2012年3月27日火曜日

自民までもが賛成し、今国会「統合医療」推進政策・・・だと・・・


自民党、「統合医療」推進で政策提言へ- 今通常国会にも提出
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/36897.html


この方々、「統合医療」をほんとに真っ向から分析し、心底、話し合いをしてるのだろうか?



再掲しておく

民主党における、統合医療促進は、主に特定業界団体からの要望に基づくものであり、決して、科学的学会主導で生じたものではない。その会合の中で、厚労省 官僚が筋の通った明言を行ったことになる。まあ問題がここまで拡大したのは、いままであいまいにしてた厚労省の態度に問題があるのだが・・・

科学的エビデンスないまま、自民党までもが、“”を官界・財界・官僚で推進しているこの時代・・・暗澹たる気持ちになっている。

統合医療促進と議員たちが浮かれてる間に、医療のゆがみがさらに拡大するのである。


スピリチュアルを配慮した医療に関して現代医療に持ち込むことは当然だと思う。

だが、一般に“ 統合医療 Integrative Medicine”とは、Dr Weilが個人的な見解で行っている方法論であり、それを国全体が一般化できるような議論やエビデンスの構築があるような代物ではない。氏のウェブサイト なんて、ビタミン剤の宣伝だらけで・・・

かれらにパテントをとられたままで“統合医療”という名ばかりが暴走するのはいかが?
柔整師問題:厚労省官僚発言 「柔整師は肩こり、腰痛などに施術が出来ない」
 http://kaigyoi.blogspot.jp/2012/03/blog-post_8074.html


軽薄な連中揃いの議員たち・・・

日本の政治家って、何かを作り上げようとはするけど 、現状の矛盾点を改善しようとする努力は全くといって行わない。
たとえば、検診制度において、功利的な目的を忘れて、“**がん”ゼロなんてことを言い出す。
今度は統合医療という、専門家でもコンセンサスが得られてない話を、突如、進める。軽挙妄動ぶり。この記事に名前の出ている議員たちの落選を願うしか我々にすることはないのだろうか?

ブラジル:就学時BCGワクチンの有効性



ブラジルのクラスターランダム化トライアル


Effectiveness and cost-effectiveness of first BCG vaccination against tuberculosis in school-age children without previous tuberculin test (BCG-REVAC trial): a cluster-randomised trial
The Lancet Infectious Diseases, Volume 12, Issue 4, Pages 300 - 306, April 2012 


多くの発展途上国でルーチン・ワクチンの一つとして乳児BCGワクチンがなされている。就学年齢時のワクチンは低所得・中所得国では確認されてない。

就学時ワクチン有効性確認のためのcluster-randomised trial (BCG REVAC)

乳児期BCGワクチンなしの、7-14歳時のツベルクリン状態不明の対象者

ランダム化し、BCG群 385学校、20622名と、対照群 365学校、18507名

粗発生率
BCG群 54.9(95%CI 45.3-66.7)/10万人年
対照群 72.7(95%CI 62.8-86.8)/10万人年

ワクチン包括的有効性は就学時BCGワクチン初回で、25%(3-43%)

Salvadorでは、ワクチン有効性 34%(8-53%)、1例発症予防するためのワクチン接種者人数は381名で、治療より安価となった。

副作用頻度は低く、腋下リンパ節炎1名、BCGワクチン1cm以上の皮膚潰瘍 1例。



日本では、まだ、高齢者を主体に感染者が多い。しかし、乳児期のBCGワクチン脱漏例は、そのまま放置されている。


骨粗鬆症:電話カウンセリング薬剤アドヒアランス有意な改善認めず



骨粗鬆症のための薬品アドヒアランス改善のための動機づけインタビューに基づく電話ベースカウンセリングプログラムの有効性

Solomon らは、骨粗鬆症新規処方全対象とした年間RCT臨床トライアルを行った


動機づけインタビューフレームワークの電話ベースカウンセリング
vs
郵送教育マテリアルを送付の対照群



Osteoporosis Telephonic Intervention to Improve Medication Regimen Adherence
A Large, Pragmatic, Randomized Controlled Trial
Daniel H. Solomon, et. al.
Arch Intern Med. 2012;172(6):477-483. doi:10.1001/archinternmed.2011.1977



ITT分析にて、アドヒアランス中央値 介入群49%、対照群 41%(P=.07)

骨折自己報告に差認めず



Motivational interviewing (MI)は、“モチベーションの低いクライアントに、生命危機と関連する問題行動変容の必要性を目覚めさせるもので、社会心理学的知識に基づくやり方であり、共同作業的で、人を中心に据えた、動機づけの明確化・強化を目指すやり方”

http://www.motivationalinterview.org/Documents/1%20A%20MI%20Definition%20Principles%20&%20Approach%20V4%20012911.pdf


理念が現実でも役立つかどうか・・・がためされている。

日本なら、こういう功利的な確認せずに、えらそうな連中が、概念的に正しいはずだと、反論する者を恫喝し、非論理的に強弁し、結果的に、官僚や既存制度の中にあるものにだけ利益のある制度を強化していくだろう。検診情報・レセプト情報を国が自由に使える制度のもと、かれらに都合の良いデータ加工だけが公表されていくだろう。

認知症:非定型向精神薬と心筋梗塞の関連 時間的関連性認めた

2005年以降、 非定型向精神薬:atypical antipsychotics (eg, risperidone, olanzapine, quetiapine fumarate)と死亡率増加との関連性に関連するエビデンスが出現し、安全性に関する議論が盛んになってきている。薬理的なドパミン作働性、セロトニン作働性、ムスカリニック作動性、アドレナリン作動性などとの関連性に関する原因考察と共に現象論的把握のための研究も進められている。


後顧的研究により、コリンエステラーゼ阻害剤治療高齢認知症患者では、向精神薬使用は心筋梗塞リスクとして、軽度で、時間限定的に関連性を認めた。


Antipsychotic Use and Myocardial Infarction in Older Patients With Treated Dementia
Antoine Pariente, et. al.
Arch Intern Med. Published online March 26, 2012. doi:10.1001/archinternmed.2012.28
コリンエステラーゼ阻害剤開始 認知症高齢地域住居者の後顧的コホート解析

37138名のコリンエステラーゼ阻害剤使用患者コホートのうち、10969(29.5%)で向精神薬(AP)使用。


AP開始1年以内に、1.3%で心筋梗塞発症、ハザード比は30日以内 2.19 (95% CI, 1.11-4.32) 、 60日内 1.62 (95% CI, 0.99-2.65)、90日内 1.36 (95% CI, 0.89-2.08、365日内 1.15 (95% CI, 0.89-1.47)


自己対照症例シリーズ研究を新規AP使用者中804名の心筋梗塞発症例で行い、31-60日期間の 発症rate ratioは、 1.67 (95% CI, 1.09-2.56) で、61-90日では 1.37 (95% CI, 0.82-2.28)
 
論文としての評価は、後顧的研究なんで、AP利用の理由に関する寄与要素補正が行われているかどうかが問題。



非定型抗精神病薬より以前の抗精神病薬の方が死亡リスク高い 2005年 12月 01日
http://intmed.exblog.jp/2743476/

非定型向精神薬のアルツハイマー病への治療:メタアナリシス 2006年 02月 21日
http://intmed.exblog.jp/3232695/

非定型抗精神病薬も心臓突然死リスク増加と関連 2009年 01月 15日
http://intmed.exblog.jp/7817314/

向精神薬と血栓塞栓リスク 2010年 09月 22日
http://intmed.exblog.jp/11317501/

“非定型精神病薬”:糖尿病に関する量依存的関係 ジプレキサに特に影響 2012年02月27日
http://kaigyoi.blogspot.jp/2012/02/blog-post_3304.html

食事フラボノイド:かんきつ系フラボノイドと虚血性卒中減少の相関報告 ・・・ 結論と結果の相異



フラボノイドだからすべて同じアウトカムになるとは限らない。リアルな生活で、どのフラボノイドが多く摂取され、そのサブクラスの効果は実際どの程度の影響を与えているかが問題。

NHS研究で、サブクラスに踏み込んだ検討なのだが、 結論が変!

結論は総フラボノイド量は虚血性卒中と逆相関せず、フラボノイド高摂取は虚血生卒中リスクと相関というもの・・・

だが、「かんきつ系果物は虚血性卒中減少と関連 (Citrus fruit consumption may be associated with a reduction in stroke risk)」と結論に書かれているが、resultの信頼区間表記と相反する結論づけ。

特定果物への身びいき結論というのは、果樹研究所(前農林水産省果樹試験場)の研究でおなじみだが、NHSもそうか・・・という落胆。


Original Contributions; Clinical Sciences
Dietary Flavonoids and Risk of Stroke in Women
Aedín Cassidy, et. al.
Stroke. 2012; 43: 946-951 
Published online before print February 23, 2012, doi: 10.1161/​STROKEAHA.111.637835


69622名のNHS研究からの前向き研究データ

総フラボノイドとそのサブクラスでの検討

14年フォローアップ期間中、1803名の卒中発症
寄与要素候補補正後、5分位比較で 、フラボノイド摂取量 最多vs最小で、虚血性卒中相対リスク 0.81(95%CI 0.66-0.99;P=0.04)


かんきつ系果物/ジュースが主なフラボノイド供給源であり、両端5分位比較で、虚血性卒中相対リスクは 0.90(95%CI、 0.77-1.05) 




AAN:神経筋疾患への免疫グロブリン治療エビデンスに基づくガイドライン


Evidence-based guideline: Intravenous immunoglobulin in the treatment of neuromuscular disorders
Report of the Therapeutics and Technology Assessment Subcommittee of the American Academy of Neurology
Neurology March 27, 2012 vol. 78 no. 13 1009-1015 



 要約:http://www.neurology.org/content/78/13/1009.abstract

 免疫グロブリン静注(IVIg)は血漿交換と同等の効果で、成人でのGuillain-Barré syndrome治療に対し用いられるべきである  (Level A)


 IVIg は、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(chronic inflammatory demyelinating polyneuropathy)の長期間治療に有効で用いられるべきである (Level A)


IVIg は、中等度・重度重症筋無力症、多巣性運動ニューロパチー(multifocal motor neuropathy、MMNに有効と思われ、考慮すべき治療である  (Level B)

IVIg は、成人の治療無反応性の皮膚筋炎、 Lambert-Eaton myasthenic syndromeで有効である可能性と、治療考慮の可能性  (Level C)

IVIg使用支持・不使用支持に関し、以下のエビデンスは十分でない。
IgM parprotein-associated neuropathy、 封入体筋炎、多発筋炎、糖尿病性radiculoplexoneuropathy、 Miller Fisher syndrome、ポリオ後症候群・GBS小児のルーチン治療 (Level U).

IVIg+血漿交換はGBS治療では考慮すべきでない  (Level B)

IVIg有効性に関し、他の治療・治療組み合わせとの比較のより多くのデータが必要

多くの研究でIVIg関連重度副作用は稀と結論。

これらの疾患のばらつき特性、患者ニーズや医師判断に基づく個別治療が重要。 

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