2012年4月11日水曜日

海藻食べ過ぎ、甲状腺がんリスク増か=閉経後の女性―環境研究所など


海藻食べ過ぎ、甲状腺がんリスク増か=閉経後の女性―環境研究所など

時事通信 4月11日(水)11時39分配信  閉経後の女性が海藻を食べ過ぎると、甲状腺がんのリスクが高まる可能性があるとする報告を国立環境研究所と国立がん研究センターのチームがまとめ、11 日までに欧州のがん専門誌に発表した。環境研の道川武紘研究員は「海藻に含まれるヨウ素が原因の可能性がある」と分析している。
研究チームは1990~2007年、10府県の40~69歳の女性約5万人を追跡調査した。
調査開始後に甲状腺がんになった閉経後の女性は111人で、海藻をほぼ毎日食べるグループは、週2回以下のグループに比べ、2.4倍がんになりやすいことが分かった。甲状腺がんの一種である乳頭がんでは3.8倍の差があった。 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120411-00000058-jij-soci

原著:
Seaweed consumption and the risk of thyroid cancer in women: the Japan Public Health Center-based Prospective Study 
Michikawa, Takehiro, et. al.
European Journal of Cancer Prevention on April 11.
 http://journals.lww.com/eurjcancerprev/Abstract/2012/05000/Seaweed_consumption_and_the_risk_of_thyroid_cancer.7.aspx


参照: Effect of Iodine Intake on Thyroid Diseases in China
Weiping Teng, et. al.
N Engl J Med 2006; 354:2783-2793June 29, 2006

高リスク対象:肺がん検診は、他がん検診に比べても低コスト

“肺癌検診は公衆衛生上は確立していない”、しかし、最近のランダム化対照トライアルでは、低放射線量CTによりがん死亡率低下報告がみられている。

実地モデルで、高リスク50-64歳米国民への年次検診のコストベネフィット検討
 
An Actuarial Analysis Shows That Offering Lung Cancer Screening As An Insurance Benefit Would Save Lives At Relatively Low Cost
Health Aff April 2012 vol. 31 no. 4 770-779 


現行の商用償還率を仮定し、2012年ドル価値で月あたり被保険者メンバーあたり1$で検診を考慮

“cost per life-year saved”は、1.9万ドル未満で、頚部癌・乳がん、直腸結腸がん検診と比べても良好

結果、商用保険者も、肺がん検診を、高リスクに限って行うことは、カバーとして高価値で、50歳以上・喫煙歴(30pack-year以上)でベネフィットあり

支払者・患者は、高品質、低コストの検診を要求しても良い。


上記の報告は、限定した議論バーデンでの検討である。

“National Lung Screening Trial (NLST) では、25%が検診異常としてひっかかり、偽陽性95%にもなる” ・・・この事実を無視した報告。
スコットランドの肺がん検診プログラム 2012年3月24日土曜日

低用量放射線CT肺がん検診:stage shift認めず、死亡率減少も認めない 2012年3月21日水曜日

エビデンス無き肺がん検診:3分の2のプライマリケア医はガイドラインに反し推奨してしまっている 2010年 11月 08日

肺がん検診:PLCOトライアル 年次胸部レントゲン検診では肺がん死亡率減少させず 2011年 10月 28日

スパイラルCT肺がん検診NEJM論文批判論文 2007年 11月 28日

他、隔年と年次と同等という報告も
Annual or biennial CT screening versus observation in heavy smokers: 5-year results of the MILD trial
European Journal of Cancer Prevention:May 2012 - Volume 21 - Issue 3 - p 308–315 doi: 10.1097/CEJ.0b013e328351e1b6



“痛む脚動く足趾症候群” 症例のまとめ

むずむず脚症候群( restless legs syndrome、RLS)と似た名前だが、病態はかなり異なる。

日本語病名がスマートでない “痛む脚動く足趾症候群”



“Painful legs and moving toes (PLMT) is a rare syndrome which is characterised by involuntary movements of the toes and pain in the legs”

“つま先の不随運動と下肢疼痛”を特徴とする、“痛む脚動く足趾症候群”

1971年 Spillanceが最初記載で、突発性の下肢幻肢痛と伴う足趾の自発運動。

脊髄後根に関連する病態後とされたが、特発性の稀な疾患として記載され、睡眠障害も関連する。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1027386/pdf/jnnpsyc00133-0027.pdf


76例の症例報告
Painful Legs and Moving Toes Syndrome
A 76-Patient Case Series
Arch Neurol. Published online April 9, 2012. doi:10.1001/archneurol.2012.161


50名(66%)が女性、発症年齢 平均 58歳(24-86歳)、神経学的評価されたのは63歳(26-88歳)

下肢のみの異常が多く、69名(91%)、両側性が44例(58%)

多くの診断原因としては、末梢性神経障害 21例[28%]、外傷既往 8例[11%]、 根性神経障害 7[9%]、 原因不明 32例[42%]

2-200Hz周期の運動

疼痛はほぼ全例に見られ、自発運動より疼痛に対しての訴えが多い。


疼痛も、自発運動も、治療困難。薬物や治療モダリティーの多くでベネフィット認めず。

多く(83%)が、4.6年フォローアップ平均期間でも持続し、自然消失も稀
部位的な異常が多く、脊髄・脳幹部レベルに関連する病態が考慮される。



関連:
「ビ・シフロール錠」のむずむず脚症候群の適応症追加  2010年 01月 22日

Restless abdomen: むずむず腹症候群 3例  2011年 09月 30日

チアジド系利尿剤耐糖能異常:カリウム保持性利尿剤で改善、新規β2遮断剤は影響なし

耐糖能異常だけで、ALLHAT研究における降圧利尿剤のベネフィットを過小評価ってのもおかしい。K保持の重要性、糖代謝への影響がその後明らかになるにつれ、薬物治療に関しても、取り扱いに変化が生じるのは当たり前。







アミロライド(英:amiloride)は、カリウム保持性利尿薬で、トリアムテレン(トリテレン・カプセル50mg(大日本住友製薬))は類似薬。

ベンドロフルアジド(英bendroflumethiazide)は、チアジド系利尿剤。

ネビボロール(英nebivolol)は、NOを介する血管拡張作用および抗酸化作用を有し,高いβ1選択性を示すβ遮断薬

A Double-Blind, Placebo-Controlled, Crossover Trial Comparing the Effects of Amiloride and Hydrochlorothiazide on Glucose Tolerance in Patients With Essential Hypertension
Anna J. Stears, et. al.
HYPERTENSIONAHA.111.189381 Published online before print April 9, 2012


高血圧ガイドラインは、糖尿病リスク増加のため、 サイアザイド投与量を制限し、β遮断剤との併用を避けるよう助言がなされている。

サイアザイド治療4週後、OGTT変化、amilorideへのスイッチを                                                                                                                                                    避ける。
2重盲検プラシーボ対照化交叉試験

study 1: ベンドロフルアジド治療4週後、2時間OGTT検査による血糖変化
study 2: 本態性高血圧37名、ランダム順、1日1回HCTZ 25-50mg、nebivolol併用 5-10mg、amiloride 10-20mg、プラシーボ、それぞれ2週毎と、4週毎プラシーボwashout

受診時、血圧と75-gOGTT、プライマリアウトカムは、0-4週の血糖の変化 HCTZとamilorideは反復測定解析で比較。

同じ血圧減少に対し、2つの利尿剤は逆の変化をもたらした(P<0.0001)

Nebivololは、単独でも、併用でも糖代謝に障害与えず。ΔカリウムとΔ2時間血糖の負の相関(r=-0.28;P<0.0001)

2つの交差研究では、サイアザイド系利尿剤治療4週間で、糖代謝異常を示す。

K+保持性利尿剤とβ1選択的遮断剤では異常認めず

amilorideへの変更、追加はサイアザイド誘起性糖尿病発症を予防する。

対他ARB比較、ロサルタン心不全リスク増加疑惑 ・・・ 否定?

アンギオテンシンII受容体拮抗剤(ARBs)の心不全へのベネフィットには class effect、すなわち、同じ、ARBでも種類により、効果の差を認める可能性がある。ただ、ガチンコ研究はないため、明らかではない。

ロサルタンと他のARB比較の観察研究で、ロサルタンで、心不全患者の死亡率増加と関連することが示された。
Angiotensin II receptor blockers for the treatment of heart failure: a class effect?
Pharmacotherapy. 2007 Apr;27(4):526-34.


ということで、 Svanströmらは、デンマーク国内登録データ(1998-2008)で、全原因死亡率リスク比較

ロサルタン 4397 vs カンデサルタン 2082

結果は、ロサルタン使用で全死亡率増加ということは見られなかった、という報告。

Association of Treatment With Losartan vs Candesartan and Mortality Among Patients With Heart Failure
JAMA. 2012;307(14):1506-1512. doi: 10.1001/jama.2012.452 


ほんとに、class effectはあるのだろうか?


最近の報告では、ロサルタンそのものは、カルシウム拮抗剤であるアムロジンに比べ、脂肪肝(腹部超音波指標)、皮下脂肪改善効果、尿酸低下、肝炎症・線維化抑制が示されている。

NASH各指標改善: ロサルタン>アムロジピン ; シンバスタチン追加でさらに改善  2012年 01月 14日
カルシウム拮抗剤とロサルタンは尿酸値低下のみならず、痛風発症リスク減少 ;その他ARBは痛風増加  2012年 01月 13日

ロサルタンによる肝臓炎症・線維化減少効果  2010年 03月 02日
 
 
ちなみにカンデサルタンとの医療コスト比較では、カンデサルタンの勝ちだったらしい・・
高血圧症第一選択:ロサルタン v カンデサルタンの医療コスト比較  2010年 04月 10日

今の薬価は?

高齢者:心電図マイナー異常は優秀な冠動脈疾患リスク予測要素

高齢者において、従来のリスク要素評価に基づく冠動脈性心疾患イベント予測は、中年男性に比べ、正確性はやや低下する。

前向き住民ベース2192名の心血管疾患無し、70-79歳対象


Auer らはベースラインの心電図異常、新規異常発生、持続ECG異常が冠動脈性心疾患イベントリスク増加と関連するかを検討。

平均6.4年フォローアップで、majorあるいはminorな心電図異常は、冠動脈リスク増加と関連し、イベント予測としては従来の心血管リスク要素予測より優れていた。



Original Contribution
JAMA. 2012;307(14):1497-1505. doi: 10.1001/jama.2012.434
Association of Major and Minor ECG Abnormalities With Coronary Heart Disease Events
Reto Auer, et. al. for the Health ABC Study
JAMA. 2012;307(14):1497-1505. doi: 10.1001/jama.2012.434
Minnesota Code (MC)
Criteria for major prevalent ECG abnormalities were
major 心電図異常: 
・ any of the following: Q-QS wave abnormalities (MC 1-1 to 1-2-8)
・ left ventricular hypertrophy (MC 3-1)
・ Wolff-Parkinson-White syndrome (MC 6-4-1 or 6-4-2)
・ complete bundle branch block or intraventricular block (MC 7-1-1, 7-2-1, 7-4, or 7-8)
・ atrial fibrillation or atrial flutter (MC 8-3)
・ major ST-T changes (MC 4-1, 4-2, 5-1, and 5-2).

minor 心電図異常: minor ST-T changes (MC 4-3, 4-4, 5-3, and 5-4)



Figure 1.
Kaplan-Meier Estimates of CHD Cumulative Hazard Over Time of Any vs No ECG Abnormality

CHD indicates coronary heart disease; ECG, electrocardiographic. Any ECG abnormality included minor, major, or both. All 351 CHD events were included. 


 
Figure 2.
Kaplan-Meier Estimates of CHD Cumulative Hazard Over Time of Major and Minor vs No ECG Abnormality
CHD indicates coronary heart disease; ECG, electrocardiographic. All 351 CHD events were included.

胃瘻議論喚起なら、クソドラマも多少、役には立つのかもしれない

草なぎ剛 『37歳で医者になった僕~研修医純情物語~』


テレビドラマとはいえ、粗雑な作りだった。

胃瘻がまるで後戻りできない医療処置のごとき扱い、卒中患者と終末期ケアとを混同しているのではないかという疑念、看護師やリハビリテーションスタッフ・栄養部門などのパラメディカルスタッフの職務存在無視・・・枚挙無き粗雑さ。





終末期は“胃ろうせずも選択肢”:老年医学会ガイドラインやっと着手  2011年 12月 05日
  ↑
このあたりの情報を何か勘違いしてテーマとしてしまったのだろう。


かなり傲慢なヒーロー主義全開、対比として無能すぎる表面的な指導医の存在。中でも、チーム医療を無視した、侵襲的検査を研修医単独で行おうとしたことへ批判は、 tweet  やら掲示板書き込みが多かった。


臨床倫理、特に、胃瘻を巡る意思決定について考えるには良い素材になるのかもしれない。

バイオエシックスの問題は、医学部での講義対象となっており、草薙氏扮する研修医がそのことを知らないはずはない。いくら患者・家族の同意があったとしても、上級医に相談せず、冒険的侵襲的検査を行うことに対し、批難があって当たり前と思う。すべきは、バイオエシックスの問題を、症例プレゼンテーションの時に、上級医達にぶつけ、かれらの意見を聞いた上で、患者・家族に、「検査の限界と効用」そして、「胃瘻設置に関わるメリット、急性合併症、慢性的問題点」などをできるだけ、客観的データを示して、納得づくの意思決定が行われるべきだった思う。


一部肯定的に見れば、胃瘻に関し、否定的なスタンスをテレビ放映した意義はある。



有名な、NEJMの総説、“認知症患者へのチューブ栄養”に関する問いかけに端を発する議論がある。
Rethinking the Role of Tube Feeding in Patients with Advanced
Dementia
NEJM Vol. 342:206-210 Jan. 20, 2000 No. 3

認知症に対する経管栄養に関し、慎重な方向へ医師の考えはシフトしている。

日本のアンケート報告の一報告高齢者摂食障害に関し、チューブ栄養適応に関し、神経疾患・卒中は90%、認知症に対しては46.8%が適応と、消化器科専門医は、回答している。
Indications and practice for tube feeding in Japanese geriatricians: Implications of multidisciplinary team approach.
Geriatr Gerontol Int. 2012 Feb 20. doi: 10.1111/j.1447-0594.2011.00831.x. [


チューブ栄養といっても、様々。それぞれの適応や効能・有害性リスクが存在する。テレビドラマらしく主人公達が勝手に選択肢を狭くして二極対立を演出していた。くだらないドラマと決定したが、経管栄養議論の発端になるなら、ゴミドラマの資源活用となるだろう。


第2話までみたけど・・・ 論拠するほどのドラマで無いことははっきりした。

原作の作者って、主人公の臨床的態度が正しいと思ってるかしら?

主治医やその先輩医師たち、そして、栄養士やソーシャルワーカなどと相談もせず、チーム医療の否定して突っ走る医者が理想だとしたら・・・ そんなやつが医療を語るな!

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note