制州では、不変。
ベースラインを考慮すれば、サイクリング関連頭部外傷入院率において独立した影響を認めない。

18歳未満


18歳以上



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禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note