2013年6月21日金曜日

入院投薬過誤は頻回で、10%にも上る

投薬過誤は入院患者で頻回。

TOEを用いた時間過誤なしの過誤率平均は横断的には10%も存在。denominatorを用いた投薬過誤標準化、過誤数、過誤種類が将来検討に必要。

Drug Administration Errors in Hospital Inpatients: A Systematic Review.
Berdot S, Gillaizeau F, Caruba T, Prognon P, Durieux P, et al. (2013) 
PLoS ONE 8(6): e68856. doi:10.1371/journal.pone.0068856

2088研究中、TOE 総計52の研究報告
多くの研究は横断研究(n-46)

Total Opportunity for Errors (TOE)とは、” sum of the total number of doses ordered plus the unordered doses given)”、すなわち、指示投与量及び非指示投与量総数の合計

TOEを用いた横断研究によると、時間過誤無しの過誤率中央値は 10.5% [IQR: 7.3%-21.7%].

18研究では、臨床的インパクト検討にて、致命的過誤は認めず、多くの過誤はマイナーとして分類。

出版バイアスのエビデンス認めず

高血圧・脂質異常など心血管リスクに関わる新しいガイドラインは、JNC8、ATP8ではないかも

National Heart, Lung, and Blood Institute (NHLBI)は、高血圧、高コレステロール血症、他の心血管疾患リスク卯要素に関するギドラインを1ヶ月程度で発表する予定と公表。

ただ、JNC8、ATP8、肥満ガイドラインなど従来のネーミングにこだわらないとのことらしい。

コレステロール、血圧、リスク評価、ライフスタイル介入、肥満の5つの項目のガイドラインは、パートナーシップ組織との共同決定で、NHLBIレガシー名称が決定されることとなるらしい

 Journal of the American College of Cardiology and Circulation (the AHA's flagship journal) websiteで同時発表予定とのこと

NIH says ATP 4, JNC 8 guidance out "in a matter of months" (with a twist)
http://www.theheart.org/article/1553901.do?utm_medium=email&utm_source=20130620_heartwire&utm_campaign=newsletter

Gibbons GH, Shurin SB, Mensah GA, Lauer MS. Refocusing the agenda on cardiovascular guidelines: An announcement from the National Heart, Lung, and Blood Institute. J Am Coll Cardiol 2013

Cochrane Review: 普通感冒に対するNSAIDs

Non-steroidal anti-inflammatory drugs for the common cold
Editorial Group:  Cochrane Acute Respiratory Infections Group
Published Online: 4 JUN 2013 Assessed as up-to-date: 17 APR 2013
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/14651858.CD006362.pub3/abstract

9つのRCT、1069名の被験者、37の比較、うち6比較はNSAIDs vs プラシーボ、3つの比較は NSAIDs vs NDAISs

総合バイアスリスクは混在

プール化解析にて、NSAIDsは症状総スコア減少有意差無し (SMD -0.40, 95% CI -1.03 〜 0.24, 3研究、random-effects model)、かぜ症状期間減少有意差無し  (MD -0.23, 95% CI -1.75 〜 1.29、2研究、random-effects model)

呼吸器症状として、咳嗽は改善せず (SMD -0.05, 95% CI -0.66 to 0.56, two studies, random-effects model)
くしゃみスコアは有意に改善 (SMD -0.44, 95% CI -0.75 〜 -0.12、2研究、 random-effects model)

NSAIDsの鎮痛効果(頭痛、耳痛、筋肉・関節痛)関連アウトカムでは有意ベネフィット認める

副作用リスクは、NSAIDsで高くない (RR 2.94, 95% CI 0.51 - 17.03、2研究、random-effects model)、薬剤はプラシーボに対して有意差があるという結論づけ困難。



「はやめの・・・」「かかったかな?と思ったら・・・」は詐欺CM

インフルエンザワクチン:FluBlok : ACP 18-49歳成人・卵アレルギー者への使用承認

ACIP recommends flu vaccine option for those with egg allergies
http://www.cidrap.umn.edu/cidrap/content/influenza/general/news/jun2013allergy.html


ACP(米国CDC助言委員会)において、13対0で、「18-49歳の成人で、卵アレルギーを有する場合は、組み替え型インフルエンザワクチン;FluBlokを承認」


FluBlock利用できない場合、ワクチン前に医師助言をもらうようにとも推奨。
FDAは1月16日、インフルエンザウィルスを用いず、トリ卵を作業工程中用いない製品としてワクチン承認。
ノバルティス製造の細胞ベースのインフルエンザワクチンFlucelvaxも承認
これは、ほ乳類細胞でのウィルス増殖させ、トリ類の抗原を含まないとされる。

FluBlok は、昆虫ウィルスで作成され、組み替えDNA技術を用い、baculovirusにて昆虫細胞内培養産生
卵アレルギーの多くは、インフルエンザワクチンは安全に接種可能との報告が多く、CCIPの投票は次の数年後へのステップとなるだろう。

ただ、2011-12年シーズンでは委員会は、じんましん程度の軽度卵アレルギーでは不活化ワクチン接種可能と推奨している。ただ、30分は観察下に置くべき。


Flublock (R)

Flucelvax (R)

脊椎固定での組み替えヒトbone morphogenetic protein 2 (rhBMP-2)研究報告・・・企業資金研究のため副作用過小報告の可能性

脊椎固定での組み替えヒトbone morphogenetic protein 2 (rhBMP-2)の企業基金トライアルの結果について


企業による資金研究のため、副作用報告過小評価の可能性


Reporting of industry funded study outcome data: comparison of confidential and published data on the safety and effectiveness of rhBMP-2 for spinal fusion
BMJ 2013; 346 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f3981 (Published 20 June 2013)


発展途上国:ロタウィルスワクチン有効性

単価ロタウィルスワクチン(RV1)の入院患者に対する予防効果

発展途上国においてロタウィルスワクチンが公衆衛生上十分な働きをすることがわかった。

Effectiveness of monovalent rotavirus vaccine in Bolivia: case-control study
BMJ 2013; 346 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f3726 (Published 19 June 2013)
単価ロタウィルスワクチン(RV1)の入院への有効性

ボリビアでの症例対照研究
ロタウィルス入院400名と100名の非下痢入院対照、718名のロタウィルス無し入院対照群 
先行ワクチン症例対照オッズ:有効性(1-補正オッズ比×100)、年齢・他の寄与因子補正;投与量、疾患重症度、年齢群、血清型層別化有効性)

非下痢対照との比較では、症例はより男性、託児所が多く、慢性基礎疾患を有する場合は少ない。母教育レベル・電話やコンピュータ保有率が高い。 
ロタウィルス無し対照群は、症例患者とより類似するばかりでなく、男性に多く、託児所が多い、高教育レベル・自宅でのコンピュータ保有率低い傾向がある。

ロタウィルス入院防御効果指標のRV1補正有効性は、ロタウィルス無し対照群と比較すると、69%(95%信頼区間 54%-74%)非下痢性対照群比較で77% (65% to 84%)

RV11回投与の有効性は、36%、56%

両対照群比較での防御効果は2年間持続し、1歳未満の子供の入院予防効果も同様  (64% 、 77%) 、1歳以上でも同様 (72% 、 76%)

RV1は、様々な血清型に対し有意防御効果があり、G1P[8]ワクチンのheterotypicに部分的、完全に有効。

2つの対照群での有効性は、G9P[8]に対し、 80% と 85% 、G3P[8]に対し74% と 93%、 G2P[4]に対し 59% と 69%、 G9P[6]に対し 80% と 87%

カナダ・英国15年間比較:糖尿病死亡率は全体では減少 だが、45-64歳の死亡率は高度維持中

カナダ・英国では、ここ15年間で糖尿病関連死は劇的に減少、だが、超過死亡は継続し、年齢とともに増加している。特に、45-64歳の死亡率は高度維持している。

糖尿病死最脆弱年齢層45-64歳、特に男性ってのが改めて明らかに・・・

"Mortality trends in patients with and without diabetes in Ontario, Canada and the UK from 1996 to 2009: a population-based study"
Lind M, et al
Diabetologia 2013; DOI: 10.1007/s00125-013-2949-2.
参照:http://www.medpagetoday.com/Endocrinology/Diabetes/40008

オンタリオでは、糖尿病死亡率は1.90(95% CI 1.86-1.94) → 1.51(95% CI 1.48-1.54)と44%減少。

英国でも、THIN(Health Improvement Networ)データベースでは、2.14 (95% CI 1.97-2.32) → 1.65 (95% CI 1.57-1.72) と減少

糖尿病罹患率は、オンタリオで5.4%→11.4%と増加、THINでは3.2%→5.9%と増加

平均年齢は、オンタリオで1996年 60.8歳 → 2009年 61.5歳、THINでは 62.7歳 → 53歳へ増加

年齢・性別補正後、年次死亡率は、オンタリオで 1000人あたり19.4 → 12.2と 37.2%減少、THINで31.4 → 14.1と55%減少

女性では、オンタリオで47.1%減少(1.94(95% CI 1.88-1.99) → 1.48(95% CI 1.45-1.52))、英国コホートでは 49.8%(2.25 (95% CI 2-2.50) → 1.63 (95% CI 1.52-1.74))減少

男性では、オンタリオで39%減少(2.25 (95% CI 2-2.50) → 1.63 (95% CI 1.52-1.74))、英国コホートで35.6%(2.04 (95% CI 1.79-2.29) → 1.67 (95% CI 1.56-1.77))減少

全ての年齢群で死亡率減少が見られるが、45-64歳での最高比率増加は維持
オンタリオでのこの年齢群の死亡率は 1996年 2.48 (95% CI 2.35-2.61)→ 2009年 1.94(95%CI 1.84-2.04)
英国コホートでは、 2.60 (95% CI 2.35-2.61) → 2.23(95% CI  1.98-2.50)
死亡率最少年齢群は、65-74歳で、オンタリオで1996年 1.45 (95% CI 1.41-1.50) → 2006年 1.16 (95% CI 1.13-1.19)  、英国コホートで 1.46 (95% CI 1.29-1.63) → 1.24 (95% CI 1.17-1.30)


子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)により若年女性でのHPV感染半減

もともと、「子宮頸がんワクチン」って呼称が、実態と合致してないことに違和感を感じてる。「○○ウィルス」に対するワクチンなら、「抗○○ウィルスワクチン」が正しいわけで・・・。このワクチンに対する政治家や政府の姿勢最初から変。


若年女性では、HPVワクチン導入によりHPV感染率半減
だが、ワクチンカバー率低いせいで、十分な効果が示されてないという報告

HPVワクチンは、その因果関係が明らかで無い「CRPSあるいは疼痛関連事象」や「アナフィラキシー」・「ギランバレー症候群」・「ADEM」などの副事象の恐れのため積極的推奨が控えられることとなり、日本ではその接種率低下が懸念される。

HPVワクチンによるHPV感染率低下の報告と、ワクチン回数など非遵守のため有効性低下への懸念が語られている。

Reduction in Human Papillomavirus (HPV) Prevalence Among Young Women Following HPV Vaccine Introduction in the United States, National Health and Nutrition Examination Surveys, 2003–2010
J Infect Dis. (2013)
doi: 10.1093/infdis/jit192
First published online: June 19, 2013

HPVワクチンに関する11-12歳女児への定期接種は、米国では2006年後半から組み入れられている。13-26歳でのcatch-upワクチンも推奨されている。ただ、2010年での3回ワクチンカバー率は13-17歳で32%のみ。 
4価HPVワクチン(HPV-6、 -11、 -16、 18)を、初回ワクチンインパクト指標の一つとして評価。 
ワクチン後 2007-2010、ワクチン前 2003-2006のHPV頻度データを National Health and Nutrition Examination Surveyから収集。 
HPV頻度は、14-59歳女性の子宮頸部膣部ぬぐい液サンプル Linear Array HPV Assayで決定。2003-2006年4150、2007-2010年4253。
14-19歳女性のうち、ワクチン型HPV頻度は11.5% (95% 信頼区間 [CI], 9.2–14.4) から5.1% (95% CI, 3.8–6.6) へ減少 減少率は、56%(95% CI, 38-69)
他の年齢群では、頻度は有意に変化せず p > .05 
1回でも投与された群でのワクチン有効性は82% (95% CI, 53–93)

noteへ実験的移行

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