2019年3月30日土曜日

LAMA vs LAMA/LABA:6週間治療後3分間シャトルウォーキング試験呼吸困難度改善

3-min constant speed shuttle test (CSST) で、運動関連息切れ(activity-related breathlessness)のチオトロピウム/オロダテロール(スピオルト相当)とチオトロピウム(スピリーバ)比較


Dual bronchodilation with tiotropium/olodaterol further reduces activity-related breathlessness versus tiotropium alone in COPD
François Maltais, et al.
European Respiratory Journal 2019 53: 1802049;
DOI: 10.1183/13993003.02049-2018




プライマリエンドポイント:6週治療後、シャトルウォーキング試験の息切れ(borg dysponea score)
3分間CSSTのスピードはmMRC "somewhat severe" 4以上の呼吸困難度で完遂




Borg dyspnoea score:
 a) at the end of the 3-min constant speed shuttle test (CSST) (primary end-point)
b) during the 3-min CSST, after 6 weeks of treatment. T/O: tiotropium/olodaterol (n=101); Tio: tiotropium (n=100).


3-分間 CSST終了時息切れのベースラインからの差は
チオトロピウム 平均 –0.968, 95% CI −1.238– −0.698; n=100
チオトロピウム/オロダテロール 平均 −1.325, 95% CI −1.594– −1.056; n=101

この差は統計学的に有意 (treatment difference −0.357, 95% CI −0.661– −0.053; p=0.0217).




modified Borg scale (MBS)は1程度、mMRCは 0.5程度がMCIDという話があるのですが・・・シャトルウォーキング試験では安静時mMRCの評価とはまた違うのかもしれない





2019年3月29日金曜日

アロプリノールと心血管疾患アウトカム・総死亡率減少効果

アロプリノールの総死亡・心血管疾患アウトカムへの影響は後顧的住民研究レベルだと解釈難しい

死亡率・心血管アウトカム減少作用は高用量では大きな減少効果があったが、それなら総累積量により効果変動しそうなものだがそれは認められなかった。
尿酸値と死亡率の関連性は Mendelian randomization study(White JSofat RHemani G, et al. Plasma urate concentration and risk of coronary heart disease: a Mendelian randomisation analysisLancet Diabetes Endocrinol2016;4(4):327336.)では認められなかったことと合わせ、まだ混沌部分が多い




Association between allopurinol and cardiovascular outcomes and all‐cause mortality in diabetes: A retrospective, population‐based cohort study
Alanna Weisman ,et al.
Journal of Pharmacology and Therapeutics
First published: 08 February 2019
https://doi.org/10.1111/dom.13656
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/dom.13656


カナダ・オンタリオの住民ベース後顧的コホート研究
アロプリノールと死亡率、心血管アウトカムの関連性 66歳以上の糖尿病患者で2002年4月1日から2012年3月31日まで初回処方症例で、2016年3月31日までの検討

フォローアップ中央値 4.65 (IQR , 1.79 - 7.81)年間
プライマリアウトカム (総死亡、非致死性心血管疾患(心筋梗塞、血管再建、卒中)、うっ血性心不全)発生:男性  16 266/23 103、女性  10 571/15 313

アロプリノールは、プライマリアウトカム減少と関連   [補正ハザード比 (aHR) 男性  0.77 (95% 信頼区間 0.75–0.80) 、 女性:0.81 (0.78–0.84) ]
総死亡率減少顕著、心血管イベント/うっ血性心不全 modest

累積アロプリノール量はアウトカムに影響無く、アロプリノールは、男性肺炎リスク減少と関連  [aHR 0.88 (0.83, 0.93)]



尿酸はプリン代謝の産物で、細胞外環境及び低濃度では尿酸は抗酸化作用を有するが、高濃度・細胞外環境ではpro-oxidant作用を有し有害作用となる可能性がある。Xanthine oxidaseはhypoxanthineからxanthineへ、xanthineから尿酸への反応を触媒し、ROSを産生する。高尿酸血症は、酸化ストレス、RAAS活性化、心血管アウトカムと関連。一方、尿酸は心血管疾患のメディエーター、従来のリスクのマーカーでもある。
アロプリノールは血管内皮機能を改善し、左室容積を改善、酸化ストレスを軽減し、尿酸低下と無関係の作用の可能性がある。セカンダリ・データ(二次データ)を用いた多くの観察研究では、アロプリノールが臨床的に有意な心血管アウトカム減少効果を大規模住民研究では示せず、特に心不全においては一致した結果がない。
最近出現の尿酸低下薬剤である非プリンXanthine oxidase阻害剤 febuxostatの心血管疾患安全性評価臨床トライアルでは、allopurinoloに比べ総死亡率、心血管特異的死亡率低下の報告 (注.   非劣性だが・・・)
White WBSaag KGBecker MA, et al. Cardiovascular safety of febuxostat or allopurinol in patients with gout. N Engl J Med2018;378(13):12001210.

ALL-HEART研究
Mackenzie ISFord IWalker A, et al. Multicentre, prospective, randomised, open‐label, blinded end point trial of the efficacy of allopurinol therapy in improving cardiovascular outcomes in patients with ischaemic heart disease: protocol of the ALL‐HEART studyBMJ Open2016;6(9):e013774.


アレルギー疾患とがん発生

免疫監視機構の高まりによるがん予防的仮説":an allergic response may lead to heightened immunosurveillance, in which immune cells activated by the allergic response may direct the destruction of abnormal precancerous cells, thereby preventing the development of cancer" 

慢性炎症による組織破壊亢進による癌リスク増加仮説:"chronic inflammation associated with an allergic response may cause tissue damage, leading to an increased risk of cancer . Given the complex biological pathways and resultant effects of allergic conditions, both hypotheses may be correct in different contexts, with the role of allergies varying according to the allergic condition and cancer site."という仮説

さて、どっちが正しいか、アレルギー疾患毎臓器別にどう影響するか?

結論から言えばアレルギー性鼻炎のがん抑制的関連性が目立つ



Allergies and the Subsequent Risk of Cancer among Elderly Adults in the United States
_Monica D'Arcy, et al.
Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention
DOI: 10.1158/1055-9965.EPI-18-088
http://cebp.aacrjournals.org/content/early/2019/03/26/1055-9965.EPI-18-0887.full-text.pdf

Surveillance Epidemiology and End Results (SEER)-Medicare linked data

対照:アレルギー性鼻炎、喘息、湿疹: 8.40%、 3.45%、 0.78%

アレルギー性鼻炎は、下咽頭、食道(扁平上皮細胞)、子宮頚、扁桃/口腔咽頭、膣/外陰部がんと逆相関(aORs , 0.66 - 0.79)
より弱いが有意な逆相関:食道(腺癌)、胃、結腸、肛門・S状結腸/回腸、肝臓、膀胱、肺、子宮体部、膀胱、他の部位のがん



アレルギー性鼻炎の存在確認となる薬剤使用ではさらに相関は強くなる

喘息は肝癌リスク減少と相関  [aOR 0.82; 95% 信頼区間 (CI), 0.75–0.91するが、
湿疹はT細胞リンパ腫リスク増加と相関 (aOR, 4.12; 95% CI, 3.43–4.95)


変形性膝関節症に対するNSAIDs:だんだん効かなくなる


変形性膝関節症に対するNSAIDsの有効性と有害事象(AE)のtrajectory定量化分析

Duration of Symptom Relief and Early Trajectory of Adverse Events for Oral NSAIDs in Knee Osteoarthritis: A Systematic Review and Meta-analysis
Mikala C. Osani, B.A., et al.
Arthritis Care & Research March 28, 2019


2−26週間の変形性膝関節症への経口NSAIDsの有効性・AE trajectory

2018年5月までの文献検索

結果: 72 RCTs (26,424被検者)

NSAIDsは中程度だが、統計学的に有意な効果がありピークは2週目(SMD -0.43 [ -0.48 〜 -0.38)だが、経過と共に効果は減少




機能に関する結果も同様

消化管有害事象(AE)はプラシーボ比較で4週後という早期に出現 (RR 1.38 [1.21, 1.57])
MSAIDs使用の心血管有害事象発生率はプラシーボと有意差なし
多くの消化管・心血管有害事象は一過性で、重症度軽度





腎機能やCKDの記載ないようだが・・・






2019年3月28日木曜日

門脈圧亢進肝硬変へのβ遮断剤による腹水減少による死亡率減少効果

臨床的に有意な門脈圧亢進症(CSPH)を伴う代償性肝硬変患者では、β遮断薬を用いて肝静脈圧勾配(HVPG)を低下させることで代償不全または死亡のリスクを低減できる?

高リスク静脈瘤存在しない代償性肝硬変およびCSPH(HVPG≥10 mm Hg)患者では、門脈圧亢進症による肝硬変の代償不全を予防するためのβ遮断薬(PREDESCI)の有効性調査

スペインの8つの病院

肝硬変代償不全(腹水症の発症、出血、または顕性脳症として定義される)または死亡の発生率が主要評価項目で、調査結果によると、長期のβ遮断薬治療は、主に腹水症の発生率を減らすことによって、これらの患者における代償不全のない生存期間を延ばすことができることが示唆された


β blockers to prevent decompensation of cirrhosis in patients with clinically significant portal hypertension (PREDESCI): a randomised, double-blind, placebo-controlled, multicentre trial
Càndid Villanueva, et al.
The Lancet , Published:March 22, 2019
DOI:https://doi.org/10.1016/S0140-6736(18)31875-0

【背景】肝硬変の臨床的代償不全は予後不良と関連する。 10 mmHg以上の肝静脈圧勾配(HVPG)で定義される臨床的に有意な門脈圧亢進症(CSPH)は、代償不全の最も強い予測因子である。この研究は、β遮断薬によるHVPG低下でCSPHによる代償性肝硬変における代償不全または死亡のリスクを低減できるかどうかを評価することを目的とした。

【方法】門脈圧亢進症を伴う肝硬変の代償不全を予防するためのβ遮断薬に関するこの研究(PREDESCI)は、スペインの8つの病院で行われた研究者主導の二重盲検無作為化対照試験。高リスク静脈瘤の存在しない代償性肝硬変およびCSPH患者を登録した。すべての参加者は、静脈内プロプラノロールに対する急性HVPG反応の評価を伴うHVPG測定を受けた。レスポンダー(HVPG減少≧10%)はプラセボに対してプロプラノロール(1日2回最大160 mg)に、カルベジロール(≦25 mg /日)に対してプラセボに無作為に割り当てられました。用量は、オープンラベル滴定期間中に個別に決定され、その後、集中ウェブベースシステムによる1:1の割り当てで無作為化が行われた。主要評価項目は、肝硬変代償不全(腹水症の発症、出血、または顕性脳症として定義される)または死亡の発生率であった。代償性肝硬変での死亡は通常肝臓とは無関係であるため、競合事象として肝臓とは無関係の死亡を考慮したintention-to-treat analysis が行われた。


【結果】  2010年1月18日と2013年7月31日の間に、631人の患者が評価され、201人が無作為に割り当てられた。
 101人の患者がプラセボを受け、100人の患者が積極的な治療を受けた(67プロプラノロールおよび33カルベジロール)。
主要評価項目は、β遮断薬群の100人の患者のうち16人(16%)に対してプラセボ群の101人のうち27人(27%)であった(ハザード比[HR] 0・51、95%CI 0・26〜97) 、p = 0・041)。違いは腹水症の発生率の減少によるものであった(HR = 0 44、95%CI = 0 20  -  0 97、p = 0 0297)。
有害事象の全体的な発生率は両群で同様であった。 6人の患者(β遮断薬群の4人)は重篤な有害事象を有していた。

【結論】β遮断薬による長期治療は、主に腹水症の発生率を低下させることによって、代償性肝硬変およびCSPH患者の非代償性生存期間を増加させる可能性がある。



肺癌診断予測式:低線量CT所見と喫煙状況

CTスキャンと他の臨床データのintegrative analysisにて肺癌スクリーニングにおける肺結節同定被検不要数減少を図る

causal graphical modelを用い、従来のメソッドを凌駕し、良性結節を30%減らすことをボトムラインとする、新規肺癌予測法を開発


Causal graphical model



禁煙からの期間 係数(95% CI) −0.178 (−0.349 to −0.007) p=0.041
血管数 0.238 (0.074 to 0.510) p=0.009
結節数 −0.203 (−0.325 to −0.081) p=0.001


Feasibility of lung cancer prediction from low-dose CT scan and smoking factors using causal models
Vineet K Raghu ,et al.
BMJ Journals, Thorax 2019;0:1–7. doi:10.1136/thoraxjnl-2018-2126
http://dx.doi.org/10.1136/thoraxjnl-2018-212638


Lung Cancer Causal Model (LCCM), 





自動化できれば、ヒューマンエラーを騒がれなくなる?

2019年3月27日水曜日

食事中酸負荷量と高血圧の関連性

「酸性食品」「アルカリ性食品」というのが大昔流行し、高齢者の脳の片隅にへばりついているわけだが

https://www.lab.toho-u.ac.jp/med/ohashi/eiyobu/blog/tjoimi000000225i.html

ちょっと概念が変わって・・・

potential renal acid load (PRAL) methodやnet endogenous acid production (NEAP) methodなど推定された食事由来酸の量などは、CKDなど食事指導に関し重要な位置づけとなりそうな感じ




Reducing the Dietary Acid Load: How a More Alkaline Diet Benefits Patients With Chronic Kidney Disease
Journal of Renal Nutrition May, 2017, Vol. 27 No3 151-160


慢性腎臓病などの管理で低蛋白食(low protein diet: LPD)推奨される場合があり、理想体重あたり0.6gもしくは40gの蛋白食で、成分として"高biological value"(HBV)60〜70%が推奨される。パンやシリアルなどの"低biological value"(LBV)食品を制限し、動物由来食品からのHBVが主体となるべき推奨。しかし遵守性困難で、HBV蛋白30%としたときに、血中重炭酸増加し患者はこの食事を好む傾向。透析施設では50%程度にHBV蛋白として、ぱんやシリアル食品を自由に許可、果物野菜摂取を推奨となっている。
食物代謝として多くの蛋白は酸を産生し果物野菜はアルカリを産生。酸はリン酸とともに排泄されるも、1日 45 mEqが上限。慢性腎不全の場合は20 mEq/日にさらに低下する。歴史的にアンモニア排泄はNH3 + H+ → NH4+がグルタミン酸による酸中和作用と理解され、残った酸は中和されるか蓄積性に偏る。



さらに、

高血圧全般に関する食事由来酸の付加と高血圧リスクについてのシステミック・レビューとメタアナリシス

Dietary acid load and risk of hypertension: a systematic review and dose-response meta-analysis of observational studies
Mohammad Parohana, et al.
NMCD 23, March 2019 
DOI: https://doi.org/10.1016/j.numecd.2019.03.009


【背景と目的】 以前の研究でも血圧に関連する食事による軽度代謝性アシドーシスが評価されている。しかし、一定のものはない。現行システミック・レビューやdose-response メタアナリシスで、食事由来酸と高血圧の関連性を観察研究からの知見を要約

【方法と結果】 一定のキーワードで2019年2月まで出版されたオンライン・データベース検索。全体として14研究(前向き 3、横断研究 11)、306,183名、高血圧発症 62,264例をメタアナリシスに含めた

前向き・横断研究の結合effect sizeでは、食事性酸負荷量(net endogenous acid production (NEAP) method計算)と高血圧の関連性として非線型相関非有意であった

しかし、研究デザイン層別解析では、前向き検証では、食事性酸負荷量と高血圧の関連性は有意な非線型相関 p=0.006であったが、同断研究の一つでは認めず

線形的量依存解析によると、有意な関連性認めず  (combined effect size: 1.01, 95% CI: 0.97-1.06, P=0.51)

 potential renal acid load (PRAL) methodによる食事性酸負荷では高血圧とに有意でない非線型相関  (P=0.52)

しかし、線形量依存解析では、PRAL値 20単位増加で3%高血圧リスク増加 (combined effect size: 1.03, 95% CI: 1.00-1.06, P=0.03)

【結論】 食事性酸負荷量と高血圧発症に有意な相関認め、。特に前向きでの検証による確認が必要




potential renal acid load (PRAL) method
net endogenous acid production (NEAP) method




https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3604792/table/T2/

2019年3月26日火曜日

経済的インセンティブによるアドヒアランス改善否定報告相次ぐが・・・opt-in登録がいかんと!

下記トライアル群だと、、経済的インセンティブによる薬物などアドヒアランス改善なんてしないと結論づけ簡単にしそうだが・・・


解説者たちはやり方がおかしいと主張!
"opt-in"登録じゃ内在する動機づけ問題により検定検出できないという御宣託


The Uncertain Effect of Financial Incentives to Improve Health Behaviors

JAMA. Published online March 25, 2019. doi:10.1001/jama.2019.2560


2018年米国では雇用主の86%が健康行動のため何らかの金銭的インセンティブを雇用者へ提供し。低所得国では予防サービス報酬的利用条件付き現金提供がなされている。

だが、患者に金銭的インセンティブを提供ステイも必ずしもうまくいかない。なぜ、インセンティブが行動変化をもたらさないのか?



最近のインセンティブ失敗事例


3つの米国医療システム 1503名の高度心血管疾患リスク患者へのランダム化トライアル
スタチン使用と・LDL-C減少を結びつけた日々支給インセンティブ12ヶ月。結果は有意な減少得られず

Asch  DA, Troxel  AB, Stewart  WF,  et al.  Effect of financial incentives to physicians, patients, or both on lipid levels: a randomized clinical trial.  JAMA. 2015;314(18):1926-1935. doi:10.1001/jama.2015.14850ArticlePubMedGoogle ScholarCrossref
社会的サポートと経済的インセンティブによる心血管医薬品アドヒアランス改善目的、急性心筋梗塞 1509名患者で、臨床的イベントや入院減らせず、肝心の医薬品アドヒアランスも改善せず

Volpp  KG, Troxel  AB, Mehta  SJ,  et al.  Effect of electronic reminders, financial incentives, and social support on outcomes after myocardial infarction: the HeartStrong randomized clinical trial.  JAMA Intern Med. 2017;177(8):1093-1101. doi:10.1001/jamainternmed.2017.2449
両トライアルとも、アドヒアランスにて1千米国ドル超の報酬が得られたはずなのに

HIV感染抗ウィルス薬に関し
801名の米国研究で、6ヶ月間総計1千ドル超の条件付けアドヒアランス関連行動とウィルス抑制に影響無し


Metsch  LR, Feaster  DJ, Gooden  L,  et al.  Effect of patient navigation with or without financial incentives on viral suppression among hospitalized patients with HIV infection and substance use: a randomized clinical trial.  JAMA. 2016;316(2):156-170. doi:10.1001/jama.2016.8914

37のHIV医療サイトで16208名のウィルス抑制リンク70ドルインセンティブ(4半期毎)で、ウィルス抑制率は標準サイト比較で3.8%のみ増加しただけ
El-Sadr  WM, Donnell  D, Beauchamp  G,  et al; HPTN 065 Study Team.  Financial incentives for linkage to care and viral suppression among HIV-positive patients: a randomized clinical trial (HPTN 065).  JAMA Intern Med. 2017;177(8):1083-1092. doi:10.1001/jamainternmed.2017.2158
ウガンダで行われた400名の周期的インセンティブでは6ヶ月間に25ドルでもウィルス抑制率に変化無し
Thirumurthy  H, Ndyabakira  A, Marson  K,  et al.  Financial incentives for achieving and maintaining viral suppression among HIV-positive adults in Uganda: a randomised controlled trial.  Lancet HIV. 2019;6(3):e155-e163. doi:10.1016/S2352-3018(18)30330-8

(Google翻訳)
これらの落胆する結果は、患者の金銭的インセンティブが一般的に機能しないという証拠のように思えるかもしれません。それは、インセンティブが機能することを実証する他の多くの研究にとってではありません。重要な教訓は、インセンティブをどのように配置、枠組み、または配置するかについての一見小さな選択が、彼らの成功に大きな影響を与える可能性があることです。インセンティブ介入は通常微妙なデザインの選択の集合です。すなわち、それぞれの選択は、その個々の影響が分離され得るならば、結果を変える可能性が潜在的にある。能動的またはプラセボ対照に対する新薬の評価とは異なり、インセンティブ介入の実用的な研究は必然的に複数の可能性のある活性成分を一緒にそして時には能動的対照に対して試験する。これらの試験の失敗から学ぶには、それらの要素部分を調べる必要があります。

基本レッスン
自己選択患者を参加させよう!
多くの研究では被検者は登録という区分のみ”opt-in process”にて意志決定される仕組み。これらのトライアルは内的妥当性は高度に維持されるが、外的妥当性はかなり低い。的確とされる患者の僅か10%〜15%しか登録せず、動機づけ低い場合より参加者に動機づけが高い確率が高い。そのようなトライアルに参加する被検者はインセンティブの有無にかかわらず動機づけが高い、故に、帰無に向かう可能性となるバイアスとなる。たとえそうでなくても、もっとも動機づけのある患者がサポートを最も必要とされるとされる状況は考えにくい。しかし、実際にはこれらが被検対象とされることが多い。
これらを考慮すると
”opt-out"あるいは 非選択的トライアル考慮されることを推奨する。
インセンティブが修正されるようデザイン化される要素により誤って決定されることのないトライアル登録がなされる配慮である。




マスコミとか産業医学関係者は、この経済的インセンティブにご執心だけど・・・国際的な報告になってない?


結局、どういう言い訳しても、経済的インセンティブによるアドヒアランス改善には現在との所、科学的エビデンス無い・・・てことでしょ。




腕立て伏せと心血管疾患

腕立て伏せ 40回超完遂できる人なら、10回未満しかできない人に比べ、有意に心血管リスク少ない・・・というネット記事になってた論文

腕立て伏せと心臓の健康に関連性? 米国の消防士を対象に調査
https://forbesjapan.com/articles/detail/25669

後顧的解析、18歳以上の男性消防士!対象



Ross ら17 と Golightly ら18 は、客観的評価心肺フィットネス(cardiorespiratory fitness)を健康状況のバイタルサインと看做すことを主張。しかし、体組成測定や血中バイオマーカー、身体活動性、CRF評価は医師から無視されることが多い。身体活動評価としては、自己報告病歴、健康・ライフスタイルアンケートがなされることが多い2 が、しかし、客観的CRFレベル測定は自己報告身体活動性より有意に低いことが多い19,20 。
正確で客観性をもつCRF測定ツールとして運動負荷試験が用いられ将来の心血管疾患リスクと逆相関性が知られている21,22 が、これらの試験は高額、時間がかかり、専門施設が必要であり、訓練された実施者が必要となる。

そこで簡便なツールとして腕立て伏せ測定と・・・


ベースライン評価として腕立て伏せ能力とトレッドミル運動負荷試験を含む身体フィットネス評価。腕立て伏せは消防士がインストラクターとしてメトロノーム 80/分のリズムで施行させる。クリニックスタッフが80回になるまで腕立て伏せ回数測定。メトロノームのビートより3回不足したところで中止。疲労消耗もしくは症状(目眩、浮遊感、胸痛、息切れ)などで中止。腕立て伏せ回数は10回毎5カテゴリーに分ける



Association Between Push-up Exercise Capacity and Future Cardiovascular Events Among Active Adult Men
Justin Yang, et al.
JAMA Netw Open. 2019;2(2):e188341. doi:10.1001/jamanetworkopen.2018.8341





腕立て伏せ10回できない消防士がいることに・・・一番驚いた

2019年3月25日月曜日

PIONEER 3:経口セマグルチドはSGLT-2よりHbA1c低下、体重減少効果あり

1日1回経口セマグルチド oral semaglutide, a glucagon-like peptide 1 receptor agonist は、シタグリプチン(ジャヌビア)よりHbA1c低下効果


7mg投与量にて HbA1c  ベースラインから -0.3% , 95%CI, -0.4% 〜 -0.1% P<0 .001="" p=""> 14mg投与量にて -0.5%, 95% CI, -0.6 〜 -0.4% P<0 .001="" nbsp="" p="">

体重減少効果も良好 差 -1.6kg, 95% CI, -2.0 〜 -1.1kg、 -2.5 kg, 95% CI, -3.0 〜 -2.0kg P<0 .001="" p="">
Effect of Additional Oral Semaglutide vs Sitagliptin on Glycated Hemoglobin in Adults With Type 2 Diabetes Uncontrolled With Metformin Alone or With Sulfonylurea
The PIONEER 3 Randomized Clinical Trial
Julio Rosenstock, et al, ; for the PIONEER 3 Investigators
JAMA. Published online March 23, 2019. doi:10.1001/jama.2019.2942




<0 .001="" p=""><0 .001="" nbsp="" p=""><0 .001="" p="">
<0 .001="" p=""><0 .001="" nbsp="" p=""><0 .001="" p="">
<0 .001="" p=""><0 .001="" nbsp="" p=""><0 .001="" p="">
<0 .001="" p=""><0 .001="" nbsp="" p=""><0 .001="" p="">

Oral semaglutide demonstrates greater reductions in both HbA1c and body weight compared to Victoza® in Japanese people with type 2 diabetes
<0 .001="" p=""><0 .001="" nbsp="" p=""><0 .001="" p="">http://www.novonordisk.co.jp/content/Japan/AFFILIATE/www-novonordisk-co-jp/Extweb/news/2018/12/04/18-34.pdf

糖甘味飲料と人工甘味料と死亡率の関連性

(砂)糖甘味飲料 Sugar-sweetened beverages (SSBs)と人工甘味料 artificially sweetened beverages (ASBs)


糖甘味料摂取量と総死亡率増加の相関性、心血管疾患死亡と量依存的悪化関連性
人工甘味料と総死亡率及び心血管疾患死亡率相関制覇、最大摂取群でのみ観察、女性で特に高摂取群で総死亡率・心血管死亡と関連性あり


→ こうなるわけね 
https://www.medpagetoday.com/pediatrics/obesity/78765 
AAP: Tax Sugary Drinks ;Joint statement with AHA urges using revenues to reduce health disparities
 


Long-Term Consumption of Sugar-Sweetened and Artificially Sweetened Beverages and Risk of Mortality in US Adults
Vasanti S. Malik , et al.

https://doi.org/10.1161/CIRCULATIONAHA.118.037401Circulation. 2019;0


(完全手抜き google翻訳)

方法: ベースラインで慢性疾患のない、Health Professional’s Follow-up study(1986年から2014年まで)37 716人の男性と Nurses’ Health study (1980年から2014)の37 716人の男性と80,6474人の女性)を対象に、総死亡率・原因別死亡率の関連性を検証。Cox比例ハザード回帰ハザード比および95%信頼区間を推定した。

結果:3 415 564人の追跡調査期間中に36 436人の死亡(7896人の心血管疾患[CVD]および12 380人の癌の死亡)が記録された。

主な食事および生活習慣の要因を調整した後、SSBの摂取は総死亡率の高いリスクと関連していました。カテゴリー(<1 -="" 0.98="" 4="" 6="" div="" nbsp="" p="">

CVD死亡率(極端なカテゴリーを比較したハザード比は1.31 [95%信頼区間、1.15、1.50]、P傾向<0 .0001="" 0.0004="" div="">

ASBは、最高摂取カテゴリーにおいてのみ総死亡率およびCVD死亡率と関連していた。カテゴリー間でプールされたハザード比(95%信頼区間)は1.00(参照)、0.96(0.93、0.99)、0.97(0.95、1.00)、0.98(0.94、1.03)、および1.04(1.02、1.12; P傾向= 0.01)でした。全死亡率については1.00(参考)、CVD死亡率については0.93(0.87、1.00)、0.95(0.89、1.00)、1.02(0.94、1.12)、および1.13(1.02、1.25; P傾向= 0.02)。


Total mortality according to sugar-sweetened beverage (SSB) intake (servings/d; A) and artificially sweetened beverage (ASB) intake (B) stratified by age, body mass index (BMI), physical activity, and diet quality based on pooled data from the Nurses’ Health Study (NHS) and Health Professionals Follow-up Study (HPFS) and pooled data from both cohorts.


コホート別分析では、ASBはNHS(看護師健康調査)では死亡率と関連していたが、HPFS(健康専門家フォローアップ調査)では死亡率と関連していなかった(Pインタラクション、0.01)。

どちらのコホートにおいても、ASBはがん死亡率と関連していなかった。


結論:SSBの消費は、主にCVDによる死亡率を介して死亡率と正の関連があり、線量と段階的な関連を示した。女性の間で観察されたASBsの高摂取レベルと総死亡率およびCVD死亡率の間の正の関連はさらなる確認が必要。



序文・・・
砂糖甘味飲料(SSB)は、米国の食生活で最も多く含まれている砂糖です。それらは、フルフルクトースコーンシロップ、スクロース、またはフルーツジュース濃縮物のような追加のカロリー甘味料を含む、炭酸飲料および非炭酸飲料のフルスペクトル、フルーツ飲料、およびスポーツ飲料を含む。米国でのSSBの消費量は過去10年間で減少していますが、全国調査のデータによると、ほとんどの年齢層の成人の近年の消費量はわずかに回復し、平均摂取量は145kcal /日で、エネルギーの6.5%に相当します。若い成人の間では、SSBは男性の1日のカロリーの9.3%および女性の8.2%に寄与しました。世界の他の地域、特に発展途上国では、都市化と飲料販売の普及により、SSBの摂取量は劇的に増加しています。 疫学的研究では、SSBの摂取は体重増加と2型真性糖尿病、冠状動脈性心臓病、および脳卒中のより高いリスクと関連しています。 これまでに、SSB摂取量と死亡率との関連を調べた研究はほとんどない。国民健康栄養調査調査データの前向き分析は、追加された糖のベースライン摂取量とSSBとの間にCVD死亡率との正の関連性を見出した。 対照的に、非常に低い摂取量のシンガポールの中国人成人集団の結果では、SSBと死亡率との間に有意な関連性は見られなかった。一方、米国の高齢者参加者の別の研究では、人工甘味飲料の消費に関連する死亡リスクが高いSSBではなくASB)。しかし、後者の所見は、ASBおよび糖尿病および心疾患のリスクに関するいくつかの研究で例証されているように、根本的な条件のためにSSBからASBへの逆因果関係によって引き起こされる可能性がある。 ASBはしばしばSSBに代わるものとして提案されており、米国ではASBの摂取量が増加していますが、長期的な健康への影響についてはほとんどわかっていません。
したがって、28〜34歳にわたる食事の反復測定を用いてベースラインで中年であった米国の男女の2大コホートにおいて、SSBとASBの間の総死亡率および原因別死亡率との関連を調べた。




ASBは以前の研究と一致して、糖尿病、心血管疾患と関連するもreverse causation考慮でこの影響は減衰する。ASB摂取とBMI、高血圧も相関するがやはりreverse causationの関連性。 高BMI、活動性高い人での死亡率関連性の問題はやはり何かあるのだろう・・・今後検討必要


2019年3月23日土曜日

「統計的有意」に弊害


「統計的有意」には弊害があるとして800人以上の科学者が反対を表明 - GIGAZINE
https://gigazine.net/news/20190322-scientists-against-statistical-significance/
2019年03月22日 20時00分 サイエンス



「有意かどうか」が研究結果の結論を左右するようになり、「研究が発表されるかどうか」や「実験が助成金を受けられるかどうか」などまで支配するようになっているとのこと。



アメリカ統計学協会事務局長ロン・ワッサースタイン氏は
「実験結果を改ざんして、P値を自分の望む数値に近づける研究者や、実験に意義がある場合でも有意ではないために実験結果を公表しない研究者もいる」
と述べています。

一般の人々と同様に、科学者も「統計的に有意であれば結果は真である」と信じがちです。
ノースウェスタン大学のブレイク・マクシェーン氏は
「実験の状況により、実験結果がガラッと変わり得ることはあり得りえます。『真』か『真でない』のかの2択ではなく、もっと曖昧な結論、例えば健康に害があるかもしれない食べ物を食べるならば、『有害か』『無害か』ではなく、『健康に対するリスクはどれくらいだろう』ということを考えることが大切です」
とコメントしています。





Scientists rise up against statistical significance
Valentin Amrhein, Sander Greenland, Blake McShane and more than 800 signatories call for an end to hyped claims and the dismissal of possibly crucial effects.
Nature , 20 MARCH 2019
https://www.nature.com/articles/d41586-019-00857-9

講演会(セミナー)で演者が

there was ‘no difference’ between two groups because the difference was ‘statistically non-significant’? ; ”差が統計学的有意差がないため2群間は差が無い”
と言うのを聞いたのは最近はいつ?おそらく直近の講演会での出来事ではないか?

研究者たちは、”統計学的に有意でない”とは、”「帰無仮説」(グループ間で差が無い、あるいは、治療により特定の測定アウトカムへ影響がない)と言い続けている。また、”統計学的に有意でない”という結果は、他の仮説を証明しているわけでもない。かような誤解は、(多く知られているが)記載を大幅に歪ませ、誇張表現をもたらし、(余り知られてないが)”研究が存在しないところで主張の衝突をそもたらすなどmisconceptionからの餌食にならない工夫が必要
researchers have been warned that a statistically non-significant result does not ‘prove’ the null hypothesis (the hypothesis that there is no difference between groups or no effect of a treatment on some measured outcome).  Nor do statistically significant results ‘prove’ some other hypothesis. Such misconceptions have famously warped the literature with overstated claims and, less famously, led to claims of conflicts between studies where none exists.


ということで・・・まずは、「P値」が0.05などの閾値より大きい、あるいは、信頼区間に”ゼロ”が含まれているという理由だけで"no difference"、"no association"という結論記載を止める事


ある特定の暴露があるリスクをリスク比で 1.2となった。一つの研究では有意差有り、もう一つの研究では有意差なしという報告。後者で「関連性なし」と報告することの問題点は明らかで、しかもこれにより議論・軋轢を生じることがままある




2016年に、American Statistical Associationがステートメントを公表。統計学的有意さとP値使用に関する警告

P値記載の25年間推移 2016

"統計学的有意”という概念を完全放棄すべきという・・・



では、どうしたらよいの?


結果を「統計学的に有意」と「統計学的に非有意」とまとめるとことはせず、ベイズ因子のような他の統計学的値による評価の開発を進め、2分割的評価を止める事を筆者は勧めている

e.g. )ベイズ・ファクター
https://to-kei.net/bayes/bayes-test-4/






Number Needed to Treat 2019

食道扁平上皮癌リスク:熱い茶を大量に早く飲む


熱いお茶が好きな人は注意ですね




以前の研究では、熱いお茶の飲酒と食道癌のリスクとの関連が報告されていましたが、前向きにそして客観的に測定されたお茶の飲酒温度を使ってこの関連を調べた研究はない。前向き研究において、食道扁平上皮癌(ESCC)の将来のリスクと、研究ベースラインで客観的および主観的の両方で測定された、茶の飲用温度の関連を調べた。
既検証方法を用いお茶の飲酒温度を測定、2004年から2008年に確立された40〜75歳の50,045人を対象とした集団ベースの前向き研究Golestan Cohort Studyのベースラインで他のいくつかのお茶の飲酒習慣および潜在的な交絡因子に関するデータを収集したイラン北東部で。研究参加者は、追跡期間中央値10.1年間(505,865人年)追跡された。
2004年から2017年の間に、317件のESCCの新たな症例が確認された。

客観的測定茶の温度、異常に熱い茶の温度を好む傾向、茶を注いでから飲用するまでの時間が短いほどESCCリスク高値と相関 (HR 1.41, 95% CI 1.10–1.81; for ≥60°C vs. <60 1.01="" 1.27="" 1.51="" 95="" ci="" cold="" for="" hot="" lukewarm="" min="" nbsp="" p="" very="" vs.="">
測定茶温度と量を結びつけた解析では、茶飲用 60度未満 700 ml/日比較だと、700mlや60度以上飲用ではESCCリスクは約90%程増加

結果は、熱い飲み物の飲酒とESCCとの間の関連を支持する既存の証拠を実質的に強化する。

A prospective study of tea drinking temperature and risk of esophageal squamous cell carcinoma
Farhad Islami  , et al.
International Journal of Cancer
First published: 20 March 2019 https://doi.org/10.1002/ijc.32220
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/ijc.32220







お茶のおいしさや成分を効率的に引き出すお湯の温度
http://www.ocha.tv/how_to_brew/water_and_temperature/



2019年3月22日金曜日

高流量鼻カニュラ酸素療法:挿管回避ベネフィット有り

高流量鼻カニュラ酸素療法:HFNC
http://www.jrs.or.jp/quicklink/journal/nopass_pdf/ajrs/003060771j.pdf



High flow nasal cannula compared with conventional oxygen therapy for acute hypoxemic respiratory failure: a systematic review and meta-analysis
B. Rochwerg , et al.
Intensive Care Medicine pp 1–10
https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs00134-019-05590-5

【背景】急性低酸素血症呼吸不全(患者のhigh flow nasal cannula (HFNC)安全性・有効性要約システミック・レビュー&メタアナリシス


【方法】MEDLINE, EMBASE,  Web of Science包括検索、通常ケア比較HFNCのRCT同定。データプール化、二分割アウトカムの相対リスク及び連続数アウトカムにおいては平均差、標準平均差を用いて要約的推定影響を95%信頼区間を用い報告。バイアスリスク評価はCochrane toolを用い、GRADE methodでpooled effect 推定値を明確化する

【結果】9 RCT (n=2093名の患者)
HFNC治療患者と通常酸素療法比較で死亡率差認めず (相対リスク [RR] 0.94, 95% 信頼区間 [CI] 0.67–1.31, moderate certainty)

対照群でのHFNCとの交叉比較にて、挿管必要リスク減少  (RR 0.85, 95% CI 0.74–0.99) 、酸素療法escalation ((対照群ではHFNCとの交差、またはいずれかの群で非侵襲的換気または侵襲的機械的換気の開始として定義)リスク減少し、HFNC-治療患者の方が優良  (RR 0.71, 95% CI 0.51–0.98)
ただし、両アウトカムとも不正確性・バイアスのリスク関連問題のため正確性は低い
HFNCはICU滞在期間への影響認めず  (平均差[MD] 1.38 days more, 95% CI -0.90 日〜 +3.66 日, low certainty)、入院期間への影響認めず (MD -0.85 日, 95% CI -2.07日 〜+ 0.37日 , moderate certainty)、患者報告快適さへの影響認めず (SMD -0.1295% CI 0.61 〜 +0.37 , very low certainty) 、患者報告呼吸困難への影響認めず (標準化平均差 [SMD] -0.16 , 95% CI 1.10 〜 +1.42 , low certainty).

治療合併症報告は報告によりばらつきあるが、HFNCにおいての有害性報告少ない


【結論】急性低酸素血症(呼吸不全)患者において、HFNCは気管内挿管必要性を減らすが、死亡率へのインパクトなし



2019年3月20日水曜日

食事性コレステロールと卵摂取増加により心血管死・総死亡増加と関連

話題の論文となっているようだ。なんせ、直前まで卵は多く食べた方が良さそうというような雰囲気

そもそも食事アンケート調査で結論を導き出すことにいみがあるのかという疑問も
食事アンケート大集団調査の愚行(卵摂取量と心血管医ベント)
https://kaigyoi.blogspot.com/2018/05/blog-post_29.html

外因性・食事性コレステロールのインパクトは、これまでの食事指導方法に影響をあたえるのでしばらく騒がしいだろうなぁ

結論として・・・

  • 食事性コレステロール 300mg摂取増加後と、心血管疾患発症リスク増加(補正ハザード比[HR], 1.17 ;補正絶対的リスク差 [ARD] 3.24%)、総死亡率 (補正HR, 1.18; 補正ARD 4.43%)
  • 卵半玉摂取増加毎 心血管疾患 (補正HR 1.06; 補正ARD 1.11%)、総死亡率(補正HR, 1.08;補正ARD, 1.93%)

ということらしい


卵の摂取と全てが他の食事成分と交絡的に関わるので結論としては難しいという印象をもつ。実際、
食事由来のコレステロールと卵摂取量による心血管疾患および総死亡率への有意関連性の程度中程度だが、卒中や心不全と言ったイベントサブタイプによっては一致していた。
例外:卵摂取と心血管死亡率、非心血管疾患死亡率、年齢・人種/民族・喫煙状態・CVDリスク要素(i,e. 糖尿病、高血圧、高脂血症)補正後、食事の質によるサブグループ(補正 HR 1.06, 95% CI [0.996-1.12])
冠動脈性心疾患との相関の非有意性は文献と一致
こういう解説が本文中になされている。


Associations of Dietary Cholesterol or Egg Consumption With Incident Cardiovascular Disease and Mortality
Victor W. Zhong, et al.
JAMA. 2019;321(11):1081-1095. doi:10.1001/jama.2019.1572



序文のGoogle翻訳

食事性コレステロール消費と心血管疾患(CVD)および死亡率との関連は、何十年にもわたる研究にもかかわらず、物議をかもしています。

Berger  S, Raman  G, Vishwanathan  R, Jacques  PF, Johnson  EJ.  Dietary cholesterol and cardiovascular disease.  Am J Clin Nutr. 2015;102(2):276-294.PubMedGoogle ScholarCrossref


2015年から2020年までのアメリカ人の食事ガイドラインに矛盾すると思われる2つの記述が含まれているため、最近議論が激化しています。

US Department of Health and Human Services and US Department of Agriculture.  2015-2020 Dietary Guidelines for Americans. 8th Edition. December 2015.https://health.gov/dietaryguidelines/2015/guidelines/. Accessed January 31, 2019.

Dietary Guidelines Advisory Committee.  Scientific Report of the 2015 Dietary Guidelines Advisory Committee: Advisory Report to the Secretary of Health and Human Services and the Secretary of Agriculture. Washington, DC: US Dept of Agriculture, Agricultural Research Service; 2015.
(1)「コレステロールは過剰消費の心配のある栄養素ではありません」。
(2)「個人は健康的な食事パターンを摂取しながら、できるだけ少ない食事コレステロールを食べるべきです。

前向きコホート研究の多くの直近のメタアナリシスでは、1日あたりのコレステロール摂取量と心血管疾患との相関性について意味ある結論づけできず、それは主にデータが少なかったこと、研究間heterogeneityによるもの、レビューされた研究の方法論的厳格性が乏しいためであった。

コレステロール、飽和脂肪、動物性たんぱく質は食物中に共存することが多い。食餌中のコレステロールとこれらの栄養素との相互作用および独立性は、CVDや死亡率との関係で不明確なままである。
さらに、全体的に高品質の食事を摂取することが、食事によるコレステロール消費とCVDおよび死亡率との関連性を弱めるのかどうか、あるいはコレステロールの食物源(卵、赤身、家禽、魚、乳製品など)が重要かどうかは不明。卵、特に卵黄は、食事性コレステロールの主な供給源である。大きな卵(≒50 g)にはコレステロールが約186 mg含まれています。卵の消費とCVDおよび死亡率との関連性は全体的にもこれらの事象のサブタイプによっても矛盾しています

 Lifetime Risk Pooling Projectからの6つのコホートからpoolされたデータでの個別被検者解析で、前述のギャップに注目した分析を行ったもの




1日当たり約290 mgの米国平均食物コレステロール消費量は、1日当たり228 mgの世界平均よりも高く、2001  -  2002年から2013  -  2014年までは比較的安定していました。
米国では卵の消費量は比較的少ないのですが、一人当たりの卵の総消費量は、2001  -  2002年の1日当たり23.0 gから2011  -  2012年の1日当たり25.5 gまで11%増加しました。
その後のバージョンの食事ガイドラインで繰り越される場合、2015  -  2020年食事ガイドラインからの食事コレステロールおよび卵消費の推奨は、CVDの予防に有害となる可能性がある米国の卵および食事コレステロール消費のさらなる増加につながる可能性があります。


日本のコレステロール摂取量、卵消費量は40g程度
(古いデータだが:https://unit.aist.go.jp/riss/crm/exposurefactors/documents/factor/food_intake/intake_egg.pdf)

日本は有数の卵消費国
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000433.000001853.html

インパクトが大きい報告になるのだろうが・・・中身をみると評価は慎重に下す必要がありそう

高齢者・糖尿病:健康食にナッツ類は欠かせません 


自由生活高齢者へwalnutsをエネルギー摂取の15%とした場合の加齢関連疾患への影響をみたランダム化トライアル(Walnuts and Healthy Aging study)


クルミ(walnut) dietと対照食で診察室血圧と24時間持続血圧への2年間の効果を比較

事前設定解析 305、完遂 236(75%)、女性 65%、年齢 59歳、 軽症高血圧 60%
耐用性良好、コンプライアンス98%超
降圧剤uptitrationが少なく、全体的な血圧調整が対照比較で認められた

高齢者において、walnut摂取は、特に軽症高血圧において収縮期血圧低下をもたらした



Effect of a Walnut Diet on Office and 24-Hour Ambulatory Blood Pressure in Elderly Individuals
Findings From the WAHA Randomized Trial
Mónica Domènech ,  et al.
https://doi.org/10.1161/HYPERTENSIONAHA.118.12766
Hypertension.18 Mar.  2019;




前向き解析 糖尿病ベースライン存在とフォローアップ時診断された16,217名男女対照
冠動脈性心疾患・卒中・全原因死亡・死亡原因別死亡率qお含む心血管疾患(CVD)リスク評価をナッツ(tree nutsとピーナッツを含む)類全体と種別でその影響を検討
検証済食品摂取回数アンケートを用い、ナッツ摂取量を各2−4年毎update.
糖尿病患者において、ナッツ類高摂取に関連しCVD発生頻度低下・死亡率低下が認められ、特にtree nutsで認められた。
全死亡率低下はピーナッツ摂取量のみに関連した効果であった。
これら知見から、糖尿病患者において、ナッツはCVD合併症・死亡減少目的とした健康食パターンとして含まれるべき。卒中発症リスク・がん脂肪率に関してはナッツ類摂取量とは関連せず

Nut Consumption in Relation to Cardiovascular Disease Incidence and Mortality Among Patients With Diabetes Mellitus
Gang Liu ,et al.
2019https://doi.org/10.1161/CIRCRESAHA.118.314316
Circulation Research. 2019;124:920–929





春が過ぎればもうすぐナッツ

そろそろ、ラッカセイ栽培の準備しておくか・・・

慢性鼻副鼻腔炎(CRS)のクラリスロマイシン治療 システミック・レビュー&メタアナリシス

序文から
慢性副鼻腔炎(CRS)は鼻ポリープの有無により2つのphenotypeに分類。鼻ポリープを伴うCRSwNP、鼻ポリープを伴わないCRSnNP。CRSの根底の病態生理家は複雑で感染と炎症の要素関与。マクロライド系薬剤の有効性は抗炎症作用、抗biofilm、免疫調整として用いられているが、その有効性はまだinconsistent。2つのRCTでベネフィット報告あり、特にIgE低値患者での有効性が一方で示されている。一方でモメタゾン フランカルボン酸エステル・スプレーによるCRSnSPへの治療では、クラリスロマイシンの付加的効果を示せなかった。さらに、Videlerらの研究ではCRSへのアジスロマイシン3ヶ月付加治療後プラシーボ比較で効果認めず。CRSの治療におけるマクロライドの使用に関するエビデンスに基づく医学的勧告もまた変更されました。ヨーロッパおよび中国の現在のガイドラインでは、CRSsNP患者またはCRS患者における経口マクロライドの使用が推奨されていたが、米国のガイドラインでは、マクロライドはCRSの治療には任意選択であると示唆された。中国のCRSガイドラインでは14員環系マクロライドは好酸球増加なくアレルギー検査陰性症例の非アレルギー性CRSsNPで使用。2012年の欧州ガイドラインでは推奨レベルA→Cへ格下げ。




Clarithromycin for the treatment of adult chronic rhinosinusitis: a systematic review and meta-analysis
Zhenxiao Huang, MD, PhD and Bing Zhou, MD
International Forum of Allergy & Rhinology, Vol. 00, No. 0, xxxx 2019
背景:この系統的レビュー(SR)の目的は、慢性副鼻腔炎(CRS)の治療に対する経口クラリスロマイシンの安全性と有効性を評価すること。

方法:このSRおよびメタアナリシスは、介入のSRのためのコクランハンドブックに概説されている勧告に基づいて行われた。プロトコルは、SRの国際的な見込み登録者であるPROSPEROに登録された。英語と中国語の電子データベースが検索され、無作為化比較試験のみが含まれた。

結果:1738人の患者を対象とした17件の研究
11の研究で、鼻腔ステロイドスプレー±食塩による鼻腔洗浄に経口クラリスロマイシン追加で鼻腔ステロイドスプレー単独より効果あるかを検討
組み合わせ治療レジメンは中期的(1-3ヶ月)での臨床的症状を統計学的有意に改善。
短期的(1ヶ月未満)及び中期的の内視鏡及びCTスコア改善、長期的(3ヶ月超)での臨床症状、内視鏡スコア改善。
 有害事象の発生率は、この併用療法の使用によっては増加せず。 
症状、内視鏡的スコア、およびCTスコアに関して、クラリスロマイシン経口投与群と鼻腔内ステロイド単独投与群との間に有意差は認められなかった。

 結論:CRSの治療のために、鼻腔用食塩水洗浄の有無にかかわらず鼻腔内ステロイドスプレーを使用するより鼻腔内ステロイドスプレーに経口クラリスロマイシンを追加することはより良い結果を達成する可能性はある。経口クラリスロマイシン単独でも鼻内グルココルチコイドスプレー単独と同様の効力を有することができることを確認するための十分な証拠はない。この分野の質の高い証拠が必要。





専門ではないのでコメントできるほどの知識も経験も無いが
この分野もphenotypeにより治療戦略模索している様相

COPDの治療戦略もまだまだ不確定的なのと似ている

2019年3月19日火曜日

高齢女性(75歳以上):身体活動時間と心疾患リスク減少の線形関係

75歳以上の米国女性では、1日中等度運動150分もしくは強度運動75分の身体活動を推奨するガイドラインに一致した好気的運動活動を行っている。


疑問:高齢女性において軽度運動は心疾患リスク減少をもたらすか?
知見:5861名の女性、軽度運動最大4分位は最低4分位に比べ心筋梗塞・冠動脈死42%減少し、心血管疾患イベント発生を22%減少
意義:高齢女性において、毎日の生活身体活動が冠動脈性心疾患予防、心血管疾患予防に役割を果たす


前向きコホート 2012-2014年 WHI 地域住民コホート

Association of Light Physical Activity Measured by Accelerometry and Incidence of Coronary Heart Disease and Cardiovascular Disease in Older Women
Andrea Z. LaCroix,   et al.  for the Women’s Health Initiative (WHI)
Author Affiliations Article Information
JAMA Netw Open. 2019;2(3):e190419. doi:10.1001/jamanetworkopen.2019.0419













2019年3月16日土曜日

CABANAランダム化トライアル:心房細動カテーテル焼灼 vs 内服 重大イベント減少しないがQOLなどは改善

カテーテル焼灼 vs 内服治療(標準的リズム and/or rate-コントロール薬剤:医師選択)比較
Effect of Catheter Ablation vs Medical Therapy on Quality of Life Among Patients With Atrial Fibrillation: The CABANA Randomized Clinical Trial  
Editorial: Catheter Ablation for Atrial Fibrillation; Christine M. Albert, MD, MPH; Deepak L. Bhatt, MD, MPH

2204名ランダム化:  カテーテル焼灼は内服加療に比べ、Atrial Fibrillation Effect on Quality of Life scoreにて群間差 5.2点(患者レベルの臨床的意義差:5点以上)あり、Mayo AF-Specific Symptom Inventory frequency scoreにて群間差 -1.7点 (患者レベルの臨床的意義差 -1.6点以下)、重症スコア -1.5点 (患者レベル臨床的意義差 -1.3点以下)

意義:有症状心房細動患者において、カテーテル焼灼は内服治療に比べ臨床的有意で有意差あるQOLを12ヶ月時点で認める




Editorial: Catheter Ablation for Atrial Fibrillation; Christine M. Albert, MD, MPH; Deepak L. Bhatt, MD, MPH
心房細動患者において 内服治療(標準的リズム and/or rate-コントロール薬剤:医師選択)比較で心血管イベント・死亡率は影響あるか?
2204名ランダム化、カテーテル焼灼は内服加療に比べ、プライマリ構成エンドポイント(死亡、障害を有する卒中、重度出血、心臓突然死)減少有意差認めず( 8.0% vs 9.2% ;ハザード比 0.86)

意義:死亡細動患者においてカテーテル焼灼は内服加療に比べプライマリ構成エンドポイントを有意には減少せず



noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note