2015年5月12日火曜日

アジア・アフリカに蔓延する、薬剤耐性腸チフス:H58

緊急を要する課題とのこと


腸チフス菌のsingle dominant MDR lineage、H58は30年間で広がった
アンピシリン、クロラムフェニコール、ST、ストレプトマイシンといsった薬剤への耐性
(MDR typhoid)

Phylogeographical analysis of the dominant multidrug-resistant H58 clade of Salmonella Typhi identifies inter- and intracontinental transmission events
Nature Genetics (2015) doi:10.1038/ng.3281




Drug-resistant typhoid fever becoming an epidemic in Africa and Asia
http://news.sciencemag.org/health/2015/05/drug-resistant-typhoid-fever-becoming-epidemic-africa-and-asia


1985年あたりで南アジアでクローン出現後、東南アジア・アフリカに広がる前、薬剤抵抗性を獲得


臨床トライアル: 心血管リスク高齢者への抗酸化食:地中海式は、認知機能の改善をもたらす!

酸化ストレスと血管障害は、加齢認知機能低下と関連すると考えられ、疫学的研究にて Mediterranean食、抗酸化食品豊富な心臓疾患予防的食事パターンが、認知機能低下を遷延させることが示されているが、臨床トライアルエビデンスは無い


スペインで、447名の認知機能正常なボランティアを平行群ランダム化臨床トライアルを行ったもの
平均年齢 66.9歳、女性 52.1%、心血管リスク高い対象者


認知機能の悪化を防止するだけではなく、改善をもたらした・・・!


疫学調査ではなく、ランダム化臨床トライアルでの知見 インパクトある報告である



Mediterranean Diet and Age-Related Cognitive Decline
A Randomized Clinical Trial
Cinta Valls-Pedret,  et. al.
JAMA Intern Med. Published online May 11, 2015. doi:10.1001/jamainternmed.2015.1668

主要アウトカム:神経神経検査バッテリーに基づく経時的認知機能変化
  • Mini-Mental State Examination, Rey Auditory Verbal Learning Test (RAVLT)
  • Animals Semantic Fluency
  • Digit Span subtest from the Wechsler Adult Intelligence Scale
  • Verbal Paired Associates from the Wechsler Memory Scale
  • the Color Trail Test

記憶、前頭葉機能(注意、遂行機能)、全般機能の 3つの認知因子構成による差平均 z score

結果
介入中央期間4.1年間後、334名の被験者でフォローアップ検査検討可能

寄与要素補正多変量解析にて、Mediterranean食にオリーブオイル追加割り付け群では、対照群に比較して、RAVLTスコア良好 (P  =  0.049) 、Color Trail Test part 2 (P =  0.04) 良好

同様補正後の認知機能組み合わせ指標にてMediterranean食+オリーブオイルにてベースラインを上回る変化 0.04 (−0.09 to 0.18) 、それにナッツを加えると 0.09 (−0.05 to 0.23; P = 0.04 vs controls) 、対照群は −0.17 (−0.32 to −0.01)


前頭葉組み合わせ機能のベースラインからの各々の変化は、 0.23 (0.03 to 0.43; P = .003 vs controls)、 0.03 (−0.25 to 0.31)、 −0.33 (−0.57 to −0.09)

認知全般機能のベースラインからの変化は  Mediterranean食+オリーブオイル 0.05 (−0.11 to 0.21; P = .005 vs controls)、それにナッツ追加 −0.05 (−0.27 to 0.18)、一方、対照食 では −0.38 (−0.57 to −0.18)



対照群は、認知機能全要素は減少 (p < 0.05)




ただし、抗酸化食品は、単一・単調となると、それ自体が、Prooxidant作用をもたらす・・・ という懸念!
http://www.nutraingredients-usa.com/Research/Antioxidants-and-Pro-oxidants-Two-Sides-of-the-Same-Sword


抗酸化物質だけを大量にとると酸化促進物質として溜まる2011年 06月 09日


地中海式が良いのは、多種多様の抗酸化食品をとっているからで、馬鹿みたいに「サプリメント」を摂取することではない!

アルブテロール吸入 CFCから代替フロンHFAへ変更されたために生じた、支払い支出増加

大学生の教生が授業の一枠をもつ中学校に行ってたためだと思うが、中学理科の授業中、当時珍しかったエコロジー教育を受けたことがある。そのためか、「エコ」=「燃費」や「省力化」みたいな誤用をメディアでみるにつけ、腹立たしさが募る。・・・この馬鹿どもは小学・幼稚園からやり直せと・・・

環境問題が医療の実践に直接影響を与えることがある・・・フロン問題から吸入製品がドラスティックに変わった時代。
個人の医療費用支出や医療資源へのアクセスに変化があったか改めて検討した報告。


アルブテロール吸入 CFCから代替フロンHFAへ変更されたために生じた、支払い支出増加はどの程度か? 受診状況への変化はどうか?


コスト増加を多少もたらしたが、アルブテロール使用回数そのものは減少させた


The Impact of the US Food and Drug Administration Chlorofluorocarbon Ban on Out-of-pocket Costs and Use of Albuterol Inhalers Among Individuals With Asthma
Anupam B. Jena,  et. al.
JAMA Intern Med. Published online May 11, 2015. doi:10.1001/jamainternmed.2015.1665


2004年  $13.60 (95% CI, $13.40-$13.70) /処方あたり2008年CFC終了後 $25.00 (95% CI, $24.80-$25.20)/処方あたり
2010年末までに、コストは、  $21.00 (95% CI, $20.80-$21.20) /処方と減少 
2004年から2010年で アルブテロール吸入総量は確実に減少 
ジェネリックCFC吸入使用は2006年最終四半期後急激に減少。これは、HFA吸入増加に取って代わった。

多変量解析にて、アルブテロール処方支払い$10コスト増加は、成人では 0.92% (95% CI, −1.39 to −0.44;  p < 0.001 ) の使用減少をもたらしたと推定、小児では 0.54% (95% CI, −0.84 to −0.24; P = .001) 減少と推定。

小児 vs 成人、持続性 vs 非持続性といった患者特性に関わる違いは無く、喘息関連入院、ED受診、外来受診など差を認めない




コントローラ薬剤の経年的変化などは考慮されてない


男性更年期という愚: 特にテストステロン注射は心血管イベントリスク増加させる

「血中、組織中の成分が減少しているなら、外から補充すれば良い」というサプリメント原理主義の愚劣さ ・・・ 泌尿器学会や婦人科学会系にもその種の発想でいいかげんなことを言う教授どもがあふれている

「あるある問題」からなんの進展もない・・・嘆かわしい


テストステロンによる副事象、心血管系への悪影響に関して配慮せず、利点だけを提示する、研究者倫理だけでなく、医師倫理でも問題


投与法として、注射、経皮パッチ・ゲルなどあり、血中濃度の動態も異なる
ゲル、注射、パッチでその安全性の違いを検討した後顧的分析報告



Comparative Safety of Testosterone Dosage Forms
J. Bradley Layton, et. al.
JAMA Intern Med. Published online May 11, 2015. doi:10.1001/jamainternmed.2015.1573

54万4115名のテストステロン開始、3データセット間
注射 37.4%、 パッチ 6.9%、 ゲル 55.8%


Medicareコホートの男性の大部分は、注射開始 51.2%
US商用保険者の大部分は、ゲル開始 56.5%
UKデータベースでは、注射、ゲル同数程度でそれぞれ41%


心筋梗塞、不安定狭心症、卒中の心血管ハザード比は、ゲル製剤使用男性と比較し、注射しようでは、心血管イベントハザード高い (1.26; 1.18-1.35)、同様に入院 (1.16; 1.13-1.19)、死亡ハザード (1.34; 1.15-1.56) 高いが、 VTE (0.92; 0.76-1.11)では差を認めない

ゲルに比べ、パッチでは、心血管イベントハザードリスク増加せず (1.10; 0.94-1.29), hospitalization (1.04; 1.00-1.08)、同様に死亡  (1.02; 0.77-1.33)、VTE (1.08; 0.79-1.47)も増加せず




パッチ、ゲル製剤だって安全性が担保されているわけではない・・・







JAMA. 2013;310(17):1829-1836. doi:10.1001/jama.2013.280386.


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