2013年2月25日月曜日

"SXC ESP" :除菌・アレルギー除去のための新しいデバイス

ワシントン大学の科学者チームが、Soft X-ray Electrostatic Precipitator (SXC ESP)という大気中の、細菌、アレルゲン、ウィルス、かび、有害エアゾール分子を中和するという、新しいデバイスを開発し、その有効性を免疫不全ヌードマウスモデルで確認
ニュースソース:https://news.wustl.edu/news/Pages/25013.aspx

corono-soft X-rayシステムは粒子を荷電・補足を効率的に促進システムで、荷電困難分子も容易に荷電可能であり、電界にトラップできるため、高イオン濃度、イオン化環境で、有機物質は二酸化炭素となる。ナノ構造catalyst coatingにより毒性を消失させる。
Soft-X-Ray-Enhanced Electrostatic Precipitation for Protection against Inhalable Allergens, Ultrafine Particles, and Microbial Infections.
Kettleson EM, et. al.
Appl Environ Microbiol. 2013 Feb;79(4):1333-41.
 

いままで報告のないくらいの高レベルの有効性が示され、バイオテロ関係でも対応できるとのこと
居宅でも利用可能で、免疫不全状態、乳幼児、高齢者、呼吸器系疾患、アトピー・アレルギー患者、バイオテロ脅威対策で利用可能。
しかも、コストは屋内空気洗浄機なみだそうで、しかも、空気清浄機にこの機能を組み込むことも可能とのこと
デバイスフィルターは、大気中の分子を荷電し、電磁界で分子をふるい落とす方法
病原性物質をイオン化・蛍光照射するシステムを利用する方法にも採用できるが、SXC ESPは紫外線ベースのものより効率が良いと書かれてる。


(気になるのは、SXC ESP研究で、0.3μmほどの微粒子を100%除去可能と書かれてるが、20-50nmサイズのウィルスには対応できないはず? 細菌サイズの1-5μmは対応可能だろうが・・・)


塩化臭素や次亜塩素酸や”マイナスイオン”発生器のようなオゾン産生リスクはないのだろうか?臨床の場でも使えるのかもしれない・・・と期待。

Pseudogeneはがん関連遺伝子活性化調整に働いていた

ヒトゲノムのDNAの小さな延長部分、pseudogeneと呼ばれるところは、長く、コードされてないjunk部分と考えられてきた。TSRIの研究者の報告によると、がん関連遺伝子であるPTENの活性コントロールする部分であることが判明。

他のpseudogeneにもそのような役割があるのではないかと・・・にわかに騒がしくなったという話らしい

http://www.eurekalert.org/pub_releases/2013-02/sri-sfs021913.php


PTENpg1-encoded antisense RNA(asRNA)が、PTENのtranscriptionやPTEN mRNA安定性を調整することがわかり、asRNA isoformとして、α、βを認め、DNA methyltransferase 3a、Enhancer of ZesteによるPTEN transcriptionをepigeneticに調整する

A pseudogene long noncoding RNA network regulates PTEN transcription and translation in human cells
Per Johnsson, Amanda Ackley,  et. al.
Nature Structural & Molecular Biology. February 24, 2013
http://www.nature.com/nsmb/journal/vaop/ncurrent/full/nsmb.2516.html

ATS2013のアレルギー・喘息・免疫関係ハイライト

ATS2013のアレルギー・喘息・免疫関係ハイライト
http://www.thoracic.org/media/press-releases/resources/Allergy%20Asthma%20and%20Immunology%20Highlights%20at%20ATS%202013%20final.pdf

間質性肺炎関係、肥満との関連、炎症免疫系の話題

・結合織疾患ー間質性議論:Pro-Con debade CTD-ILD評価、分類、管理に関する多くの議論

・Autophagy:肺疾患上味方?・敵? 急性肺疾患(敗血症・ARDSなど)、慢性肺疾患(肺高血圧症・COPDなど)

・肥満、adipokine、肺疾患 肥満・adipokineの肺疾患発症・modulationに関する知見提示
肥満誘発肺疾患の科学的ベース、ヒトの病態に関する肥満の介入要素を議論 肥満に関する科学的かつ臨床的な分類を議論 セッション構成者に従い、肺疾患発症への肥満の役割、そして、肺の炎症・感染発症に関する肥満の関与を議論

・肺線維症の免疫調整異常
肺線維症患者及び肺線維症モデルにおける疫学・pathogenesisに関する免疫システムの役割に着眼 innate 及び adaptive免役システムの肺線維症での複雑な文献理解、安定時及び急性進行繊維性肺疾患における免疫反応の役割を評価し、臨床の場での免疫抑制剤使用の再評価の科学的ベースを提供に関する理解を容易にするよう努める意向とのこと
成人・小児肺疾患医、科学者、看護師、その他専門家へ興味を待たすよう、肺線維症の免疫システムの役割の理解を深める意向

・小児喘息の遺伝学 NIH/NHLBスポンサーのセッションで、 15年1000名超の喘息児の遺伝子データ調査 Childhood Asthma Management Program (CAMP) 、Childhood Asthma Research and Education (CARE) Networkによる多数の臨床管理トライアルに基づく議論・内省報告

・IPFの治療戦略:ベンチ・ベッドサイド間議論
IPFのトライアルデザインの補完的トピックス
ヒトでの臨床診断の基礎的研究から、マネージメント、そして、動物モデルでの新しい治療法開発までカバー
CTで診断不能ケース肺実質疾患高齢者での手術生検の役割、、pIIIトライアルの最良エンドポイント、上皮-間葉間interfaceが新規治療のターゲットとして最適化か?


・ミニシンポジウム
肺障害・炎症改善に関するメカニズム、肺感染改善上の制御性(regulatory-)T cellの役割、低酸素誘起急性肺障害減少、たばこ煙による肺気腫、アレルギー性喘息の急性増悪における炎症改善促進のためのresolvin D1の役割、MDSC様細胞の肺炎改善促進の役割

Hypoxia induced inflammation in the lung
肺胞低酸素で肺炎症促進(Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol. 2003 Feb;284(2):L360-7. )、低酸素血症はLPS肺障害悪化(Clin Exp Immunol. 2005 August; 141(2): 248–260. )、低酸素血症暴露気道上皮細胞は炎症メディエータ促進(Anat Cell Biol. 2012 December; 45(4): 221–228. )

Resolvin D1
ドコサヘキサエン酸(DHA)とDHA由来脂質メディエータの抗炎症作用と炎症改善促進作用(pro-resolving property)が話題になり、DHAは、PPARγ経由でのLPS誘起のNFーκB活動促進をdown-regulateし、DHA由来メディエータであるresolvin D1(RvD1)の役割が注目されている

regT cell
免疫自己寛容,すなわち,自己と非自己を識別し,自己抗原とは反応せず,非自己抗原のみに反応するため,高等生物は種々の機序を進化させてきた.代表的なのは,胸腺での自己反応性T細胞レパトア(→レパトア選択)の除去であるが,これ単独では,免疫自己寛容は不完全である.胸腺は自己反応性リンパ球を抑制するような細胞集団を同時に産生することで,それを補っている。CD25+CD4+制御性T細胞(以下,制御性T細胞)は,抑制機能をもつように特化した細胞として胸腺で産生され,末梢において,自己反応性T細胞レパトアを抑制することで,免疫自己寛容の維持に重要な役割を果たしている。マウスやヒトで,末梢CD4+T細胞の5-10%を制御性T細胞が占めている。
制御性T細胞は,試験管内でのTCR刺激に対して自らの増殖活性は低いが,他のT細胞の増殖反応を細胞接着依存性に抑制する.制御性T細胞がどのような分子的機序により,他のT細胞増殖を抑制しているかは,現在のところ不明である。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsci/28/5/28_5_291/_pdf
 

MDSC(Myeloid-derived Suppressor Cells
early myeloid progenitorのヘテロな集合体で、未分化な顆粒球、マクロファージ、樹状細胞の集合体で、分化のステージ様々である。NKやNKT細胞のcytotoxic activityを抑制し、CD4+、CD8+ を介する適応免疫反応の抑制をするため関心が向けられている。
NK細胞阻害の メカニズムは詳細不明だが、多くの経路で、MDSC介在T細胞抑制が生じているらしい
1) arginase 1/ARG1産生
2) nitric oxide synthase 2 (NOS2)のupregulation

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