2015年7月3日金曜日

自閉症スペクトラム障害診断:メカニズムと関連する嗅覚検査異常

この検査は、誕生後数ヶ月で施行できるかも・・・ 早期発見も


イスラエルのWelzmann Institute of ScienceのNaom Sobel博士らの研究


Internal action model (IAM)は、感覚・運動共同の脳のテンプレートで、様々な行動の下支えとなっている。IAMの障害がASD:自閉症スペクトラム障害のコモンなテーマとなっている。
嗅覚も、IAM、すなわち嗅反応に基づき、嗅ぐ行為は自動的に臭いのValenceにより自動的に修正される。非言語的、非行動的な反応を観察するには、嗅覚行動を用いるのが良いのかもしれない。

ASDの子供は、臭いの元に無関係に、同等の嗅ぐ行為を行い、対照児が大人と同様の反応をするのと対照的であった。
異常嗅覚行為増加ほど重症ASD(r = - 0.72 , p < 0.001)で、特に社会性障害に多く(r = - 0.72 , p < 0.001)、運動障害では認めない(r < - 0.38, p > 0.18)。


A Mechanistic Link between Olfaction and Autism Spectrum Disorder
Liron Rozenkrantz , et. al.
Current Biology 25, 1–7, July 20, 2015
DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.cub.2015.05.048



ヨーロッパ人種:目の色とアルコール依存症になりやすさの関係

あくまでもヨーロッパ人種の話だけど、目の色(医学的には虹彩の色)はアルコール依存性影響を与える。



ヨーロッパ人種に多いが、米国ではこの比率が劇的に減少しているという・・・その人たちは、アルコール依存症に関連する遺伝子と関連するらしい。

Wikipedia

ブルーの目は遺伝的に劣性であり、学者エイバーグとその研究者達は論文をヒューマン・ジェネティックスに発表し、OCA2遺伝子の触媒と考えられているHERC2遺伝子の8番目のイントロンがOCA2遺伝子の働きを抑えメラニン色素の形成を減らしているとした。




Eye color: A potential indicator of alcohol dependence risk in European Americans
Arvis Sulovari , et. al.
American Journal of Medical Genetics Part B: Neuropsychiatric Genetics
Volume 168, Issue 5, pages 347–353, July 2015


アルコール依存症と blue eye colorの相関みとめ、brown eyeに比べオッズ比 1.83 (1.31 - 2.57 ) , p = 0.0005
network-based analysisでも有意で、目の色の遺伝子とアルコール依存遺伝子の間の遺伝的相互関係認めた。

アルコール依存GABA受容体遺伝子クラスター、GABRB3/GABRG3、目の色の遺伝子 OCA2/HERC2ににlinkage disequilibrium(連鎖不均衡)エビデンス有り、同様にアルコール依存症関連GRM5と色素沈着関連TYRにも存在

この住民フェノタイプ、ネットワーク、連鎖不均衡解析にて、目の色とアルコール依存との関連性が明らかになった。



COPD予後指標:GOLD2011はGOLD2007より改善したとは言えない

GOLD COPD分類スキームは、2007年度版、2011年度版の新旧とも、3年間フォローアップ総死亡率に関してリスク分類としては臨床的に用いる場合には十分な判別能力を持つ、しかし、多少、FEV1予測値比の区分の工夫必要。
2011年版による新たな臨床的指標取り込みはその価値を高めたとは言えない。
よりすぐれたCOPD多因子指数による予後指標開発は必要。



Mortality prediction in chronic obstructive pulmonary disease comparing the GOLD 2007 and 2011 staging systems: a pooled analysis of individual patient data
Joan B Soriano, et. al.
The Lancet Respiratory Medicine, Published Online: 17 May 2015


GOLD2007はFEV1を従来通り病期分類判断に使用し、GOLD2011で患者管理の改善をめざして臨床的パラメータを導入
筆者等は、 COPD Cohorts Collaborative International Assessment (3CIA) initiativeの一部を用い、個別患者のGOLD2007とGOLD2011のカテゴリ化を行い、Stagingの死亡率予後正確性を評価したもの

7ヶ国、22COPDコホート、1万5632名、トータル7万184人年検討。
平均年齢は63.9歳(SD 10.1歳);男性 69%(1万751)

FEV1単独に基づくGOLD2007に基づくと、軽症(I) 2424(16%)、 中等度(II) 7142(46%)、 重症(III)  4346 (28%)、最重症(IV) 1670 (11%)

GOLD2007 の病期分類と比べ、新しいGOLD2011システムは1万4660名で、Grade A  5548 (38%) 、 Grade B 2733 (19%) 、 Grade C 1835 (13%)、 Grade D 4544 (31%)

GOLD2011は、全体的COPD重症度分布をより重症カテゴリーへシフトさせている。

以前のStage IV期 より Stage D患者数は3倍近く多くなっている (p<0.05)
10年間生存予測能力は両システム有意性あり(p<0.01)
しかし、AUCは、GOLD 2007 0.623、 GOLD 2011 0.634
GOLD 2007も GOLD 2011も有意差無し。

FEV1予測値比閾値を 85%、 55%、 35%とすると死亡率に関する、stabe COPD重症度はその予測性良くなる






病期と重症度ってのは各疾患あまねく混同をもたらす元になる。重症度は経年的線形的な悪化を示すわけではないし、一気に悪化その後安定・緩徐悪化なんてこともある疾患ではその取り扱いに注意が必要。


2011年からCOPDガイドラインであるGOLDは、Group A-Dの分類を行っているが、認識としては、A-D Stageとは思ってなかった。




GOLD2015に加筆


従来のスパイロメトリによる病期分類



2011年のスパイロメトリの基準は2009年とStage IVで若干異なる








股関節変形性関節症レントゲン所見と、全死亡率・各疾患死亡率は相関する

整形外科学会提唱のロコモティブ・シンドロームなる、日本国内でしか通用しないガラパゴス病名には不快さを感じる。マーケットを広げようとする恣意性しか感じない。運動に関わるのは心理身体的疾患全部に関連するのであって、一部診療科が独善的に扱うべき代物ではないと思う。マクロ的病名をつけて囲い込みを使用とする整形外科学会のやり方には他疾患分野の専門家からもうすこし攻撃的反論があってしかるるべきと思う。

【軽薄概念・ミスリーディング行為】ロコモ:運動療法介入エビデンス乏しい、 そもそも運動制限を生じる原因は整形外科疾患だけじゃない 2013/09/18
「ロコモ」・・・いい加減にしてくれないか カタカナ概念 2009/03/05


整形外科諸氏の足下・・・変形性関節症と死亡率の関連性についての報告がなされている。これさえ、ロコモとわけのわからないマクロ概念に押し込もうとするのだろうか・・・整形外科の先生方。


Hip Osteoarthritis and the Risk of All-Cause and Disease-Specific Mortality in Older Women: A Population-Based Cohort Study
Arthritis & Rheumatology Article first published online: 26 JUN 2015

65歳以上の9704名の白人米国住民ベースコホート  the Study of Osteoporotic Fractures、ベースラインレントゲン検討サンプル7889名と8年後5749名を対象


RHOA : レントゲン上のOA所見は、Croft grade 一側、2点以上(関節裂隙狭小化、骨棘 + 他のレントゲン特徴)


平均±SD フォローアップ期間 16.1±6.2年間。ベースライン、8年時点RHOAは8.0%、 11.0%


累積発生頻度は、全死亡率 67.7%、 心血管疾患(CVD)死亡率 26.3%、 がん死亡率 11.7%、 胃腸疾患死亡率 1.9%、 他死亡原因リスク 27.8%



RHOA は、年齢、BMI、教育、喫煙、健康状態、糖尿病、卒中補正後の全原因死亡率 (hazard ratio 1.14 [95% 信頼区間 1.05–1.24]) 、CVD 死亡率 (hazard ratio 1.24 [95% 信頼区間  1.09–1.41])と相関



これらの相関は、身体機能介入変数で説明可能な部分がある



日本医師会雑誌のいい加減さは、「男性更年期」をテーマにしたことで自明。さらに、ロコモティブも・・・ こういう軽薄な編集方針で果たして日本の医療の質保てるのだろうか?

noteへ実験的移行

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