2012年9月5日水曜日

動脈スティフネス異常は高血圧発症前に生じている

循環器学会の用語集をみると、stiffness:硬度、スティフネスとなっている。

高血圧となる前に、動脈スティフネスの増加がみられるという話


Aortic Stiffness, Blood Pressure Progression, and Incident Hypertension
Bernhard M. Kaess, et. al.
JAMA. 2012;308(9):875-881. doi:10.1001/2012.jama.10503

長軸的な住民ベースのコホート(Framingham, Massachusetts.)

cycle 7: 1998-2001
cycle 8: 2005-2008 [last visit: January 25, 2008])

 of the Framingham Offspring study (recruited: 1971-1975).



多変量補正回帰モデルにて、cycle 7検査でのFWA高値ほど(β, 1.3 [95% CI, 0.5-2.1] mm Hg per 1 SD; P = .002)、CFPWV高値ほど(β, 1.5 [95% CI, 0.5-2.6] mm Hg per 1 SD; P = .006) 、cycle 8の収縮期血圧と関連

同様に、cycle7での収縮期・拡張期血圧+追加リスク要素を含めたモデルでは、FWA高値ほど (odds ratio [OR], 1.6 [95% CI, 1.3-2.0] per 1 SD; P < .001)、augmentation index 高値ほど (OR, 1.7 [95% CI, 1.4-2.0] per 1 SD; P < .001)、CFPWV高値ほど (OR, 1.3 [95% CI, 1.0-1.6] per 1 SD; P = .04) 、cycle 8での高血圧発症増加 (cycle 7での検討中高血圧無し患者1048例中338 例 [32%] )

逆に、cycle 7検査中の血圧は、cycle 8でのCFWでのCFPWVと関連せず

cycle 7での、安静時上腕動脈血流高値ほど (OR, 1.23 [95% CI, 1.04-1.46])、FMD低値ほど(OR, 0.80 [95% CI, 0.67-0.96])、高血圧発症と相関(cycle 7での血圧・tonometryを含めたモデル)



ACE阻害剤のマルファン症候群における大血管stiffnessと大動脈起始部への影響 2007年 10月 03日

軽症CKD: スピロノラクトンの左室容積・arterial stiffnessへの効果 2009年 07月 31日

COPDに対する運動訓練によりarterial stiffness改善 2009年 11月 02日

食事性ビタミンCと頸動脈IMT肥厚進展抑制効果、白血球数増加と動脈stiffness 2009年 01月 17日

関節リウマチBRMは、トライアルにおいて、悪性腫瘍リスク増加証拠無し

関節リウマチ患者での生体応答調節療法(Biological Response Modifiers:BRM)使用は、他の抗リウマチ薬治療やプラシーボとの比較で、6ヶ月間という期間だが、悪性リスク増加のエビデンス見られず。 

Risk of Malignancies in Patients With Rheumatoid Arthritis Treated With Biologic TherapyA Meta-analysis
Maria A. Lopez-Olivo, et. al.
JAMA. 2012;308(9):898-908. doi:10.1001/2012.jama.10857

63のRCT、29423名解析
悪性疾患発症リスク増加に関し統計学的有意増加認めなかった

29423名のうち、211名がトライアル中悪性疾患発症(固形がん 118、 皮膚がん 48、リンパ腫 14、血液学的非リンパ腫 5、未分類 26)

治療初年間の悪性疾患発生頻度は、BRM+MTX群(0.77%; 95% CI, 0.65%-0.92%), the BRM monotherapy group (0.64%; 95% CI, 0.42%-0.95%)、対照(0.66%; 95% CI, 0.52%-0.84%)で極めて少ない。

Anakinra+MTXではMTX単独よりオッズ低い (Peto odds ratio, 0.11; 95% CI, 0.03-0.45)
統計学的有意リスクは部位特異的にも見られないが、対照群比較で、TNF抑制剤患者でリンパ腫Petoオッズ比は2.1 (95% CI, 0.55-8.4)であった。

糖尿病有ってもクロピドグレル有効:心筋梗塞後臨床的アウトカム比較


薬剤動態研究によると、糖尿病患者では、クロピドグレル(プラビックス)治療後も高度血小板再活性化示す。糖尿病無しの患者と同様の効果を来すか検討。


結論としては、糖尿病なしの患者と同様に、新規梗塞後のクロピドグレル治療治療は、全原因死亡・心血管死亡リスクを全体としてみれば、減少効果あり。


Association of Clopidogrel Treatment With Risk of Mortality and Cardiovascular Events Following Myocardial Infarction in Patients With and Without Diabetes  
Charlotte Andersson, et. al.
JAMA. 2012;308(9):882 doi:10.1001/2012.jama.10779
デンマークの行政登録データ(2002-2009)個人レベルの関連性検討

心筋梗塞再発・全原因死亡率の組み合わせ

登録58851名、糖尿病 7247名(12%)、クロピドグレル 35380名(60%)

糖尿病有り 1790名(25%)、糖尿病無し 7832(15%)をエンドポイント合致
これらのうち死亡は、1225(17%)、5377(10%)総数では、心血管原因死亡糖尿病有りでは978名(80%)、糖尿病無しでは4100名(76%)

クロピドグレル治療糖尿病患者は、治療無し比較で、非補正死亡率(100人年あたりイベント)  13.4 (95% CI, 12.8-14.0) vs 29.3 (95% CI, 28.3-30.4)

糖尿病無しでの、クロピドグレル治療は、無治療比較で、 6.4 (95% CI, 6.3-6.6) vs 21.3 (95% CI, 21.0-21.7)

しかし、糖尿病vs無糖尿病患者では、クロピドグレルの全原因死亡率での有効性減弱と関連 (HR, 0.89 [95% CI, 0.79-1.00] vs 0.75 [95% CI, 0.70-0.80]; P for interaction, .001) 、同様に心血管死亡率減少有効性減弱(HR, 0.93 [95% CI, 0.81-1.06] vs 0.77 [95% CI, 0.72-0.83]; P for interaction, .01)
しかし、合成エンドポイントでみると、有効性減弱は見られない  (HR, 1.00 [95% CI, 0.91-1.10] vs 0.91 [95% CI, 0.87-0.96]; P for interaction, .08)

Propensity score−matched modelでも同様結果


noteへ実験的移行

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