2014年12月3日水曜日

FACTOR-64ランダム化トライアル:糖尿病の冠動脈造影CTスクリーニングは正当化できない

タイトルのごとく、糖尿病であれば、即、冠動脈造影CTってのは、正当化できない。
無症候性が対象ということは明確にする必要はあるが・・・


Effect of Screening for Coronary Artery Disease Using CT Angiography on Mortality and Cardiac Events in High-Risk Patients With Diabetes
The FACTOR-64 Randomized Clinical Trial
Joseph B. Muhlestein, et. al.
JAMA. 2014;312(21):2234-2243. doi:10.1001/jama.2014.15825.

【意義】 Coronary artery disease (CAD) :冠動脈疾患は、糖尿病患者にとって併発症・死亡率の重大要素であるが、CADは心筋梗塞(MI)や冠動脈死前は無症候性であることが多い

【目的】 1型・2型糖尿病患者のCT冠動脈造影によるCADのルーチン・スクリーニングは、高度新リスク状況と見なせるか、そして、CCTA指向治療により死亡・非致死性冠動脈アウトカムを改善できるか評価

【デザイン・セッティング・被験者】 FACTOR-64 study は、ランダム化臨床トライアル(1型・2型糖尿病900名、3-5年の病歴、CAD症候なし、45クリニック・単一医療システム (Intermountain Healthcare, Utah))。単一コーディネーティングセンターにて登録し、ランダム割り付け:CCTAによるCADスクリーニング (n = 452) と標準国内ガイドラインに基づく適正糖尿病ケア(n = 448) (targets: 糖化HbA1c <7 .0="" br="" dl="" hg="" ldl="" mg="" mm="">すべてのCCTA画像は、コーディネーティングセンターで施行。
標準治療もしくは積極治療 (targets: 糖化HbA1c <6 .0="" dl="" hdl="" ldl="" mg="">50 mg/dL [women] or >40 mg/dL [men], TG <150 br="" dl="" hg="" mg="" mm="">侵襲的冠動脈造影を含む積極治療をCCTA所見に基づき行う
登録は2007年6月から2013年5月まで、フォロアップは2014年8月まで


【主要アウトカム・測定項目】
プライマリアウトカムは、組み合わせ(全原因死亡率、非致死的心筋梗塞、不安定狭心症・入院必要状況
セカンダリアウトカムは、虚血性重大心血管副事象(CAD死、非致死性心筋梗塞、不安定狭心症)


【結果】 フォローアップ期間平均   4.0 (SD, 1.7) 年間。

プライマリアウトカムイベント発生率はCCTA群と対照群で有意差なし (6.2% [28 events] vs 7.6% [34 events]; ハザード比, 0.80 [95% CI, 0.49-1.32]; P = .38)

虚血性重大イベントの複合セカンダリエンドポイントイベント発生率においても群間差認めず (4.4% [20 events] vs 3.8% [17 events]; ハザード比, 1.15 [95% CI, 0.60-2.19]; P = .68)


【結論・知見】
1型・2型糖尿病/無症候患者において、CCTAを用いた冠動脈疾患スクリーニングは全原因死亡率・非致死性心筋梗塞・入院必要不安定狭心症の組み合わせイベント発生をすくなくともフォローアップ4年程度では減少させない。
以上から、これらの患者を対象にしたCCTAスクリーニングは推奨しない

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