2013年6月29日土曜日

SLV306(ダグルトリル):エンドセリン転換酵素阻害/NEP阻害 2型糖尿病患者への血圧への効果 ・・って、プライマリエンドポイントで有意差ないインチキ成分含有報告

SLV306(ダグルトリル)は potent neutral endopeptidase (NEP) inhibitor+ endothelin-converting enzyme (ECE)-inhibitory activity剤の組み合わせ


内因性エンドセリン産生系阻害剤と、またはNEP・内因性エンドセリン産生系二重阻害活性剤と、NEP−阻害活性剤との組み合わせは、本態性高血圧、肺高血圧症、うっ血性心不全などの治療に関して期待されている。


さらに、2型糖尿病腎症患者の、エンドセリン転換酵素・神経エンドペプチダーゼ阻害剤併用によるアルブミン尿及び血圧への影響をみたもの

Effect on blood pressure of combined inhibition of endothelin-converting enzyme and neutral endopeptidase with daglutril in patients with type 2 diabetes who have albuminuria: a randomised, crossover, double-blind, placebo-controlled trial
The Lancet Diabetes & Endocrinology, Early Online Publication, 13 June 2013

イタリア2病院のランダム化交叉トライアル
18歳以上、尿中アルブミン 20-999 μg/分、収縮期血圧 <140 90="" hg="" mm="" mmhg="" p="">
1:1ランダム割り付け
daglutril (300 mg/day) →プラシーボ 8週間

プラシーボ → daglutril (300 mg/day)  8週間
交叉(4週間のwashout)
プライマリエンドポイントは、24時間尿中アルブミン排泄量(ITT)
セカンダリエンドポイントは、診察・通院血圧(24時間、昼間、夜間)、腎透析、濾過能、代謝・検査室検査 
 
58名篩い分け、48名登録(22名:初期 daglutril →プラシーボ、 23:逆)
2005年5月から2005年12月までで、一次解析42名(20 vs 22)

Daglutril では、プラシーボ比較において、有意に24時間尿中アルブミン排泄量影響せず(変化差 −7·6 μg/min, IQR −78·7 〜 19·0; p=0·559)

24時間血圧判定完遂34名 
Daglutrilでは有意に24時間収縮期血圧 (difference −5·2 mm Hg, SD 9·4; p=0·0013)、 拡張期血圧(—2·5, 6·2; p=0·015), pulse (—3·0, 6·3; p=0·019)、 平均血圧 (—3·1, 6·2; p=0·003) 減少、しかし、拡張期血圧は減少せず  (—1·8, 9·9; p=0·245), pulse (—3·1, 10·6; p=0·210), or mean (—2·1, 10·4; p=0·205)
エンドセリン血中濃度増加 
他のセカンダリエンドポイントは治療期間により差を認めず
プラシーボ3名、daglutril服用6名で、軽度治療関連副作用イベント:多くは顔面・末梢浮腫(4名がdaglutril服用者) 
結論:Daglutrilは、高血圧症・2型糖尿病患者・腎症の血圧コントロール改善し、受容内安全特性。エンドセリン転換酵素と神経エンドペプチターゼ阻害剤は新しいアプローチ法となり得る?

プライマリエンドポイントで有意差認めてない・・・いんちき成分含有報告





2013年6月28日金曜日

プロペシアなどの5-AR:高分化・中分化前立腺がんリスク低下 しかし、高分化型はリスク増加の可能性も

5αリダクターゼ阻害剤(5-AR)といえば、プロペシア(finasteride(フィナステリド) )だが、この場合は、 dutasteride(デュタステライド)も対象。


Gleason score 2-7程度の高分化・中分化はリスクを減少させる
逆に、低分化リスク増加の可能性も示唆

Use of 5α-reductase inhibitors for lower urinary tract symptoms and risk of prostate cancer in Swedish men: nationwide, population based case-control study
BMJ 2013; 346 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f3406 (Published 18 June 2013)

スウェーデンでの5-ARの国内症例対照研究 
症例 26,735 vs 対照 133,671 
包括的には薬剤暴露期間増加毎、包括的に、前立腺がんリスク減少。
3年を超える5-ARI治療の男性のリスクは0.72 (95% 信頼区間 :CI, 0.59-0.89; 傾向有意差p<0 .001="" br="">

Gleasonスコア2-6のがんと、7のがんでも同様( 両者 傾向 p < 0.001)

逆に、Gleason スコア 8-10での腫瘍リスクは、5-ARI暴露後も減少せず (暴露 0-1 年間、 オッズ比  0.96 (95% 信頼区間l 0.83 〜 1.11);  1-2 年間, 1.07 (0.88 〜 1.31);  2-3 年間, 0.96 (0.72 to 1.27);  >3 年間, 1.23 (0.90 〜 1.68); 傾向 P=0.46 )

”高炭水化物食は、側座核を活性化し、新たな食欲を創造する”

”高炭水化物食は、側座核を活性化し、新たな食欲を創造する”、脳内の報酬系に関わる部分も関与してる。

新聞報道
High-carb meals pique cravings for more, study says

確かに長期的アウトカムにはかなり問題がある(低炭水化物・高蛋白食は心血管疾患リスク増加をもたらす 2012/06/28 )が、低炭水化物食ダイエットってのは短期的には好影響を与えることは確かなのでは・・・

甘い物を食べた後、数時間で異常に腹が減り、食べ物を探す自分に気づくことがある

実感として、この知見納得してしまう


食事の定性的観点は食行動へ影響を与えるが、カロリー依存的な生理学的メカニズムが影響は未だ考察下のみ

典型的な食事間隔後の食後の脳のGlycemic index(GI)の影響検討

Effects of dietary glycemic index on brain regions related to reward and craving in men
First published June 26, 2013, doi: 10.3945/​ajcn.113.064113
Am J Clin Nutr September 2013 ajcn.064113

ランダム化二重盲験交叉デザイン研究で、18-35歳の12名の過体重・肥満男性に、
カロリー・大栄養素・palatabilityをコントロールした上での、高GI食、低GI食比較

主要アウトカムは安静時脳活動性評価としての脳血流量で、fMRIによるarterial spin-labelingを用い食後4時間で評価。
高GI食後脳活動性増加するのではないか、結果、食行動、報酬系、食探しへ影響を与えるのではないかと仮説。

漸増的血糖増加(曲線下面積 AUC 2時間)は、高GI食で、低GI食に比べ、2.4倍 (p = 0.0001)
高GI食の方が低GI食より、4時間後、血糖は低く(平均± SE: 4.7 ± 0.14 vs 5.3 ± 0.16 mmol/L; P = 0.005)、飢餓感報告顔多い(p = 0.04)

このタイミングでは、高GI書kは、右側座核に集まる脳活動性明らかな増加 (事前層別化領域; P = 0.0006 多因子補正後) が見られ、右線条体・嗅覚領域へ投射する。 


糖尿病学会のおえらいさんたちも、短期的には低炭水化物ダイエット食の効能利用すれば良いのに・・・とことん偏狭な連中  ・・・よく見聞きするのは一般ピーポーの反発だらけ・・・これに一部共感する私


糖尿病治療への効果・心機能への効果あり:極端でない「低炭水化物」ダイエット (vs 「低脂肪」ダイエット)H25.4.25

喘息関連既知遺伝子GWAS:若年発症、喘息持続性、気道不完全可逆性、就学・就業状態、入院リスクと関連

喘息に関するGWAS

"Polygenic risk and the development and course of asthma: an analysis of data from a four-decade longitudinal study"
Belsky DW, e al
Lancet Respir Med 2013; DOI: 10.1016/S2213-2600(13)70101-2.

前向き長軸研究、既知喘息状態関連GWAS特性多焦点遺伝子リスク研究
住民ベース長期生下コホート Dunedin Multidisciplinary Health and Development Study (n=1037)、9-38歳に広げた9つの前向き評価を含む情報
喘息発症、喘息持続性、アトピー、気道過敏性、気道閉塞不完全可逆性、喘息関連就学・就業状態、入院情報


880のコホートメンバーで、遺伝子リスク高い場合は、低い場合より若年発症喘息しやすい (hazard ratio [HR] 1·12, 95% CI 1·01—1·26)
小児発症コホートメンバーのうち、高遺伝子リスクでは低遺伝子リスク例より生涯持続性喘息発症確率高い (relative risk [RR] 1·36, 95% CI 1·14—1·63)
高遺伝子リスク喘息被験者では、アトピーが多く(RR 1·07, 1·01—1·14),、気道過敏性が多く (RR 1·16, 1·03—1·32)、不完全可逆気道閉塞が多い (RR 1·28, 1·04—1·57)
喘息原因の就学・就業損失も多い (incident rate ratio 1·38, 1·02—1·86) 、入院リスクも多い(HR 1·38, 1·07—1·79)
喘息genotype情報は、喘息家族歴由来の情報に上乗せ効果、独立した情報効果を与える。


肺腺癌:腫瘍径3cm以下(T1)臓側胸膜浸潤の取り扱い

腫瘍径3cm以下(T1)肺腺癌(ADC)における胸膜P因子の問題、visceral pleural invasion (VPI)について


肺ADC2cm以下(T1a)と2-3cm(T1b)でのVPIの、再発頻度(CIR)・包括的生存率(OS)への影響検討

ASCOで既報の話

Visceral Pleural Invasion Does Not Affect Recurrence or Overall Survival among Patients with Lung Adenocarcinoma ≤2 cm: A Proposal to Reclassify T1 Lung Adenocarcinoma
Jun-ichi Nitadori,  et. al.
Chest. Published online June 27, 2013. doi:10.1378/chest.13-0394

肺腺癌腫瘍サイズ 2cm以下、2−3cmの患者で、VPIの有無をリンパ節所見無し777名検討

腫瘍径 2cm以下の患者で、VPIは、CIR増加、OS減少ともに相関せず (p = 0.90, 0.11)
腫瘍径2-3cm患者において、組織型補正後も、 VPIの存在はCIR増加、OS減少と相関 (P = 0.015, p < 0.001)

肺腺癌 病期I 3cm以下の病期に関して、stage IA (腫瘍径 2cm以下の場合はVPIの有無不問、2-3cmの場合はVPI無し)と、StageIB(VPI有りの腫瘍径 2-3cm)の新しい病期再グループ分けしたときに5年間CIR、OS減少に関して、新分類IAとIBにおいて統計学的有意な差を認めることとなるs (CIR, 18% vs. 40% [P = .004]; OS, 76% vs. 51% [P < .001])。


2012年 NCCNガイドライン
http://www.tri-kobe.org/nccn/guideline/lung/japanese/non_small.pdf

心原性胸水への胸水除去留置カテーテル

心原性胸水への留置カテーテルは選択的患者において有用

選択された患者では、呼吸困難改善を来たし、カテーテルに伴うリスクも少ない
イベント的に外れた場合でもPS良好で、生存率高い。

Use of indwelling pleural catheters for cardiogenic pleural effusions
Nadim Srour, et. a.
Chest. Published online June 27, 2013. doi:10.1378/chest.13-0331

基礎疾患治療不応性の心原性胸水に対する胸膜カテーテル留置(IPC : Imdwelling pleural catheter)の評価
前向きコホート
38名にIPC施行43回
ベースライン呼吸困難指数 2.24(95%信頼区間: CI, 1.53-2.94)

IPC:2週後呼吸困難有意改善は有意で、平均transitional dyspnea index 6.19 (95% CI, 5.56-6.82)
膿胸発生せず
気胸は、pneumothorax ex vacuoがほとんどで、留置施行に関わる11.6%で生じるが、さらなる医療介入不要であった。
18名(47.4%)でIPC除去
中央値66 日間 (IQR 34-242)で自然胸膜癒着が11例(29.0%)で生じた。
イベント的なカテーテル除去では、performance status良好(p=0.008)で、呼吸困難度少ない(p=0.005)。さらに生存率長期化  (p<0 .0001="" blockquote="">





軽症・中等症COPD急性増悪指標:AnthoniseクライテリアとCRP → 抗生剤無使用判断に役立つ

Anthonisen’s criteriaは喀痰量、喀痰膿性、呼吸困難度増加を指標とする
http://annals.org/article.aspx?articleid=701631



このクライテリアをCOPD急性増悪(AECOPD)として抗生剤必要性のガイドとして用いることが 広くなされている。軽症・中等症COLD患者でも必要なのか?
抗生剤治療しない場合のアウトカム評価。


Is it possible to identify exacerbations of mild to moderate COPD that do not require antibiotic treatment?
Marc Miravitlles; Ana Moragas; Silvia Hernández; Carolina Bayona; Carl Llor
Chest. Published online June 27, 2013. doi:10.1378/chest.13-0518

研究方法: 152名
・アモキシシリン/CVA
・プラシーボ
ランダムトライアル

Anthonisenクライテリアに関連した臨床的反応とCRP値のPOT評価(カットオフ 40mg/L)で多変量ロジスティック回帰分析


結果:  臨床的失敗アウトカムは、抗生剤無使用 19.9% vs アモキシシリン/CVA 9.5%(p=0.022)
抗生剤なしの治療失敗リスク相関要素として唯一なのは、膿性喀痰量増加 (OR 6.1, 95% 信頼区間 1.5-25.0; p=0.005)
両要素は、抗生剤無しの時の失敗確率は63.7%
Anthonisenクライテリアによる臨床的アウトカム予測AUCは、0.708 (95% CI; 0.616-0.801)
CRPを加えると、AUCは有意に増加  0.842 (95% CI: 0.76 – 0.924); p<0 .001="" p="">
結論:Anthonisenクライテリアのうち、膿性喀痰増加が唯一抗生剤なしの治療失敗リスク有意予測因子。CRPのpoint-of-test使用は有意に治療失敗予測正確性を増加させる。
通常受信レベルでは、両者とも予測因子獲得は容易なため、軽症から中等症COPD急性増悪患者で、抗生剤無使用を決める臨床的に有用な方法



ペニシリン系ではなく、レスピラトリーキノロン系の時はどうなのだろう?
軽症・中等症でも肺炎や敗血症など合併急性増悪のなかでも重症な病態を繰り返す一群が存在する。そのことは?
COPD症例でのCRP重要性がまたまた示されたと思う。








プライマリケア急性咳嗽:肺炎可能性判断にCRPは付加的価値あり、プロカルシトニンは価値認めず H25/03/02

2013年6月27日木曜日

CHANCE研究:急性24時間以内発症・軽度卒中及びTIAへのクロピドグレル+アスピリン投与

軽度卒中・TIAに対し、プラビックス(クロピドグレル) の初期高用量負荷を用い期間限定的に抗血小板治療を行う方法。

Clopidogrel with Aspirin in Acute Minor Stroke or Transient Ischemic Attack
Yongjun Wang,  et. al.
for the CHANCE Investigators
N Engl. J. M. June 26, 2013DOI: 10.1056/NEJMoa1215340


マイナーな虚血性卒中と高リスク一過性脳虚血発作(TIA)
中国114施設、5170名割り付けランダム化2重盲験プラシーボ対照化トライアル

介入は
・クロピドグレル+アスピリン(クロピドグレル初期投与量300mg、90日間75mg、 +アスピリン 75mg 21日間)
・プラシーボ+アスピリン(75mg/日 90日間)

プライマリアウトカムは、90日間内卒中(虚血性・出血性)、ITT解析
random effectとして研究施設を用い、Cox比例ハザードモデルを用い評価した

卒中:
クロピドグレル+アスピリン群 8.2%
アスピリン群 11.7%(ハザード比 0.68: 95%信頼区間、 0.57-0.81; p< 0.001)

中等度・重度出血:
クロピドグレル+アスピリン群 7名(0.3%)
アスピリン群 8名(0.3%)(p=0.73)

両群とも出血性卒中率 0.3%

24時間以内にTIAもしくは軽度卒中に対して、クロピドグレル+アスピリン投与にて、アスピリン単独に比べ90日内の卒中リスク減少 

ACCORD研究のさらなる解析:インスリン暴露量と心血管疾患死亡率は相関しない

Siraj ES, et al "The relationship between insulin exposure and cardiovascular mortality in the ACCORD trial" ADA 2013; Abstract 386-OR.
http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/ADA/40107

ACCORD研究では、強化治療(目標HbA1c 6.5% (vs 7.0%))で、全死亡率 22%、 心血管死亡率 35%も増加したわけだが、日本の糖尿病学会はHbA1c 6%以下を理想とするような印象をもつステートメントを出してしまったわけだが・・・

強化治療で、心血管系、死亡率に悪さをするのは、インスリン暴露かというと、必ずしもそうではなさそうだ。

以前のACCORDトライアルpost-hoc解析では、 重度低血糖、体重増加、HbA1cの急激減少、低Hb1c値そのもの、他の薬剤特異性は否定されている。

Kg体重あたりの単位数は、他薬物、臨床特性による影響を補正後、12%ほどの差に減衰し、有意差を失うことがわかった。高インスリン投与が必ずしも全員に悪さをすると考えるべきではない。インスリン抵抗性があるからインスリン大量投与となっているわけで、インスリン抵抗状態の患者では当然心血管系リスクが高いという次第。

ACCORDサブ解析も、DECODAなどでも指摘されている血糖変動の問題が提起されている。

Sirajの解析では、2型糖尿病 10,163名、心血管疾患死亡率、インスリン投与病解析、平均フォローアップ5年間。予想通り、平均総、基礎、ボーラスインスリン投与量は強化治療群では、標準治療目標群に比べその量は有意に高値 。

両治療群とも、HbA1c平均が増加するほど、インスリン投与量増加を示す。しかし、HbA1cあたりのインスリン投与量高値 が強化治療群で目立つ。

インスリン1単位/kgあたりの心血管死亡率ハザード比
・非補正モデルでは、総インスリン 1.83、基礎インスリン 2.29、ボーラスインスリン 3.36 (all P<0 .0001="" p="">・血圧・脂質治療比率、重度低血糖・体重変化補正モデルでは、総インスリン 1.21、基礎インスリン 1.30 、ボーラスインスリン 1.65  (none P<0 .05="" p="">・アップデート平均HbA1c値補正後では、総インスリン 1.12 、基礎インスリン  1.13 、ボーラス1.48 none P<0 .05="" p="">


トライアルの血糖管理ランダム化追加補正モデルでは、総インスリン 0.99、 基礎インスリン 1.94、 ボーラス 1.23 none P<0 .05="" p="">



動脈硬化疾患に関してはやはり血糖変動の影響が大きいのだろうか?

ORIGIN study : RCT:ランタスにがんリスク増加認めず

今までの疫学研究では、一定した結果がなく、そのため、インスリン・グラルギン vs 標準治療のランダム化トライアルとして行われ、グラルギンががんリスク増加させないというエビデンスを得たという主張。

ORIGIN studyは、国際的二重盲験トライアル、12537名の心血管リスク+IFG、IGT、2型糖尿病初期患者
他にω3脂肪酸 vs プラシーボも比較し 2x2研究

実は、このトライアルのメインは、インスリン・ガーグリンの心血管疾患への影響で、中性的影響のみ報告している。
Gerstein H, et al "Basal insulin and cardiovascular and other outcomes in dysglycemia: The ORIGIN trial investigators"
N Engl J Med 2012; DOI:10.1056/NEJMoa1203858.

今回の結果は、中央値6年間後、がんリスクは、インスリン・グラルギンと通常ケア群で同等 (ハザード比 0.94, p=0.52)

Bordeleau L, et al "Cancer outcomes in patients with dysglycemia on basal insulin: Results of the ORIGIN Trial" ADA 2013, Abstract 385-OR.
http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/ADA/40118

2013年6月26日水曜日

医療費高コスト上位10分位患者:コスト削減介入には限界あり

日本でも医療報酬に関する電子請求システム完成したわけだからこのような解析されることだろう。
The Need for Access to Medicare Fee-for-Service Claims DataJAMA. 2013;():1-2.

Centers for Medicare & Medicaid Services (CMS)  の解析
http://www.gpo.gov/fdsys/pkg/BILLS-111hr3590enr/pdf/BILLS-111hr3590enr.pdf

 財務省や為政者にだけ都合の良いデータ解析されないよう生データに近い部分の公表を願いたい。

高コストメディケア患者の医療コスト傾向を調査し、削減効果の可能性を探った報告。

Contribution of Preventable Acute Care Spending to Total Spending for High-Cost Medicare Patients
Karen E. Joynt, et. al.
JAMA. 2013;309(24):2572-2578. doi:10.1001/jama.2013.7103. 

序文  少数の患者が米国医療費の大部分をしめる、このコホート間での医療費消費パターンの理解が医療費節約にとってクリティカル。これらの患者で消費される急性ケアサービスをある程度回避可能かどうかは確実なところは不明。

目的  高コストメディケア患者において急性期医療サービス定量的予防効果判定

デザイン・セッティング・被験者
2009-2010年の各年横断的、標準5%メディケアファイルに含まれる、各入院患者及び外来患者の標準化コスト要約
2010年のトップ10分位を高コスト患者と定義し、2009と2010年のトップ10分位を持続的高コスト患者と定義する
ED受診・急性医療入院を予防する標準アルゴリズムを使用
114,469名のメディケア支払い受取人65歳以上

主要アウトカム・測定  高コスト患者中の予防可能とされる急性医療病院・EDコスト比率

結果  高コスト群のメディケア患者10%は、高コストでない患者に比べ、高齢、男性比率多く、多くは黒人、より合併症が多い。
2010年、総救急受診部門コスト32.9%(95% CI, 32.9%-32.9%)は高コスト患者で占めている。
validated algorithmに基づくと、高コスト患者中のコストの41.0%(95% CI, 40.9%-41.0%)、非高コスト患者での42.6%(95% CI, 42.6%-42.6%)は予防可能なもの
入院コストの79.0%(95% CI, 79.0%-79.0%)、 予防可能な入院によるものは9.6%(95% CI, 9.6%-9.6%)、非高コスト患者群内の16.8%(95% CI, 16.8%-16.8%)は主に入院回避可能
高コスト維持状態患者において救急受診部門医療費比率比較で 43.3%(95% CI, 43.3%-43.3%)、入院部門医療費比較で 13.5%( 95% CI, 13.5%-13.5%)は防止可能。
プライマリケア高度な供給がある地域では、高コスト患者の医療費を高度に抑制可能。

結論と知見  2010年のメディケア支出トップ10分位の患者サンプルのうち、救急受診・入院予防に関わるコストの比率は小さい。外来ケア最良化による、これらの患者の低コストの可能性は限定的。

日本の医療施策上参考になる手法と思う。 日本では、専門家と言われる人たちが口々に、「医療費のほとんどが、少数 の患者により消費されている」と、この一定の一群を悪口をいうことだけに終わることが多いと思う。この患者たちへ限定した保険報酬削減や医療アクセス制限 が歴史的にも医療費削減目的で繰り返し行われているが、真に、入院コスト削減されたか、外来コスト削減されたかなど本格的検討されてないと思う。
また、 プライマリケアや検診が、真に医療コスト削減的に機能するかも、私は疑問視している。無症状のものをその医療費やアウトカム評価することなく、「検診=医療費 節約」という刷り込みだけに懸命な医療専門家たちの意見も目立つ。

上記であきらかになったことは、高コスト状態にある患者には

アスピリン直腸結腸がん予防効果はBRAF無遺伝子変異腫瘍限定的

アスピリンは、BRAF遺伝変異を認めないwild-type腫瘍限定的に直腸結腸がん予防効果

 Nurses Health Studyと Health Professionals Follow-Up Studyという 127 865名、 3 165 985 人年の観察研究のデータから、定期的アスピリン投与は、結腸直腸がんリスク有意減少

しかし、wild-type BRAF sequenceを含む場合にのみ限定的で、補正ハザード比 0.73 (95% CI, 0.64-0.83

BRAF遺伝子変異を含む場合の直腸結腸がんではアスピリン使用と非使用者で有意差認めず(補正HR  1.03 , 95% CI, 0.76-1.38)


Aspirin Use and Risk of Colorectal Cancer According to BRAF Mutation Status
Reiko Nishihara,  et. al.
JAMA. 2013;309(24):2563-2571. doi:10.1001/jama.2013.6599.

不整脈:コーラ飲料大量摂取や、蜂蜜毒

Cola and Honey: Exploring food riddles in rhythm disturbances
Topics: Arrhythmias
Date: 25 Jun 2013
http://www.escardio.org/about/press/press-releases/pr-13/Pages/cola-honey-food-riddles-rhythm-disturbances.aspx?hit=dontmiss

コーラやシャクナゲ蜂蜜の過剰摂取により、湿疹や不整脈を生じる
EHRA EUROPACE 2013 meetingで症例報告された。

31歳女性外傷性意識消失で入院。突然死家族歴・消化器症状・代謝・内分泌異常認めず
K濃度 2.4 mmol/Lと低下、QTc 610mSec

15歳からのコーラ飲料水を摂取歴
医学アドバイスにより4.1 mmol/Lと回復し、TQcは430 msecとなった。

文献上6つのコーラ過剰摂取報告あり、横紋筋融解、不整脈の他、TdTの1例死亡。
高濃度のフルクトースコーンシロップは腸管からの水吸収を抑制し、下痢を生じ、体内へのカリウムを排泄させること。加えてコーラ中カフェインが腎臓のへンレの係蹄へ影響を与え、再吸収によるK吸収を減少させることが考えられた。




2つめの要約では、88歳父親と、27歳の息子が嘔吐、dizzinessで同時救急受診。
心電図にて完全房室ブロックと心房粗動で心室rate低下を示した。

3日連続朝トルコ黒海沿岸の蜂蜜を大量摂取。”mad honey poisoning”を疑った。
 グラヤノトキシン(grayanotoxin)は、ロードデンドロン類のponticumやluteumの果汁に含まれる。グラヤノトキシンは神経毒で、細胞膜のNaチャンネル結合性で、興奮と脱分極継続性に働く。(日本でもホツヅキ由来蜂蜜の食中毒が問題になる)


”mad honey poisoning”は一般的に24時間症状継続はなく、めまい、脱力、吐気、嘔吐、多汗、大量唾液、異常知覚を含む軽症症状。より重症例は失神、痙攣、完全房室ブロック、致死的頻拍性不整脈(粗動)。
特異的解毒剤は存在しないが、アトロピンや選択的M2ムスカリニック受容体拮抗剤で対処。一時的ペースメーカーや昇圧剤対処が重症例では必要となる。


2013年6月25日火曜日

急性非代償性心不全:水分・塩分制限ベネフィット無し

ADHF(急性非代償性心不全)への水分・塩分制限のベネフィットについての研究

積極的水分制限・塩分制限では、体重減少や臨床的安定性に影響を与えず、口渇自覚を増すだけ。故に、ADHF入院患者に塩分制限や水分制限は不要


Aggressive Fluid and Sodium Restriction in Acute Decompensated Heart Failure
A Randomized Clinical Trial
Graziella Badin Aliti,  et. al.
JAMA Intern Med. 2013;173(12):1058-1064. 

水分制限(最大水分摂取 800 mL/日)とナトリウム制限(最大食事摂取 800mg/日)(intervention group [IG])  vs 制限無し対照群 
3日間の体重減少、臨床的安定性 
盲験アウトカム評価ランダム化平行群臨床トライアル 
入院7日めまで行い、それ未満の入院期間なら入院中全て 
アウトカムは、体重減少と臨床的安定性、口渇自覚評価、30日以内の再入院
75名登録(介入群 38; 対照群 37)、多くが男性、虚血性心疾患が主な心不全原因 (17名[23%]、平均(SD)左室駆出率 26% (8.7%))
ベースライン特性という面ではグループ均一 
3日目、減量は2群同等 (群間ばらつきf 0.25 kg [95% CI, −1.95 〜 2.45]; P = .82)、臨床的うっ血スコアの変化も同等  (群間差ばらつき 0.59 ポイント [95% CI, −2.21 〜 1.03]; P = .47) 
研究終了時点評価での、口渇は、介入群で、対照群比較、有意悪化  (5.1 [2.9]) vs (3.44 [2.0])  (群間差, 1.66 ポイント; time × group interaction; P = .01) 
30日時点での再入院群間差に有意差無し  (IG, 11 名 [29%]; CG, 7 名 [19%]; P = .41)

体重やサイズだけを親が言い続けると食行動異常の引き金に、健康な食習慣問いかけは食行動異常防御的に

子供に健康的食習慣議論に問いかける場合、摂食障害に対する防御的効果が認められた。

すなわち、単に体重や体のサイズをコントロールするよう子供に問いかけてる両親の場合より、健康食習慣を問いかける場合の方が、ダイエット、不健康な減量習慣、極端な不健康減量行為、大食らい行為が有意に少ない。


Parent Conversations About Healthful Eating and Weight
Associations With Adolescent Disordered Eating Behaviors ONLINE FIRST
Jerica M. Berge,  et. al.
JAMA Pediatr. 2013;():1-7. doi:10.1001/jamapediatrics.2013.78. 

【論文重要性】  思春期体重関連の問題は大きい。思春期子供の両親が食習慣、体重について語ることが有益なのか、有害なのか? 
【目的】  健康食や体重についての親との会話と、子供の食行動異常についての相関性調査 
【デザイン】  2つのリンクした多レベルの住民ベース研究の横断解析 
【セッティング】 2009-2010年、学校で行われた人体計測評価・調査と両親居宅遂行調査 
【被験者】 2010年社会経済及び人種/民族分散サンプル(マイノリティー 81%、低収入 60%)世帯;Eating and Activity in Teens 2010 (EAT 2010) (n = 2793; 平均年齢, 14.4 歳)、Project Families and Eating and Activity in Teens (Project F-EAT) (n = 3709; 平均年齢, 42.3 歳) 
【暴露】 健康食行為と体重・サイズについての親の会話 
【主要アウトカム測定】 青年の食事、不健康減量行為、大食らい行為 
【結果】 体重関連の会話問いかける母・父の場合の子供は、より多くダイエットを行い、不健康な減量行為、大食らい行為が多い。
健康食行動についてのみフォーカスした会話を行う母親の場合、過体重・肥満思春期の子供は、よりダイエットが少なく、不健康減量行為が少ない。
加えて、両親からのデータをもつ思春期子供のサブ解析では、健康食習慣について会話を仕向ける両親では、過体重・肥満思春期子供はダイエット少なく、不健康減量行為も少ない。 
【結論・新知見】 体重/サイズにフォーカスした親の会話は、思春期児童の食行動異常リスクを増加させる。一方、健康な食習慣へフォーカスした場合は、食行動異常へ防御効果を示す。

でも、肥満・過体重の子供なのに、ダイエットを問題にしなくて良いのだろうか?
不健康食や極端なダイエットさえなければそれでよいのだろうか?

【糖尿病】肥満手術で網膜症発症リスク増加

肥満(減量)手術前後1年間比較でみると、年間網膜症発生率は、2%-4%なのに、手術後は17.5%の網膜症発症と著増する

網膜症発症・減量手術患者では空腹時血糖が151mg/dLと減少し、網膜症改善・減量手術者は、49mg/dL減少にとどまる。網膜症変化無しでは29mg/dL減少


Thomas RL, et al "Does diabetic retinopathy progress following bariatric surgery in persons with type 2 diabetes?" ADA 2013; Abstract 155-OR.



糖尿病性網膜症発症リスクの高い症例では、肥満手術について注意が必要かもしれない。

Look AHEADトライアル:2型糖尿病肥満への強化ライフスタイル介入 心血管イベントベネフィット証明できず

2型糖尿病患者への強化的ライフスタイル介入は、食事・運動に対してフォーカスした場合、心疾患予防的効果認めず

Look AHEAD トライアル終了し、心血管ベネフィットに関し有意差を認めなかった


この研究の先行分析では、mobility改善効果はあった
Look AHEAD 研究:2型糖尿病肥満患者でのライフスタイル変容とmobility 2013/03/29

だが、それが心血管疾患イベント改善までは至ってないということか?
あるいは、検出パワーの問題かということだが、実際には対照群の方がスタチン投与量が多く、そのため効果評価を薄めてしまったというのが一解釈らしい。

この研究は無価値かというとそうではなく、減量と体重減少維持が可能であることが示された部分は大きく評価されるべきとのこと


"Cardiovascular effects of intensive lifestyle intervention in type 2 diabetes
Wing R, et al
N Engl J Med 2013; DOI: 10.1056/NEJMoa1212914.

【背景】短期研究ベースでは、2型糖尿病患者過体重・肥満者に対して減量を推奨しているが、心血管疾患への長期的効果は不明。
上記患者での減量への強化ライフスタイル介入が心血管合併症や死亡率減少させるかの検討。 
【研究方法】
米国内16の研究センターで、5145名の2型糖尿病過体重・肥満患者を、カロリー摂取制限と身体活動性増加による減量目的強化ライフスタイル介入(介入群)と、糖尿病サポートと教育(対照群)に割り付け
プライマリアウトカムは、心血管疾患原因死亡、非致死的心筋梗塞、非致死的卒中、狭心症入院組み合わせで、最大13.5年間のフォローアップ 
【結果】
フォローアップ9.6年間で、トライアルはfutility analysis(無用性解析、無益性解析?)に基づき早期中断。減量は対照群比較にて強化群でより減少(1年次 8.5% vs 0.7%、 研究終了時 6.0% vs 3.5%)
強化ライフスタイル介入は、また、糖化ヘモグロビン減少、フィットネス改善、LDLコレステロール以外の心血管疾患全リスク要素減少が観察された。
プライマリアウトカムは、介入群 403名、 対照群 418名 (100人年あたり 1.83 vs 19.2、介入群ハザード比 0.95:95%信頼区間 0.83-1.09; p=0.51) 
【結論】
2型糖尿病・過体重・肥満患者に対する、減量にフォーカスした強化ライフスタイル介入では、心血管イベント率減少認めず
(Funded by the National Institutes of Health and others; Look AHEAD ClinicalTrials.gov number, NCT00017953.)


研究者たちの分析
・検出パワーの問題だが、ベネフィット18%前提に至ってなかったことが主因
・生活スタイル介入に関して現実面重視であったため、差が出にくかった。
・対照群の教育が効果を与え、差が出にくかった。




Additional source: New England Journal of Medicine
Gerstein HC, et al "Do lifestyle changes reduce serious outcomes in diabetes?"
N Engl J Med 2013; DOI: 10.1056/NEJMe1306987.

2013年6月24日月曜日

1型糖尿病:Carbカウンティング・・・インスリン投与マッチングを是とするエビデンスに疑問


ADA
Carbonhydrate Counting
http://www.diabetes.org/food-and-fitness/food/planning-meals/carb-counting/


Joslin Diabetes Center : Carbohydrate Counting 101
http://www.joslin.org/info/Carbohydrate_Counting_101.html



The efficacy of carbohydrate counting in type 1 diabetes: A systematic review and meta-analysis 
Bell K, et al 
ADA 2013; Abstract 164-OR.

1型糖尿病では、食事中炭水化物量とインスリン投与量をマッチングするこtがベストだとされ、食事方針として推奨されている

だが、今回の検討にて、1型糖尿病での食後血糖コントロールのための炭水化物計測する標準的方法にはそのエビデンスは存在しないことが明らかとなったとのこと

6つのRCT、Carbonhydrate Countingは血糖コントロール改善、HbA1c -0.3%改善するも、有意ではない(p=0.185)


1型糖尿病:ω3不飽和脂肪酸とロイシンは膵β細胞機能温存的に働く?


Nutritional Factors and Preservation of C-Peptide in Youth With Recently Diagnosed Type 1 Diabetes
SEARCH Nutrition Ancillary Study
Mayer-Davis EJ, et al
Diabetes Care 2013; 36:1842–1850.
http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/ADA/40041

ω3脂肪酸とアミノ酸であるLeucinは、1型糖尿病のβ細胞機能を温存することが可能

ω3脂肪酸EPA、DHAのベースライン血中濃度とロイシン(肉、卵、醤油由来)は、インスリン産生能力指標としての2年後のCペプチド濃度高値 と相関する。

2013年6月22日土曜日

【がちんご】認知症患者に電子タグをつけるべきか?、否か?

Yes vs Noで紙上議論



Should patients with dementia who wander be electronically tagged? Yes
BMJ 2013; 346 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f3603 (Published 20 June 2013)

リアルタイム追跡により、行方不明患者を探すコスト削減効果があり、行政はそれを進めている。GPS追跡で、徘徊など特定の患者に有害性リスクを軽減することは確か。
倫理的リスクは軽度という主張。




Should patients with dementia who wander be electronically tagged? No
BMJ 2013; 346 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f3606 (Published 20 June 2013)

"malignant social psychology of dementia"という側面で行われている、社会現象ともなっているという批判。非倫理性という側面とともに、患者個人のwellbeingへやケアの阻害にもなるという。
模物化(objectification)、幼児化(infantilisation)、無力化(disempowerment)

認知症のない人間にこれらのことを行おうとすれば、オートノミーより安全性だけを重視していると批判されることだろう。

例えば、画像電話、ランプ技術、紛失物locatorなど自立生活をサポートする補助的テクノロジーを促進すべきで、相互的メッセージ化技術で、motion transmittedな光を伴うランプが特に興味ある技術であると筆者。
トレーニングの重要性や向精神薬の誤った使いかたなどにも一部言及。

妊娠貧血:鉄剤投与で出生時低体重リスク減少

母体の貧血と出生前鉄剤使用、血液学的・副作用妊娠アウトカムへの影響要約


Anaemia, prenatal iron use, and risk of adverse pregnancy outcomes: systematic review and meta-analysis
BMJ 2013; 346 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f3443 (Published 21 June 2013

48 のランダム化トライアル(女性 17,793)と44コホート(女性 1,851,682)
鉄剤使用で、対照群に比べ、母体平均ヘモグロビン濃度 4.59増加(95%信頼区間 3.72-5.45) g/dl増加、有意に貧血リスク減少(相対リスク 0.50、 0.42-0.59)、鉄欠乏症( 0.59, 0.46-0.79)、鉄欠乏性貧血 (0.40,0.26-0.60)、低生下時体重 0.81, 0.71-0.93)

早期産への鉄の影響は有意でない (相対リスク 0.84, 0.68 〜 1.03)

コホート研究解析で、第1、第2トリメスター貧血での、妊娠低体重リスク(補正オッズ比 1.29, 1.09 〜 1.53)、早期産リスク (1.21, 1.13 〜 1.30) 増加示された。

暴露反応解析で、1日あたりの鉄剤投与10mg増加毎、66mg/日まで、母体貧血相対リスクは0.88(0.84-0.92)(線形傾向 P < 0.001)

10mg/日増加毎
生下時体重は15.1(6.0 - 24.2) g増加 (線形傾向 P = 0.005)
低体重リスクは3%減少 (相対リスク 0.97, 0.95 - 0.98) (線形傾向 P f<0 .001="" br="" nbsp="">
投与療法生後、アウトカムに対して、使用期間では有意差認めず

さらに、平均Hb1g/L増加毎、生下時体重14.0(6.8-21.8)g(線形傾向 P = 0.002)
しかし、平均ヘモグロビンは生下時体重、早期産リスクに相関しない。

妊娠期間に関わる有意な影響認めず、同様に妊娠年齢比較低体重、低身長に有意差認めず

人工呼吸関連肺炎(VAP)抗生剤レジメン 短期(7-8日間) vs 長期(10-15日間)比較:抗生剤無使用日数に差、但し、再発に関しては議論必要


人工換気関連肺炎(VAP)への7-8日間の短期 vs 10-15日間の長期レジメン比較

プライマリアウトカムは、死亡率、抗生剤無投与期間、臨床的・微生物学的再発
セカンダリアウトカムは、無人工呼吸日数、人工呼吸器使用期間、ICU滞在日数

抗生剤短期レジメンで抗生剤無使用期間増加するが、死亡率・再発に差を認めないという結果。だが、長期レジメンの方が再発少ない傾向で、臨床的というより、微生物学的な評価結果でこういう傾向に出るのだろうという考察。

Short- versus long-duration antibiotic regimens for ventilator-associated pneumonia: a systematic review and meta-analysis
George Dimopoulos,  et. al.
Chest. 2013. doi:10.1378/chest.13-0076


全てのRCTで死亡率データを含む、一方、再発、抗生剤使用無し日数データはそれぞれ、3、2つのRCTに過ぎない

死亡率は両群差認めず (Fixed Effect Model(FEM): オッズ比 (OR)=1.20, 95% 信頼区間(CI) 0.84-1.72, p=0.32)

短期治療期間群で、抗生剤無使用日数増加;プール化比重平均差 3.40 日間(Random Effects Model: 95% CI 1.43 to 5.37, p<0 .001="" p="">
対照群比較で再発に差を認めず

しかし、長期間治療群で再発減少傾向あり  (FEM: OR=1.67, 95% CI 0.99-2.83, p=0.06)。アウトカム持続にかかわらず、2群での差を認めない。感度分析でも同様の結果。

2013年6月21日金曜日

入院投薬過誤は頻回で、10%にも上る

投薬過誤は入院患者で頻回。

TOEを用いた時間過誤なしの過誤率平均は横断的には10%も存在。denominatorを用いた投薬過誤標準化、過誤数、過誤種類が将来検討に必要。

Drug Administration Errors in Hospital Inpatients: A Systematic Review.
Berdot S, Gillaizeau F, Caruba T, Prognon P, Durieux P, et al. (2013) 
PLoS ONE 8(6): e68856. doi:10.1371/journal.pone.0068856

2088研究中、TOE 総計52の研究報告
多くの研究は横断研究(n-46)

Total Opportunity for Errors (TOE)とは、” sum of the total number of doses ordered plus the unordered doses given)”、すなわち、指示投与量及び非指示投与量総数の合計

TOEを用いた横断研究によると、時間過誤無しの過誤率中央値は 10.5% [IQR: 7.3%-21.7%].

18研究では、臨床的インパクト検討にて、致命的過誤は認めず、多くの過誤はマイナーとして分類。

出版バイアスのエビデンス認めず

高血圧・脂質異常など心血管リスクに関わる新しいガイドラインは、JNC8、ATP8ではないかも

National Heart, Lung, and Blood Institute (NHLBI)は、高血圧、高コレステロール血症、他の心血管疾患リスク卯要素に関するギドラインを1ヶ月程度で発表する予定と公表。

ただ、JNC8、ATP8、肥満ガイドラインなど従来のネーミングにこだわらないとのことらしい。

コレステロール、血圧、リスク評価、ライフスタイル介入、肥満の5つの項目のガイドラインは、パートナーシップ組織との共同決定で、NHLBIレガシー名称が決定されることとなるらしい

 Journal of the American College of Cardiology and Circulation (the AHA's flagship journal) websiteで同時発表予定とのこと

NIH says ATP 4, JNC 8 guidance out "in a matter of months" (with a twist)
http://www.theheart.org/article/1553901.do?utm_medium=email&utm_source=20130620_heartwire&utm_campaign=newsletter

Gibbons GH, Shurin SB, Mensah GA, Lauer MS. Refocusing the agenda on cardiovascular guidelines: An announcement from the National Heart, Lung, and Blood Institute. J Am Coll Cardiol 2013

Cochrane Review: 普通感冒に対するNSAIDs

Non-steroidal anti-inflammatory drugs for the common cold
Editorial Group:  Cochrane Acute Respiratory Infections Group
Published Online: 4 JUN 2013 Assessed as up-to-date: 17 APR 2013
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/14651858.CD006362.pub3/abstract

9つのRCT、1069名の被験者、37の比較、うち6比較はNSAIDs vs プラシーボ、3つの比較は NSAIDs vs NDAISs

総合バイアスリスクは混在

プール化解析にて、NSAIDsは症状総スコア減少有意差無し (SMD -0.40, 95% CI -1.03 〜 0.24, 3研究、random-effects model)、かぜ症状期間減少有意差無し  (MD -0.23, 95% CI -1.75 〜 1.29、2研究、random-effects model)

呼吸器症状として、咳嗽は改善せず (SMD -0.05, 95% CI -0.66 to 0.56, two studies, random-effects model)
くしゃみスコアは有意に改善 (SMD -0.44, 95% CI -0.75 〜 -0.12、2研究、 random-effects model)

NSAIDsの鎮痛効果(頭痛、耳痛、筋肉・関節痛)関連アウトカムでは有意ベネフィット認める

副作用リスクは、NSAIDsで高くない (RR 2.94, 95% CI 0.51 - 17.03、2研究、random-effects model)、薬剤はプラシーボに対して有意差があるという結論づけ困難。



「はやめの・・・」「かかったかな?と思ったら・・・」は詐欺CM

インフルエンザワクチン:FluBlok : ACP 18-49歳成人・卵アレルギー者への使用承認

ACIP recommends flu vaccine option for those with egg allergies
http://www.cidrap.umn.edu/cidrap/content/influenza/general/news/jun2013allergy.html


ACP(米国CDC助言委員会)において、13対0で、「18-49歳の成人で、卵アレルギーを有する場合は、組み替え型インフルエンザワクチン;FluBlokを承認」


FluBlock利用できない場合、ワクチン前に医師助言をもらうようにとも推奨。
FDAは1月16日、インフルエンザウィルスを用いず、トリ卵を作業工程中用いない製品としてワクチン承認。
ノバルティス製造の細胞ベースのインフルエンザワクチンFlucelvaxも承認
これは、ほ乳類細胞でのウィルス増殖させ、トリ類の抗原を含まないとされる。

FluBlok は、昆虫ウィルスで作成され、組み替えDNA技術を用い、baculovirusにて昆虫細胞内培養産生
卵アレルギーの多くは、インフルエンザワクチンは安全に接種可能との報告が多く、CCIPの投票は次の数年後へのステップとなるだろう。

ただ、2011-12年シーズンでは委員会は、じんましん程度の軽度卵アレルギーでは不活化ワクチン接種可能と推奨している。ただ、30分は観察下に置くべき。


Flublock (R)

Flucelvax (R)

脊椎固定での組み替えヒトbone morphogenetic protein 2 (rhBMP-2)研究報告・・・企業資金研究のため副作用過小報告の可能性

脊椎固定での組み替えヒトbone morphogenetic protein 2 (rhBMP-2)の企業基金トライアルの結果について


企業による資金研究のため、副作用報告過小評価の可能性


Reporting of industry funded study outcome data: comparison of confidential and published data on the safety and effectiveness of rhBMP-2 for spinal fusion
BMJ 2013; 346 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f3981 (Published 20 June 2013)


発展途上国:ロタウィルスワクチン有効性

単価ロタウィルスワクチン(RV1)の入院患者に対する予防効果

発展途上国においてロタウィルスワクチンが公衆衛生上十分な働きをすることがわかった。

Effectiveness of monovalent rotavirus vaccine in Bolivia: case-control study
BMJ 2013; 346 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f3726 (Published 19 June 2013)
単価ロタウィルスワクチン(RV1)の入院への有効性

ボリビアでの症例対照研究
ロタウィルス入院400名と100名の非下痢入院対照、718名のロタウィルス無し入院対照群 
先行ワクチン症例対照オッズ:有効性(1-補正オッズ比×100)、年齢・他の寄与因子補正;投与量、疾患重症度、年齢群、血清型層別化有効性)

非下痢対照との比較では、症例はより男性、託児所が多く、慢性基礎疾患を有する場合は少ない。母教育レベル・電話やコンピュータ保有率が高い。 
ロタウィルス無し対照群は、症例患者とより類似するばかりでなく、男性に多く、託児所が多い、高教育レベル・自宅でのコンピュータ保有率低い傾向がある。

ロタウィルス入院防御効果指標のRV1補正有効性は、ロタウィルス無し対照群と比較すると、69%(95%信頼区間 54%-74%)非下痢性対照群比較で77% (65% to 84%)

RV11回投与の有効性は、36%、56%

両対照群比較での防御効果は2年間持続し、1歳未満の子供の入院予防効果も同様  (64% 、 77%) 、1歳以上でも同様 (72% 、 76%)

RV1は、様々な血清型に対し有意防御効果があり、G1P[8]ワクチンのheterotypicに部分的、完全に有効。

2つの対照群での有効性は、G9P[8]に対し、 80% と 85% 、G3P[8]に対し74% と 93%、 G2P[4]に対し 59% と 69%、 G9P[6]に対し 80% と 87%

カナダ・英国15年間比較:糖尿病死亡率は全体では減少 だが、45-64歳の死亡率は高度維持中

カナダ・英国では、ここ15年間で糖尿病関連死は劇的に減少、だが、超過死亡は継続し、年齢とともに増加している。特に、45-64歳の死亡率は高度維持している。

糖尿病死最脆弱年齢層45-64歳、特に男性ってのが改めて明らかに・・・

"Mortality trends in patients with and without diabetes in Ontario, Canada and the UK from 1996 to 2009: a population-based study"
Lind M, et al
Diabetologia 2013; DOI: 10.1007/s00125-013-2949-2.
参照:http://www.medpagetoday.com/Endocrinology/Diabetes/40008

オンタリオでは、糖尿病死亡率は1.90(95% CI 1.86-1.94) → 1.51(95% CI 1.48-1.54)と44%減少。

英国でも、THIN(Health Improvement Networ)データベースでは、2.14 (95% CI 1.97-2.32) → 1.65 (95% CI 1.57-1.72) と減少

糖尿病罹患率は、オンタリオで5.4%→11.4%と増加、THINでは3.2%→5.9%と増加

平均年齢は、オンタリオで1996年 60.8歳 → 2009年 61.5歳、THINでは 62.7歳 → 53歳へ増加

年齢・性別補正後、年次死亡率は、オンタリオで 1000人あたり19.4 → 12.2と 37.2%減少、THINで31.4 → 14.1と55%減少

女性では、オンタリオで47.1%減少(1.94(95% CI 1.88-1.99) → 1.48(95% CI 1.45-1.52))、英国コホートでは 49.8%(2.25 (95% CI 2-2.50) → 1.63 (95% CI 1.52-1.74))減少

男性では、オンタリオで39%減少(2.25 (95% CI 2-2.50) → 1.63 (95% CI 1.52-1.74))、英国コホートで35.6%(2.04 (95% CI 1.79-2.29) → 1.67 (95% CI 1.56-1.77))減少

全ての年齢群で死亡率減少が見られるが、45-64歳での最高比率増加は維持
オンタリオでのこの年齢群の死亡率は 1996年 2.48 (95% CI 2.35-2.61)→ 2009年 1.94(95%CI 1.84-2.04)
英国コホートでは、 2.60 (95% CI 2.35-2.61) → 2.23(95% CI  1.98-2.50)
死亡率最少年齢群は、65-74歳で、オンタリオで1996年 1.45 (95% CI 1.41-1.50) → 2006年 1.16 (95% CI 1.13-1.19)  、英国コホートで 1.46 (95% CI 1.29-1.63) → 1.24 (95% CI 1.17-1.30)


子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)により若年女性でのHPV感染半減

もともと、「子宮頸がんワクチン」って呼称が、実態と合致してないことに違和感を感じてる。「○○ウィルス」に対するワクチンなら、「抗○○ウィルスワクチン」が正しいわけで・・・。このワクチンに対する政治家や政府の姿勢最初から変。


若年女性では、HPVワクチン導入によりHPV感染率半減
だが、ワクチンカバー率低いせいで、十分な効果が示されてないという報告

HPVワクチンは、その因果関係が明らかで無い「CRPSあるいは疼痛関連事象」や「アナフィラキシー」・「ギランバレー症候群」・「ADEM」などの副事象の恐れのため積極的推奨が控えられることとなり、日本ではその接種率低下が懸念される。

HPVワクチンによるHPV感染率低下の報告と、ワクチン回数など非遵守のため有効性低下への懸念が語られている。

Reduction in Human Papillomavirus (HPV) Prevalence Among Young Women Following HPV Vaccine Introduction in the United States, National Health and Nutrition Examination Surveys, 2003–2010
J Infect Dis. (2013)
doi: 10.1093/infdis/jit192
First published online: June 19, 2013

HPVワクチンに関する11-12歳女児への定期接種は、米国では2006年後半から組み入れられている。13-26歳でのcatch-upワクチンも推奨されている。ただ、2010年での3回ワクチンカバー率は13-17歳で32%のみ。 
4価HPVワクチン(HPV-6、 -11、 -16、 18)を、初回ワクチンインパクト指標の一つとして評価。 
ワクチン後 2007-2010、ワクチン前 2003-2006のHPV頻度データを National Health and Nutrition Examination Surveyから収集。 
HPV頻度は、14-59歳女性の子宮頸部膣部ぬぐい液サンプル Linear Array HPV Assayで決定。2003-2006年4150、2007-2010年4253。
14-19歳女性のうち、ワクチン型HPV頻度は11.5% (95% 信頼区間 [CI], 9.2–14.4) から5.1% (95% CI, 3.8–6.6) へ減少 減少率は、56%(95% CI, 38-69)
他の年齢群では、頻度は有意に変化せず p > .05 
1回でも投与された群でのワクチン有効性は82% (95% CI, 53–93)

2013年6月20日木曜日

パーキンソン病:H.ピロリ菌除菌で多数の症状改善 ・・・ 一般化できるのか?

除菌12週時点で、レボドパの onset時間減少、 ON time期間増加なども観察される。

ただ、open-labelなためエビデンスレベルの高い研究ではないのだが、筆者等は倫理性から困難と述べている。興味ある新知見だけど・・・

Mohamed Ibrahim, N et al, "An open label, single arm study on the effects of H. Pylori eradication in Parkinson's disease" MDS 2013.
参考:http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/MDS/39967

76名の連続パーキンソン病患者にUBTを用いたH.pylori検査し、27名で陽性
1週間除菌治療をオープンラベル単独群研究施行
倫理的でないという理由でプラシーボ群設定しなかった

ベースラインで、H. pylori感染有無で差を認めず

Unified Parkinson's Disease Rating Scale 
感染患者 85.05 vs 非感染患者 63.98 , p = 0.005

Parkinson Disease Questionnaire score
http://ageing.oxfordjournals.org/content/26/5/353.long
感染患者 50.98 vs 非感染患者 32.55, p < 0.001

"onset"、"ON" t回数 について、感染 vs 非感染で ベースラインで有意差なし

H. pylori陽性患者を6週後再検査、除菌後12週で再検査


Total Unified Parkinson's Disease Rating Scale スコアは、ベースラインの85.05から 6週後 72.05、12週後の 66.71と減少 ( p < 0.001)


サブドメインにおいて、ADLはベースラインスコアの 21.67から 6週後 19.14、 12週後 18.43に減少 p = 0.001

運動器検査において、ベースラインスコア 50.62から 6週後41.43、12週後37.00と減少 p < 0.001

治療ドメインの合併症では、ベースライン 7.86から、6週後 6.76、6.38と減少 p = 0.009

Parkinson's Disease Questionnaireでは、治療は多くのドメインで有意にスコア減少。





反復尿路感染・閉経後女性:エストロゲン補充2週間で尿路感染防御的に働く・・・機序は抗菌ペプチド発現増加・細胞接合強化作用

短期的エストロゲン治療で、尿上皮細胞性変化をもたらし、尿路感染防御的になる

エストロゲン補充2週間で、抗菌ペプチドの発現増加により、防御メカニズムとして働く。反復尿路感染閉経後女性では、2週間程度のエストロゲン補充は、合理性があるのかもしれない。


Estrogen Supports Urothelial Defense Mechanisms
Sci Transl Med 19 June 2013:  Vol. 5, Issue 190, p. 190ra80 
Sci. Transl. Med. DOI: 10.1126/scitranslmed.3005574

疫学的にもエストロゲンが尿路感染に病因的に働く、しかし、その基礎づけメカニズムは不明。閉経後のエストロゲン補充にて再発感染リスク減少が知られている。

エストロゲンが宿主・病原体相互作用へ影響を与え、尿路感染病態形成後の経過に関わる可能性を検討。

閉経前・閉経後女性からの尿路上皮細胞をエストロゲン補充前と2週間後検討、さらに、大腸菌尿路感染マウス感染モデルでのエストラジオールの影響を検討。

ヒト尿路上皮cell line2つで、エストロゲンによる細胞上皮防御メカニズム同定。エストロゲンは抗菌ペプチドの発現を誘導し、尿路上皮の抗菌能を促進し、細菌増殖を制限する。
加えて、エストロゲンは、細胞・細胞相互蛋白の発現・再配列を促進し、感染中の上皮細胞の過度な損失を防御する。

これら2つの作用で、細菌の尿路上皮深部層到達を防御し、感染再発の貯蔵元としての働きを防止する。

この研究により、閉経後女性へのエストラジオールのベネフィットメカニズムの一部が示された。反復尿路感染閉経後女性でのエストロゲン投与を支持する知見である。


やっと保険収載となった、夏型過敏性肺臓炎のための検査

某大学も沈降抗体してくれなくなり、診断困難だった、この病気





新たに保険適用が認められた検査
平成25531日 保医発05311号(平成2561日適用)
測定項目
抗トリコスポロン・アサヒ抗体
商品名
トリコ・アサヒ Ab チェック
区分
E3(新項目)
測定方法
ELISA 法
主な測定目的
血清中の抗トリコスポロン・アサヒ抗体の検出
(夏型過敏性肺炎の診断の補助)
参考点数
D014 自己抗体検査
25 抗アセチルコリンレセプター抗体 900
関連する 留意事項の 改正
※「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(平 成 24 年3月5日保医発 0305 第1号)の別添1(医科診療報酬点数表に関 する事項)の第2章(特掲診療料)を以下のように改める。
第3部検査
D014 自己抗体検
(1)~(19) 略
(
20) 抗トリコスポロン・アサヒ抗体
ア 抗トリコスポロン・アサヒ抗体は、区分番号「D 014」自己抗体検査の「25」抗アセチルコリンレ セプター抗体の所定点数に準じて算定する。
イ 当該検査は、ELISA法により、夏型過敏性肺 炎の鑑別診断を目的として測定した場合に算定で きる。なお、鑑別診断目的の対象患者は、厚生省特 定疾患びまん性肺疾患調査研究班による「過敏性肺 炎の診断の手引と診断基準」により、夏型過敏性肺 炎が疑われる患者とする。
(21) 略
(変更箇所下線部)
(日本医師会医療保険課)




過敏性肺臓炎
http://bme.ahs.kitasato-u.ac.jp:8080/docs/qrs/imd/imd00085.html

2型糖尿病:低ゴナドトロピン性性腺機能低下症合併 テストステロン注射でインスリン感受性改善・脂肪から除脂肪体重への転換促進

私は個人的には”男性更年期”って言葉が大嫌いだ

蛋白同化ホルモン投与ってのは、低ゴナドトロピン性性腺機能低下症の確認があって初めて行われるべきだ

2型糖尿病の中で、性腺ホルモン機能低下を合併した場合に、その補充が病態改善に役立つかもしれないという報告。ただ、心血管合併症や多臓器への影響はなにも語られてないので、解釈に注意が必要と思う

低ゴナドトロピン性性機能低下と2型糖尿病合併男性へのランダム化対照化トライアル
プラシーボ比較で、テストステロン注射6ヶ月後インスリン感受性改善の報告(P=0.01)



Dhindsa SS, et al "Testosterone replacement decreases insulin resistance in hypogonadal men with type 2 diabetes" ENDO 2013; Abstract OR22-

http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/ENDO/39965

2型糖尿病81名の男性
ベースラインで、性腺機能低下症では、低テストステロン症の無い場合より、BMI高値 、脂肪量多い
上記ごとく、2型糖尿病+低ゴナドトロピン性性腺機能低下症では、性腺機能低下症のない場合に比べインスリン感受性有意に低い(P=0.001)、そして、体重・年齢補正後もこの関連性は不変(P=0.017)

6ヶ月間テストステロン vs プラシーボにランダム化
治療後、テストステロン値は、治療群で有意増加 256 ng/dL → 562 ng/dL, p = 0.001
プラシーボ群では有意差無し 
遊離テストステロン劇的に増加 4.1 nmol/L → 12.4 nmol/L p < 0.001
プラシーボでは有意変化認めず

筆者等は、インスリン感受性(euglycemic clump測定)でインスリン感受性25%(p=.01)と劇的に改善したと主張。プラシーボではインスリン感受性有意差無し。 
体重、ウェスト/ヒップ比は両群変化認めず、総除脂肪体重(lean body mass)はテストステロン患者では有意に増加 (p=0.004)
同時期、脂肪量は有意に減少 (p=0.02) 
脂肪2kgが、除脂肪体重に置き換わったわけである 
平均インスリン濃度は薬物治療群でインスリン感受性とともにインスリン濃度低下 (11.6 → 7.1, p < 0.05)、 HOMA-IRも有意減少 (3.5 → 2.8, p < 0.05)

脂質濃度は両群で変化せず、しかし、テストステロン群で有意に性的欲求が高まった (P=0.05)

インフルエンザワクチンによる発症回避数・受診数・入院数有効性報告 若年成人でも確認:CDC研究者からの報告

2005-2011年の6年間にインフルエンザシーズン中110万名から500万名の予防効果
老人での有効性高いこととと、若年成人での有効性を強調した報告。


インフルエンザワクチン・プログラムのゴールは、インフルエンザ関連疾患アウトカム減少である。故に、インフルエンザの時間経過によるburden減少、年齢毎推定することで、米国内でのインフルエンザワクチンの価値を真に理解することが可能となるはず。特に最もベネフィットをもたらすのがどのエリアかが確認できるはず。

ということで、サーベイランスデータを用いて、副事象アウトカム減少、疾患予防区分を定義としてインパクトを推定

6年間研究期間中を推定し、ワクチンにより減少したはずのインフルエンザ数は、 
2006-2007年シーズンで、約110万人(95% 信頼区間 (CI), 60-170万人) 
2010-2011年シーズン中 500万人(95%CI, 290-860万人) 
入院減少効果は、最小で2009-2010年シーズン 7700(CI 3700-1,4000)、最大で2010-2011年シーズン 4万400(CI 20,800-73,00)


予防領域は年齢群、時間経過横断的にばらつきあり 
研究期間中最大予防領域は2011-2011年で、ワクチンカバーがパンデミック後ということで広がったためと思われる。 
米国内インフルエンザワクチンプログラムで、averted case、すなわち、リスク回避症例数を用いた表現で、医療ベネフィットを示した。具体的には、症例数、受診数、入院数。 
結果、ワクチン接種カバー率増加による付加的疾患予防ポーテンシャルは、非老人成人で強調される。ワクチン有効性は特に老人で高い。


"Influenza illness and hospitalizations averted by influenza vaccination in the United States, 2005"
Kostova, et al
PLOS ONE 2013; 8(6): e66312.


2013年6月19日水曜日

代替医療への警告を取り上げる本

代替医療への警告を取り上げる本


Do You Believe in Magic? The Sense and Nonsense of Alternative Medicine, (HarperCollins, amazon.co.jp)

Do You Believe in Magic?: The Sense and Nonsense of Alternative Medicine [Kindle版]




実際には存在しない病名「慢性ライム病」、数年も感染維持せず、数根も抗生剤必要も無く、リスキーな医療を長期間する必要も無いのに、治療のため、4年間サプリメントや代替医療を受け、毒性副作用のある80種類以上の補助食品を彼女の母親の買い物袋をもって現れた。急性膵炎の病害で、腹痛に悩む少女。標準的治療で2週間後退院。

こういうことは珍しいことではないとErushは述べている。

アメリカ人の50%が代替医療を利用し、うち10%は子供

比較的規則が緩い、漢方からクリスタルヒーリング、鍼などまでリスクがあまり周知されてない代替医療による悲劇

多くの消費者たちは、Big Pharmaより利他的・素朴という印象をもち、警戒を緩める。

NCIやNIHは、代替医療の研究に1年間に2億33百万米ドルを費やし、ハーブサプリメントから針灸・アロマセラピーまで範囲としている。NEJMでは太極拳でパーキンソン病でバランス・安定性向上の報告、JAMAでは音楽選択で鎮静剤必要性減少など

代替医療支持者は、メインストリームの医師との関係にフラストレーションをもち、非人格的で、コントロールを自分でしたいという願望がその基本になると主張する。

安全性有効性データあるのは、代替医療の1/3のみで、エビデンスに従わない医師たちが転がっていて、通常の医療で科学的エビデンスに基づくと主張のセラピスト1/4のみ

Caplan(NYU Langone Medical Centeの医療倫理専門)は、代替治療ヒーラーは患者の個別的興味を引くニーズを満足させると述べている。医学は、エモーショナル、スピリチュアル、時には心理的な方面では十分な効果があるとは言えない。医学がそれらのニーズに十分に対応できないとき人々は吸引されるごとく、代替医療へ走る。

だが、代替医療へ信頼を寄せる人々に対して、代替治療やサプリメントはヒトをリスク状態に追い込む場合がある。全てにおいて政府規則から離れて安全とナイーブな信念から感傷的思い込みを代替医療業者は利用している。

代替治療は最良の場合、無効だが、比較的有害性が少なく、高価なプラシーボとして機能的に働く場合もある。たとえばホメオパチーなど。
サプリメントはリスクフリーではない。2012年FDAはサプリメントは年間5万件の副作用と推定。いくつかのケースでは処方薬の変装に過ぎない場合もある。

切れ-ションは医薬品を用い、急性重金属中毒治療に用いる薬剤処方。2005年5歳自閉症の子供が治療後死亡した事例がCDC予防にて報告。

Steve Jobsも唯一の治療法であった手術を延期し、代替治療を優先してしまった。9ヶ月後手術を受けるまで、鍼、ハーブ、腸洗浄、にんじん・フルーツジュース特別食で治療した。結局、手術し移植を受けたがあまりに遅かった。診断後8年経過していた。
最初膵がんとしては珍しく利用・治癒可能な種類であったとCssileth(Barrie Cassileth, chief of integrative medicine at New York's Memorial Sloan-Kettering Cancer Center.)は述べている。

がん患者たちは家や財産を売り払い、行商人たちのカリスマ性にだまされ、不合理な治療のため2万ドルを支払い、それでも希望を求めて、インチキ療法に金をつぎ込んでいく。患者たちは科学的知識を欠き、リテラシー不足のため、結果的に、彼らからの膨大な請求が待っている。

一般薬剤と違い、米国内でも、サプリメントは、FDAで承認される必要も無く、安全性試験も販売前に行われる義務もない。だが、一般消費者の58%は承認義務があると思っている。

肥満小児・青少年:食事及び運動介入による体重減少・代謝特性改善

Impact of Dietary and Exercise Interventions on Weight Change and Metabolic Outcomes in Obese Children and Adolescents
A Systematic Review and Meta-analysis of Randomized Trials
Mandy Ho et. al.
JAMA Pediatr. 2013;():1-11. doi:10.1001/jamapediatrics.2013.1453.

15の研究を同定し、検討に含めた。

食事介入は9つの研究でカロリー制限、 "Traffic Light Diet" :交通信号ダイエットで、糖分制限・食事性線維成分増加、食事指導提供。教育は15分DVD介入 10週間2時間栄養セッションと月ごと電話3ヶ月間
運動介入は、13研究のスーパーバイズトレーニング、強化運動と研究毎に異なるworkout、例えば、8つの研究で好気的運動、4つの研究でレジスタンストレーニング、2つの研究で両方。
一つの研究を除き、週毎70分以上、1つは週6時間の学校内の運動
現行で利用可能なのは短期トライアル少数ベース、食事のみ、食事+運動組み合わせ介入で、減量及び代謝特性改善を示した。


しかし、運動に食事介入を加えた場合は、6ヶ月経過で、
よりHDL値改善 (3.86 mg/dL [mmol/L変換は0.0259掛ける]; 95% CI, 2.70 ~ 4.63)
空腹時血糖改善(−2.16 mg/dL [mmol/L変換は  0.0555掛ける]; 95% CI, −3.78 ~ −0.72)
空腹時血糖改善 (−2.75 μIU/mL [pmol/L変換は  6.945掛ける]; 95% CI, −4.50 ~ −1.00) する


食事介入のみだとTG値(アクティブ介入終了時点)、LDL(フォローアップ時)減少大きくなる


運動に関しては、学校の授業内でもいいわけだ 6時間程度になれば・・・

マルチプル膵島関連自己抗体セロコンバージョン小児の7割は1型糖尿病発症する

コロラド、フィンランド、ドイツでの前向きコホート研究プール化データ利用


multipleな膵島関連自己抗体seroconversionを有する1型糖尿病発症リスクにある大部分の子供は、その後糖尿病発症する。このことから、この群での発症予防対策が急務。

Seroconversion to Multiple Islet Autoantibodies and Risk of Progression to Diabetes in Children
Anette G. Ziegler, et. al.
JAMA. 2013;309(23):2473-2479. doi:10.1001/jama.2013.6285.

ラ氏島抗体seroconversion後10年間フォローアップでの1型糖尿病発症
multiple膵島関連自己抗体585名では 69.7% (95% CI, 65.1%-74.3%
single膵島関連自己抗体474名では14.5% (95% CI, 10.3%-18.7%)

膵島関連自己抗体なしでの小児の糖尿病リスクは、15歳時点までで 0.4% (95% CI, 0.2%-0.6%)


1型糖尿病発症に関して
・multiple膵島関連自己抗体を有する子供はsingleラ氏島抗体を有する子供より発症年齢3歳ほど若い  (ハザード比 [HR], 1.65 [95% CI, 1.30-2.09; P < .001]; 10-年間リスク, 74.9% [95% CI, 69.7%-80.1%]) vs 3歳後 (60.9% [95% CI, 51.5%-70.3%]);

・HLA genotype DR3/DR4-DQ8保有小児 (HR, 1.35 [95% CI, 1.09-1.68; P = .007]; 10-年間リスク, 76.6% [95% CI, 69.2%-84%]) vs 他のHLA genotype (66.2% [95% CI, 60.2%-72.2%])

・女児 (HR, 1.28 [95% CI, 1.04-1.58; P = .02];10-年リスク, 74.8% [95% CI, 68.0%-81.6%]) vs 男児(65.7% [95% CI, 59.3%-72.1%])

【急性虚血性卒中】少しでも早く治療を:発症からtPA治療開始までの時間:Onset to treatment (OTT)

tPA静注のベネフィットは時間依存性であるが、Onset to treatment (OTT) time の特性に関してサンプルサイズが限定されてるため、明確ではなかった。

OTT早いほど、院内死亡・脳内出血少なく、自立退院・居宅直接退院多いことを確認


症状発症4.5時間未満(the Get With The Guidelines-Stroke Program)での虚血性卒中58,353名のデータ解析


Time to Treatment With Intravenous Tissue Plasminogen Activator and Outcome From Acute Ischemic Stroke
Jeffrey L. Saver,  et. al.
JAMA. 2013;309(23):2480-2488. doi:10.1001/jama.2013.6959.

年齢中央値72歳、女性 50.3%
OTT time中央値144分(IQR, 115-170)、0-90分:9.3%(5404)、91-180分:77.2% (45 029) 、181-270分:13.6%(7920)

治療前 National Institutes of Health Stroke Scale 中央値は、11で、87.7%、IQR 6-17

OTT短縮と強く相関する患者要素は、卒中重症度高いこと (オッズ比 [OR], 2.8; 95% CI, 2.5-3.1 per 5-point increase),、救急到着(OR, 5.9; 95% CI, 4.5-7.3)、regular hour到着(OR, 4.6; 95% CI, 3.8-5.4)。

全体として、院内死亡 5142(8.8%)、脳内出血 2873 (4.9%)、退院時自立退院達成 19,491(33.4%)、自宅への退院 22,541(38.6%)

OTT早いほど、15分毎に、院内死亡率減少 (OR, 0.96; 95% CI, 0.95-0.98; P < .001)、有症状脳内出血減少 (OR, 0.96; 95% CI, 0.95-0.98; P < .001)、自立退院達成増加 (OR, 1.04; 95% CI, 1.03-1.05; P < .001)、居宅への直接退院増加(OR, 1.03; 95% CI, 1.02-1.04; P < .001)


こういうのって、社会基盤体制が大事なんだけどなぁ

人口の大部分がこの恩恵に預かれるように、基盤体制整備対応すべきと思う
結果的には、卒中による合併症や併発症による社会的コスト・個人の負担が減る可能性は高いと思う

【GRANULOMA・RCT】サルコイドーシス診断:超音波内視鏡リンパ節生検が経気管支肺生検に優る




Endosonography vs Conventional Bronchoscopy for the Diagnosis of Sarcoidosis
The GRANULOMA Randomized Clinical Trial
Martin B. von Bartheld, et. al.
JAMA. 2013;309(23):2457-2464. doi:10.1001/jama.2013.5823.


重要性 非乾酪性肉芽腫を組織で確認することがサルコイドーシス診断では推奨。経気管支肺生検のための気管支鏡が、現行診断標準で、肉芽腫確認のための診断感度中等度である。胸腔内リンパ節吸引のための内視鏡超音波が診断技術として有望。

目的  stage I/IIサルコイドーシス診断のための気管支鏡 vs 超音波内視鏡診断的価値評価

デザイン、セッティング、患者  ランダム化臨床多施設トライアル(6ヶ国14センター)、2009年3月から2011年11月、非乾酪性肉芽腫組織確認された肺サルコイドーシス(stage I/II)疑いの304名連続患者

介入  経気管支・内視鏡的肺生検、内視鏡超音波(食道・経気管支超音波)の胸腔内リンパ節吸引。全患者はBAL施行。
All patients also underwent bronchoalveolar lavage.

主要アウトカム・測定  プライマリアウトカムはサルコイドーシス最終診断のための非乾酪性肉芽腫同定のための診断能。診断は治療医師の最終臨床診断に基づき、全ての情報(気管支内視鏡及び内視鏡超音波からの所見を含む)
セカンダリアウトカムは、両群の合併症発生率と、BALによるサルコイドーシス診断感度・特異度

結果  気管支鏡 149名、 気管支内視鏡 155名にランダム化
内視鏡超音波 vs 気管支鏡での肉芽腫 (114 vs 72 名 ; 74% vs 48% ; p < .001)

内視鏡超音波による肉芽腫同定診断能は80% (95% CI, 73%-86%)、気管支鏡では 53% (95% CI, 45%-61%) (P < .001)

重大副事象は気管支鏡 2例、超音波内視鏡 1例、完全回復全例

CD4/CD8比ベースのBALによる診断感度は、フローサイトメトリーで 54% (95% CI, 46%-62%) 、cytospin analysisで 54% (95% CI, 46%-62%) 

結論・知見  肺組織確認された肺サルコイドーシス stage I/II疑い患者のうち、内視鏡超音波によるリンパ節吸引での診断は気管支鏡生検に比べ診断能力高い。

2013年6月18日火曜日

高齢・運動不活発者:食後ウォーキングで、より効果的な食後血糖減少効果

高齢者や運動不活発な対象者で、中等度強度歩行を朝行うのと、食後行う場合には24時間血糖コントロール改善する。歩行しないベースラインの日に比べ、朝もしくは食後3METS運動は、有意に血糖コントロールを改善する。

食後ウォーイングのほうが朝のウォーキング、午後のウォーキングより有意に食後3時間の血糖低下させる。


Three 15-min Bouts of Moderate Postmeal Walking Significantly Improves 24-h Glycemic Control in Older People at Risk for Impaired Glucose Tolerance
Published online before print June 11, 2013, doi: 10.2337/dc13-0084 
Diabetes Care June 11, 2013 

運動不活発な老人(60歳以上)の被験者(n=10)
非喫煙、BMI < 35 、FBS 105-125mg/dL
ランダム順にン道プロトコールを4週間毎に施行 
どのプロトコールもwhole-room calorimeter48時間stay構成
1)食後15分、45分間の持続歩行
2)am 10:30
3)pm  4:30
3METS強度のウォーキング 
CGMで48時間のinterstitial gluclose concetratioを記録

朝の持続歩行 127 ± 23 vs 118 ± 14 mg/dL
食後歩行 128 ± 24 vs 116 ± 13 mg/dL
ともに対照日比較で24時間血糖コントロール有意改善 
さらに食後歩行は、朝の持続的歩行あるいは午後のそれよりより、対照あるいは被検日の間の食後3時間後血糖低下という意味で効果的 
高齢者において、食後高血糖コントロール目的にの場合、食後ウォーキングを間欠的に行う方が有効

4年間レッドミート摂取量1日0.5サービング増加で2型糖尿病リスク5割増し、 レッドミート減少で2割減少

red meat :レッドミート 

http://www.fitday.com/fitness-articles/nutrition/healthy-eating/white-meat-vs-red-meat.html
white meatは、red meatと逆で軽い食事という印象で主に豚肉由来の薄い色の部分の肉のことであり、豚の暗い部分の肉との区別に使う。学術的に使うのはどうかと思われ、文化面、時代、地域によってそのとらえ方が違う。一般に「ウサギ肉」・「鶏肉」をwhite meatと呼ぶ。マトンやビーフなどの大型ほ乳類の肉由来をred meatと呼び、グースやダックもred meatと考えられていることからややこしい。white meatの重大な鑑別点は脂肪含有が少ないと考えられているところだが、変わりないという話も・・・学術的にレッドミートなんて使って良いのだろうか?

レッドミート摂取量4年間増加すると、その後の4年間の2型糖尿病発症リスク5割増し
逆に、減少すると、2割弱リスク減少。


Changes in Red Meat Consumption and Subsequent Risk of Type 2 Diabetes Mellitus
Three Cohorts of US Men and Women
JAMA Intern Med. 2013;():1-8. doi:10.1001/jamainternmed.2013.6633.

重要性 レッドミート摂取量は、2型糖尿病のリスク増加と関連。しかし、レッドミート摂取の変更によりその後の2型糖尿病リスクが関連するかは不明。
目的 レッドミート消費量4年間の変化と、その後4年間の2型糖尿病の関連性評価(米国成人)
デザイン・セッティング 米国男女3つの前向きコホート研究
被験者 Health Professionals Follow-up Study (1986-2006 )男性 26 357 、 Nurses' Health Study (1986-2006) 女性 48 709 、 Nurses' Health Study II (1991-2007) 女性74 077 名
食事は有効食事回数アンケート評価し、各4年毎アップデート
時間依存Cox比例ハザード回帰モデルで、年齢・華族令・人種・婚姻情愛・初回レッドミート消費量・喫煙状態・他のライフスタイル要素(運動、アルコール、総エネルギー摂取、食事の質)で補正。コホート横断的結果を、逆変数加重、fixed-effectメタアナリシスによりpool化
主要アウトカム・測定 2型糖尿病発症例を追加アンケートで評価
結果 フォローアップ1,965,824人年中、2型糖尿病発症7540
多変量補正モデルにおいて、4年間のレッドミート摂取増加は、それぞれのコホートのその後の4年間の2型糖尿病リスク増加と関連 (all P < .001 for trend)
レッドミート摂取不変を参照群とする比較では、レッドミート1日あたり0.5サービング増加毎 その後4年間のリスク48%増加と関連(pooled ハザード比 1.48 ;95%CI、1.37-1.59)
初回BMI補正、同時体重増加補正後は、そのリスク増加は減衰  (1.30; 95% CI, 1.21-1.41)
レッドミート摂取 1日あたり0.50サービング超減少だと、その後の2型糖尿病 14%減少(pooled ハザード非, 0.86; 95% CI, 0.80-0.93)
結論・新知見: 年ごとのレッドミート摂取量増加は、その後の2型糖尿病リスク増加と相関、一部は体重増加が寄与。
この結果、年数毎レッドミート増加制限が2型糖尿病予防にベネフィットを与えるものと思われる。

AMA評議会:BMI定義による肥満定義否定 肥満は公衆衛生上問題であり疾患ではない →結局は「肥満は病気へ」

American Medical Association (AMA) council は、肥満を定義しがたく、診断しがたく、全てが疾患ではないとした報告を行った。
解説記事:http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/AMA/39918

シカゴで開かれた、年次会議 AMA’s policy-making House of Delegates での議論
「肥満は疾患と認識して良いか?」
http://www.ama-assn.org/assets/meeting/2013a/a13-addendum-refcomm-d.pdf


BMIを代理指標や肥満としてすることがstand-alone過ぎる。肥満を疾患と呼ぶことは、予防努力をおろそかにすることにつながり、治療へインパクトも限られているという主張。

この部分・・・
"Without a single, clear, authoritative, and widely accepted definition of disease, it is difficult to determine conclusively whether or not obesity is a medical disease state" the council told the AMA's policy-making House of Delegates. "Similarly, a sensitive and clinically practical diagnostic indicator of obesity remains elusive."

「単一性、明快性、権威化、受け入れ可能性のない診断定義となってしまう恐れがあり、肥満の有無だけで結論的に医学的疾患状態と判断するのは困難」「同様に、感度のある臨床実地的診断指標に関しては未だ見いだされてない」と評議会が米国医師連盟政策米国下院へ述べている。
 という訳で良いのだろうか?

唐突な感じだが・・・ BMI指標による肥満診断の否定

今回のAMAポリシーは、肥満を公衆衛生的重大問題としているが、疾患名と呼ぶのをやめようというもの

”肥満=疾患”支持者たちは当然ながらこの報告に反対。AAFPやAACEは、多代謝性、内分泌疾患であるエビデンスを主張。肥満を疾患と呼ばない評議会支持報告は、糖分摂取を増加させ、運動を減らし、肥満率を増加させるもの。一方肥満を疾患とすれば、雇用者は肥満者を特殊考慮するはず。

肥満だから有害性・合併症を経験するとは言いがたい、肥満は疾患定義の一部とはなりえると、AMA公衆衛生評議員メンバー Ilse Levin, DO(American Society of Addiction Medicine)は述べている。

肥満の疾患定義化は治療管理上実際の変化はさほどもたらさないと述べている。

「支払い側は、肥満を重大な医療事象と判断し、メディケアも減量手術をカバーしている。BMI 40を超えるとさすがに障害があり、疾患と呼ぶべきであろう」


【追記】

AMA House vs AMA Council on Science and Public Health


Houseとは総会になるのだろうか?
総会での投票で、評議会の意見とは異なり、「肥満は単なる病態ではなく、疾患」となったようだ。60%の承認で、 「Council on Science and Public Health」の推奨に反対の決議。

AMA House Votes Against Council, Calls Obesity a Disease
http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/AMA/39952


こういう意見がAMA評議会から出たことは興味深い。
肥満症というのが病気なのか、病気の前提の病態なのか議論が必要なことは確かだ。

低脂肪・低GI食で、アルツハイマー病関連物質減少 ・・・食事介入と認知症発症リスクの関連性明らかに

Low dietと称する 低脂肪、低炭水化物食は、Lipid-depleted βアミロイドペプチドの濃度を変化させることが小さな臨床トライアルで認め荒れた。このことで、食事ライフスタイルがアルツハイマー病のリスクに影響を与えることの説明となり得る。
Low diet4週間で、lipid-depleted 42-merβアミロイド(AG42) log 0.34減少。


家族性ではない、散発性アルツハイマー病(AD)は、βアミロイド(Aβ)ペプチドのbreakdown productのクリアランス減少が原因で、Lipid-depleted アポリポ蛋白は、Aβに結合/クリアする場合無効。LD Aβペプチドはニューロンにとってより毒性の可能性がある。しかし、これら蛋白のヒト脳脊髄液中脂質特性については未知 であった。



アポリポ蛋白とAβペプチドの脳内lipidation特性は、APOE genotypeと認知診断に伴い変化する。これらの濃度は食事で影響される。

この発見は、アポリポ蛋白E4や不健康食がアルツハイマー病リスクへ影響を与える可能性を示唆する。


Effect of Apolipoprotein E Genotype and Diet on Apolipoprotein E Lipidation and Amyloid Peptides
Randomized Clinical Trial
JAMA Neurol. 2013;():1-9. doi:10.1001/jamaneurol.2013.396.

VAMC(在郷軍人メディカルセンター)、20名の正常認知機能(平均 {SD}、60[7]歳)、27名の物忘れMCI(67 [6]歳)

以下ランダム化割り付け
・高飽和脂肪酸含有、高Glycemic index (High diet ; 飽和脂肪酸のカロリー25%超を含むカロリー中45%脂肪食、 炭水化物 35-40%、平均GI値>70、 蛋白 15%-20%)
・低飽和脂肪酸含有量、低GI食(Low diet; 飽和脂肪酸7%未満の総カロリー25%未満の脂肪食、炭水化物 55%-60%、平均GI値<55、蛋白 15%-20%)

主要アウトカム・測定: 脳脊髄液中 Lipid-depleted Aβ42 and Aβ40 と apolipoprotein E
正常認知機能成人と比べ、MCI成人では、LD Aβのベースラインレベル高値  (LD Aβ42, P = .05; LD Aβ40, P = .01)
この結果は、LDアポリポ蛋白高値である、MCI成人、ε4 allele では、認知症診断とより強い関連  (P < .001)
Low dietは、LD Aβ濃度減少 するが、High dietはこれらの区分リポ蛋白を増加する (LD Aβ42, P = .01; LD Aβ40, P = .15)

Low Dietに伴うLD Aβ濃度は、インスリンの脳脊髄液中濃度変化と逆相関する   (LD Aβ42 and insulin, r = −0.68 [P = .01]; LD Aβ40 and insulin, r = −0.78 [P = .002])

2013年6月17日月曜日

思春期:高尿酸血症は高血圧(パーセンタイル定義)の独立要素? :高尿酸レベルは女性 4.7 mg/dL、男性 5.0 mg/dLレベル

Viazzi F, et al. "Serum uric acid and blood pressure in children at cardiovascular risk" Pediatrics 2013; 132: e93-e99.
参考:http://www.medpagetoday.com/Cardiology/Hypertension/39879

尿酸は、高血圧の独立したリスク要素でありそうだ。 貧困度、性別、BMI、腎機能、他の要素補正後、尿酸値高値 は、収縮期・拡張期血圧高値 と相関

尿酸1mg/dL増加毎、高血圧 vs 正常血圧、一過性高血圧のオッズは40%増加し、正常血圧との比較では54%増加する。

高血圧前症・高血圧は、尿酸 1mg/dL増加毎 リスクは、高血圧前症で60%、最大4分位群では2.26倍のリスク。

高血圧前症(血圧 90パーセンタイル以上95パーセンタイル未満と定義)では17%、高血圧症(95パーセンタイル以上と定義)では27%で、1/3が過体重、41%が肥満。
血圧増加は、体重、ウェスト径増加ほど、BMI増加ほど、Homeostasis Model Assessment index、尿酸値増加ほど高値 。

尿酸値最大4分位は、女性 4.7mg/dL、 男性 5.0 mg/dL超
高血圧 vs 他群では67%、 正常血圧比較では2.04倍
高血圧前症オッズ比は 1mg/dL増加毎 60%増加し、最高尿酸4分位では2.25倍高値 。


治療的な関連がすでに、以前報告されている。

交叉検証試験によれば、新規診断高血圧(level 1 )・血中尿酸 6 mg/dL 以上)青年(11-17歳)の2/3は、尿酸値減少目的のアルプリノール投与により正常血圧に回帰する。

Feig DI, et al "Effect of allopurinol on blood pressure of adolelsclents with newly diagnosed essential hypertension. A randomized trial"
JAMA 2008; 300: 924-932.


多系統筋萎縮症遺伝的要素:OQ2 遺伝子


多系統筋萎縮症:オリーブ橋小脳萎縮症、線条体黒質変性症、シャイドレージャー症候群という3つの病名の総称

linkage analysisを併用し、 Whole-Genome-Sequencing
剖検病名確認1家系調査
他の多系統筋萎縮症5つの家族及び日本・欧州・北米の研究シリーズのmutational analysis

東京大の辻省次教授の報告

東大のプレスリリース
http://www.h.u-tokyo.ac.jp/vcms_lf/release_20130613.pdf

NEJM原文

Mutations in COQ2 in Familial and Sporadic Multiple-System Atrophy
The Multiple-System Atrophy Research Collaboration
NEJM June 12, 2013DOI: 10.1056/NEJMoa1212115

慢性疼痛・オピオイド誘発性アンドロジェン欠乏(PIAID):アンドロジェン補充により客観的反応は改善、自覚症状改善不明

 ENDO2013 開催中とのことで・・・

慢性疼痛・オピオイド誘発アンドロジェン欠乏男性で、テストステロン補充療法である程度の効果とのおと
テストステロン14週間治療では自覚(Brief Pain Inventory)上影響与えない()が、疼痛刺激による客観的反応性では有意改善。

機械的・圧刺激・慣例刺激でのQuantitative Sensory Testingを用いた客観的検査で評価し、群間差を認めた。

Basaria S, et al. "Effects of testosterone replacement on pain perception, pain tolerance, and quality of life in men with opioid-induced androgen deficiency: A randomized trial" ENDO 2013; Abstract LB-FP-6.
参照:http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/ENDO/39873


オピオイド使用広汎化に伴う懸念に、”オピオイド誘発
性痛覚過敏(opioid induced hyperalgesia:OIH)、ホルモン系の異常、免疫系の異
常”が知られている。

 ホルモン系では、少なくとも生殖腺ホルモン、副腎性アンドロゲン、成長ホルモン、コルチゾールへの影響が確認されている。特に、性ホルモンの減少による性欲減少、生理周期異常、筋肉量減少、骨粗鬆症、抑うつ、易疲労感などは、深刻な問題になる場合もある。:参考 http://www.maruishi-pharm.co.jp/med2/files/anesth/book/13/4.pdf?1368417813

Opioid-induced androgen deficiency (OPIAID)
Pain Physician 2012;15;ES145-ES156. Opioid-Induced Androgen Deficiency (OPIAD) Narrative Review
ゴナドトロピン(黄体形成ホルモン、黄体化ホルモン)低濃度により性ホルモン産生阻害し、リビドーの減少、ED、疲労、hot flash、うつを生じやすくなる。頭部・皮膚発毛障害、貧血、筋肉量減少、体重増加、骨減少、骨粗鬆症と関連。男女とも不妊の関連性。


 重症COPDの存在を知らずに、オピオイド使用される場合もあるのではないかと別の危惧ももつ

「日本人に眼球をなめる」のがはやってるという(嘘)情報

Japanese eyeball-licking fad : 日本人の間で、眼球をなめる行為がはやってるという情報

http://www.sciencerecorder.com/news/report-japanese-eyeball-licking-fad-was-inspired-by-music-video/ 

‘worming’ or oculolinctusとか・・・ 聞いたことないのだが、ほんとにはやってるのだろうか?

 

Gardianが嘘報道が大元みたいだが、発端とされる、ミュージックビデオは存在する

 

 

 

 BORNという”ビジュアルバンド”ですか・・・  迷惑なビデオ



この写真見ると、意図を感じる悪意記事に思える

2013年6月16日日曜日

アスピリン増悪呼吸器疾患(AERD)とTAPBP 多様性の関連

AERD:Aspirin exacerbated respiratory diseaseとは、「喘息」「鼻ポリープ合併慢性副鼻腔炎」「アスピリン過敏症(アセチルサリチル酸(ASA)や他のCOX1阻害性非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)過敏症で、服薬後30分から3時間で気管支れん縮・鼻うっ血症状発症)」の組み合わせを呼ぶ


喘息患者AERDと、タパシン:APBP (TAP-binding protein, tapasin)多様性解析との関連

 transporter associated with antigen processing (TAP)とMHC class I分子の反応を仲介する膜通過型糖タンパクをエンコードする遺伝子であるTapacin



Association analysis of tapasin polymorphisms with aspirin-exacerbated respiratory disease in asthmatics
Pharmacogenetics and Genomics:July 2013 - Volume 23 - Issue 7 - p 341-348


2013年6月15日土曜日

レジオネラ肺炎は、ICU入院重症市中肺炎の2番目の要因 ・・・ 肺炎球菌に続き・・・

温泉ブームと循環風呂など、レジオネラのニュースってほぼ恒常的に出現する
レジオネラ肺炎は、重症となりやすく、早期診断・治療が重要・・・ 

ICUに入院する重症肺炎側からみると、2番目の病因ということで、重症肺炎ではこのレジオネラ関連検査ルーチンとしての検査が必要。保険者査定に関しても、この事実を知らしめる必要がある。



18ヶ月のサンジエゴの4つの病院のICU多施設前向き臨床研究で、重症市中肺炎比率調査

重症CAP 104名(平均年齢 58.3±19.3歳、男性64.4%;APACHI IIスコア 16.7± 6.3; SOFA: 6.1± 3.2、 Pitt Bacteremia Score (PBS): 3.4± 2.5 、 PaO2/FiO2: 170.8± 87.1
 
病因判明 62名(59.6%)
肺炎球菌 27名 26%、 L. pneumophila 9 名、 8.6%で多かった
ロジスティック回帰解析にて ナトリウム濃度 130 mEq/L以下」の所見が L. pneumopila重症CAPの独立した推定因子 (OR 11.3; 95% CI 2.5-50.5; p= 0.002)
全体での死亡率 26%、 L pneumophilaでの死亡率は33%
PBS及びPneumoniaスコアは、死亡率の予後因子

IMPORTANCE OF LEGIONELLA PNEUMOPHILA IN THE ETIOLOGY OF SEVERE COMMUNITY-ACQUIRED PNEUMONIA IN SANTIAGO, CHILE
Francisco Arancibia,  et. al.
Chest. 2013. doi:10.1378/chest.13-0162



「尿中抗原検出キット」
検出感度は70~80%,特異度は96%
・極めて優れた迅速性,特異性を有し,臨床的有用性が高い
・長期(数週間)にわたり陽性となることがあるため,治癒過程,再燃などの
臨床的判断はその他の検査結果を踏まえ判断する ;参考
これに、H23年9月レジオネラ核酸同定(LAMP)検査が保険収載された。感度・特異とも良好とされる(参考)。



Pitt Bacteremia Score
熱(口腔内温度) >4
低血圧 2
人工換気 2
心停止
メンタル状況
不穏 1
混迷 2
昏睡 4
spectrum beta-lactamase production in nosocomial infections.;Ann Intern Med 2004; 140: 26–32.)
35℃以下もしくは40度以上40℃以上 2、 35.1-36℃もしくは39.0-39.9℃ 1、 36.1度から38.9度 0
急性の低血圧(収縮期血圧 30 mmHg超、拡張期血圧 20 mmHg超、昇圧剤注射必要、あるいは収縮期血圧 90 mmHg未満
覚醒 0
(Paterson DL, Ko WC, VonGottberg A et al. ; International prospective study of Klebsiella pneumoniae bacteremia: implications of extended
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1469-0691.2009.02901.x/pdf

画像診断・肺気腫 と 肺機能診断COPD いずれもが 肺静脈サイズ減少 → 左室充満機能障害 



COPDとはスパイロメトリー上診断、肺気腫はCT画像診断上の病名

いずれが、肺静脈サイズ拡大に寄与し、結果、左室充満障害を生じる

COPD・肺気腫においては心臓左室充満障害がデフォルトと言える

Impaired Left Ventricular Filling in COPD and Emphysema: Is it the heart or the lungs?: The Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis (MESA) COPD Study
Benjamin M. Smith, et. al.
Chest. 2013. doi:10.1378/chest.13-0183


背景  慢性閉塞性肺疾患 (COPD) と駆出率温存型心不全は、臨床的にオーバーラップし、左室充満期異常がCOPDで報告されている。この状況のメカニズムは不明だが、upstreamにある肺障害がその原因と考えられ、その原因として左室前負荷減少、もしくは、左室前負荷高度にによる内在性左室機能障害が考えられる。この研究の目的は、COPDや肺気腫は、左室前負荷減少を示唆することとなる肺静脈dimesion減少と関連することを示すこと

研究方法:  住民ベースのMESA COPD研究(50-79歳、喫煙者、臨床的心血管疾患なし)
COPDはスパイロメトリーにて定義。
%肺気腫は、全肺 HU < -910 HUの領域で定義。
肺静脈入口横断面積は造影剤心臓MRで測定、肺静脈の総計で表現。
線形回帰を用いて年齢、性別、人種民族、体サイズ、喫煙で補正。

研究結果:  165名の被験者のうち、

総肺静脈面積は COPD 558 ± 159 mm2、対照  623±145mm2 

完全補正モデルでは、総肺静脈は、COPDで少ない   (-57mm2 95%CI -106 to -7mm2; p=0.03)、そして、%肺気腫と逆相関 (p<0 .001="" span="">

総肺静脈面積の有意な減少が、COPD単独、CT上の肺気腫・COPD、スパイロメトリーでのCOPD認めない肺気腫 の被験者で観察される。

結論:  肺静脈dimensionはCOPD・肺気腫で減少。
この所見は、上流の肺の要素、すなわち、COPD及びCT上の肺気腫患者に存在する左室充満量低下が原因であることを示唆する知見

2013年6月14日金曜日

BMJフィーチャー記事:インクレチン関連薬剤の安全性懸念

素人ながら、インクレチン関連薬剤は、登場してから歴史が浅いのに、あまりに普及しすぎているという懸念をもつ。
 以下の報告をみると、この薬剤に関してやはり安全性は確立されてないのだと改めて確認する。

他方、メトホルミンなどは登場から歴史が有り副作用に対し一定の対応ができるというのに、日本の糖尿病ガイドラインなどは積極的に導入しようとさせない。日本では、関連学会に自浄・猛省を求めたい。




BMJの注目記事は、インクレチン類安全性に関する懸念について
Diabetes Drugs
Has pancreatic damage from glucagon suppressing diabetes drugs been underplayed?
BMJ 2013; 346  doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f3680 (Published 10 June 2013)

 以下はその内容

インクレチン類は糖尿病治療の新たなる寵児として持てはやらされ、実際、2型糖尿病治療に関してその戦略変更も・・・だが、膵がん発症可能性や寄与可能性に関するレビュー着手後の3月のFDA、欧州薬剤委員会後主な流れがその嫌煙に関してメインストリームとなってきた。だが、どこも明確な結論づけに達して折らず、今月も議論予定となってるとのこと


2月の報告:exenatide(バイエッタ)とsitagliptin(グラクティブ、ジャヌビア)服用者は、急性膵炎入院リスク2倍で、絶対的リスク 0.6%
・ Singh S, Chang H-Y, Richards TM, Weiner JP, Clark JM, Segal JB. Glucagon-like peptide 1-based therapies and risk of hospitalization for acute pancreatitis in type 2 diabetes mellitus. JAMA Intern Med2013;17:534-9.

4月:米国FDAの副作用イベント報告システムで、インクレチン類服用者が他の糖尿病薬剤使用者と比べ、膵炎と膵がんの増加報告
Institute for Safe Medication Practices. Perspectives on GLP-1 agents for diabetes. 2013. www.ismp.org/QuarterWatch/pdfs/2012Q3.pdf.

こういったことで、FDAとEMAは、膵がん増加の可能性を自己報告したわけである。
しかし、原因関連は不明なまま。

DPP-4阻害剤であるsitaglitinの、ヒトと同様の食事誘発糖尿病ラットβ細胞へ投与実験で、Aleksey Matveyenkoは、sitagliptin、メトホルミン、両薬剤を投与し、sitagliptin投与ラットでの膵異常病変至適した。16匹中3匹で"acinar to ductal metaplasia"を認め膵がんの前駆病変とも考えられた。

Matveyenko AV, Dry S, Cox HI, Moshtaghian A, Gurlo T, Galasso R, et al. Beneficial endocrine but adverse exocrine effects of sitagliptin in the HIP rat model of type 2 diabetes, interactions with metformin. Diabetes2009;58:1604-15.
MatveyenkoとButlerは、 猿での病理再実験をオファーするもメルク側に受け入れられず・・・


・行政の反応
・製薬会社は何処まで知っていた
・GLP-1の影響
・法制
・猿でのLiraglutide
・ヒト膵臓
・副作用報告


CDC Prevention Epicenters Program: カテーテル抜去後抗生剤投与ベネフィット、薬剤耐性懸念は残る

絶対的減少(ARR)・NNTは5.8%、17ってことなので、絶対的評価としては微妙
だが、相対的減少率は半減程度の可能性とのことで、患者ベネフィットを認める

薬剤耐性の問題まで考えれば・・・ますます悩ましい

 2012年11月までのシステマティックレビューとメタアナリシス
 7つの対照化トライアルは、カテーテル抜去後有症状尿路感染をエンドポイントとして、6つはランダム化対照化トライアル(出版5つ、要約のみ1つ)、1つの非ランダム化対照化介入研究。7つの研究中5つは手術症例。
 研究は、抗菌予防のタイプ・期間及び観察期間についてheterogeneityあり

全体的に診れば、抗生剤予防は患者ベネフィットと相関し、介入群・対照群のリスク絶対減少差は5.8%、相対リスクは、0.45( 95% 信頼区間 0.28 - 0.72)
尿路感染に関するNNTは17(12-30)


Antibiotic prophylaxis for urinary tract infections after removal of urinary catheter: meta-analysis
BMJ 2013; 346 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f3147 (Published 11 June 2013)
the CDC Prevention Epicenters Program

2013年6月13日木曜日

「睡眠薬の適切使用を」 初の指針 → ベンゾジアゼピン系・向精神薬全体の問題なのに・・・限定的に問題化する恣意性を感じる

睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン
http://www.ncnp.go.jp/press/press_release130611.html

http://www.ncnp.go.jp/pdf/press_130611_1.pdf


睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン
ー出口を見据えた不眠医療マニュアルー 
http://www.ncnp.go.jp/pdf/press_130611_2.pdf



「睡眠薬の適切使用を」 初の指針
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130613/t10015276791000.html

NHKのような書き方をすると、『ベンゾジアゼピン系』依存・離脱症状の問題が『フェノバルビタール系』あるいは『睡眠薬』だけの話と勘違いされる。


マイスリー(ゾルビデム)頓用を推奨してるようで、一方では、睡眠薬の頓用を避けるべきと推奨している。・・・矛盾してないか?
Q6.【勧告】 非ベンゾジアゼピン系睡眠薬であるゾルピデムの頓用(As-needed/Non-Nightly 療法)が定期服用時と同等の治療効果 を有し、また認容性に優れていることを示す複数のエビデンスがあり、比較的軽症で治療初期の不眠症患者に対する治療 選択肢の一つとなりえる。【推奨グレード B】
ただし、他の非ベンゾジアゼピン系睡眠薬でも同様な効果が得られるか確認 されていない。

ベンゾジアゼピン系睡眠薬について休薬夜に薬物離脱性の不眠症状の悪化が見られる危険性が否定できないため、 頓用の推奨されず、必要な場合にの     慎重に行うべきである。【推奨グレード C2】


Q34:【勧告】短期服用時には睡眠薬による依存形成の危険性は少ないが,高用量・長期間の服用が依存形成リスクを上昇させるので避けるべきである。不眠症状が改善すれば、患者の状態に応じて、頓用、漸減、休薬日を設けるなどの方法がある。症状の推移に対応した治療計画を立てることが求められる。【推奨グレードB】


このガイドライン、睡眠薬使用擁護的趣意が目立つし、そもそも、他のガイドラインに比べ、エビデンスに比べ、推奨グレードのインフレーションが目立つ


マイスリーの老人や虚弱状態患者への投与の危険性・・・ 例のアステラス製薬なので変な宣伝しそうで怖い

マイスリーは、転倒の独立した危険因子 ・・・ 即刻対処必要 2012/11/21


このガイドラインの利益相反大丈夫だろうか?



医師たちが作る薬物依存 ・・・ 依存症原因の2位に 2013/02/22
日常臨床で頻回に遭遇するデパス依存症 2010年 04月 09日




向精神薬依存:8割、投薬治療中に発症 「医師の処方、不適切」−−専門機関調査  2013年06月19日
http://mainichi.jp/select/news/20130619mog00m040012000c2.html
ベンゾジアゼピン(BZ)系といわれる向精神薬の依存や乱用に陥った患者の8割以上が、アルコール依存など別の疾患の治療中に発症していたことが、 国立精神・神経医療研究センター(東京都小平市)の調査で分かった。BZ系は用量内でも乱用・依存に陥る可能性が指摘され、欧米では処方を避ける傾向にあ る。診察せずに処方されたケースも4割あり、調査した専門家は、医師の不適切な処方が発症につながったと指摘している。【和田明美】
 2011年12月、同センターなど首都圏の薬物依存症専門医療機関4カ所が、BZ系と、近い系統の睡眠 薬や抗不安薬を乱用するなどしていた20〜60代の87人(男性37人、女性50人)を調査。うち84%の73人が、調査対象の専門機関にかかる前の通院 先で、アルコール依存や気分障害、不安障害、睡眠障害などの治療中に乱用や依存に至っていた。
 依存、乱用するようになった薬は、調査対象者の89%の77人が精神科医療機関で処方されたものだった。知人や密売人などから入手したのは、いずれも1割未満だった。
 処方時の問題は、BZ系で特に依存の危険がある薬を処方(7割)▽患者が薬をためている可能性を考えず漫然と処方(同)▽多種類の処方(5割)▽用量を超えた大量処方(同)▽診察なしの処方−−などがあった。
 一方、患者は「不眠の解消」「不安・緊張感の緩和」「いやなことを忘れる」などを求めて乱用したものの、調査対象者の6割が暴力をふるったことを忘れるなどトラブルを起こしたほか、5割が過量服薬で救急搬送され、3割が交通事故や転倒で救急搬送されるなどしていた。
 BZ系は、不眠や不安の解消などさまざまな場合で処方され、国内での向精神薬の依存や乱用の原因の約9 割を占めるとされる。飲み過ぎるともうろう状態になり、健忘や転倒などの副作用が出る。1970年代に欧米で乱用・依存が問題化し、英国国立医療技術評価 機構のガイドラインでは2〜4週間を超える使用は推奨されておらず、米国食品医薬品局も長期の使用は承認していない。
 また、米国などでは90年代以降、新型の抗うつ薬が使われたことに伴い、BZ系抗不安薬の処方が激減した。日本では精神科以外でも広く処方され、抗不安薬の処方件数は欧米の6〜20倍とも言われる。

 同センター薬物依存研究部の松本俊彦・診断治療開発研究室長は「患者の不安が強いと、一時的にBZ系を使わざるをえない場合もある」としながらも、「医療機関が依存性の高い薬を処方し続けたり、多種、大量に処方したりすることが発症につながる。診察なしの処方は兆候を見過ごすことになり、絶対すべきでない」と指摘している。
 ◇医師が依存作り出す−−薬物依存症に詳しい成瀬暢也・埼玉県立精神医療センター副病院長の話
 ベンゾジアゼピン系の依存や乱用に陥った患者の薬の入手先を調べた事例は、これまでなかったのではないか。1、2人の医師で多数の患者を診察しなければ経営が成りたたない医療機関は多い。診察に時間をかけられず、薬に頼りがちで、医師が患者の薬物依存を作り出すことになってしまう。

若年・中年・高年齢層:喘息・COPD併発患者頻度とそのリスク要素

日本でも同様手法ののネットアンケート調査みたことがあるが・・・どれほど信頼できるものか・・・


呼吸器症状・診断・リスク要素のメール・電話での一般住民アンケート
20-44歳(n=5136)と、45-64歳(n=2167)と、65-84歳(n=1030)
multicentre Gene Environment Interactions in Respiratory Diseases (GEIRD) studyからの報告


The Coexistence of Asthma and Chronic Obstructive Pulmonary Disease (COPD): Prevalence and Risk Factors in Young, Middle-aged and Elderly People from the General Population.
de Marco R, Pesce G, Marcon A, Accordini S, Antonicelli L, et al. (2013)
PLoS ONE 8(5): e62985. doi:10.1371/journal.pone.0062985

喘息あるいはCOPD(肺気腫/慢性気管支炎/COPD)の医師診断に基づく比率
<65歳 13%、 65-84歳で 21%
加齢により、喘息診断頻度減少と相関(8.2%→1.6%)、COPD頻度は著明増加(3.3% → 13.3%)
喘息・COPDのオーバーラップ頻度は、20-44歳 1.6%(1.3%–2.0%)、 45-64歳 2.1%(1.5%–2.8%)、 64-84歳で4.5%(3.2%–5.9%)




喘息・COPD併発では、喘息単独やCOPD単独に比べ、呼吸器症状、身体機能障害、入院増加が多い (p<0 .01="" br="">
加齢、性、教育、喫煙は、ばらつきがあるが、3つの疾患、喘息単独、COPD単独、喘息・COPD併発状態では逆の相関を認める。

HIACE:N-アセチルシステイン COPD有用性二重盲験プラシーボ対照化研究 ・・・ 急性増悪回数減少

PEACE Study:ムコダインのCOPD急性増悪予防効果  2008年 06月 13日 を彷彿とさせる研究で、かなり too lateな記載になったが、

香港の研究 高用量N-acetylsysteine (NAC)のCOPD治療への有用性

HIACE二重盲験


High-Dose N-Acetylcysteine in Stable Chronic Obstructive Pulmonary Disease: the 1-Year, Double-Blind, Randomized, Placebo-Controlled HIACE Study
Hoi Nam Tse, et. al.

 
133名中スクリーン後120名(男性 93.2%、平均年齢 70.8±0.74歳、%FEV1 53.9±2.0%)対象
ベースライン特性は2群同等

50-80歳安定期COPD患者

NAC 600mg×2 vs プラシーボ

1年時点で、強制呼気流量25%-75% (FEV25-75%: p = 0.37
FOT(強制オシレーションテクニック)で軽度改善

急性増悪回数 は有意 0.96 vs 1.71回/年 p=0.19
入院率減少傾向 0.5 vs 0.8 回/年 p=0.196

mMRC、SGRQ、6MWDの群間差認めず

重大副事象認め

 
 

 
【ムコフィリン】
ムコフィリン吸入液20%は、1包(2mL)中にアセチルシステイン352.4mg(アセチルシステインナトリウム塩として20w/v%)を含有する無色澄明な液 
  通常、1回1/2包~2包(アセチルシステインナトリウム塩20w/v%液として1~4mL)を単独又は他の薬剤を混じて気管内に直接注入するか、噴霧吸入する。
なお、年齢、症状により投与量、投与回数を適宜増減する。


日本でも十分、600mg ×2回 



大うつ:脳PET島皮質代謝にて治療選択の可能性 → 高代謝ならSSRI、低代謝なら認知行動療法選択

大うつに対する神経画像診断治療選択バイオマーカー

Toward a Neuroimaging Treatment Selection Biomarker for Major Depressive Disorder
Callie L. McGrath, BA, et. al.
JAMA Psychiatry. 2013;():1-9. doi:10.1001/jamapsychiatry.2013.143.

【重要性】 現在大うつ病の初回治療後寛解到達は40%未満。この(寛解率)オッズ向上に寄与するバイオマーカー同定で、健康上・経済上のインパクトを示す可能性がある。
【目的】  薬物・心理療法への異なるアウトカム推定に寄与する、神経画像診断上の『治療特異的バイオマーカー』同定
【デザイン】  治療ランダム化前に脳ブドウ糖代謝をPETで評価
・ escitalopram oxalate
・ 認知行動療法
12週間
phase 1治療遂行完遂時寛解しなかった患者は、phase 2に登録し、escitalopram+認知行動療法併用12週間追加を行う
【セッティング】  気分不安障害研究プログラム(学術医療センター)
【被験者】  現行無治療大うつ18-60歳男女
【介入】  ランダム割り付け12週間
・escitalopram oxalate (10-20 mg/d)
or
・マニュアルベースの認知行動療法16セッション
【主要アウトカム・測定】寛解 (定義は、17-item Hamilton Depression Rating Scale score  7 以下、week 10、12)、評価者は治療割り付け盲目
【結果】
寛解陽性・陰性予測指標を、治療変数(escitalopram or 認知行動療法)x アウトカム(寛解、非レスポンス)の2方向解析で検討
プロトコール完遂65名のうち、一次解析では38名は明らかなアウトカムと有用性の高いPETスキャンであった;認知行動療法寛解 12名、escitalopram寛解 11名、認知行動療法response無し 9名、escitalopram response無し 6名
6つの辺縁系と皮質領域同定され、右前部頭皮質を伴う場合は、グループ横断的に十分な判別性となった  (effect size = 1.43)
島皮質の低代謝(脳全体平均比較)は、認知行動療法寛解と関連し、escitalopramへの反応性の悪さと相関する。
一方、島皮質の高代謝は、escitalopramの寛解と認知行動療法反応性の悪さと相関。
【結論・知見】前向き検討にて評価するなら、島皮質の代謝ベースで、治療第一選択ガイドになるかもしれない初めての客観的マーカーに関する研究成果

乳児中等症以上急性細気管支炎:on demand ラセミ型吸入の方が、固定吸入より優秀

乳児細気管支炎で入院率増加するが、吸入治療のコンセンサスはまだ無い

ラセミ体アドレナリン吸入に関し、必要時吸入戦略は固定スケジュール吸入より臨床的有用性高い。

8センター、ランダム化二重盲験2x2区分デザイン
12ヶ月未満乳児・中等度から重症急性細気管支炎
・ラセミ体アドレナリン吸入必要時吸入
・ラセミ体アドレナリン吸入固定吸入(各吸入2時間まで)
対象は、研究登録時包括臨床スコア4点以上(スケール 0-10、重症ほどスコア値高い)
酸素療法・鼻腔栄養、換気サポートの記録
プライマリアウトカムは、入院期間(ITT解析)
ラセミ体アドレナリン吸入に関し、必要時吸入の方が固定吸入より有意に入院滞在期間平均減少と関連 (47.6 (95% 信頼区間 [CI], 30.6-64.6)時間 vs 61.3(95% CI, 45.4 - 77.2 )時間 (p = 0.01)
酸素投与回数少なく (38.3% vs 487.7, p = 0.04)、換気サポートも少ない( 4.0% vs 10.8 %)、吸入治療回数少ない( 12.0 vs 17.0 p<0 .001="" br=""> 
Racemic Adrenaline and Inhalation Strategies in Acute BronchiolitisHåvard Ove Skjerven,  et. al.
N Engl J Med 2013; 368:2286-2293June 13, 2013DOI: 10.1056/NEJMoa1301839




9-12歳女児:尿中BPAと肥満リスク相関 ・・・ 中国報告

9-12歳の女性で、BPAレベル高い場合、低い場合に比べ、2倍の肥満リスクを有するという報告。

bisphenol-Aは、プラスティック容器から金属食品容器にまで広く含まれ、体内で代謝され、体重減少困難になるのだという主張。
米政府研究で、米国人92%で、BPA濃度検出され、エストロゲンと類似性のある化学式構造であるため、脳・生殖器への影響が心配されて、子供への影響が心配されている。
昨年米国FDAは子供用ボトルやほ乳サックからBPAを禁止する処置がなされた。


PLos One 6月12日号のonline版で、中国での研究1300名超の尿中レベル測定し、体重との関連性調査

上海の3学校4-12学年での1326名の生徒調査で、BPA濃度 2μg/L以上の高値 群は、寄与要素補正後も2倍以上の肥満(体重90パーセンタイル超)リスク
補正オッズ比 2.32, 95% 信頼区間 1.15-4.65
Urine Bisphenol-A Level in Relation to Obesity and Overweight in School-Age Children
Li D-K, Miao M, Zhou Z, Wu C, Shi H, et al. (2013)
PLoS ONE 8(6): e65399. doi:10.1371/journal.pone.0065399


出生前BPA暴露:子供の行動に影響を与えている? 男女で異なる行動異常 2012/04/28 

缶入りスープとビスフェノールA暴露2011年 11月 24日

厚労省はH21年以降検討してない?

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note