2012年6月14日木曜日

腎疾患:ホモシステイン低下治療で心血管イベント低下させず

腎疾患患者は、超過心血管イベント・死亡率を示す。血中ホモシステイン濃度は糸球体濾過率減少とともに増加し、ホモシステイン高血症 (定義:参考値上限)出現はCKDの36-89%存在し、重症度と関連。腎移植機能では70-75%、ESRDでは85-100%。
ホモシステイン値と心血管イベントの直接の相関があることで、ホモシステインレベル低下介入で、心血管イベント低下するのではないかという仮説。

腎疾患患者でのシステマティック・レビューとメタアナリシス

でも、随分前から、ホモシステイン関連介入は失敗続き
高ホモシステインは必ずしも冠動脈疾患と関連しない・・・出版バイアスの可能性  2005年 11月 04日

ビタミンで心筋梗塞二次予防を悪化・・・ホモシステイン仮説の否定  2006年 03月 13日

心血管疾患: ホモシステイン低下介入  2009年 10月 14日

 ビタミンB・葉酸でホモシステイン値は減らすが、臨床的イベントは減らさず 2008年 05月 07日

高ホモシステイン血症と脳灰白質量減少の関連  2012年3月8日木曜日

・・・で、予想通りの結果。

The effect of folic acid based homocysteine lowering on cardiovascular events in people with kidney disease: systematic review and meta-analysis
BMJ 2012; 344 doi: 10.1136/bmj.e3533 (Published 13 June 2012) 


 Fig 2 Effect of folic acid based homocysteine lowering therapy on composite cardiovascular events





Fig 3 Subgroup analyses for effect of homocysteine lowering on cardiovascular events. Data reported as ‘”not available” applied to chronic kidney disease subgroups of relevant studies


ω3不飽和脂肪酸:高齢健常者・軽度認知症での認知症悪化発症予防効果認めず

軽度認知症から認知症へ効果に関して、ω3不飽和脂肪酸(ω3PUFA)の直接のエビデンスはなく、認知機能健常高齢者へのω3PUFAサプリメントの認知機能へのサプリメントに関してベネフィット認めない。


Cochrane Database of Systemic Reviews
"Omega 3 fatty acid for the prevention of cognitive decline and dementia"
E. Sydenham, A. D Dangour, W.S. Lim
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/14651858.CD005379.pub3/abstract


BBCなど多くのメディアで報道..
.例のごとく、サプリメント売り上げにマイナスな報道は他の報道と違い日本ではされないかも
Fish oils 'don't help ward off dementia'
By Michelle Roberts Health editor, BBC News onlinehttp://www.bbc.co.uk/news/health-18410324

3.5年程度の検討なので、 より長期使用での効果はわからないと、天然の魚脂類をとることに関してはより別に効果がある可能性もあるとといずれも記載。




でも、EPA・DHAに関しては過剰期待すぎたのではないかと疑念がもたげている。


ω3不飽和脂肪酸(DHA、EPA) 二次予防効果に疑問 2012年4月10日

ANCHOR サブグループ:エチルEPA 糖尿病患者への効果 2012年6月11日


全ゲノム解析の臨床的応用に有用性あり:MRSA 全ゲノム検査自動化システムへの期待

患者ケアに反映できるtime frame内の臨床的なデータを提供できる可能性があり、whole-genome sequencingの自動化が待たれる。


MRSAに関する現行のtyping techniqueは、コアゲノムの単一配列による判断であるsingle-nucleotide polymorphisms (SNPs)。
Whole-genome sequencingが可能となり、その感染伝播経路や流行特性の解明に役立つようになった。
抗生剤耐性の人工的“resistome”を作成し、phenotypic 感受性試験との一致性を確認。また、毒素遺伝子からなる“toxome”も作成
SNPs多数のhypermutator phenotypeを有し、hypermutator phenotypeを有する流行で、SNPs数閾値では判断困難な例で直近の感染伝播鎖かどうか決定可能となった。


Rapid Whole-Genome Sequencing for Investigation of a Neonatal MRSA Outbreak
Claudio U. Köser, B.A. et. a.
N Engl J Med 2012; 366:2267-2275June 14, 2012


経口避妊薬と、血栓性卒中・心筋梗塞リスクの関連性あり 黄体ホルモン種類による影響差も

経口避妊薬と、血栓性卒中・心筋梗塞リスクの関連性




Thrombotic Stroke and Myocardial Infarction with Hormonal Contraception
Øjvind Lidegaard,et.
al.
N Engl J Med 2012; 366:2257-2266June 14, 2012


総数 1,626,158 女性、 14,251,063 人年観察、期間中 血栓性卒中 3311  (21.4 / 100,000 person-years)、心筋梗塞 (10.1 / 100,000 person-years)


非使用者比較で、経口避妊薬現行使用者

■ ethinyl estradiol 30~40μg投与で、相対リスクは 血栓性卒中、心筋梗塞の相対リスクと相関
その影響は、プロゲスチンの種類による
・norethindrone: 2.2 (1.5 ~ 3.2) 、 2.3 (1.3 ~ 3.9)
・levonorgestrel: 1.7 (1.4 ~ 2.0) 、 2.0 (1.6 ~ 2.5)
・norgestimate: 1.5 (1.2 ~ 1.9) 、 1.3 (0.9 ~ 1.9)
・desogestrel: 2.2 (1.8 ~ 2.7) 、 2.1 (1.5 ~ 2.8)
・gestodene: 1.8 (1.6 ~ 2.0) 、 1.9 (1.6 ~ 2.3)
・drospirenone: 1.6 (1.2 ~ 2.2) 、 1.7 (1.0 ~ 2.6)

■ ethinyl estradiol 20 μg投与量では
・desogestrel: 1.5 (1.3 ~ 1.9) 、 1.6 (1.1 ~ 2.1)
・gestodene: 1.7 (1.4 ~ 2.1) 、 1.2 (0.8 ~ 1.9)
・drospirenone: 0.9 (0.2 ~ 3.5) 、 0.0

■経皮パッチでは
それぞれ、 3.2 (0.8 ~ 12.6) 、 0.0

■vaginal ringでは
2.5 (1.4 ~ 4.4) 、2.1 (0.7 ~ 6.5)



経皮パッチといえど、卒中や心筋梗塞に対して副作用イベント増加関連が見られた。

比較的若年層である避妊薬でさえリスク関連性がある・・・

閉経に関わるホルモン補充療法に関して、専門学会見解の内外差が存在する。日本の専門家の見解は、自国で高品質エビデンス創出されてないくせに、有害性リスクを過小評価する傾向がある。


ホルモン補充療法推進に懸命な産経:日産婦と日本更年期医学会指針記事 2009年 04月 03日

USPSTF:ホルモン補充療法ベネフィットよりリスクが上回る  2012年5月29日


いづれにせよ、ホルモン補充療法の場合、インフォームド・コンセントの重要性はさらに増している。
リスクを説明せずに、行われた場合、そのアウトカムに関して、処方医が一定責任を追及されるのは当たり前と思う。 

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