2012年6月12日火曜日

血管再建後無症状:PCI後2年間、CABG後5年間、運動負荷検査で予後を変えない

PCI2年未満、CABG5年未満への無症状患者への運動負荷心エコー(exercise echocardiography (ExE))は不適切と考えられているが、その後の適応の是非不明であった。

PCI後やCABG後、虚血・心血管イベントの繰り返しが多く行われている。冠動脈疾患進行、ステント再狭窄・グラフトの動脈硬化など治療失敗の累積がその理由だろうが、ガイドラインでは、その評価に、運動負荷心エコーを含むストレス画像検査を推奨している。
 ストレス心エコーの虚血存在がPCI後、CABG後の副事象を推定するが、繰り返す血管再建が患者のアウトカムや疾患経過に与える影響は不明であった。
非侵襲的検査の不適切利用はコストの問題だけで無く、不適切なdownstream testingやCAGや血管再建などの介入手技をもたらすこととなる。

PCI2年未満、CABG5年未満の検査に関して、その有用性を検討の結果、アウトカムに影響をあたえるものではなかった。 今後、ガイドラインなどの改定が予想される。



Original Investigation | June 11, 2012 Less Is More
Exercise Testing in Asymptomatic Patients After RevascularizationAre Outcomes Altered?
Serge C. Harb,et.al.
Arch Intern Med. 2012;172(11):854-861. doi:10.1001/archinternmed.2012.1355

2105名の心筋梗塞歴あり、PCI、CABG後患者(64[SD 10]歳、女性 15%、心筋梗塞歴40%、PCI 54%、CABG46%)で検討

虚血有りの262名の患者の内、88(34%)のみ、引き続き血管再建

死亡率(97名[4.6%])が虚血関連 (hazard ratio, 2.10; 95% CI, 1.05-4.19; P = .04)でPCI早期(P=.03)と後期(PCI 2年以上、CABG 5年以上)(P=.001)

初回血管再建後ストレスエコー虚血状態による生存率(無症状患者)
 
 上:全死亡率、下:心原因死亡

しかし、アウトカム主要推定要素は、心エコー所見より臨床的および負荷試験所見

サブグループ解析にて、糖尿病無し無症状患者で、駆出率正常(50%以上)、正常運動能力(>6METs)なら、検査陽性の可能性及びイベントの可能性は少ない。

 補正虚血・再建術後による多変量Cox回帰モデル(共役要素平均)生存率


高リスク群でさえ、繰り返し血管再建のベネフィットはありそうもない

アクトスなどの抗糖尿病薬は糖尿病性黄斑浮腫リスク増加させる

アクトスなどのチアゾリジンジオンの糖尿病性黄斑浮腫(DME)へ影響に関して結論は出ていなかった。
2型糖尿病(T2D)患者で、チアゾリジンジオン薬剤使用有無で、短期・長期リスクを検討


T2D患者で、チアゾリジンジオン治療は、黄斑浮腫について、1年後、10年後評価でもリスク増加する。


ONLINE FIRST
Association Between Thiazolidinedione Treatment and Risk of Macular Edema Among Patients With Type 2 Diabetes ONLINE FIRST
Iskandar Idris, et. al.
Arch Intern Med. 2012;():1-7. doi:10.1001/archinternmed.2012.1938


103368名のT2D・非DME患者後顧的コホート

1年後、DME発生 チアゾリジンジオン 使用 1.3%(41/3227) 、非使用 0.2%(227/100141) (odds ratio [OR], 5.7 [95% CI, 4.1-7.9])

Cox多変量回帰解析(補正;年齢、収縮期血圧、脂質レベル、HbA1c、アスピリン、フィブラート、インスリン、経口抗糖尿病薬、RAS系薬剤)で、遺失値を含む補正、propensity score解析で、選択バイアス除外したところ、チアゾリジンジオン使用は、1年フォローアップ時 (OR, 2.3 [95% CI, 1.5-3.6]) 、10年フォローアップ時 (hazard ratio [HR], 2.3; [95% CI, 1.7-3.0])DMEリスク増加と関連

この効果は、ピオグリタゾンとロシグリタゾンともに同等。

インスリン+チアゾリジンジオン併用は、propensity score補正後DMEリスク高く (HR, 3.0 [95% CI, 1.5-5.9])、アスピリン (HR, 0.6 [95% CI, 0.4-0.9]) とACE阻害剤 使用 (HR, 0.4 [95% CI, 0.2-0.7]) はDMEリスク減少させる。

アクトスなどのチアゾリジンジオンってのは副作用に悩まされる薬剤・・・製造会社がこの副事象啓発に不熱心なのが気にかかるうちに、後発品マーケットに流れ出てしまった。ジェネリック製造会社がこの種の副作用情報提供をまともにするかどうか・・・個人的には気にかかる。

BMJ後顧的コホート;ピオグリタゾンと膀胱癌の関連確認 期間・投与量累積と相関 but 日本ではジェネリック・合剤と製品増加! 2012年6月4日

ORIGINトライアル:n-3脂肪酸 脂質異常症患者での心血管アウトカム改善せず・・・JELIS結果への疑念増す


n-3不飽和脂肪酸って、ハードなアウトカムほどアウトカム改善効果ないような感じする。

ANCHOR サブグループ:エチルEPA 糖尿病患者への効果 2012年6月11日

日本のJELIS研究結果と異なる結論となる報告再び・・・ORIGINトライアル

n–3 Fatty Acids and Cardiovascular Outcomes in Patients with Dysglycemia
The ORIGIN Trial Investigators
N Engl J Med. June 11, 2012 (10.1056/NEJMoa1203859) 

二重盲験2x2区分デザイン:12536名の心血管疾患高リスク・IFG/IGT/糖尿病患者
エチルエステル n-3脂肪酸 900mg含有1gカプセル vs プラシーボ +インスリン glargine or 標準治療

プライマリアウトカムは心血管疾患死亡

6.2年フォローアップ中央値、プライマリアウトカムの頻度は、n−3脂肪酸においてプラシーボ投与比較で、有意な減少認めず(574  [9.1%] vs. 581  [9.3%]; ハザード比, 0.98; 95% 信頼区間 [CI], 0.87 〜 1.10; P=0.72)

n-3脂肪酸は、主要血管イベント率でも有意な影響認めず
  (1034 名 [16.5%] vs. 1017 名 [16.3%]; ハザード比, 1.01; 95% CI, 0.93 〜 1.10; P=0.81)、全原因死亡 (951 [15.1%] vs. 964 [15.4%]; ハザード比, 0.98; 95% CI, 0.89 〜 1.07; P=0.63)、不整脈死(288 [4.6%] vs. 259 [4.1%]; ハザード比, 1.10; 95% CI, 0.93 〜 1.30; P=0.26)

TG値はプラシーボ比較して14.5mg/dL(16 mmol/L)低下 (P<0.001)、ほかの脂質への影響認めず

副作用的影響は2群同様

JELISではLDL低下30%弱、TG低下10%、HDL5%程度増加しているが、その後の否定的な報告では脂質プロファイルに有意な効果がでていない。これが、臨床的アウトカムの差になってると素直に考えるべきなのだろうか。対照がプラシーボでなかったことが影響を与えてるのかも・・・ スタディデザインの違いと考えれば、JELISへの信頼性はかなり低下している。

noteへ実験的移行

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