2013年4月30日火曜日

【英国】インフルエンザAでは喘息患者の方が重度アウトカム比率少ない;吸入ステロイド使用、早期入院対策されるため

“季節型”インフルエンザでは、高齢、5歳未満若年、妊娠とともに、さらに心疾患・糖尿病・腎疾患等ともに、喘息は高リスク群の代表(http://www.cdc.gov/flu/about/disease/high_risk.htm)。

だが、喘息患者ではむしろアウトカム悪化が少ないという矛盾が知られている。それはなぜか・・・


75UKの病院、1520名の後顧的検討
インフルエンザA/H1N1確認例で、多変量モデルを用いて、喘息と重度アウトカムの関連性の理由付け研究。

喘息状態では、非喘息状態に比べ、重度アウトカムとなる場合すくない
(11.2% vs 19.8%, 非補正OR 0.51, 95% CI 0.36-0.72
しかしながら、入院時酸素必要率は多く( (36.4% vs 26%, 非補正 OR 1.63))、肺炎率は同程度(17.1% vs 16.6% , 非補正オッズ比 1.04)

多変量ロジスティック回帰の結果、喘息における良好なアウトカムとの相関(補正 OR 0.62, 95% CI 0.36–1.05; p=0.075)は、入院前吸入ステロイド(補正 OR 0.34, 95% CI 0.18–0.66) 及び入院の早期化 (≤4 days from symptom onset) (補正 OR 0.60, 95% CI 0.38–0.94)により良好な結果となったと思われる。
喘息患者において、全身性ステロイドは重度アウトカム尤度減少と関連(補正 OR 0.36, 95% CI 01.8-0.72)



Differences between asthmatics and nonasthmatics hospitalised with influenza A infection
Puja Myles, et. al.
Influenza Clinical Information Network (FLU-CIN)
ERJ April 1, 2013 vol. 41 no. 4 824-831


みのもんたの朝の番組見てたら、政治家とともに、みのもんたのような著名人も優先接種にすべきと、民主党の議員が言っていた。ほんとに馬鹿な番組・・・

新型インフルエンザの時、真に優先接種すべきは、スプレッダーだった中学高校生だったのではないかと思う。

また、喘息患者をほんとに優先接種から外すかは非ワクチン群との対比が必要だろう。他の基礎疾患においても優先接種に関して議論が必要だろう。

COPD患者リハビリテーション:筋肉内血管網増生・酸素供給反応・筋繊維種類変化・endurance能改善反応鈍い


COPD患者では、リハビリテーションによる、筋肉内血液供給的血管変化、およびそれに伴う症状制限性酸素消費量増加も鈍く、筋繊維のtype switch変化のその反応が鈍い。

要するに、COPD患者はリハビリテーション効果に関しては時間がかかる。


Blunted muscle angiogenic training-response in COPD patients versus sedentary controls
Eur Respir J 2013 41:806-814



COPD患者の骨格筋の障害により運動能力低下を生じる。他の慢性疾患と同様、トレーニング後の筋繊維酸素化、微小血管のangioadaptation(血管適応)がこれらの患者では鈍化する。
故に、 24名の COPD患者と、23名のsedentary healthy subject(SHS):運動不足(中等・高度運動週150分未満)健康対照と、筋肉の機能応答と血管適応を比較
個別中等度強度endurance trainingベースの6週間リハビリテーションプログラム
組織病理筋検査、proangiogenic vascular endothelial growth factor(VEGF)-Aと抗-angiogenic thrombospondin(TSP)-1をトレーニング前後で測定
COPD 患者と、SHSは、症状上限酸素消費量、筋肉のendurance改善
しかし、COPD患者ではその改善度低い (+0.96±2.4 versus +2.9±2.6 mL·kg−1·min−1, p<0 .05="" and="" p="0.06)</blockquote" versus="">
capillary-to-fibre (C/F) 比は、COPD患者でその増加比率低い  (+16±10% versus +37±20%, p<0 .05="" blockquote="">
さらに、COPD患者では筋繊維のswitch生じない
COPD、SHSとも、VEGF-A/TSP-1比増加 (+65% versus +35%, p<0 .05="" blockquote="">
C/F比変化と、症状上限酸素消費量は相関  (r=0.51, p<0 .05="" blockquote="">

COPD急性増悪入院:うつ所見有無で予後関わる


うつ診断既往のない、COPD急性増悪(AECOPD)入院連続症例230名を前向きに検討

AECOPD受診時うつ症状ありの患者は、回復へのインパクト存在し、生命予後の悪さ、そして、AECOPD発生、AECOPD入院と関連する。

The impact of depressive symptoms on recovery and outcome of hospitalised COPD exacerbations
Eur Respir J 2013 41:815-823

うつ症状のある患者では、長期入院必要(mean±SD 11.6±3.7 versus 5.6±4.1 日間, p<0 .001="" blockquote="">
臨床的指標はAECOPD経過中改善するも、入院時うつ症状は有意に呼吸困難のインパクト(p<0 .001="" p="0.012)と関連<br">
1年後、うつ症状有りの患者はAECOPDとなりやすく (p < 0.001)、より急性増悪入院しやすい(p < 0.001)
多変量解析にて、うつ症状は、死亡率の独立した予後因子 (ハザード比 3.568, 95% CI 1.302–9.780) で、AECOPDリスク (IRR) 2.221, 95% CI 1.573–3.135)であり、AECOPD入院 (IRR 3.589, 95% CI 2.319–5.556)のリスクである。






【豪州】COPD患者のICUでの経年的変化・・・利用数増加、非侵襲的人工呼吸増加

オーストラリアでは、COPD患者でのICU比率増加
非侵襲的人工呼吸利用増加し、予後改善あり

オーストラリアのICU17施設、入室194,453名、11年間の後顧的報告

COPDのうち、8.6%
COPD有り症例でのリスク補正死亡率はCOPD無しに比べ高い。
COPDは独立した死亡率増加の因子で、人工呼吸遷延化・ウィーニング長期化と関連。
11年刊の臨床経過の間に、COPD急性呼吸不全悪化比率は、2/3ほど増加し、COPDコホート内の非侵襲的人工呼吸比率倍となり、同時に、COPDリスク補正死亡率は改善。

Prevalence and prognosis of COPD in critically ill patients between 1998 and 2008
ERJ April 1, 2013 vol. 41 no. 4 792-799


レチガビンの副作用:青色皮膚色素異常、網膜色素異常による視力異常

米国では、Potiga (ezogabine):ポティガ(エゾガビン)、国際的には、レチガビン [RTG ]で、従来の抗てんかん薬剤と異なるメカニズムで、KCNQ2-5 (K(v) 7.2-7.5) ion channelのpositive allosteric modulatorである。


blue skin discoloration、網膜色素異常による視力障害


FDA Drug Safety Communication: Anti-seizure drug Potiga (ezogabine) linked to retinal abnormalities and blue skin discoloration
http://www.fda.gov/downloads/Drugs/DrugSafety/UCM349554.pdf








SSRIの周術的服用は、院内死亡率減少を含むアウトカム悪化・・・しかし、未知要素多く理由不明


SSRIの周術的使用が、手術の副事象的アウトカムに影響を与えるか?
この文献の、結論から言えば、一応、副事象イベント増やすが、未知部分の関与が大きいことが示唆される。
SSRI服用患者は肥満、肺疾患、甲状腺機能低下が多く(p<0 .0001="" .001="" 6.2="" br="" p="" vs="">
補正後、SSRIは院内死亡率(補正オッズ比, 1.20 [95% CI, 1.07-1.36])、出血 (1.09 [1.04-1.15])、30日内再入院(1.22 [1.18-1.26])オッズ高い。
propensity-マッチ化解析でも同じ結果。しかし、院内死亡率はうつ患者群で上記補正にて減少。
感度分析にて、未検討共役要素がかなり存在し、死亡率にかなり影響を与えていることがわかった。




Perioperative Use of Selective Serotonin Reuptake Inhibitors and Risks for Adverse Outcomes of Surgery
Andrew D. Auerbach, et. al.
JAMA Intern Med. 2013;():1-7.



【英国】糖尿病患者眼検診 ・・・検診効果認めるが、軽症例では頻度少なくすることも可能? 

年次眼検診をイギリスでは2008年以降取り入れてるそうだが、この研究にてプログラム4年間での網膜症検出の変化を推定したところ、糖尿病患者の眼疾患尤度年次減少がみられた。


32,340名の2型糖尿病患者で、2008−2011年までの記録

sight-threatening diabetic retinopathy (STDR)の頻度を推定


Changes in Detection of Retinopathy in Type 2 Diabetes in the First 4 Years of a Population-Based Diabetes Eye Screening Program Retrospective cohort study
Alice S. Forster, et. al.
Published online before print April 25, 2013, doi: 10.2337/dc13-0130
Diabetes Care April 25, 2013

16,621名の初回検診経験者のうち、STDR頻度は2008年 7.1%、2011年6.4%と減少。

糖尿病期間比率の初回検診1年未満割合は、2008年では18.7%、2011年48.6%

2度目以降の検診では26,308名

初回軽症非増殖性網膜症患者では、2度目以降のSTDR比率は、2008年 21.6%から、2011年8.4%まで減少(年次減少 -2.2% [95% CI -3.3 〜 -1.0%])

初回検診非網膜症では、STDRは 2008年 9.2%から2011年 3.2%と減少 (年次減少 , -1.8% [-2.0 〜 -1.7) p < 0.001

減少傾向は、社会住民統計サブグループ内で同様

結論:住民ベースの糖尿病眼検診導入後、STDRのリスク減少群での該当住民比率が増加し、2回目以降のSTDR同定比率減少した。

2013年4月27日土曜日

北インドの就学前児童へのビタミンAサプリメント投与:死亡率減少効果、駆虫剤は効果ほぼ無し

Vitamin A supplementation every 6 months with retinol in 1 million pre-school children in north India: DEVTA, a cluster-randomised trial
The Lancet, Volume 381, Issue 9876, Pages 1469 - 1477, 27 April 2013


北インドの就学前児童のビタミンA欠乏( retinol < 0 〜 70 μmol/L)例は多いらしく、1−6歳で2−3%が死亡している。

6ヶ月間のレチノールサプリメントコンプライアンス 86%と推定

5年間、チャイルドケアセンターあたりの1−6歳の子供の死亡は、レチノール群 3.01 vs 対照群 3.15
(絶対的減少率 0.14 [SE 0.11]、死亡率比 0.96, 95% CI, 0.89-1.03)

効果が無いという帰無仮説に反する、加重平均死亡率減少 11%(95% CI 5-16, p=0.00015)


もう一つは、駆虫剤の効果・・・こちらは否定的らしい

北インドの低体重就学前児童の死亡率減少介入
6ヶ月間
・ビタミンA (retinol capsule of 200 000 IU retinyl acetate in oil, to be cut and dripped into the child's mouth every 6 months)
アルベンダゾール (400 mg tablet every 6 months):駆虫剤
両者のall or none
ブロック毎に効果判定 (36 vs 36 clusters)

チャイルドケアセンターあたりの1−6歳児5年間死亡率は、 アルベンダゾール 3.00 (SE 0.07) vs 対照 3.16(SE 0.09)、差 0.16 (SE 0.11, 死亡率比 0.95, 95% CI 0.89-1.02, p=0.16)で、絶対的差は 2.5%程度 vs 対照 2.6%

Population deworming every 6 months with albendazole in 1 million pre-school children in north India: DEVTA, a cluster-randomised trial
The Lancet, Volume 381, Issue 9876, Pages 1478 - 1486, 27 April 2013

新型インフルエンザ(H1N1)2009ワクチンによるギランバレー症候群超過発生リスク ワクチン接種100万件に1.6例

Association between Guillain-Barré syndrome and influenza A (H1N1) 2009 monovalent inactivated vaccines in the USA: a meta-analysis
Daniel A Salmon,  et. al. , the H1N1 GBS Meta-Analysis Working Group
The Lancet, Volume 381, Issue 9876, Pages 1461 - 1468, 27 April 2013


約230万名の解析

プライマリ解析は、ギランバレー症候群/100万ワクチンあたりの超過リスク例

インフルエンザA (H1N1) 2009 単価ワクチンは、ギランバレー症候群の小程度のリスク増加と相関
発生比率比 2.35 ,95% CI 1.42-4.01 p=0.003

この知見では、ワクチン接種100万名あたり1.6例の超過リスクに相当

ギランバレー症候群も呼吸筋などへの影響する重篤例から、症例のほとんどである一過性軽度歩行障害程度まであるはずだが・・・


リスクは存在することはあきらかになった
ベネフィット/リスクに関しての評価の新材料という次第か・・・

2013年4月26日金曜日

集約的2D+3Dマンモグラフィー:検出率アップ・偽陽性減少


Integration of 3D digital mammography with tomosynthesis for population breast-cancer screening (STORM): a prospective comparison study
The Lancet Oncology, Early Online Publication, 25 April 2013

7292名 中央値58歳(IQR 54-53)の検診
乳がん 59名 (invasive 52名)

2D、integrated2D+3Dで39の眼検知

integrated 2D+3D 20 vs 2D 0 (p < 0.0001)

がん検出率 1000検診あたり 2D onlyでは  5.3 (95% CI 3.8-7.3) vs integrated 2D+3Dでは 8.1  (6.2 - 10.4)

integrated 2D+3Dマンモグラフィーにて、がん検出率増加は 1000検診にて 2.7(1.7-4.2)のがん

検診 396(5.5%; 95% CI 5.0-6.0)で、偽陽性reall
両検診読影181、2D only で141、integrated 2D+3Dで73
(p<0 .0001="" p="">
recall条件として、integrated 2D+3D陽性所見というお、条件付けrecallでは、17.2%ほど偽陽性を減少できるのではないかと推定




Vero細胞ベースインターフェロンワクチン承認へ

新製法の新型インフルワクチン承認へ 製造期間を短縮 (2013/4/25)
http://www.asahi.com/tech_science/update/0425/TKY201304250432.html

【阿部彰芳】新型インフルエンザに対応した新しい製法のワクチンが国内で初めて承認される見通しになった。厚生労働省の審議会が25日、バクスターと武田薬品工業の2製品を了承した。これまでのワクチン作りでは生きた鶏卵でウイルスを増やす必要があったが、この手法ではサルの細胞を使うことで製造期間を大幅に短縮できるという。  このワクチンは、H7N9など鳥インフルエンザが人から人へ感染するようになる事態を想定して作られた。今回はこれまでに見つかったウイルスを使っており、新型が発生すれば、そのウイルスで作って再度、承認申請する必要がある。ただ、一度審査を通っているので、次回以降は手続きが迅速になる利点があるという。


BAXTER AND TAKEDA COMPLETE AGREEMENT FOR VERO-CELL BASED INFLUENZA VACCINES IN JAPAN
http://www.takeda.com/news/2010/20101202_3809.html 

Vero cell-based influenza vaccine technology
ベロ細胞(アフリカミドリザルの腎臓上皮細胞で細胞培養によく用いられる細胞株)ベースのインフルエンザワクチン技術


マイクロキャリアとVero細胞を用いたインフルエンザワクチン製造
http://www.gelifesciences.co.jp/newsletter/downstream/ud_sup_vac.html




いまのyoutubeって、script表示(文字興し)してくれるんですね

ワクチン製造手順:卵との比較を下記 youtubeから・・・










【アレルギー】ピーナッツ大量摂取世帯ではピーナッツ蛋白抗原が大量に存在しピーナッツアレルギーと関連


乳児の環境、ピーナッツ大量摂取状況により、環境中のピーナッツ蛋白量増加させ、それが子供のピーナッツアレルギーに関係するという報告。



"Peanut protein in household dust is related to household peanut consumption and is biologically active"
Brough H, et al
J Allergy Clin Immunol 2013; DOI: 10.1016/j.jaci.2013.02.034.


乳児ベッド、crib rail、遊技場のピーナッツ蛋白環境と、HPC:household peanut consumption(戸別ピーナッツ消費量)の関連性に1−6ヶ月のダイア相関関係認められた。
多変量回帰解析にて、HPCは、乳児ベッドシーツや遊戯エリアでのピーナッツ蛋白レベルと相関
ピーナッツ蛋白高濃度粉じんサンプルは、ピーナッツアレルギーを持つ子供の好塩基球活性化に関し量依存的関連。


解説:http://www.medpagetoday.com/AllergyImmunology/Allergy/38688

乳児居宅環境下のピーナッツ蛋白濃度と、世帯的ピーナッツ消費量との関連を示した初めての報告


最も重要なところは、ピーナッツ蛋白レベルが、乳児のベッドの出すとに含まれていることで、単変量的に示されている。
・ 白人民族性 (Coefficient 1.748, P=0.030)
・ ピーナツアレルギーの家族歴の存在 (Coefficient -2.179, P=0.006)
・ 乳児就寝場所 (Coefficient 1.706, P=0.101)
・ 世帯的ピーナッツ消費量(Coefficient 0.733, P<0 .001="" p="">
多変量補正すると、世帯的ピーナッツ消費量のみが有意差残存

ベッド・ダストのピーナッツ蛋白の生物学的活性は、CD63+好塩基球の比率増加により確認され、これは1-10,000 ng/mlのピーナッツ蛋白濃度横断的にピーナッツアレルギー、アレルギー無しの子供横断的エビデンスであった。Veratox polyclonal peanut ELISA評価を広汎に用い、証明を強化している。


乳児が長く過ごすところで、飲食したり、食品を放置したりすることって、ピーナッツに限らず、好ましいことではないのかもしれない。

がんトライアル:メタアナリシス上のバイアスリスク




Can trial quality be reliably assessed from published reports of cancer trials: evaluation of risk of bias assessments in systematic reviews BMJ 2013; 346 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f1798 (Published 22 April 2013) Cite this as: BMJ 2013;346:f1798


【目的】メタ・アナリシス上のトライアル参入決定のために、出版報告ベースにしたrisk of bias assessment信頼性評価
【デザイン】Reliability evaluation of risk of bias assessments.
【デザインソース】13 published individual participant data (IPD) meta-analyses in cancer were used to source 95 randomised controlled trials.
【レビューメソッド】 Cochrane risk of bias tool (RevMan5.1) と不随ガイダンスによりRisk of bias 評価。IPD meta-analysisのための付加情報とともにレポート単独あるいはトライアルレポートからの情報を用い、 それぞれのトライアルで、評価をbiasドメインの個別リスクあるいは包括的リスク評価
比率合致率を個別ドメイン・包括的のため計算(low < 66%、fair 60%以上、good 90%以上)。2つのアプローチは合致率良好の場合のみ一致率信頼できると考える。
【結果】sequence generationと不完全アウトカムデータの2手法間の比率合致率はfair  (69.5% (95% confidence interval 60.2% to 78.7%) and 80.0% (72.0% to 88.0%), respectively).
しかし、比率一致率は、割り付け目隠し、アウトカム選別的報告、包括的バイアスリスクに関してはlow (48.4% (38.4% to 58.5%), 42.1% (32.2% to 52.0%), and 54.7% (44.7% to 64.7%), respectively)

付加情報は、個別度面全てにおいて評価不明比率を減少し、isk of biasとして評価されるトライアル数を増加させる (and therefore available for inclusion in meta-analyses) from 23 (23%) based on publications alone to 66 (66%) based on publications with additional information.

【結論】risk of bias評価のため、がんのトライアルだけを用いることは信頼性欠如につながる。レビューアはunclear riskとして評価されるトライアルの場合特に、トライアルのバイアスをそのまま用いることには十分配慮すべきである。  
トライアルリストからの付加情報は適切な評価を可能にし、risk of biasを減少・克服することとなる。さらに、ガイダンスとして、バイアスのリスク構成成分に関して明瞭に、特に、主観的ドメインに関しては特に注意を払う。


がんとは、直接関係ないが、漢方の治験なんて、症状から効果判定まで、主観だらけ・・・あんなのでメタアナリシスなんて・・・

【1型・2型糖尿病】betatrophin:β細胞回復の可能性 ・・・ 創薬への期待

betatrophin は、膵臓のβ細胞消失あるいは無効となった糖尿病状態の細胞増殖のトリガーとなる可能性

Betatrophin: A Hormone that Controls Pancreatic β Cell Proliferation
Cell, 25 April 2013


インスリン産生膵臓β細胞のmassを再補充することは、1型・2型糖尿病ともベネフィットとなるだろう。成人において、膵臓β細胞は主に自己複製されている。
この実験では、粋β細胞増殖・粋β細胞massの拡大を誘導するインスリン抵抗性マウスモデルで、betatrophinというホルモン、主に肝臓や脂肪細胞で発現するホルモンを同定した。betatrophinの発現はインスリン抵抗性高齢または妊娠マウスモデルでもβ細胞増殖と関連した。betatrophin一過性発現はマウス肝臓において有意に、特異的に膵臓のβ細胞増殖、β細胞mass拡大、そして、耐糖性を改善した。
故に、betatrophin治療は、インスリン注射に代わり、内因性インスリン細胞増殖細胞数を糖尿病患者で増加させる可能性がある。




2013年4月25日木曜日

鍼治療後ケブネル現象

鍼治療後ケブネル現象


Psoriasis Flare from Koebner's Phenomenon after Acupuncture
Jashin J. Wu, M.D., and Caroline Caperton, M.D., M.S.P.H.
N Engl J Med 2013; 368:1635April 25, 2013



糖尿病治療への効果・心機能への効果あり:極端でない「低炭水化物」ダイエット (vs 「低脂肪」ダイエット)

極端でない低炭水化物ダイエット (炭水化物 25%、脂肪 45%、蛋白 30%)、低脂肪ダイエット(炭水化物 55%、脂肪 25%、蛋白 20%)比較

糖尿病治療薬への好効果と心筋機能の評価を含む影響

低脂肪食先行でもある程度効果はあるが、E'(=early diastolic myocardial velocity by tissue-Doppler echocardiography)への影響は出現しない。低炭水化物食だと左室拡張機能の一指標への好影響があるということも・・・

von Bibra H, Wulf G, Pfützner A, Schumm-Draeger P-M. A low glycemic/insulinemic diet improves diastolic cardiac function and metabolic syndrome more than the traditional low-fat diet in overweight patients with type 2 diabetes. Prediabetes and the Metabolic Syndrome 2013 Congress; April 19, 2013; Vienna, Austria. Abstract 852.

heartwire: http://www.theheart.org/article/1531861.do#bib_1


低炭水化物ダイエットを従来推奨の低脂肪食と比較し、インスリン・血糖カーブの平坦化させ、経口血糖降下剤服用減少し、収縮期・拡張期血圧減少ということをねらっていた。
低脂肪食では、拡張期機能、薬物、血圧への明らかな影響認めず
32名の心血管疾患なしの過体重・肥満糖尿病患者(BMI平均 34)
減量のためのリハビリテーションプログラム、好気的運動のスーパーバイズ2時間を含む
それに、
・low-glycemic diet (炭水化物 25%、脂肪 45%、蛋白 30%)
・low-fat diet (炭水化物 55%、脂肪 25%、蛋白 20%)
最初、low-glycemic diet と low-fat dietを半分し、3週間行い、その後low-fat dietはlow-glycemic diet2週間追加

全てカロリー等価
エコーによる心機能、メタボリックパラメータを、400k-cal朝食前後比較
ベースラインから3週まで、low-carb dietでは、通常の経口血糖降下剤86%減少
3週間めの終了時点で、low-fat dietではわずか6%のみ、しかし、2週間のlow-glycemic diet終了時点では57%まで減量。
low-glycemic-diet群では、3週後、平均収縮期血圧は127 mmHg → 118 mm Hgへ減少し、拡張期血圧も減少 (p < 0.04)
low-fat-diet群では、どちらも減少せず
しかしながら、low-glycemicも、low=fatも同方向の影響。

初回食事
低炭水化物
TG          150 → 111 p < 0.005
食後血糖  141 → 125 p < 0.04
E' (cm/s) 9.5 → 10.4 p < 0.03

低脂肪
TG           208 → 194 → 138 (低炭水化物へ交叉2週後) < 0.003 vs < 0.0004 vs baseline
食後血糖   168  → 137 → 127(低炭水化物へ交叉2週後   < 0.008 vs baseline
E' (cm/s)  10.8 → 10.7 → 11.4 (低炭水化物へ交叉2週後   < 0.02 vs 3wk

拡張期機能増加は血圧減少とは独立した影響で、low-glycemic dietによる心筋エネルギー利用効率改善のためではないかと発表者推定。
インスリン抵抗性はいくつかの機序で拡張機能障害に導くが、微少血管機能調整障害やミトコンドリアのブドウ糖・脂肪酸化のバランス欠如による心筋エネルギー欠乏が大きな影響を示すと考えているらしい。


PROBE法に頼り切り・製薬会社におんぶにだっこという上にねつ造醜聞(*, *)まで生じた日本の臨床研究・・・臨床研究全般への信頼性欠如とともに、糖尿病診療に限れば、ACCORD研究など、積極治療が良いといいながら真逆の結果が出てき糖尿病診療を間違った方向で指導してきた糖尿病専門家の言ってることってホントに正しいの・・・単に糖化ヘモグロビン改善して喜んでるオナニーじゃないの・・・ってことで、いざというときの説得力を無くしている、某糖尿病学会のおえらいさんたちがいまさら、「極端な」低炭水化物ダイエットに対し警告しているが、マスメディアから無視されている情けない現状。

事件例だが、極端な低炭水化物ダイエットで、自家中毒・尿中ケトン出現例を経験した。やはり極端から極端に走る人が居るわけで警告は重要だとは思うのだが・・・


重度精神疾患でも、行動的減量介入有効




重篤なメンタル疾患の場合、肥満・過体重が多い。にも関わらず、減量トライアルで除外されている。ライフスタイル修正介入によるadaptationにとって必要なはず。
18ヶ月テーラー化行動的減量介入を重篤な精神疾患成人に行ったもの。

ランダム割り付け・グループ対照治験

被検総数 291名、統合失調症・統合失調感情障害 58.1%、22.0%が双極性障害、12%が大うつ

A Behavioral Weight-Loss Intervention in Persons with Serious Mental Illness
Gail L. Daumit, et. al.
N Engl J Med 2013; 368:1594-1602


ベースラインでのBMI 36.3、平均体重102.7kg
279名の被験者で18ヶ月データ入手
介入群体重減少は徐々に生じ、対照群と有意な差が、どのフォローアップ時点でも生じている。
18ヶ月時点で、群間差平均(介入群ー対照群の差)は -3.2 kg (p=0.002)
介入群37.8%で5%以上の初期体重からの減量し、対照群は22.7%であった (p=0.009)

副事象群間差認めず


介入群は、基礎概念として、社会認知行動療法自己管理理論に基づく、スキル構築・環境的サポートの精神疾患リハビリテーション基本概念とともに施行

Bandura A, ed. Social foundations of thought and action: a social cognitive theory. Englewood Cliffs, NJ: Prentice-Hall, 1986.
記憶障害、実行機能障害に着眼したテーラー化したやりかたの構築、情報を小分けにして、繰り返す方法論など工夫をおもなったもの


肥満介入だけじゃなく、喫煙への介入も検討してほしい
ただ、かなりの手間がいるようで、公費などの検討のための、コスト効果分析が必要だろう。

腸内細菌による代謝産物TMAOと動脈硬化疾患:重大心血管疾患リスクの9%弱関連

腸内細菌が動脈硬化に重要な働きをすることは確かで、食事性レシチンの代謝経路に関して実験的研究・観察研究からその役割が明らかになった。

動脈硬化関連trimethylamine-N-oxide (TMAO)は腸内細菌に依存して放出され、それが抗生剤により抑制されること、そして、その後細菌が復活することで再び増加するという現象。そして、実際に心血管イベントリスクの高い群で、TMAO濃度がその後の重大心血管イベントと相関するという現象を示した報告。

このTMAO濃度は、従来のリスク要素の8.6%ほどの影響要素と推定されるとのこと

コレステロールや、中性脂肪、血糖などと同様、測定し、動脈硬化関連要素として確立し、コントロールすべきかどうか・・・

Intestinal Microbial Metabolism of Phosphatidylcholine and Cardiovascular Risk
W.H. Wilson Tang, et. al.
N Engl J Med 2013; 368:1575-1584

【背景】最近の動物実験研究によると、食事由来phosphatidylcholine(レシチン)中のコリン部分の腸内微生物代謝と、冠動脈疾患とに、動脈硬化促進代謝産物であるTMAO(trimethylamine-N-oxide)を通したメカニズムリンクが示されている。
食事性phosphatidylcholine、TMAO価の腸内微生物依存的代謝と心血管イベントについての関連性をヒトで調査
【方法】血中・尿中TMAO、血中コリン・ベタイン値を、 liquid chromatography とonline tandem mass spectrometryにて、phosphatidylcholine暴露(2つの固ゆで卵摂取と、重水素[d9]標識phosphatidylcholine)後測定
健康被験者に広域スペクトラム抗生物質投与後、腸内微生物抑制前後で測定
空腹時TMAO濃度と、重大副事象イベント(死亡、心筋梗塞、卒中)を4007名の待機的冠動脈血管再建施行患者の3年フォローアップで検討
【結果】phosphatidylcholine暴露後、TMAOとd9 isotopologue、コリン代謝産物が時間依存的に増加
TMAOの血中濃度は抗生剤投与後劇的に抑制され、そして抗生剤中断後再出現
TMAO血中濃度増加は重大心血管イベントの増加と相関(TMAO4分位最大・最小比較ハザード比 2.54; 95% 信頼区間, 1.96-3.28; p < 0.001)
従来のリスク要素補正後、TMAO濃度増加は重大心血管イベントリスク増加と相関(p < 0.001)し、低リスクサブグループでも同様。
【結論】食事性phosphatidylcholineからのTMAO産生は腸内細菌代謝に依存する。
TMAO濃度は、重大心血管イベントリスク増加と相関する。
(NIHなどからの研究資金)



腸内細菌ということで、ステマなどで暗躍する乳酸菌飲料会社が変な宣伝しないことを祈る。・・・ まぁ無理だろうけど・・・

RCTなどせずにopen-labelレベルなのにR−1がインフルエンザ抑制したとか「人間の起源は腸」とかアホか・・・「原腸≠腸」のミスリードばかり・・・の、インチキ会社が多い

この場合、腸内細菌が悪さをしてるわけだけど、「Y乳業のなんたらをのめば【悪玉】腸内細菌を・・・」と水戸黄門ばりの頭の悪い日本人が好む「勧善懲悪」をばい菌にあてはめる宣伝をしそうだ・・・

2013年4月24日水曜日

関節リウマチ関連間質性肺疾患の要素 ・・・ &  IIPs: ATS/ERS 2013


下記IIPsの分類の話を聞くと、そんなにRA関連肺疾患って単純だったっけ?・・・という気分に・・・ 気道系病変を加えるともっと複雑なはずだが・・・かなりクリアカットな話
British Society for Rheumatology
Kelly C, et al "RA-related interstitial lung disease: which factors predict its development?" BSR 2013; Abstract 53.
Kelly C "RA-related interstitial lung disease: survival trends over 25 years" BSR 2013; Abstract 54.



http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/BSR/38636

肺疾患のリスク要素研究のため、Kellyのグループは、1987−2012年関節リウマチ患者・肺疾患患者のデータ集計。110名男性で、発症年齢は64歳。82%の症例で、肺疾患前にRAの関節症状。10%では肺症状から始まり、残りは、肺疾患・関節疾患同時発症。
間質性肺炎男性では女性より多く(75% vs 60%, p=0.02)、喫煙pack-years多いほど有意(35 vs 20, p=0.01)。
RAの年齢・性別マッチ化対照・臨床症状・レントゲンエビデンスない患者において、喫煙はかなり少なく、pack-yearsは喫煙者間でも少ない(p = 0.03)

関節リウマチ(RA)の患者の間質性肺疾患発症リスク要素は、男性・喫煙・血清反応陽性
女性が大幅に多いRA患者全般と異なり、間質性肺疾患発症RAの半数が男性というのが特徴的

加え、肺疾患全患者全員で過去喫煙・現行喫煙、RAのうち60%が過去喫煙・現行喫煙であると、ポスターセッションで報告。

血清反応陽性は肺疾患患者で多く、RA因子陽性 89%、抗CCP抗体陽性 94%
対して、対照群はリウマチ因子陽性 58%(p = 0.01)、抗CCP抗体陽性 55% (p = 0.006)

抗CCP抗体価中央値は非常に高く、肺疾患ありで 180 U/mL、肺疾患無しで 78 U/mL
(p = 0.02)

遺伝的感受性患者において、喫煙が肺の部位特異的シトルリン化沈着と関連する可能性が有り、早期RAでの抗CCP抗体の関与が考えられると説明
加え、肺疾患は以前の研究より若年発症が多い。

間質性肺疾患はRAの増加し続ける合併症で、RA患者の死亡6%に関与

死亡率のサブグループ解析では、230名で、73名死亡。
間質性肺疾患発症は増加しているが、死亡率は低下し、高齢発症が増加している。
例えば、1987年-1993年 では、肺原因死亡は肺疾患患者の67%で、中央値63歳。
2006年-2012年では、間質性肺疾患死亡比率は30%と低下し、死亡時年齢中央値は76(両比較 p< 0.01)

シクロホスファミドのような古典的免疫抑制剤の早期使用、mycophenolate mofetil (CellCept)やrituximab(Rituxan)などの新しい薬剤使用の広がりがこの原因かもしれない。



<原稿らしい・・・呼吸器学会総会のメモ>
ATS/ERS 2013

○major IIPs
i)   IPF
ii)  INSIP
III) RB-ILD :喫煙関連が多い:膜性および呼吸細気管支の粘膜下炎症を特徴
iv) DIP:喫煙関連が多い:
v)  COP :CTのreverse なんちゃらかんちゃら所見、アジアのみ特異的に目立ってる?
vi) AIP  :ARDSとは区別しろとのこと

○Rare IIPs
i)  idiopathic LIP
ii) IPPFE: 特発性上葉優位型肺線維症(ref. 網谷病)

○Unclassifiable interstitial pneumonias

○Rare histologic pattern
i)   AFOP : Acute Fibrinous Organizing Pneumonia → 病理基準:"fibrin balls within alveolar spaces":patchyな分布のorganizig pneumonia COP・ ;膠原病性肺疾患との鑑別
II)  Bronchilicentric patterns of interstitial pneumonia
iii) Airway centered interstitial fibrosis
iV) Bronchiolocentric interstitial pneumonia
V)  Peribronchiolar metaplasia ILD






病理と無関係の臨床病型の存在
HRCTパターンを追ってもIPF/NSIP混在
CT・IPFパターン純粋型はやはり信頼性高い
DLco:年間15%減少は進行性と再現性有り

AACE:糖尿病包括的マネージメントアルゴリズム

昨年発表の American Diabetes Association (ADA) European Association for the Study of Diabetes (EASD)ステートメント


Management of Hyperglycemia in Type 2 Diabetes: A Patient-Centered Approach Position Statement of the American Diabetes Association (ADA) and the European Association for the Study of Diabetes (EASD)
Diabetes Care June 2012 vol. 35 no. 6 1364-1379
個別化、患者中心的アプローチをと、ADA/EASDのガイダンス



American Association of Clinical Endocrinologists (AACE)は、アルゴリズムベース・モデルを維持しつつ、テーラー化アプローチを要求
年齢や併発症など患者特性を考慮しつつ、FDA証人薬剤の全てのクラスを含むアルゴリズムを提供。

AACE Comprehensive Diabetes Management Algorithm
https://www.aace.com/files/glycemic-control-algorithm.pdf




2型糖尿病治療のテーラー化 アプローチのための推奨



【単剤】メトホルミン、GLP-1、DPP4阻害剤、αグルコシダーゼ阻害剤を最小リスク第一選択としながら、単剤治療でのSGL-2薬剤、チアゾリジン、SU剤使用を十分な注意必要な薬剤とした。

【2剤】Colesevelam (Welchol:胆汁吸着薬剤) や bromocriptine (Cycloset) に加えて、メトホルミンや他の単剤リストのうち緑色のものを追加する。繰り返すが、SGLT-2、チアゾリジン系とSU剤は特段に注意を必要と記載。

インクレチンは、膵炎、膵腫瘍の副作用報告にかかわらず、評価された。
GLP-1アゴニスト、DPP4阻害剤は、いまのところ、膵疾患との関連性に説得力無しという判断。

Garberはべーリンガーとの関連あり


ブロモクリプチンはインスリン感受性促進作用(解説;Bromocriptine mesylate: FDA-approved novel treatment for type-2 diabetes Indian J. Pharm. 2009 ;41 (4) 197-198 :心血管系リスク増加させないFDA新基準の承認薬剤として重要)

Colesevelamに関しては、メトホルミンに追加で改善
Colesevelam lowers glucose and lipid levels in type 2 diabetes: the clinical evidence Diabetes Obes Metab. 2010 May; 12(5): 384–392.


C型肝炎新規薬剤 : sofosbuvir

NS5Bポリメラーゼ阻害剤:sofosbuvirの2つのトライアル

・open-label単一群試験では、sofsbuvir+ペグインターフェロンα-2a治療により、genotype 1、4は、12週後持続的ウィルス消失率(SVR)は90%に及ぶ
・非劣性トライアルでは、genotype 2、3感染で、sofosbuvir+rivabirin vs PegINFα-2a+ribavivinではほぼSVR同程度



Sofosbuvir for Previously Untreated Chronic Hepatitis C Infection
Eric Lawitz, et. al.
April 23, 2013DOI: 10.1056/NEJMoa1214853

HCV感染未治療患者のpIII研究2つ
A)1群open-label研究で、genotype 1、4、5、6患者の12週間のsofsbuvir+PegINFα-2a、リバビリンの比較(genotype 1と4が98%)
B)非劣性トライアルでは、499名のHCV genotype 2、3感染者
ランダム化割り付けで、sofosbuvir+ribavirin12週間と、PegINFα-2a+ribavirin24週間
ともに、プライマリエンドポイントは、治療終了後12週後SVR
結果:
A) 1群研究では、SVR 90%(95% 信頼区間, 87-93)
B) 非劣性トライアルでは、SVRは両群(sofosbuvir–ribavirin group 、peginterferon–ribavirin group)とも67%
sofosbuvir-ribavirin群奏功率は、genotype 2より genotype 3感染で低い( 56% vs 97%)
副作用(疲労、吐気、好中球減少)は、ペグインターフェロン群よりsofsbuvirで少ない。

解説
http://health.usnews.com/health-news/news/articles/2013/04/23/experimental-drug-for-hepatitis-c-promising-studies-show

心臓手術時以外:非血管外科手術でのβ遮断剤周術投与の総死亡率減少・心臓合併症減少

非心臓手術例での周術的β遮断剤使用の効果はまだ未確定であった
 e.g. 非心臓手術時β遮断剤の予防投薬は支持できない:メタ・アナリシス 2008年 11月 12日

非心臓手術例での30日術後アウトカムを後顧的コホート解析(症例 136,745名、マッチ化対照 37,805の 1:1propensity scoreマッチ化)で検討結果

非心臓手術・非血管手術propensity-マッチ化患者において、 Revised Cardiac Risk Index factor2つ以上の場合、周術的β遮断剤服用は30日めの全原因死亡率低下と関連

Lee, T. H.; Marcantonio, E. R.; Mangione, C. M.; Thomas, E. J.; Polanczyk, C. A.; Cook, E. F.; Sugarbaker, D. J.; Donaldson, M. C. et al. (1999). "Derivation and prospective validation of a simple index for prediction of cardiac risk of major noncardiac surgery". Circulation 100 (10): 1043–1049.

この知見で、Revised Cardiac Risk Indexの累積指数を使用した意思決定の有用性、そしてβ遮断剤の周術使用の正当化が示唆された。多施設ランダム化トライアルにて、低・中間リスクでの患者についてこの結果に注視した評価が望まれる。


Association of Perioperative β-Blockade With Mortality and Cardiovascular Morbidity Following Major Noncardiac Surgery
Martin J. London, et. al.
JAMA. 2013;309(16):1704-1713.

104の在郷軍人医療センター(2005年1月から2010年8月)
主要アウトカム測定:全原因30日死亡率と心臓合併症(心停止 or Q波心筋梗塞)
結果:
全体的に、55,138名(40.3%)で、β遮断剤暴露
ベータ遮断剤暴露状況は、血管手術では66.7%(13,863名)、非血管手術では37.4%(122,882)と、血管手術で多い  (95% CI, 37.1%-37.6%; P < .001)
Revised Cardiac Risk Index要素数増加、4つ以上のリスク要素の場合は、リスク無しに比べ、ベータ遮断剤暴露数が多い(71.3% (95% CI, 69.5%-73.2%) vs  25.3% (95% CI, 24.9%-25.6%) ) (P < .001)

死亡は1.1%(95% CI, 1.1%-1.2%)、心臓合併症は 0.9%(95% CI, 0.8%-0.9%)
propensityマッチ化コホートにおいて、暴露にて、死亡率低下と関連(相対リスク [RR], 0.73; 95% CI, 0.65-0.83; P < .001; number need to treat [NNT], 241; 95% CI, 173-397)
Revised Cardiac Risk Index 要素数累積増加層別化にて、β遮断剤暴露は・・・
2要素数 RR, 0.63 [95% CI, 0.50-0.80]; P < .001; NNT, 105 [95% CI, 69-212]
3要素数 RR, 0.54 [95% CI, 0.39-0.73]; P < .001; NNT, 41 [95% CI, 28-80]
4要素数以上 RR, 0.40 [95% CI, 0.25-0.73]; P < .001; NNT, 18 [95% CI, 12-34]
この相関は、非血管系手術限定的
β遮断剤暴露は、非Q波心筋梗塞・心停止発生率低下とも関連 (RR, 0.67 [95% CI, 0.57-0.79]; P < .001; NNT, 339 [95% CI, 240-582])し、これも非血管手術限定的知見





小児期髄膜炎による成人生活への影響:肺炎球菌・インフルエンザ桿菌

デンマーク住民において、小児期の細菌性髄膜炎は、成人での教育達成レベルや経済自立度と関連。特に、肺炎球菌による髄膜炎、インフルエンザ桿菌による髄膜炎では、成人期における教育到達度・経済自立度関連性の影響をみとめる。ただ、髄膜炎菌性髄膜炎での関連性は家族関連要素が大きい。


Educational Achievement and Economic Self-sufficiency in Adults After Childhood Bacterial Meningitis
Casper Roed, et. al.
JAMA. 2013;309(16):1714-1721. 


 この種のワクチンへの公費負担の根拠にもなる。

母体出生前バルプロ酸塩暴露:自閉症スペクトラム障害・自閉症リスク増加

出生前母体バルプロ酸塩暴露による小児へのASD(自閉症スペクトラム障害)と自閉症発症リスク

Prenatal Valproate Exposure and Risk of Autism Spectrum Disorders and Childhood Autism
Jakob Christensen, et. al.
JAMA. 2013;309(16):1696-1703. 


1996−2006年のデンマークの生下誕生・住民ベース研究

誕生655,615名のうち、ASD 5437、うち、小児自閉症 2067
フォローアップ終了時小児平均年齢8.84(range 4-14, 中央値 8.85)歳

14年フォローアップ推定絶対リスク
ASD 1.53%(95% CI, 1.47%-1.58%)
小児自閉症 0.48%(95% CI, 0.46%-0.51%)

包括的には、バルプロ酸塩暴露小児508名の絶対リスク
ASD 4.42%(95% CI, 2.59%-7.46%)
小児自閉症 2.50%(95% CI, 1.30%-4.81%)
(補正 HR, 5.2 [95% CI, 2.7-10.0])

てんかん女性の子供6584名コホート限定すると、絶対的リスク

・バルプロ酸塩暴露 432名
ASD 431名 4.15%(95% CI, 2.20%-7.81%)
(補正HR, 1.7 [95% CI, 0.93-3.2])
小児自閉症 2.95%(95% CI, 1.42%-6.11%)
(補正HR, 2.9 [95% CI, 1.4-6.0])

vs
・バルプロ酸塩非暴露 6152名
ASD 2.44% (95% CI, 1.88%-3.16%)
小児自閉症 1.02% (95% CI, 0.70%-1.49%)



改定した方が良いのでは・・・

デパケン(バルプロ酸ナトリウム):添付文書 
妊婦、産婦、授乳婦等への投与


1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[二分脊椎児を出産した母親の中に、本剤の成分を妊娠初期に投与された例が対照群より多いとの疫学的調査報告があり、また、本剤の成分を投与された母親に、心室中隔欠損等の心奇形や多指症、口蓋裂、尿道下裂等の外表奇形、その他の奇形を有する児を出産したとの報告がある。また、特有の顔貌(前頭部突出、両眼離開、鼻根偏平、浅く長い人中溝、薄い口唇等)を有する児を出産したとする報告がみられる。]
2.
妊娠中にやむを得ず本剤を投与する場合には、可能な限り単剤投与することが望ましい。[他の抗てんかん剤(特にカルバマゼピン)と併用して投与された患者の中に、奇形を有する児を出産した例が本剤単独投与群と比較して多いとの疫学的調査報告がある。]
3.
妊娠中の投与により、新生児に呼吸障害、肝障害、低フィブリノーゲン血症等があらわれることがある。
4.
妊娠中の投与により、新生児に低血糖、退薬症候(神経過敏、過緊張、痙攣、嘔吐)があらわれるとの報告がある。
5.
動物実験(マウス)で、本剤が葉酸代謝を阻害し、新生児の先天性奇形に関与する可能性があるとの報告がある。
6.
授乳婦に投与する場合には授乳を避けさせること。[ヒト母乳中へ移行することがある。]






2013年4月23日火曜日

Mediterranean diet もまた開発途上にあり ・・・ 「健康日本21」運動で失敗に終わった日本の次の食事施策は?

食事ってのは、民族的な嗜好、入手しやすい食品の影響が大きく、薬物療法のように、西洋でのエビデンスを和訳して、ガイドラインって訳にいかないだろう。基本概念はパクれるだろうが・・・

日本の食習慣は特殊で、次第にそれも西洋化しているわけだが、欧州でも変化が見られるようだ。地中海の伝統料理であるオリーブオイルが健康への好影響エビデンス広まってきているが、地中海諸国でも伝統食比率が減少していると解説記事に書かれている。1960年代はギリシャではエネルギー(カロリー)摂取の40%が脂質由来で、主に、オリーブオイルという特殊な状況であったらしい。ちなみに、スペインのランダム化トライアル(Estruch R, et al "Primary prevention of cardiovascular disease with a Mediterranean diet" N Engl J Med 2013; 368 1279-1290)でも、高リスク対照群における心血管イベントオリーブオイル・ナッツ類による健康効果が同様に示されている。




EuroPRevent meetingの解説記事
http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/EuroPRevent/38621


European Association for Cardiovascular Prevention and Rehabilitation's EuroPRevent meeting

Mediterranean dietの平均値らしい
・Dairy products: 165 g for men and 200 g for women 
・Fruit: 140 g for men and 125 g for women
・Vegetables: 125 g for men and 140 for women
・Cereals: 130 g for men and 125 g for women
・Meat: 70 g for men and women
・Fish: 20 g for men and 25 g for women
・Legumes: 10 g for men and women
対象者290万名になる、41の前向き一次予防トライアルのメタアナリシスにて、adherence score増加にてい、包括的死亡率9%減少 (ハザード比 0.91, 95% CI 0.89 〜 0.93)、心血管疾患11%減少 (HR 0.89, 95% CI 0.86 〜 0.92)、悪性腫瘍疾患5%(HR 0.95, 95% CI 0.93 〜 0.97)減少が示されている。
しかし、Francesco Sofi (MD, PhD, of the University of Florence, Italy)は、食事摂取量中央値にが研究毎にrange広く、例えば、野菜でも、60g/日から640g/日までばらつき、legumesにおいては、8g/日から75g/日と幅広い。オリーブオイル、ナッツ、ワインなどは平均値データ不足している。


Antonia Trichopoulou (MD, PhD, of the University of Athens and the World Health Organization Collaborating Center for Food and Nutrition Policies)は、別セッションで、成分についての解析を行っている。2009年BMJでの EPIC cohort 研究で、成分毎の死亡率への影響が示されている。
・最大のものはアルコール中等量摂取で、24%もの影響
・肉・肉製品 17%
・野菜 16%
・フルーツ・ナッツ 11%
・単鎖不飽和脂肪酸/飽和脂肪酸比率 11%
・legume高度摂取 10%




DASH dietといのは、米国主体で、本来高血圧にフォーカスしたものでナトリウム2.3g/日、さらには1.5g/日でさらなる降圧効果をもたらす目的であった。他に、カリウム豊富な食事、例えば、果物、野菜を含む食事を推奨している。
http://www.nhlbi.nih.gov/health/health-topics/topics/dash/

名称から、"Dietary Approaches to Stop Hypertension"なのだから、当たり前

DASH食を理想とするなら、「米国人が目指す方向性は日本食」なんて嘘で、塩分制限に関しては、味噌・醤油・塩を基本とする伝統的日本食は悪の見本みたいなものだろう。

"A Diet for All Disease"として拡大され、減量ダイエットとしても組み入れられてきているが、そのエビデンス構築はpoorと言わざる得ない
Weight loss in individuals with metabolic syndrome given DASH diet counseling when provided a low sodium vegetable juice: a randomized controlled trial Nutrition Journal 2010, 9:8 

対して、欧州の伝統的文化主体の、Mediterranean Dietが健康食として注目されているが、食事の正確な定義とベネフィットは未だ途上中


DASHダイエットをまねするか、地中海食もどきに改変するか・・・日本の健康食モデル化はさらにその前の段階。
「健康日本21」の最終評価が平成23年(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001r5gc-att/2r9852000001r5np.pdf)行われたが、



変わらない項目23.7%(14 項目)で、その主なものは、自殺者の減尐、多量に飲酒する人の減尐、メタボリックシンドロームの該当者・予備群の減 尐、高脂血症の減尐などであった。さらに、悪化している項目は 15.3%(9 項目)で、その主なものは、日常生活における歩数の増加、糖尿病合併症の 減尐などであった。

「健康日本21」運動は結果として失敗に終わってる。

そういえば、この国民的キャンペーン失敗について、報道されてるの見聞きしたことないなぁ・・・ 天下り団体はそのままで・・資格商売続けてるようだし・・・ この国って、科学的エビデンス構築とその応用に関して無関心すぎる。そして、無駄な組織を放置しすぎ


検査値段を提示するとこで、検査回数は若干減少するが、オーダーそのものは増加

検査値段を患者提示することで、検査オーダー回数は若干増加し、検査回数そのものは若干減少する・・・医療費負担側から見れば当たり前だとなるのだろうが、医療側から見れば、オーダー担当者の苦労が忍ばれる結果。


Medicareベース、6ヶ月間のベースライン後、積極的検査値段提示群 vs 非提示群で比較
介入期間6ヶ月

検査コストを提示することで、検査回数 3.72回 → 3.40回/患者・日減少 (8.59% : 95%CI -8.99% 〜 -8.19%)、オーダリングは、1.15 →1.22回/患者・日増加( 5.64% ; 95%CI 4.90% 〜 6.39%)した。

Impact of Providing Fee Data on Laboratory Test Ordering A Controlled Clinical Trial
Leonard S. Feldman, et. al.
JAMA Intern Med. 2013;():1-6


あたらしい老人医療:専門チーム派遣型サービス MACE


MACEって、新しいケアモデルで、入院老人患者に対して専門ケアを提供するようで剤された、多職種チームという紹介だが、なんのことかわからない
これを見ると、Unit based careとの対比的存在としてのmobile ACE(MACE)ということらしい。

ひらたく説明すると、ここによれば・・・
患者をACE unitに移送するのではなく、老人医療に焦点を当てたチームベースの医療を提供するもの

前向きマッチ化コホート

Evaluation of the Mobile Acute Care of the Elderly (MACE) Service
William W. Hung, et. al.
JAMA Intern Med. 2013;():1-7

マッチ化患者総数 173名
平均(SD)年齢  MACE 85.2 (5.3) 歳 vs  対照 84.7 (5.4)歳
共役要素補正後、MACE群では、副事象イベント減少 (9.5% vs 17.0%; 補正オッズ比, 0.11; 95% CI, 0.01-0.88; P = .04) し、入院期間短縮 (0.8 日間, 95% CI, 0.7-0.9; P = .001)

MACE群患者は、30日間再入院頻度低下(オッズ比, 0.91; 95% CI, 0.39-2.10; P = .83). 

機能状態は2群で差を認めず

Care Transition Measure scoreは、MACE群が 7.4 point高い (95% CI, 2.9-11.9; P = .001) 



PM2.5、騒音とも、動脈硬化リスクと関連

Press Release
http://www.escardio.org/about/press/press-releases/pr-13/Pages/exposure-fine-particles-traffic-pollution-increased-risk-heart-disease.aspx



デンマークの大規模前向きコホートで、交通騒音は、心筋梗塞リスクに関し、騒音10デシベル毎12%ほどリスク増加するという報告。
Sørensen M, Andersen ZJ, Nordsborg RB et al. Road traffic noise and incident myocardial infarction: a prospective cohort study. PLOS One 2012; doi: 10.1371/journal.pone.0039283.

EuroPReventで 新しい研究結果発表。

"German Heinz Nixdorf Recall Study"では、交通大気汚染からのPM大気汚染暴露長期もまた、交通騒音と独立して動脈硬化と関連性を示した。
4814名、平均年齢60歳の住民ベースコホート、交通量の多い道路近傍を公式道路地図で計算し、chemistry transport modelで推定、胸部大動脈の血管石灰化、TACなどの臨床前動脈硬化を評価。
結果、PM2.5と主要道路近傍では大動脈石化化と相関
PM2.5量増加毎、石灰化程度 20.7%増加、交通量の多い道路近傍100m内では10%ほど増加
夜間の騒音では、TACに関して有意差境界的に増加(5 dB毎 3.2%増加)
騒音とPM2.5の相関性は互いに修飾なし
Kaelsch H, Hennig F, Moebus S, et al. Is urban particulate air pollution or road traffic noise responsible for the association of traffic proximity with subclinical atherosclerosis? Results from the Heinz Nixdorf Recall Study. Presented at EuroPRevent 2013 Poster presentation P307.



大気汚染:PM2.5、PM10、NO2長期暴露と、卒中発症、心血管疾患死亡との関連  2011年 10月 03日

大気汚染(粒子状物質PM10)と肺がんの関連2011年 10月 30日

微小粒子状物質 PM2.5と入院の関係2009年 06月 05日

大気中微小粒子状物質対策で、住民5ヶ月余命延長2009年 01月 22日

北京大気汚染問題 2013/02/16

2013年4月22日月曜日

メンタル脆弱性:致死性・非致死性心血管イベントの独立した要素

Mental vulnerability associated with increased risk of fatal and non-fatal cardiovascular disease independently of classical risk factors
Prevent
EuroPRevent 2013 congress Press Release


メンタル脆弱性:“mental vulnerability”の定義 は、"a tendency to experience psychosomatic symptoms or inadequate interpersonal reactions"とうことで、心気的傾向もしくは、対人不適応状態傾向


3つのデンマーク前向きコホート、1万1千名、15.9年の平均フォローアップ

致死性心血管・非致死性心血管イベント 3045 ( 10,943)

mental bulnerabilityは、有意にこの2つの複合指標において古典的リスク要素と独立したリスク要素として認められ、36%ほどハザード比高値  (HR, 1.366; 1.208 - 1.545)

娯楽の運動と、仕事上の運動では心血管・脳血管イベント影響が異なる可能性



EuroPrevent 2013

これのPress Release → http://www.escardio.org/about/press/press-releases/pr-13/Pages/welcome.aspx


すでに日々の仕事で身体活動おこなってる人では、レジャータイムの運動を追加することは、トレーニング効果を意味せず、むしろ心血管系への過負担となるのかもしれないという報告。

職業的労作による運動では聞いて奇異現象存在する


Demosthenes Panagiotakosらの報告は、初回卒中連続250名、初回冠動脈イベント250名の患者と、同等性マッチ化された対照500名の症例対照研究
寄与要素補正後、身体活動必要な仕事が少ないほど、急性冠症候群イベント減少(有意オッズ減少 0.81)、虚血性卒中死亡減少(0.83) :(注. %と書かれてるが20%減少とも書かれてるので%は誤植だと思われ・・・)
Panagiotakos D, Georgousopoulou E, Kastorini CM, et al. Physically demanding occupation is associated with higher likelihood of a non-fatal acute coronary syndrome or ischemic stroke: a case/case-control study, Presented at EuroPRevent 2013 Final Programme Number P67.


冠動脈疾患のない、14千名の中年男性の1994−1998年スタートの研究で、冠動脈イベント3.15年フォローアップで、娯楽運動では包括的ベネフィット効果有り、しかし、職務的運動では副事象ありという同様の結果。
娯楽による中等度・高度運動では、運動小程度に比べ、冠動脈疾患 60%減少効果有り、しかし、職業的労作による運動量ではこの予防効果は認めなかった。

Clays E, De Bacquer D, Janssens H, et al. Physical work demands and leisure time physical activity in relation to risk for coronary heart disease, Presented at EuroPRevent 2013 Final Programme Number P76


2013年4月20日土曜日

Cologuard 直腸結腸がん検診:感度92%、 特異度 87%

直腸結腸がん検出感度92%、前がんポリープでは42%、2cm以上に限れば66%の感度 特異度は87%

Cologuard colorectal cancer screening test に関する DeeP-C Clinical Trialの結果とのこと

Press release:http://investor.exactsciences.com/releasedetail.cfm?ReleaseID=757341




WSJ: http://online.wsj.com/article/PR-CO-20130417-913123.html?mod=googlenews_wsj



商用的活動がすごくて・・・正直ひくけど、確かに、トライアルが妥当ならすごい

喘息とリテラシー

シムビコートのSMART療法宣伝に荷担する医師たち、それは、国公立大学の教授クラスにも存在する 。
喘息診療に関して、SMART療法に関する質疑の結果、やはり、保険診療上の縛りの上では、やはり、SMART療法はおおっぴらにできる治療法でないと確信。
軽症・中等症ベースの診療でしか、シムビコート2×2吸入なんてできないわけで、それに上乗せアドバイスであるSMART療法は、軽症・中等症でしか利用できない治療法。そんな状況に、一時しのぎのリリーバを4回も服用させるなんて・・・治療の根本から間違えてる
そんな宣伝をするもんだから、コントローラー治療なんて念頭にない医師たちが、シムビコートを患者の希望に従い使わせてる実態が存在する。

医師側の方のリテラシーが・・・

大本は、製薬会社側の企業倫理、そして本来喘息診療のリーダーであるべき医師たちの倫理観が問題の根本ではあるが・・・

参照:シムビコート:SMART法 維持・発作時同一製剤使用法 解禁
http://kaigyoi.blogspot.jp/2012/06/smart.html


e.g.
"一剤ですむと主張する"一罪
http://www.risfax.co.jp/risfax/article.php?id=38886


日本では、患者側のリテラシーもだが、医師側のリテラシーも問題

なんせ、医師会の講演会なんて、製薬会社の宣伝を聞いて、生涯学習ってことにしてるお粗末な状況なもんだから・・・

医師会なんて、学術団体の資格無い ・・・ でもなぜか、日本医学会総会の親玉は日本医師会という・・・ 情けなさ





リテラシー高ければ、吸入ステロイドアドヒアランスなど薬物アドヒアランス、リスク回避行動など全ての喘息アウトカム改善するはずなのだが・・・そう単純ではなさそうだ。
それでも、コントロール、喘息QOLは改善している。


The association of health literacy with adherence and outcomes in moderate-severe asthma
Andrea J. Apter, et. al.
J Allergy Clin Immunol 2013; DOI: 10.1016/j.jaci.2013.02.014
背景:健康リテラシーは、喘息や他の疾患にとってアウトカム不良と相関するが、この関連性に関するメカニズムは明確化されてない。
目的:リテラシーが、その後の喘息自己管理、吸入ステロイドアドヒアランス、喘息アウトカム測定と関連するか評価
方法:前向き長軸コホート研究 で、numeric (Asthma Numeracy Questionnaire)、printリテラシー(Short Test of Functional Health Literacy in Adults)評価
ベースラインでの中等症・重症喘息患者対象、その後の電子的モニター・アドヒアランスと喘息アウトカム(喘息コントロール、喘息関連QOL、FEV1)に関する評価を26週にわたってmixed-effects linear regression  modelを用い検討。
結果:284名登録者:年齢 48±14歳、 女性71%、アフリカ系アメリカ人70%、ラテン系 6%、 平均FEV1 66%± 19%、前年入院86(30%)、喘息ED受診 148(52%)
平均Asthma Numeracy Questionnaireスコア 2.3 ± 1.2 (range, 0-4)
平均 Short Test of Functional Health Literacy in Adults scoreは、31 ± 8 (range, 0-36)
非補正下では、numeric、printリテラシーは、その後のアドヒアランス (p=0.01 , 0.08)、喘息コントロール(p = 0.05, < 0.001)、QOLと関連 (p < 0.001, <0 .001="" blockquote="">
年齢、性別、人種/民族補正後、相関性減少し、QOL (numeric P = .03, print P = .006)、喘息コントロール (print P = .005) のみがリテラシーと有意性残存。
人種・民族性、収入、教育到達度が相関  (P < .001)

結論:リテラシーと健康の関連性は複雑だが、患者のリテラシーニーズを考慮、志向した介入が喘息アウトカムを改善する可能性がある



ANQ
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2765214/

・・・のはずなのだが、骨粗鬆症のアンケート

2013年4月19日金曜日

【どアホ】プソイドエフェドリン配合で鼻閉に有効な薬ができました。しかも、漢方に含まれる成分でして・・・

『「プソイドエフェドリン配合」で「鼻閉」に有効な新薬ができました。「麻黄湯」などに含まれてる成分でして・・・』という宣伝文句

サノフィ 抗アレルギー薬ディレグラ配合錠を発売
http://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/43898/Default.aspx


この成分は、以前「ダンリッチ」に含まれる「フェニルプロパノールアミン:PPA」の代替として用いられる。PPAの市場からの撤退は迅速だったが、この「プソイドエフェドリン」の方は市場からなくなるどころか・・・

この成分、禁忌となる状態が多く、「重症高血圧」「重症冠動脈疾患」「狭隅角緑内障」「尿閉のある患者」「交感神経系過敏 など


そして、これら「エフェドリン」「メチルエフェドリン」「プソイドエフェドリン」などはドーピング対象成分であることは言うまでも無い。

日本の薬事行政のまか不思議な点のひとつだが、漢方薬剤に含まれる

『https://en.wikipedia.org/wiki/Pseudoephedrine

これのアメリカの項目見たらわかるが、米国ではかなり警戒されている薬剤


「麻黄」などは、生物環境下、エフェドリン・プソイドエフェドラの成分さえ変化するわけで、製品安定性に疑念を持たざる得ない。
(生育環境が「麻黄」の薬効を左右する:http://www.ce.t.kanazawa-u.ac.jp/suiko/taniguti/misc/2010_janu_festa/Mikage.pdf

有害性・有効性成分の含有量制御できてない製品を、OTCとして放置している日本はおかしいと思うのだが・・・


国は、ナイシトールなどの麻黄含有製品を放置し続けるつもりか? 2008年 07月 16日



エフェドラ類含有成分をネット販売促進しろという「最高裁」「楽天」



OTC成分だから安全という訳のわからない宣伝文句の「サノフィ」

REFLUX ランダム化トライアル: 逆流性食道炎では腹腔鏡下噴門形成術が内服治療より改善良好、手術副作用も少ない


慢性胃食道逆流症(GORD) へのlaparoscopic fundoplication:腹腔鏡下噴門形成術の長期有効性

逆流性食道炎患者では腹腔鏡下噴門形成術が薬物治療より良好な改善を示し、合併症などは少なく、術後改善迅速

Minimal access surgery compared with medical management for gastro-oesophageal reflux disease: five year follow-up of a randomised controlled trial (REFLUX)
BMJ 2013; 346 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f1908 (Published 18 April 2013)
Cite this as: BMJ 2013;346:f1908


5年までに、手術割り付け患者の63%(112/178)、薬物療法割り付けの13%(24/179)が噴門形成術(手術、薬物への患者選択で、手術 85(222/261)、薬物 3%(6/192))
5年時点での回答者のうち、逆流症薬剤投与必要なのは
手術割り付け 44%(56/127) vs 薬物療法割り付け 82%(98/119)


REFLUXスコアの差は、手術割り付け群が有意に良好 (平均差 8.5 (95% CI 3.9 〜 13.1)


SF-36 と EQ-5D スコアはともに手術が良好、しかし、5年時点で統計学的有意差とならず
噴門形成後手術後合併症は3%(12/364)で、wrapの最初値が必要な場合が多い、逆流関連手術必要となったのは4%(16)
長期嚥下障害、鼓腸、嘔吐不能は2群とも同様





REDUCE:デュタステリド 無症候性前立腺肥大への効果 発症予防効果認められるものの・・・


新しいタイプの前立腺肥大症治療薬である5α還元酵素阻害薬のデュタステリド(アボルブカプセル0.5mg
http://medical.radionikkei.jp/medical/suzuken/final/091015html/


サイズの大小やサイズ減少エビデンスでなく、4年時点での前立腺肥大症状出現比率を主要アウトカム

症状予防効果はNNTとして 7 (観察期間 4年間)

現時点での薬価 205.9円/カプセル、故に、4年間 30万円一人の前立腺肥大症状を防ぐために 240万円の医療費を使うこととなる

Effect of dutasteride on clinical progression of benign prostatic hyperplasia in asymptomatic men with enlarged prostate: a post hoc analysis of the REDUCE study
BMJ 2013; 346 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f2109 (Published 15 April 2013)
Cite this as: BMJ 2013;346:f2109

1617名
前立腺サイズ 40ml超
ベースラインのIPSS<8未満
割り付け: プラシーボ 825 vs デュタステリド 792
前立腺肥大症状発症: プラシーボ 297(36%)   vs デュタステリド 167 (21%)
(P < 0.001)
相対リスク減少率( RRR) 41%
絶対的リスク減少率(ARR) 15% : NNT 7
急性尿滞留、前立腺肥大手術男性: 6.0% vs 3.8%
共役要素補正多変量回帰解析にて、デュタステリドは、有症状前立腺肥大症発症減少、オッズ比 0.47(95% CI, 0.37-0.59, p < 0.001)
初回イベントまでの期間解析によるハザード比 0.673 p < 0.001
性的副作用は多く、以前の報告通り


薬剤開発・販売状況を俯瞰すれば、一次予防に意義を見いだす薬剤、生活改善薬剤が多くなった。生命や生活機能能力に直接関わる疾患の一次予防として意義が大きいはずのスタチン、降圧剤などもそうなのだろうが、過活動性膀胱、過敏性腸症候群関連などの薬剤などから高薬価の慢性便秘症薬、さらなる依存症きっかけ作りや転倒・認知異常発症リスクをあげる不眠関連薬剤など・・・こういう薬剤に、皆が負担しあってる公的保険を制限無く使用して良いのか?疑問を持ち始めてる。つきつめれば、米国型の無保険となってしまうのも怖いが・・・
TPP弊害の一つになると思うが、米国グローバル企業が日本政府を訴えることができる制度により、医療費における薬剤負担は無制限に 拡大していくと思う。
冒頭薬剤などもその要素があるのでは・・・

2013年4月18日木曜日

不健康食、肥満はともに微量アルブミン発生のリスク要素

”不健康食、肥満はともに微量アルブミン発生のリスク要素”という論文

15年間の時間規模で、不健康食と肥満は、微量アルブミン尿頻度を約2倍増やす
(OR 2.0, 95% CI 1.1-3.4、 1.9, 95% CI 1.1-3.3)

早期腎障害の時点での不健康ライフスタイルは、CKD病期進行の大きな問題


Lifestyle-Related Factors, Obesity, and Incident Microalbuminuria: The CARDIA (Coronary Artery Risk Development in Young Adults) Study

American Journal of Kidney Diseases 
Available online 17 April 2013
アフリカ系アメリカ人・白人 2354名, 28-40歳
ベースラインで微量アルブミンもeGFR <60 m="" min="" ml="" sup="">2
未満でもない対象者
1995−1996年ベースラインと3つの5年フォローアップ研究データ
【不健康要素】
・現行喫煙
・運動
・ファストフード週間
・空腹時食事習慣
・肥満
・食事の質(DASH-diet要素:フルーツ、野菜、低脂肪食、全粒穀物、ナッツ、legume摂取と、減塩・糖化甘味料・red/processed meatの減量

15年間フォローアップで、微量アルブミン尿 77 (3.3%)
多変量補正後、diet qualityの悪い場合と肥満が、有意に微量アルブミン尿と相関
(OR,  2.0; 95% CI, 1.1-3.4、 1.9; 95% CI, 1.1-3.3)
現行喫煙は微量アルブミン尿と相関(OR, 1.6; 95% CI, 0.9-2.8)だが、信頼区間は1.0をクロス。
低運動活動性、fast food消費もいずれも微量アルブミン尿と関連せず (OR, 1.0; 95% CI, 0.5-1.8、 1.2; 95% CI, 0.7-2.3)
不健康ライフスタイル関連要素(食事の質の問題点、現行喫煙、肥満)をもたない対照と比べ、微量アルブミン発生補正オッズ比は、不健康ライフスタイル要素 1 (OR, 2.3; 95% CI, 1.3-4.3)、2 (OR, 3.7; 95% CI, 1.8-7.7)、 3 (OR, 7.3; 95% CI, 2.1-26.1)に対して、それぞれ131%、273%、634%。



重症患者:高コルチゾール血症・低コルチコトロピン血症 :コルチコトロピン減少がコルチゾール代謝低下に寄与

重症疾患では高コルチゾール血症となり、ストレスによるHPA(視床下部・下垂体・副腎)系の関与とされているが、低コルチコトロピン濃度も報告されており、コーチゾル代謝減少に関わる


重症患者では・・・
・コルチコトロピン減少 → コーチゾルクリアランス低下
・コルチゾール産生83%増加
・コーチゾルクリアランス低下 
この影響で、3.5倍ほど血中コルチゾール高値


すなわち、重症患者では、コーチゾル代謝酵素蛋白の発現量低下・活性低下により、コーチゾルのbreakdown低下をもたらし、高コルチゾール血症及びコルチコトロピン抑制をもたらす。

Reduced Cortisol Metabolism during Critical Illness
Eva Boonen, et.  al.
N Engl J Med 2013; 368:1477-1488 April 18, 2013
ICU 158名、 マッチ化対照 64名

5つの観点から測定:
・日々の濃度
・重水素標識ステロイドホルモンとトレーサーによる、血中コーチゾルクリアランス、代謝
・産生hydrocortisoneの血中クリアランス
・尿中コルチゾール値
・肝臓・脂肪組織でのmRNAと蛋白

対照群に比べ、重症患者では、一致して総・遊離血中コルチゾール高値 
しかし、コルチコトロピンは低値 
(p < 0.001 ;両比較とも)
重症患者では、コルチゾール産生 83%程度高値  (p= 0.02)
トレーサー注入中、hydrocortisone 100 mg投与後も、コルチゾールクリアランス50%超減少  (両比較とも、 P≤0.03 ) 
これら全てのファクターを考慮すると、対照比較すると、血中コルチゾール値は、3.5倍ほど増加  (P<0 .001="" br="">
コーチゾルクリアランスの障害もまた、コルチコトロピン刺激によるコルチゾール応答減弱と相関。
コルチゾール代謝の低下は、肝臓・腎臓でのコーチゾル不活化低下と関連する。
尿中ステロイド比、トレーサー動態、肝臓生検試料評価ともこれを示唆する  (全て:P≤0.004 )


重症身体ストレスを来すような重篤な状態は高コルチゾール血症が多い。ストレスによるHPA系の活性化が関与し、コルチコトロピンによるストレス起動活性化・コルチコトロピン起動コーチゾル産生増加をもたらす。しかし、このようなストレス反応は必ずしも小河改善に関して十分とは言えず、比較的副腎機能低下をもたらしているものと考えられている。しかしながら、重症患者では高コルチゾール状態が持続しており、このような作用とは奇異的な事象となっている。
加え、コーチゾル産生には、炎症惹起性サイトカインの作用で説明されたり、コルチコトロピン抑制によるコーチゾル産生メカニズムの血中コーチゾル減少阻害効果の影響が関係していることで説明されるようになっている。上記検討がそれを支持している。



重症状態遷延化した患者の剖検例の副腎は比較的重く、充実細胞(compact cell)欠如細胞が、脂肪含有束-網状層細胞を置き換えている。多くは重症低血圧やinotropeやvasopressorを受け、SIRS合併多く、出血性壊死や壊死による構造変化を有する。副腎不全の患者の一部に糖質コルチコイド治療奏功例があることも知られている。一方、重度ストレスはHPA系を活性化するが、コルチコトロピン値は抑制、逆にコーチゾル値は増加する。この乖離の理由は不明。全身性炎症は様々なサイトカインの増加により特徴づけられ、IL-6やTNF-αの関与が考え等得る。
このメカニズムについて上記論文で報告があったわけだが、9、11、12α、12β部位重水素D4標識コーチゾルで産生や代謝を正確に測定された。11β-HSD2、5β-reductase、5α-reductase酵素による代謝転換の減少により、コーチゾルのクリアランスが低下した。




D3/D4コーチゾル比の減少はD3コーチゾルへの転換減少を示し、コーチゾンからコーチゾルへの変換が保たれてることを意味する。


重症疾患へのグルタミン酸・アンチオキシダント投与 :無効もしくは予後悪化

病態を説明するにはオキシダント・アンチオキシダントは必須だろうが、創薬として真に成功した薬剤って存在するのだろうか?

一応、グルタミンサプリメントの重症疾患への感染症合併症率低下、入院期間短縮効果が示されている
Glutamine supplementation in serious illness: a systematic review of the evidence.
Crit Care Med. 2002 Sep;30(9):2022-9.
否定的な報告が多くなった
Andrews PJ, Avenell A, Noble DW, et al. Randomised trial of glutamine, selenium, or both, to supplement parenteral nutrition for critically ill patients. BMJ 2011;17:1542-1542 

今回の報告で、グルタミンに関する有害性が明らかになったが、正確なメカニズムは不明。仮説として、サンプルの問題、30g/日以上の高用量すぎる例があった問題、投与タイミングの問題など、筆者等は、グルタミン濃度低下では必須と考え、投与していたが再考の時期と考えられるとのこと。サプリメントに関しては、セレニウムなど地域土壌的な問題も議論されている。


A Randomized Trial of Glutamine and Antioxidants in Critically Ill Patients
Daren Heyland, et. al.
for the Canadian Critical Care Trials Group
N Engl J Med 2013; 368:1489-1497April 18, 2013

盲験2×2区分トライアル、1223名の重症患者(カナダ・US、ヨーロッパ 40施設ICU)
多臓器不全で、機械式人工呼吸患者

グルタミン、アンチオキシダント、両者併用、プラシーボの比較

グルタミンサプリメントをICU入室後24時間内に投与し、静注・経口で投与

プライマリアウトカムは、28日めの死亡率
interim-analysisモデルのため、p値は最終分析では0.044未満を統計学的有意とする


(グルタミン関連)
グルタミン投与患者では、非投与患者と比べ、28日めの死亡率増加傾向
(32.4% vs. 27.2%; 補正オッズ比, 1.28; 95% 信頼区間l [CI], 1.00 to 1.64; P=0.05)

6ヶ月め在院合併症・死亡率は有意にグルタミン投与群で非投与群比較で多い

グルタミンは、臓器障害、感染性合併症に関して影響認めず

(アンチオキシダント)
アンチオキシダントは、28日目の死亡率に影響与えず  (30.8%, vs. 28.8% with no antioxidants; 補正オッズ比, 1.09; 95% CI, 0.86 to 1.40; P=0.48)
他の全てのセカンダリエンドポイント(ICU滞在期間、感染性合併症発症、多臓器不全スコア、人工呼吸期間、入院期間、抗生剤使用、6ヶ月目の死亡率)でも同様

重篤な副作用に関する群間差なし(P=0.83)






【米国】手術過誤するほど利益幅増加

手術過誤は、入院期間平均を延長させ、合併症無しの個人保険患者に比較して、profit margin(利益幅)が330%ほど増加する。 エラー無しに比べ、エラー有りの患者では190%も処置増加することとなる。

手術の質改善の経済的インセンティブをもたらさないという強力なエビデンスを示す報告と、Press release

Relationship Between Occurrence of Surgical Complications and Hospital Finances
Sunil Eappen, et. al.
JAMA. 2013;309(15):1599-1606.

12の米国南部非営利病院の2010年の行政データの後顧的解析

主要アウトカム測定:
病院経費、総収入、貢献利益 (contribution margin売上高から、各責任単位が管理可能な原価・費用を差し引いて算出した利益。各部門が全体の利益にどれだけ貢献したのかという意味で、貢献利益と呼ばれる;この場合は、総収入−経費)を手術合併症の有無で検討


34256手術後退院のうち、1820名(5.3%、 95% CI, 4.4%-6.4%)で1つ以上の手術合併症

合併症無しと比較し、合併症ありの場合、貢献利益と相関し、プライベート保険患者 ($55 953 vs $16 936)では、貢献利益は$39,017 (95% CI, $200,069-$50,394;  p < 0.001)増加、メディケア ($3629 vs $1880)での患者あたりの貢献利益は $1749 (95% CI, $976-$3287; P < .001) 増加。

プライベート保険では40%(13,544)カバー、Medicareでは45%(15,406)カバー、目ディケイド 4%(1336)、自己支払いカバー 6%(2202)の病院システムに対して、合併症発生は、患者あたりの貢献利益 $8084 (95% CI, $4903-$9740; P < .001)増加させ、患者あたりの総コストmarginを減少させる (95% CI, $5103-$10 507; P < .001) ($1013 vs −$6422)


最善の努力をして手術合併症や手術過誤を減らすほど、貢献利益増加するというのが、包括払いの根拠だった訳だが 、抜け穴探しによる別の問題も発生したり、早期退院を促しすぎて再入院や患者家族負担増加や患者QOL低下させてるのではないかという疑念もある。
米国の現行システム上の固有問題なのかどうか、あらためて議論する必要がある。

アホマスコミが、偏ったほうどうざいりょうに

2013年4月17日水曜日

6分間歩行距離試験:心臓リハビリテーション効果判定ツールとして

【診療報酬】 時間内歩行試験
http://kaigyoi.blogspot.jp/2012/03/blog-post_1590.html
在宅酸素療法を検討、または施行している患者に対して行い、運動耐容能力等の 評価や治療方針の決定を行います。
・・・ということで、在宅酸素療法直前または施行中の患者の流量決定に重きが置かれているような印象の保険設定。

当たり前だが、この検査は、心臓血管疾患・肺疾患患者のfunctional capacity評価の検査であり、心血管系のリハビリテーションのツールとしても有用



Six-Minute Walk Test: An Effective and Necessary Tool in Modern Cardiac Rehabilitation
http://www.mdlinx.com/read-article.cfm/4544373


 Table 1. Indications for the application of the six-minute walk test. 
治療前後 : 
– CHF
– Lung-reducing surgery
– Pulmonary hypertension
– Pulmonary rehabilitation
– Drug therapy in COPD
– Lung transplantation or resection

機能状態評価: 
– CHF 
– COPD
– Cystic fibrosis
– Elderly patients

入院・死亡の予後推定: 
– CHF 
– COPD
– Pulmonary hypertension

CHF – congestive heart failure; COPD – chronic obstructive pulmonary disease.

6分間歩行距離試験に関して、Nilssonらは、グループベースの高強度心臓リハビリテーションでは、1年間フォローアップで、58mの平均的増加、41m距離増加を維持することを効果としている。このときのeffect sizeは 0.87
Larsen らは、CHF患者の平均517m、 Redelmeirらは70mの改善が臨床的意義有る数値としている。ランダム化コントロール研究では、30m長さを適切なパフォーマンスとしている。



6分間歩行距離試験が、在宅酸素療法がらみだけで無く、運動耐用能検査として使用できるよう願いたい

PURE: 冠動脈疾患・卒中後のライフスタイル健全度、高所得国居住か、低所得国居住かで影響される

17ヶ国からの研究で、貧乏ほど炭水化物を多く摂取し、裕福な場合ほど蛋白や非不飽和脂肪酸摂取回数が多くなるという報告

Prospective Urban Rural Epidemiology (PURE) study


ESC Congress 2012
The ESC Congress is currently the world's premier conference on the science, management and prevention of cardiovascular disease. ESC Congress 2012 takes place 25-29 August at the Messe München in Munich. The scientific programme is available at: http://spo.escardio.org/Welcome.aspx?eevtid=54


このPURE研究からの別の知見ということになるだろう


同じ自己報告冠動脈性心疾患・卒中既往患者でも、国の収入レベルに応じて、健康的ライフスタイルの頻度に影響を与える。低所得国ほど、健康行動少ない


Prevalence of a Healthy Lifestyle Among Individuals With Cardiovascular Disease in High-, Middle- and Low-Income Countries The Prospective Urban Rural Epidemiology (PURE) Study
JAMA. 2013;309(15):1613-1621
自己報告CHD(冠動脈性心疾患;過去イベント:中央値 5.0 [IQR, 2.0-10.0]年前)・卒中(過去イベント:中央値[IQR, 2.0-8.0]年前)の既往7519名のうち、
・ 喫煙継続 18.5%(95% CI, 17.6%-19.4%)
・ 仕事・娯楽関連運動高レベルなのは35.1%(95% CI, 29.6%-41.0%)
・ 健康食なのは 39.0%(95% CI, 30.0%-48.7%)
以上3つの項目の健康側ライフスタイル行動いずれもしてないのは14.3% (95% CI, 11.7%-17.3%)
以上3つ全ての項目の健康側ライフスタイル行ってるのは 4.3%(95% CI, 3.1%-5.8%)

最高所得国(HIC : high-income countries): 74.9% [95% CI, 71.1%-78.6%]
高・中等度所得国(UMIC : upper-middle-income countries): 42.6% [95% CI, 39.6%-45.6%] 
低所得国(low-income countries): 38.1% [95% CI, 33.1%-43.2%]

身体運動のレベルは国収入増加毎に増加するが、この傾向には統計学的有意さ認めず

健康食最低頻度は、 LIC (25.8%; 95% CI, 13.0%-44.8%)
LMIC (43.2%; 95% CI, 30.0%-57.4%)、UMIC (45.1%, 95% CI, 30.9%-60.1%)、 HIC (43.4%, 95% CI, 21.0%-68.7%)




【骨粗鬆症診療】企業人としては正しいのかもしれないが、医療関係に関わってほしくない医療情報担当者

4月某日、所属企業からのレクチャーを盲信するMRに出くわした。企業人としては正しいのだが、社会的役割から言えば有害。


具体的には、「弊社薬剤にて、骨粗鬆症治療は万全です」という言葉にかちんと!

さらに、薬物療法が、骨粗鬆症の一次予防として、死亡率や合併症などの重大アウトカムに 影響を与える報告があるようなことを賜った。
骨粗鬆症薬物治療というのは全人的に影響を与えるほどのインパクトあったっけ?



要するに、「エビスタ」、「フォルテオ」だけで、骨粗鬆症治療は万全だそうだ。
そして、薬物一次予防治療はすでに確立しているそうだ。

骨粗鬆症に関してそれほど上記薬剤って立派なクリニカルエビデンスあっただろうか?



NGCのガイドライン
「Alendronate, etidronate, risedronate, raloxifene and strontium ranelate for the primary prevention of osteoporotic fragility fractures in postmenopausal women.」
http://www.guidelines.gov/content.aspx?id=13581

これには、
Interventions and Practices Considered
1. Alendronate
2. Alternative treatment: etidronate, risedronate, or strontium ranelate
Note: Raloxifene was considered but not recommended
すなわち、「ラロキシフェン(エビスタ)は考慮しても良いが、推奨されない」一次予防薬なのである。




Teriparatide(フォルテオ)に関しては,骨折治癒促進がその目的。non-union(偽関節)、delayed(遷延癒合)が検討されているわけだが、pubmed検索しても、未だ、臨床的エビデンスというレベルではないことがわかる。

例えば、今年記載の論文でもこの程度なのである。
non-union予後に関して「動物実験から推定される」
A conceivable positive effect of teriparatide on fracture healing is well-documented on animals, and very likely on humans, however further studies are needed to confirm these hopeful hypotheses.
Teriparatide in the treatment of non-unions: scientific and clinical evidences.
Injury. 2013 Jan;44 Suppl 1:S54-7. doi: 10.1016/S0020-1383(13)70013-5. 




そもそも、骨粗鬆症一次予防に関しては、まず、骨塩定量スクリーニング対象設定が問題になってるわけで、その後、その間隔の問題も持ち上がっている。
参考:正常骨密度なら15年以上DXA検査しなくてよい ・・・ これへの反論


DXA初回検診検討事例
・ 65歳以上全女性 ・ 脆弱性骨折既往、骨粗鬆症1つ以上のリスク(身長低下、BMI < 20、 骨粗鬆症既往、喫煙歴、過剰アルコール摂取)を有する全女性 ・ 疾患合併(e.g. 関節リウマチ)あるいは、低骨量・骨喪失の関連する医薬品 (e.g. プレドニゾロン日々投与量 5mg以上、同等量3ヶ月以上など)服用成人 ・ 骨粗鬆症治療考慮された全て、骨粗鬆症治療(エストロゲンを含む)中断例全て、骨粗鬆症治療中、治療効果モニター
例:RAX calculator : www.shef.ac.uk/FRAX. 
など・・・


一次予防のための検査さえ、はっきりしないのに、薬物で全て解決と発言する社員がいる製薬会社なんて・・・信用できるはずもない

国別こども視線の世帯所得格差

小泉政権下の亡霊たちが復権し続けている現政権に危惧を感じる部分がある。

ジニ係数は、社会における所得分配の不平等さを測る指標で、中国の格差問題だけをクローズアップして、日本のジニ係数に表れる問題は軽視して報道されがち。
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GINI index(ジニ指数)、GINI ratioと書かれる場合もあるようだ

USA 2007年 45.0 (CIA Gini)、 UK 2005年 34.0 (CIA GIni)、 日本 2008年 37.6 (CIA Gini)、 韓国  2011年 41.9(CIA Gini) 、北朝鮮 31.0(GPI Gini)、ロシア 2011年41.9 *Gini) 


https://www.cia.gov/library/publications/the-world-factbook/rankorder/2172rank.html

 


より小児に特化した所得格差の検討・・・United Nations Children’s Fundの報告


米国のこどもの5人に1人異常は、UNICEF定義の貧困
この場合の定義は、国民中央値の半分以下の所得率で、絶対的収入ではなく、高所得層群が多ければそれに引っ張られて貧困層が多くなるというもの



Map: How 35 countries compare on child poverty (the U.S. is ranked 34th)


http://www.washingtonpost.com/blogs/worldviews/wp/2013/04/15/map-how-35-countries-compare-on-child-poverty-the-u-s-is-ranked-34th/











気になるのが、「Child poverty gaps」、これかなり日本は大きい




所得格差のある場合、学校でのいじめの原因にもなるわけで、日本はそのリスクは高いってことに。社会階層流動性あるほどそのリスクは加速するが、日本は次第に社会階層固定化しつつある側面も有り、どちらも問題はあるのだろうが・・・

CELLWAVE研究:高エネルギー超音波目標心筋組織条件付け後、骨髄球移植 ;shock wave-facilitated infusion of BMC

ショック波(実際には高エネルギー超音波)を媒体としたターゲット心臓組織へのpreconditioninを行った上での、骨髄由来単核球投与治療
これが、慢性心筋梗塞後心不全患者に5ヶ月後、左室駆出率改善をもたらした。

臨床研究である程度の効果があった慢性心筋梗塞後の患者へ、超音波対外的ショック治療を目標組織を行い、自家骨髄移植(BMC)の冠動脈内投与がBMCのhomingに対して、homing factor増加をもたらし、BMCの停留を促進する可能性が示唆された。


再生治療に期待が高まるが、今後期待の高まる新方法である。

Effect of Shock Wave–Facilitated Intracoronary Cell Therapy on LVEF in Patients With Chronic Heart Failure
The CELLWAVE Randomized Clinical Trial
Birgit Assmus, et. al.
JAMA. 2013;309(15):1622-1631.

BMCの投与慢性心不全左室駆出率改善仮説

一方向ブラインド化
ショックウェーブ:低エネルギー量(n=42)、高エネルギー量(n=40)、プラシーボ(n=21)
24時間後、冠動脈内BMCもしくはプラシーボ投与

主要アウトカム測定は、左室駆出率(LVEF) ベースラインから4ヶ月後の改善

プライマリエンドポイント
shock wave+ BMC群: 3.2% [95% CI, 2.0% to 4.4%])
shock wave + placebo infusion 群: 1.0% [95% CI, −0.3% to 2.2%] (全群との比較 P = .02)

局所壁肥厚
shock wave + BMC 群 (3.6% [95% CI, 2.0% to 5.2%]) 
shock wave + placebo infusion 群 (0.5% [95% CI, −1.2% to 2.1%]) (前群との比較 P = .01)

主要副事象心血管イベント包括的発生率
shock wave + BMCs group (n = 32 events)
placebo shock wave + BMCs (n = 18)
shock wave + placebo infusion (n = 61) 群
(ハザード比, 0.58 [95% CI, 0.40-0.85]; P = .02)


結論:心筋梗塞後慢性心不全患者において、shock wave-facilitate冠動脈内BMC投与は、shockwave単独投与より有意だが、比較的軽度、左室駆出率改善をもたらす
収縮機能の改善で、臨床的アウトカム改善につながるか今後の大規模研究で検討すべき

noteへ実験的移行

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