2018年4月20日金曜日

LABA/LAMAは肺過膨脹改善→左室終末容積改善効果をもたらす

製剤としてはウルティブロの話


いままで

COPD:LABA and/or LAMA投与開始後30日目に心血管イベント増加し、その後ベースラインまで減少する
http://kaigyoi.blogspot.jp/2018/01/copdlaba-andor-lama30.html

非弁膜症性心房細動:COPDは心血管重大イベント独立予後要素
http://kaigyoi.blogspot.jp/2018/03/copd_29.html

CLAIM研究という名前はともかく、LABA/LAMAに関して心血管系に悪さばかりするのではないかと懸念をもってたが、ややホッとする結果




COPD重症にしたがい、左室拡張期が減少し、心拍出量低下する
肺過膨脹が心機能へ悪影響を与え、LABA/LAMAの過膨脹改善効果(lung deflation)により左室拡張期終末容積を減少させることが示された。
LABA/LAMA効果は単にair-trapping改善だけではなく、心機能改善ももたらす




二重盲検ランダム化2期間交叉プラシーボ対照単施設研究
場所:ドイツ・ハノーバー、対象者:40歳以上COPD、肺過膨脹(ベースライン残気量 予測比135%以上)、10pack-yeras以上喫煙者、気道閉塞(FEV1予測比 80%未満、拡張剤後 FEV/FVC <0 .7="" p="">

Effect of lung deflation with indacaterol plus glycopyrronium on ventricular filling in patients with hyperinflation and COPD (CLAIM): a double-blind, randomised, crossover, placebo-controlled, single-centre trial
Jens M Hohlfeld, et al.
The Lancet Respiratory Medicine Vol. 6 , No. 5 , p368-378, May 2018
DOI: https://doi.org/10.1016/S2213-2600(18)30054-7
http://www.thelancet.com/journals/lanres/article/PIIS2213-2600(18)30054-7/fulltex

不整脈、心不全、不安定虚血性心疾患、不安定高血圧症は除外するも心血管疾患安定症例は登録
ランダム割り付け
・ LABA indacaterol (110 μg as maleate salt) plus the LAMA glycopyrronium (50 μg as bromide salt) once per day for 14 days→14-day washout→ matched placebo for 14 days
・逆パターン:プラシーボ→washout→LABA/LAMA

プライマリエンドポイント:左室拡張期終末容積(MRI)
on day 1 (visit 4) and day 15 (visit 5) in treatment period 1 and on day 29 (visit 6) and day 43 (visit 7) in treatment period 2 in the per-protocol populati

2015年3月18日〜2017年4月20日まで、62名をランダム割り付け、30名を indacaterol–glycopyrronium→プラシーボ、32名を逆順

ITT解析、2プロトコール逸脱、60per-protocol解析、両群治療完遂 57名

 indacaterol–glycopyrronium 治療後、左室拡張期終末容積はベースライン平均 55.46 mL/m2(SD 15.89) → 最小二乗平均 61.76 mL//m2(95% CI, 57.68 - 65.84) 、ベースライン 56.42 (13.54) →プラシーボ後 56.53(95% CI, 52.43 - 60.62)(最小二乗平均差 5.23 (95% CI, 3.22 to 7.25 ; p< 0.0001))



副作用最多はindacaterol-glycopyrroniumの咳嗽(9/59 , 15%)、咽頭部irritation (12%)
プラシーボ比較最多副作用は頭痛(5/61, 8%)、上気道感染(7%)

2名は重篤副作用、治療群1例は子宮内膜癌で、プラシーボ群1例は心筋梗塞で治療関連とは考えられない



21-38歳住民コホート:好酸球数は無症状・喘息などなくても気道閉塞進行の悪化要素

COPDへのICS投与判断、喘息抗IL-5Bio製剤複数参入、ACOなど好酸球に関する話題に事欠かない昨今

疫学的に好酸球と気道閉塞の影響を検討した報告


序文
好酸球気道炎症と持続性気道閉塞を生じる気道リモデリングは喘息の特徴だが、好酸球気道炎症と気道リモデリングがリンクしているかは不明。組織好酸球は気道壁のリモデリングと関連するg、causal associationについて結論的なものはない。吸入ステロイドによる好酸球性炎症をコントロールすることで急性増悪は改善するgあ、固定的気道閉塞予防については証明されてない。
不確定性・不明さの原因としては、誘発喀痰検査によらざる得ないという、。臨床実践現場ではルーチンには導入しがたいし、疫学的に調査でも検討しがたいということも考えられる。
それで、末梢血好酸球が注目されるわけだが、実際好酸球増加は喘息のコントロール不良、急性増悪リスクと相関し、COPD患者の吸入ステロイド反応予測に役立ち、喘息の抗IL-5治療反応性予測にも役立つ可能性がある
一方、喘息と非喘息のぶっこみでの検討で、血中好酸球数はFEV1値と相関するという報告もあまねく同じ結果とは言いがたい現状。
血中好酸球は喘息成人患者において、FEV1減少加速促進予測要素ではないが、COPD患者ではICS被治療群において血中好酸球数増加例ではFEV1減少加速要素であると報告がある




これは若年成人のbirth cohortに基づく住民調査で、血中好酸球数と肺機能を検討した報告

Associations between blood eosinophils and decline in lung function among adults with and without asthma
Robert J. Hancox, et al.
European Respiratory Journal 2018 51: 1702536; DOI: 10.1183/13993003.02536-2017
http://erj.ersjournals.com/content/51/4/1702536

線形混合モデルによる血中好酸球とスパイロメトリ相関解析(21歳、26歳、32歳、38歳時点、性・喫煙・18歳時点スパイロメトリ補正)
さらに、21-38歳までの平均好酸球数とスパイロメトリの変化量の相関性を検討


好酸球数高値は、拡張剤前後のFEV1/FVC比低下、FEV1%予測比と相関 ( all pー値  0.048以下)
好酸球数は喘息被検者で高値だが、好酸球数とスパイロメトリは喘息の有無、喘鳴の有無にかかわらず同様。
平均好酸球数 0.4×109個/L超の21-38歳被検者では低値被検者に比べ、FEV1/FVC比 (差 1.8%, 95% CI 0.7–2.9%; p=0.001)、FEV1値 (差 3.4% pred, 95% CI 1.5–5.4% pred); p=0.001)の減少と大きく関連



血中好酸球は、喘息・喫煙状況と独立して、気道閉塞と相関し、肺機能減少促進と関連する
好酸球は、症状無くても気道閉塞のリスク要素

noteへ実験的移行

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