2018年9月29日土曜日

「のど飴」・・・喉に効くの?

咽頭部や声帯・喉頭へのnatural remedyは世界的に無数ある

以前から気になっているのが、医薬品扱いの「のど飴」、今日"懲罰動議”と共に話題なので・・・ググってみた

一定の年齢以上の人だけでなく、比較的若い?「喉を使う、あるいは、喉に異常に気を遣う」40代でも利用者がいる「のど飴」

Wiki情報だと
日本で医薬品として販売されている商品は、南天のど飴(常盤薬品工業)と浅田飴(株式会社浅田飴)、ルルメディカルドロップ(第一三共ヘルスケア)の3種類のみである(2015年11月時点)


これに科学的根拠あるのだろうか?

予想通り、サポニン成分やエフェドラ(マオウ)などアルカロイド類が主流で成分からみれば、一部in vitro抗炎症仮説は見受けられるが、
喉を間接的に守ることはあっても、「声帯及び喉頭部への直接効果」証明なさそう






「南天のど飴」の成分

  • 「o-メチルドメスチシン」、「南天実」(Nandina domestica)

https://nodoame.jp/about/

「浅田飴」

  • キキョウ根エキス 94.5mg
  • トコンエキス 40.5mg
  • マオウエキス 40.5mg
  • ニンジンエキス 67.5mg
https://asadaame.co.jp/products/medicine/index.html

「ルル・メディカルドロップ」

dl-メチルエフェドリン塩酸塩 50mg
グアヤコールスルホン酸カリウム 180mg
セチルピリジニウム塩化物水和物 6mg
[添加物]
イソマル、グリセリン脂肪酸エステル、アセスルファムK、ステビア抽出物、クエン酸、l-メントール、香料、エタノール、プロピレングリコール、バニリン、ベンジルアルコール
https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/products/details/lulu_medical_drop_h/ 




「南天実」
アルカロイドを含み主なものはo-メチルドメスチシンで、その他にプロトピン、イソコリジン、ナンジニン、ドメスチシン等が含まれている。またペラルゴニンジン-3-キシロシルググルコシド、カリステフィンを含む。
種子に脂肪油のリノリン酸、オレイン酸、フィトステロールの他、プロトピン、フマル酸を含む。 
http://www.drugsinfo.jp/2007/08/12-153700

中枢神経に対する作用:ドメスチシン、ナンジニンは冷血動物(カエル)に対して、モルヒネ様の麻痺作用をもたらす。温血動物(マウス、イヌ)に対し、少量で軽度の麻酔作用、大量で痙攣(間代性及び強直性)、イヌは涎を流し、しゃっくり・大便失禁等を起こすが、これは脊髄の反射性が高まり、最終的に麻痺するためである。ナンジニンの作用はドメスチンより弱い。
心臓血管系に対する作用:ドメスチシン、ナンジニンがいずれも心臓を抑制する作用を持つ。動物の摘出心臓に直接麻痺作用を持ち、アトロピンはこれに影響を及ぼさない。ストロファンチンはかなりの拮抗作用があり、アドレナリンがこれに次ぐ。ドメスチシンの血管に対する作用についての報告は一致していない。ナンジニンは動物実験の結果摘出血管に対し影響を及ぼさない。ウサギに静注すると血圧を下降させるが、これは心臓が抑制されるためで、最終的には心臓麻痺で死亡する。
平滑筋に対する作用:ドメスチシンはモルモットの生体内腸管の緊張を高めるが、摘出腸管に対しては作用は相反する。ウサギの摘出子宮に対し、少量で興奮、大量では麻痺させる。ナンジニンはウサギの摘出腸及び子宮、イヌの腸管に対し少量では興奮、大量では抑制する。ウサギの生体内の腸及び子宮に対しては興奮作用しか認められないが、その強度は投与量の増加につれて強くなる。この作用点は動物神経抹消及び筋肉の両方面にある。
その他の作用:ドメスチシン、ナンジニンは横紋筋に対して直接の麻痺作用を持つがクラーレとは異なる。二種のアルカロイドは呼吸中枢に対して抑制又は麻痺作用を持つ。ドメスチシンはモルヒネ様のフェナントレン構造を持ち、神経系に対する作用が比較的強く、ナンジニンはプロトベルベリン型構造を持ち、原形質毒に属し、心筋・骨格筋に対する作用が比較的強く、また中枢神経に対する作用は比較的弱いとする報告もある。
利尿、鎮咳、解熱作用があり、民間では鎮咳薬として用いるほか、扁桃炎等に含嗽料、浴湯料等として用いられる



「浅田飴」に関しては、生薬・ハーブの類い









  • マオウ: アルカロイド:(l)-ephedrine、(d)-pseudoephedrin、ephedroxane、

(l)-norephedrine、(l)-N-methylephedrine、(d)-N-methylpseudoephedrine
その他:オキサゾリジン誘導体、フラボノイド、タンニンなど http://www.tokyo-shoyaku.jp/f_wakan/wakan2.php?id=223


  • ニンジン: サポニン:ginsenoside Ro、ginsenoside Ra ~ Rh

アセチレン誘導体:panaxynol
その他:セスキテルペン、リグナン、非タンパク性アミノ酸(pyroglutamic acid、oxalodiamino propionic acid)など http://www.tokyo-shoyaku.jp/f_wakan/wakan2.php?id=188








この記載見て、どういう印象をもつ?
健康成人男子5名にセチルピリジニウム塩化物トローチ2mg「イワキ」1錠{セチルピリジニウム塩化物水和物(塩化セチルピリジニウム)として2mg}を服用させ、口内で溶かし滅菌生食水で口内を洗浄させた。この洗液を検体とし、使用前に対する細菌数を比較した結果、減少率は30分で75.4%、60分で64.4%、120分で52.5%であり、服用後30分で最大減少を示した。1)
細菌数を僅かな時間だけ、1/4にすることの、細菌治療としての意味Iは???


世の中には、再評価すべき医療用薬品多いと思うが、これなんざ・・その代表格では?

米国FDA承認:アミカシン・リポソーム吸入懸濁Arikayce 肺非結核性抗酸菌症

米国FDAにてアミカシン・リポソーム吸入懸濁 (Arikayce) 通常治療不応性の肺非結核性抗酸菌症への適応拡大承認された


FDA Approves Inhaled Amikacin for Non-TB Lung Infection
First drug OK'd under new pathway for antimicrobial agents
https://www.medpagetoday.com/pulmonology/generalpulmonary/75407
September 28, 2018



臨床トライアルなど紹介
https://bronchiectasisnewstoday.com/bronchiectasis-experimental-treatments/arikayce-liposomal-amikacin-for-inhalation/



incident ACO:発症はライフスタイル・社会経済状況強く影響される


ちょっとわかりにくいかもしれない
  • prevalent ACO:"喘息あり→COPD追加発症"、"COPDあり→喘息追加発症"の何れでもベースライン時に喘息・COPD overlapあるもの
  • incident ACO:"ベースライン喘息あり→COPD追加発症"、"ベースラインCOPDあり→喘息追加発症"、ベースライン喘息もCOPDもない→”その後、喘息・COPDともに異時性でも同時性でも両疾患発症”


調査開始時喘息・COPDオーバーラップではないがその後ACOとされた症例の要因調査


Determinants of incident asthma–COPD overlap: a prospective study of 55,110 middle-aged adults
Journals » Clinical Epidemiology » Volume 10 Published 24 September 2018 Volume 2018:10 Pages 1275—1287
DOI https://doi.org/10.2147/CLEP.S167269

背景と目的:喘息-COPDオーバーラップ(ACO)による社会的決定要因のインパクトの知識は乏しい。インシデンタルACOの決定要素同定目的

方法:55053名の成人(50-64歳)、 Danish Diet, Cancer, and Health cohort (1993–97)をフォローアップ  National Patient Registry for admissions for asthma (DJ45–46) and chronic obstructive pulmonary disease (COPD; DJ40–44) とバイタル状態フォローアップ。incident ACOは喘息・COPDによる1回以上の入院で定義(異なる時点、ベースライン後)、詳細病歴ベースライン入手。Cox比例ハザードモデルを用い、決定要素とincident ACOの関連性ハザード比(HR)、95%信頼区間(CI)を検討

結果:フォローアップ期間中、ACO incident 561

incident ACOの高リスク要素

  • 年齢 (HR 4.4, 95% CI 3.3–5.9, age group 60–65 years)
  • 現行喫煙 (HR 3.6, 95% CI 2.8–4.6)
  • 未雇用 (HR 1.5, 95% CI 1.2–1.8)
  • 離婚状況 (HR 1.5, 95% CI 1.2–1.9) 

逆要素

  • レジャー時間身体活動 (HR 0.7, 95% CI 0.6–0.8) 
  • 高教育レベル(HR 0.7, 95% CI 0.5–0.9)


ACOと逆に、心筋梗塞 (MI; HR 1.5, 95% CI 1.2–1.8)と卒中 (HR 1.5, 95% CI 1.2–1.9) はCOPDリスク高い


結論:incident ACOはライフスタイル・社会経済状況に関連する要素に強く影響される



Keywords: asthma–COPD overlap, socioeconomic status, lifestyle



上記如く、このACOは入院必要なほどの重症な状況の症例

私たちが外来で遭遇するようなACOとはちょっと違う・・・

重症ACO発症は、修正可能なライフスタイル・社会経済状況に関連するとなると、社会的介入による改善予知があるということに・・・

2018年9月28日金曜日

医師会講演会

最近の医師会講演会って一般的にそうなの?

スポンサー企業が演題名を明に、スライドを明に暗に指定するのが主流?

すげぇ 原辰徳


これで、生涯学習教育と言えるのか?

受講する側とすれば、ばかみたい





医師会がそれなりの対価をはらってまともな講師を選ぶか、メーカーに遠慮しない形の生涯教育の場を作らなきゃ結局スポンサーよりの企画になる。製薬会社や医療機器・卸に任せば、結局はスポンサーの言いなり。スポンサーメーカーの利益優先でミスリーディングされた講演会が医師生涯教育と化ける。


スポンサーに配慮して共感したスライド2〜3枚なら許せると思ってたけど、さすがに演題名まで口だしてくるとは・・・


こういう講演会が全国で開かれてる >> 厚労省 しっかりしろよ

&別件だが、来年のベンゾジアゼピン系除外条件に、"利益相反”あるメーカーがスポンサーの医師会企画ウェブ講演受講条件を課してるって 厚労省・医師会・メーカーの関係ってどうなってるの?


何にしても、地域医師会に自主的勉強会に対する財政的・税務的補助を与え、利益相反にかなった形で、医者たちに自主的・強制的学習機会を与えるそういう制度を作るべきと思うのはオレだけかなぁ


厚労省金出したくない→メーカーに金出させたい
医師会金出したくない→メーカーに金出させたい

こればっかり

メーカーは資本主義従順で悪なのではないのかもしれない 悪なのはおんぶに抱っこしている側

ABI:2型糖尿病 心血管系死亡率、末梢神経障害リスクと相関

ABIを2型糖尿病668名で測定、中央値10年間フォローアップ

Prognostic impact of the ankle–brachial index on the development of micro- and macrovascular complications in individuals with type 2 diabetes: the Rio de Janeiro Type 2 Diabetes Cohort Study
Diabetologia November 2018, Volume 61, Issue 11, pp 2266–2276
https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs00125-018-4709-9

多変量Cox解析で、ABIとmicrovascular、macro-vascular イベント、MACE、心血管疾患死亡率関連性
C staticsでリスク層別化と integrated discrimination improvement (IDI) index測定

フォローアップ中心血管イベント 168(MACD 140)、死亡 191名、糖尿病性網膜症発症・悪化 156名、 腎を含むアウトカム 194(微小アルブミン尿発症 122、腎機能障害悪化 93)、末梢神経障害発症・増悪 95名

連続変数、カテゴリー変数とも、ABIはmacro-vascular、非心血管疾患死亡を除く死亡アウトカムと有意相関

ベースライン ABI 0.90以下では、全死亡リスク 2.1-倍(95% CI 1.3, 3.5; p = 0.004)、心血管死亡 2.7-倍 (95% CI 1.4, 5.4; p = 0.004) 、MACE 2.5-倍 (95% CI 1.5, 4.4; p = 0.001)

ABIは、classical risk factorを上回るリスクdiscrimination改善、相対的IDIは 6.3%(全原因死亡率)から 31%(心血管死亡率)

加え、 ABI 0.90以下は、末梢神経障害発症・増悪と相関 (リスク 2.1-倍 [95% CI 1.1, 4.3]; p = 0.033)するも網膜症・腎アウトカムとは相関せず


PWV/ABIの器械が眠ってる

スタチンの消化器出血リスク

後顧的解析で、conclusiveな報告ではないが・・・
スタチンと消化管出血リスクは量依存的な可能性有り

心血管二次予防や家族性高コレステロール血症など高用量スタチン使用時特に配慮必要かもしれない


Statin Use and Gastrointestinal Hemorrhage: A Large Retrospective Cohort Study
American Journal of Cardiovascular Drugs pp 1–10
https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs40256-018-0301-4

 Truven Health MarketScan® Research Database (2009–2015)の後顧的解析


スタチン使用者は、胃腸出血リスク増加し、初年度特に明らか  (1-年補正ハザード比 1.19; 95% 信頼区間 (CI) 1.15–1.23)

入院必要な胃腸出血リスクは7倍   (1-年補正ハザード比  1.38; 95% CI 1.30–1.69)

高強度スタチンは中等度比較し発生率増加(発生率 1000人年 22.2  (95% CI 21.9–22.8) vs. 21.5 (95% CI 21.3–21.8)






2018年9月27日木曜日

NICEガイドライン:成人慢性心不全




Chronic heart failure in adults: summary of updated NICE guidance
BMJ 2018; 362 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.k3646
 (Published 24 September 2018)


  • 心不全を疑い、NT pro BNP 400超なら、6週間以内に専門家評価、経胸壁心エコーを患者に参照する
  • 駆出率低下型心不全では、ACE阻害剤・β遮断剤を心不全の第1選択とする、症状継続するなら鉱質コルチコイド受容体拮抗剤(MRA)を追加
  • アクセス容易なフォーマット、状況で、安定心不全患者には心臓リハビリテーションをベースとした運動を申し出る
  • 患者の状態が安定になったら、専門家心不全チーム(MDT)の助言を加えたプライマリケアの管理を提供
  • 心不全感はにはルーチンに厳格なナトリウム・水分摂取制限は必要ない



最後の項目意外なので・・・見てみると

ルーチンにナトリウム・水制限助言はしない、助言必要なのは、希釈性低ナトリウム血症で水分制限すべきで、カリウムを含む塩代替品は控える。


Salt and fluid restriction
• Do not routinely advise people with heart failure to restrict their sodium or fluid consumption. 
Ask about salt and fluid intake and, if needed, advise as follows:
– People with dilutional hyponatremia should restrict fluid intake
– People who consume high levels of salt and/or fluid should reduce their intake.
Continue to review the need to restrict salt or fluid.
• Advise people with heart failure to avoid salt substitutes that contain
potassium (eg, LoSalt or Nu-Salt)
(New recommendation 2018) [Based on very low to low quality evidence from
randomised controlled trials and the experience and opinion of the GC ]


特発性肺線維症:exosome miRNA特性にて診断可能?

肺癌なんかはtarget markerにて治療選択に影響を及ぼす昨今
特発性肺線維症などは診断はTS-CTで可能ということになっているが、客観的マーカーできるならありがたい

他で、exomeのmiRNA検査 コマーシャルに乗るのは一体いつのことだか・・・



Sputum exosomes: promising biomarkers for idiopathic pulmonary fibrosis
Thorax
https://thorax.bmj.com/content/early/2018/09/22/thoraxjnl-2018-211897


特発性肺線維症(IPF)は病因不明の進行性間質性肺炎で死に急激に至る疾患である。IPF診断は複雑なので、喀痰中のexosomeのmicroRNA(miRNA)含有内容の特性化できないか?
miRNA定量化PCR arrayで、IPFと健康者において、喀痰exosomal miRNA値の明確なdysregulation認め、miRNAの3つの特有signatureを認めた
興味深いことに、MiR-142-3pとCO肺拡散能/VAには相関認めた




2018年9月26日水曜日

DPP-4阻害剤比較



The efficacy and safety of dipeptidyl peptidase-4 inhibitors for type 2 diabetes: a Bayesian network meta-analysis of 58 randomized controlled trials
Acta Diabetologica pp 1–24 
https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs00592-018-1222-z

58登録研究(31,356名)、14治療群

間接比較では、アログリプチン(ネシーナ)を除き、全てのDPP4-I ( vs プラシーボ)にてHbA1c減少

ビルダグリプチン(エクア) 50mgx2(BID)で最も高い蓋然性
リナグリプチン(トラゼンタ)5 x1(QD)で、全てのDPP4-I ( vs プラシーボ)の中で一番、空腹時血糖低下


相互比較では、シタグリプチン100QD、ビルダグリプチン(エクア) 50mgBID比較でアログリプチン(ネシーナ)25QDがより効果的
リナグリプチン(トラゼンタ)5 x1(QD)がBMI減少としては最もインパクトある減少効果

薬剤相互およびプラシーボ比較で、低血糖、上気道感染を除き、副事象、BMIに統計学的有意所見無し


ネシーナは間接的比較ではHbA1c減少効果劣るが、薬剤間比較だと高評価


2018年9月25日火曜日

カルシウム過剰摂取の有害性男女差

カルシウム過剰による寿命短縮 昨今、聞く話だが、男にだけ厳しい話


Swedish Mammography Cohort (SMC) の女性研究でカルシウム高摂取は死亡リスクを齲窩示唆するも、 Australian adults from the Melbourne Collaborative Cohort Study (MCCS) では死亡リスク低下と相関という相反する報告
居住住民ベースのオーストラリア成人研究

平均年齢 54±8歳、女性 60.2%、 34,627名検討、明らかな心血管疾患、がん、不十分データ除外
カロリー補正食事カルシウムは以下の如くカテゴライズ (mg/day): < 600, 600–999, 1000–1399 and ≥ 1400

全原因、全心血管疾患、心筋梗塞の死亡率を算定し、摂取に対する死亡率ハザードを 600-999mg/dayを基準とする



High calcium intake in men not women is associated with all-cause mortality risk: Melbourne Collaborative Cohort Study
Archives of Osteoporosis December 2018, 13:101
https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs11657-018-0518-5





女性では、カルシウム  ≥ 1400 mg/day では全死亡リスク増加は補正モデルで有意差到達せず (HR = 0.85; 0.66, 1.10) or CV (HR = 1.10; 0.69, 1.81)

男性では、≥ 1400 mg/dayで、全原因死亡リスク 42%増加で有意差 (HR = 1.42; 1.02, 1.99)
さらに、心血管死亡率増加傾向  (HR = 1.83; 0.94, 3.55)





これやったら82歳で死ぬことになった

あなたの死亡予定日教えます

https://www.arealme.com/when-will-i-die/ja/



奥方は[そんなに生きるの]と・・・一言
自分は100歳近く・・・

2018年9月21日金曜日

COPD:吸入PDE3/4阻害剤 トレキンシン 抗炎症作用と気管支拡張作用にて症状安定

PDE4阻害剤においては  
COPD患者において、PDE4阻害剤は肺機能・急性増悪尤度においてプラシーボよりベネフィット、しかし、QOLや症状に関してはインパクト少なく、胃腸症状・体重減少の副作用多い。
Cochrane Database Syst Rev. 2017 Sep 19;9:CD002309. doi: 10.1002/14651858.CD002309.pub5.

さらには、心血管毒性への懸念が示されている。


吸入PDE3/4のdual inhibitor:RPL554 についてはどうか?

4週間治療トライアル


European Respiratory Society
Source Reference: Singh D, et al “RPL554, a first-in-class dual PDE3/4 inhibitor, causes significant bronchodilation and symptom relief; a phase 2b COPD study” ERS 2018; Abstract OA1940.


肺機能は1週目から安定化し、症状の方は治療経過毎改善が見られ、E-RS(Evaluating Respiratory Symptoms)toolスコアのMCIDに4週までに到達。2週間ほどのkicking in期間が必要。

SGRQ 100-ポイント測定では、2-4ポイント減少

トラフFEV1は3.0-mg投与量ではベースラインから50ml最高値でほぼ無効
トラフFEV1は主にアルブテロール反応患者に多く、3名で 少なくとも100mL超の反応が見られた


抗炎症作用と気管支拡張作用を併せ持つ効果、さらに、現行の経口PDE阻害剤に比べ消化器副作用少なく、魅力を持つ薬剤であるかも?
さらに、チオトロピウムとの併用の短期小規模研究でピークFEV1改善 1.5mg量で104mL、 6.0-mg量で 127mL改善報告あり



正直、微妙な効果のようだが、LAMA併用に期待がかかる、副作用少ないことと・・・

小児気管支拡張:急性増悪へのアジスロマイシン投与はAMPC/CVA比較非劣性

筆者等によれば、この研究の前に、気管支拡張症と抗生剤対照化トライアル検索したところ6つのトライアルあるも一つしかプラシーボ対照認めず。マクロライド検証は無し。
気管支拡張症への急性増悪治療のまともな検証はなされてないといっても良い。

気管支拡張の急性増悪小児において、しかも、アジスロマイシン vs アモキシシリン・クラブラン酸というのは初めての検証となる

20%境界として、アジスロマイシン群はアモキシシリン・クラブラン酸に対し、day 21の症状改善で非劣性、しかし、改善には期間が長い。これは耐性化も考慮されるべき。
といいつつ、ペニシリンへの過敏症やアドヒアランス不良患児へは考慮


Amoxicillin–clavulanate versus azithromycin for respiratory exacerbations in children with bronchiectasis (BEST-2): a multicentre, double-blind, non-inferiority, randomised controlled trial
Vikas Goyal,  et al
The Lancet , Sep. 18
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(18)31723-9/fulltext



登録 236名、急性増悪 179名、アモキシシリン/クラブラン酸 97名、アジスロマイシン 82名 割り付け
day 21までに、急性増悪改善 アジスロマイシン群 61/73(84%) vs アモキシシリン/クラブラン酸群 73/87 (84%)、リスク差は非劣性 (−0·3%, 95% CI −11·8 to 11·1)
急性増悪はアモキシシリン/クラブラン酸群でアジスロマイシン群に比べ有意に短い (median 10 days [IQR 6–15] vs 14 days [8–16]; p=0·014)
副作用イベント アジスロマイシン群 17/82(21%) vs アモキシシリン/クラブラン酸群 23/97(24%)  (relative risk 0·9, 95% CI 0·5 to 1·5)



エディトリアル:
Treatment of bronchiectasis exacerbations in children: which antibiotic?
Heather J Zar
Mark P Nicol
Published:September 18, 2018
http://dx.doi.org/10.1016/ S0140-6736(18)31723-9





成人の知見も乏しい

AIRFLOW-2 トライアル:Targeted lung denervation (TLD)  なんだかなぁ


COPDへのTargeted lung denervation (TLD) 治療 3年間効果続く
https://kaigyoi.blogspot.com/2018/08/copdtargeted-lung-denervation-tld-3.html



AIRFLOW-2 trial の報告だが、全般的にunder-powerでなんとも言えない報告になっている

LAMA vs LABA/LAMA vs LAMA+TLD 比較報告だったらなぁ

LAMA/LABA versus LAMA (tiotropium)The Committee noted that there was some evidence to suggest that all LAMA/LABAs were superior to tiotropium (18mcg) in improving lung function, symptom control and health-related quality of life, and reducing exacerbations. There were no significant differences in adverse event rates. The Committee concluded that all LAMA/LABAs were clinically superior to LAMA. ( http://www.ace-hta.gov.sg/our-guidance/lama-_-lama-laba-for-chronic-obstructive-pulmonary-disease.html)




Meeting Coverage
ERS : https://erscongress.org/programme-2018/access-the-programme-2018.html
Lung Denervation Cuts COPD-Related Events, Admissions
One-time therapy showed most benefit in highly symptomatic patients
by Ian Ingram, Deputy Managing Editor, MedPage Today
September 19, 2018
https://www.medpagetoday.com/meetingcoverage/ers/75179

中等度/重症COPDのトップと言えるtargeted lung denervation (TLD) にて半数超で呼吸器関連イベント半減超減の効果(3ヶ月〜6.5ヶ月間)

TLD+tiotropiumのランダム化にてsham行為比較で 呼吸器系副事象イベント 32% vs 71%

COPD急性増悪には有意差無しだったが、入院必要な重症急性増悪では有意差を認めるリスク減少がTLDで認められた p=0.039


6ヶ月、12ヶ月時点での有効性、QOLエンドポイントではTLD優勢で、underpowerのため有意さ認めずと発表者

Modified Medical Research Council (mMRC) dyspnea scale:

  • -0.47 with TLD versus -0.26 with sham at 6 months
  • -0.46 versus -0.21 at 12 months, respectively


St. George's Respiratory Questionnaire COPD score:

  • -8.31 versus -3.76 at 6 months
  • -5.30 versus -2.50 at 12 months


FEV1はTLDが有意に効果あるよう(128 mL vs 86 mL)だが、12ヶ月時点で継続せず (78 mL versus 104 mL)
FVCは両時点ともTLD優勢 :6ヶ月:253 versus 147、 12ヶ月:253 versus 211


Source Reference: Slebos D, et al “A double-blind, randomized, sham-controlled study of targeted lung denervation in patients with moderate to severe COPD” ERS 2018; Abstract OA4929.


2018年9月20日木曜日

過体重・肥満:隔日カロリー制限+運動による効果

隔日カロリー制限 週3日は推奨エネルギーの25%の400-500kcal、週4日はad libitum(野放し)

レジスタンストレーニング+エアロビック運動の組み合わせ 週3回以上

8週間隔日カロリー制限(ADCR)と運動の組み合わせで過体重において効果があるか?

完遂 35名、78%

運動+ADCR群にて、体重、BMI、ウェスト径、脂肪量、脂肪比率減少
 (− 3.3 ± 2.4 kg, p < 0.01; − 1.3 ± 1.0 kg/m2, p < 0.01; − 4.1 ± 3.9 cm, p < 0.01; − 2.7 ± 2.0 kg, p < 0.01; − 2. 5 ± 2.2%, p < 0.01)



インスリン、HOMA-R、中性脂肪も減少
 (− 2.9 ± 4.1 μIU/ml, p < 0.05; − 10.9 ± 16.9 mg/dl, p < 0.05; − 0.9 ± 1.3, p < 0.05; − 43.8 ± 41.9 mg/dl, p < 0.01)

Effects of alternate day calorie restriction and exercise on cardio-metabolic risk factors in overweight and obese adults: an exploratory randomized controlled study
Minsuk Oh, et al.
BMC Public Health201818:1124
https://bmcpublichealth.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12889-018-6009-1



消費税が10%に増加したとき・・・消費税は何パーセント増加する?

消費税が10%にアップ増加したとき・・・消費税は何パーセント増加する?



(8%+2%)/8%x100=125% 故に 25%増加
だが、かなりの人が、2%増加ってことで騙されてる。
こんな簡単な算数でわかる・・・財務省&大部分政治家・政治家の嘘

18flortaucipir PET:アルツハイマー病とその他変性疾患の鑑別可能に

タウタンパク質のイメー ジング物質である 18flortaucipirによる PET
https://news.lilly.co.jp/down2.php?attach_id=396&category=4&page=1&access_id=1645

認知症と他の神経変性疾患鑑別に役立つか?
719名の患者を含む多施設横断研究

感度 89.9%
特異度 90.6%





Discriminative Accuracy of [18F]flortaucipir Positron Emission Tomography for Alzheimer Disease vs Other Neurodegenerative Disorders
Rik Ossenkoppele, et. al.
JAMA. 2018;320(11):1151-1162. doi:10.1001/jama.2018.12917
https://jamanetwork.com/journals/jama/article-abstract/2702872



2018年9月18日火曜日

健康高齢者にはアスピリン使用は効果無く、有害の可能性

万能薬みたいな呼称されてきたアスピリン

大腸がんの予防効果もNEJM自体にとりあげられてたのに・・・

ASPREE Investigator Group 19万名(オーストラリア 16,703、米国 2,411)名のランダム化二重盲検研究


70歳以上で登録、米国内はアフリカ系アメリカ人・ヒスパニックは65歳とややトリッキーな基準。平均フォローアップ4.7年間と比較的短い期間に結果・有意差出現。

アスピリン 100mg

アスピリン服用にて重大出血リスク増加、全原因死亡リスク増加、とくに癌原因死亡増加、ベネフィットとしての心血管イベントリスク減少認めず


Effect of Aspirin on Cardiovascular Events and Bleeding in the Healthy Elderly
John J. McNeil
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1805819

高齢成人の一次予防としてのアスピリン少量投与はプラシーボに比較して有意に重大出血リスク増加するも、心血管イベント有意低下示せず
(Funded by the National Institute on Aging and others; ASPREE ClinicalTrials.gov number, NCT01038583.)

重大出血累積リスク






Effect of Aspirin on Disability-free Survival in the Healthy Elderly
John J. McNeil
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1800722

健康高齢者アスピリン使用は、5年間においては、プラシーボ比較で、無障害生存(健康生存)期間延長示せず、重大出血リスク増加
(Funded by the National Institute on Aging and others; ASPREE ClinicalTrials.gov number, NCT01038583.)


プライマリ複合エンドポイント累積頻度



死亡・認知症・持続的障害累積頻度




Effect of Aspirin on All-Cause Mortality in the Healthy Elderly
John J. McNeil
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1803955
プラシーボに比較してアスピリン連日投与健康高齢者で全原因死亡増加し、がん原因死亡が主に関連。以前の研究と異なり予想外で今後解釈に注意が必要
(Funded by the National Institute on Aging and others; ASPREE ClinicalTrials.gov number, NCT01038583.)


死亡原因による累積死亡頻度
 

2018年9月16日日曜日

AHA高血圧ガイドライン・アップデート

Resistant Hypertension: Detection, Evaluation, and Management: A Scientific Statement From the American Heart Association
Originally published13 Sep 2018Hypertension. 2018;0:HYP.0000000000000084
https://www.ahajournals.org/doi/pdf/10.1161/HYP.0000000000000084


治療抵抗性高血圧(RH)の推奨血圧閾値 130/80 mmHg


治療抵抗性高血圧類似要素の検出・管理推奨。治療アドヒアランス不良:血圧高値の50%-80%、白衣高血圧(心血管リスク関連なし)、臨床医の治療慣習、血圧への悪影響:一部OTCや処方薬、喫煙・過度飲酒など生活習慣、一部塩分感受性のある人、塩分摂取(Na 2,400 mg/日未満)
二次性高血圧のスクリーニング、具体的には原発性アルドステロン症(RHの20%程度)、CKDや腎血管狭窄
特に内分泌原因の高血圧が除外され、白衣高血圧(家庭血圧 20/10 mmHgより高値の診察時血圧)やmasked uncontrolled hypertension(診察時血圧は適切だが、診察外では目標値逸脱)を考慮した後、治療抵抗性高血圧の血圧コントロール改善治療アプローチ開始。
3種降圧剤、長期作用カルシウムチャンネル遮断薬、ACE阻害剤/ARB、利尿剤を個別化すべきで、hydrochlorothiazide から chlorthalidone or indapamideへ変更考慮し、 mineralocorticoid receptor antagonist (spironolactone or eplerenone)を追加考慮。

交趾継続なら、補完的メカニズムを考慮した降圧剤のステップ毎追加を推奨
最後には専門医へ相談と・・・




2018年9月13日木曜日

アスピリン喘息とアルコール誘発喘息

日本では、アスピリン喘息の呼称が一般的だが、 aspirin-exacerbated respiratory disease. (AERD)の呼称が一般的 そのレビュー

Aspirin-Exacerbated Respiratory Disease
N Engl J Med 2018; 379:1060-1070
DOI: 10.1056/NEJMra1712125


Most patients with AERD are unable to drink alcoholic beverages without having upper- or lower-airway hypersensitivity reactions; the underlying mechanism is unclear. Although some patients report reactivity to any alcoholic beverage, red wine and beer cause reactions in the vast majority of patients, suggesting additional contributions beyond the ethanol component.

要するに、"アスピリン喘息の多くの患者が、アルコール飲料、赤ワイン、ビール飲用困難で、アルコール飲用への過敏、エタノール成分あけでない付加的な寄与が関与。”


以前、日本人には"アルコール誘発喘息”が多い事は知られている。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/arerugi/57/1/57_KJ00004840309/_pdf


ことさらに、アスピリン喘息とリンクすること無かったと思うので・・・この部分に興味を持った



アルコールは上下気道の宿主防御へ集合的に影響を与えるが、喘息のような特定疾患へのその意義は明確ではない(Ayres 1987)、だが、歴史上エジプトのパピルス記載された紀元前2千年まで遡ることができる。
現代の疫学データで、慢性重度飲酒と喘息での全死亡率・入院のオッズ比増加の関連性があるが、喘息コントロールとアルコール使用の直接相関は検討されてない (Sumino et al. 2014)(Sumino K, O'Brian K, Bartle B, Au DH, Castro M, Lee TA J Asthma. 2014 Apr; 51(3):306-14.).
アルコールそのものが気道過敏性を誘発するようではなく、アルコール飲料の添加物が喘息誘発すると示唆された(Breslin AB, Hendrick DJ, Pepys J Clin Allergy. 1973 Mar; 3(1):71-82.)
同様な知見が赤ワインの作用についても示されている(Vally H, de Klerk N, Thompson PJ J Allergy Clin Immunol. 2000 Mar; 105(3):462-7.)。だが、まだ結論づけまでは至らなず、例えば動物モデルでアレルギー感作マウスではアルコール暴露が喘息様炎症を肺に生じさせ、BAL中特定炎症細胞(好酸球など)増加が示され、ムチンなどの粘液成分増加、小気道の収縮が示されている。この作用はアルコール暴露マウスではみられなかったが、アレルゲン感作されてないことから潜在的アレルギー要素において気道過敏性を生じうる。
アルコールに影響を受けやすいphenotypeの存在の可能性、アスピリン感受性喘息、アスピリン増悪呼吸器疾患が喘息の10%未満に存在し、治療困難な重度喘息となりやすい症例で、アルコール有機性呼吸器症状は、アスピリン増悪呼吸器疾患患者でアスピリン耐用喘息患者より非対称に多く存在する(Berges-Gimeno MP, Simon RA, Stevenson DD Ann Allergy Asthma Immunol. 2002 Nov; 89(5):474-8.)。
アルコールの潜在的irritant要素が影響を与えるか、気管支拡張作用が影響を与えるか疾患サブタイプにより異なるのだろう
Alcohol and the Lung Alcohol Resv.38(2); 2017PMC5513688

Apple Watchの心電図機能 日本では当面使えない

New Apple Watch OK'd for Arrhythmia Detection
Single-lead electrocardiogram built into latest version cleared by FDA
https://www.medpagetoday.com/cardiology/arrhythmias/75061



In clearing the Apple Watch device and its software application for over-the-counter heart rhythm detection, the FDA noted that these functions are "intended for informational use only." It shouldn't be interpreted or acted upon without consulting with a qualified healthcare professional, nor can it replace traditional methods of diagnosis or treatment.


情報提供のみ使用で、action変容のためのデバイスではないという米国FDAの姿勢



https://japanese.engadget.com/2018/09/12/apple-watch-series-4-3-2/
心拍センサーも進化しました。心拍数があまりにも低い場合、血液量が少ない場合があるため装着者にアラートを出します。また、心室細動を検知する機能も備え、精度は完璧ではないものの、検知した場合に装着者に警告し、より深刻な症状への発展を防止します。
心電図(ECG)の作成にも対応。デジタルクラウンに指を置くと心臓の活動を開始し、約30秒で病院で得られるような心電図を測定できるとアピールします。


Apple Watch Series 4の心電図(ECG)、日本では使えない? Appleに聞いてみた
https://japanese.engadget.com/2018/09/13/apple-watch-series-4-ecg-apple/
  • Appleに確認したところ、Apple Watchは、FDA(米国食品医薬品局)によるデノボ(De Novo)分類済みのECGアプリケーションを使用。このアプリケーションはソフトウェアアップデートにより、米国内で今年の終わりに提供予定。しかし、日本を含む米国以外では、現時点では伝えられる情報はないとのことです。
  • 医療機器関連の法令は各国により異なっており、そのすべてに対応するのは難しいとの判断なのかもしれません。ただ、目玉機能ではあるので、実際には各国で調整中であり順次提供予定、となるのを期待したいところです。

2018年9月12日水曜日

ベンゾジアゼピン長期処方の要因

長期処方しないことが基本のはずの薬剤は、ベンゾジアゼピン系だけではなく、抗うつ薬なども。そもそも、ベンゾジアゼピン薬物依存の発端をつくったのは、精神科医・・・ 最近では、非ベンゾジアゼピン系なので、【マイスリーは大丈夫】などと喧伝していた

アモバン:ゾピクロン製剤、マイスリー:ゾルピデム製剤、ルネスタ:エスゾピクロン製剤は大丈夫と言えるか?
その後、Z-drugとして、drug abuseがやはり問題となっている現状、初期安全と言い張ってたのは、メーカー御用達の専門家たちであった。問題となっていることにはメーカーはだんまり。


遅ればせながら、ベンゾジアゼピン系薬剤使用制限、当局本気になってきているようで、この問題は明確になりつつあるが、例の”専門家たち”が再び一般医家を指導する形になってるのが非常に気になる

米国の現状とうことで、ベンゾジアゼピン長期処方となる因子調査

うつ、不安より、白人という人種、睡眠障害や初回処方日数という因子が問題

日本の臨床問題に投射すれば、処方初期に、1ヶ月処方せず、期間を限って処方することと同時に、そのときに不眠の認知の歪みを補正するよう指導、そして talk-therapyが重要と・・・解説・・・



Factors Associated With Long-term Benzodiazepine Use Among Older Adults
JAMA Intern Med. Published online September 10, 2018. doi:10.1001/jamainternmed.2018.2413

長期ベンゾジアゼピン使用者定義: 1年間のmedication possession rate (MPR) 30%超を定義。ペンシルベニアでの処方分析。ロジスティクス解析にて検証。

ベンゾジアゼピン新規処方成人 平均(SD)年齢 78.4(7.0)歳
処方指標日から1年、長期使用定義合致 152(26.4%)、この場合ベンゾジアゼピン日数平均 232.7(82.6)日

  • 白人(オッズ比 4.19; 95% CI, 1.51 - 11.59)
  • 指標日のsupply日数 (オッズ比 1.94, 95%CI, 1.52-2.47)
  • 睡眠の質 (オッズ比 4.05; 95% CI, 1.44 - 11.43)
が長期ベンゾジアゼピン使用と相関

補正・非補正分析とも、不安、うつは、長期使用予測と関連無し

-->
Table 2. Factors Associated With Benzodiazepine Medication Possession Ratio (MPR) Greater Than 30% 
During the 1 Year Following the Index Prescription
Characteristic Unadjusted OR (95% CI) P Value Adjusted OR (95% CI)a P Valueb
Age 0.83 (0.69-1.00) 0.05 0.81 (0.66-1.00) 0.05
Male sex 1.53 (0.95-2.45) 0.08 1.28 (0.75-2.18) 0.37
White race 3.67 (1.43-9.40) 0.01 4.19 (1.51-11.59) 0.01
Finance 1.11 (0.61-2.02) 0.73 1.45 (0.73-2.89) 0.29
Married 1.20 (0.79-1.82) 0.39 1.08 (0.67-1.72) 0.76
PHQ-9 score 1.23 (1.03-1.47) 0.03 1.04 (0.81-1.34) 0.77
High anxiety 1.35 (0.62-2.94) 0.45 0.84 (0.33-2.16) 0.72
Pain interference        
Quite a bit/extremely 1.34 (0.79-2.29) 0.28 0.88 (0.46-1.69) 0.70
A little bit/moderately 1.53 (1.01-2.32) 0.04 1.64 (1.05-2.58) 0.03
Not at all 1 [Reference]   1 [Reference]  
Overall sleep quality        
Very bad 3.80 (1.79-8.04) <0.001 4.05 (1.44-11.43) 0.01
Fairly bad 1.37 (0.73-2.57) 0.32 1.27 (0.59-2.73) 0.55
Fairly good 1.17 (0.70-1.96) 0.56 1.23 (0.70-2.18) 0.47
Very good 1 [Reference]   1 [Reference]  
Usual hours of sleep at night 0.82 (0.68-0.99) 0.03 0.91 (0.71-1.16) 0.44
Days supplied in index dispensing` 1.94 (1.52-2.46) <0.001 1.94 (1.52-2.47) <0.001
Index prescription was long-acting benzodiazepine 0.73 (0.27-1.98) 0.53 0.76 (0.24-2.45) 0.65



2018年9月11日火曜日

運動と降圧剤ARBの効果は相加的

メタボリックシンドローム・高血圧患者では、一定の運動により数時間血圧低下をもたらす。このメカニズムは不明だが、運動後筋肉交感神経系活動低下・局所的血管拡張(ヒスタミン受容体活性化など)、骨格筋内血管拡張など関連など考察。
降圧剤ARBはAngiotensin IIによる血管収縮への拮抗、アルドステロン、カテコラミン、アルギニンvasopressin遊離など。AT1受容体拮抗は骨格筋血管構造だけで無く神経末端、腎臓、心臓、脳、副腎、血小板、脂肪細胞へ局在。
次に、ARBはアンギオテンシンII誘発血管収縮を拮抗させ、アルドステロン、カテコールアミン、およびアルギニンバソプレシン放出を減少させることによって血圧を低下させる。

運動が骨格筋血流数倍増加し、骨格筋内血管床のAT1受容体と相互作用し、相加効果あるいは相乗効果をもたらさないか? 逆に運動後の血圧低下はARBの降圧効果とそう反する可能性はないか?

運動と薬物療法の併用が推奨されている現状、その効果を確認する必要性があると・・・

結論から言えば、ARBと強度運動は、各々独立した効果で、相加的であると


研究対象15名のメタボリック疾患を有するARB通常服薬・高血圧患者

盲検順番

  • ARB通常用量服用後:ARB MEDトライアル
  • プラシーボ服用後: PLACトライアル



Intense aerobic exercise lowers blood pressure in individuals with metabolic syndrome taking antihypertensive medicine
Blood Pressure Monitoring: October 2018 - Volume 23 - Issue 5 - p 230–236
doi: 10.1097/MBP.0000000000000328

プラシーボ投与後、上腕血圧 収縮期 5.5 mmHg増加、拡張期 2.5 mmHg増加

運動にて収縮期、拡張期血圧同様低下(ARB MED、PALCトライアルとも)( 収縮期血圧 7、 9 mmHg、拡張期血圧 5、4 mmHg)

パルス波測定arterial stiffnessは運動・薬物間に相互効果無し

血管閉塞後reactive hyperemiaは運動後、ARB MEDトライアルのみ増加( 361± 169 → 449 ± 240% ベースラインからの変化量; p=0.033; ES = 0.429)


 



運動:
エルゴメータ ウォームアップ5分間 (女性 30 W、男性 50 W)→毎分漸増9分間(女性 15 W/分、 男性 20 W/分)→ウォームダウン 5分間:計 19分間




【都市部】空気清浄フィルターにてPM2.5暴露低下→血圧低下効果有り

PM2.51大気汚染は心血管併存症・死亡率の重大な全般リスク要素であるが、都市部でその対策としてのportable air filtration systemの有効性検証


ランダム化二重盲検交叉介入
3つの3-dayシナリオを1週間のwash-out期間を設けて交叉比較

寝室・リビングに設置

  • フィルターなし空気:unfiltered air(sham filtration)
  • 低効率(LE) 高効率分子状粒子捕獲装置、いわゆるHEPA(high-efficacy particular arrestance)フィルター空気
  • 高効率(HE)真のHEPAフィルター


主要アウトカム:上腕血圧
セカンダリアウトカム:大動脈血行動態、PWV、心拍変動


米国都市部では、携帯型換気フィルターシステムでさえ、PM2.5暴露低下させ、収縮期・拡張期血圧低下作用示す。
故に、さほど高価でないこの装置は、PM2.5暴露心血管疾患防御対策として有効?

Effect of Portable Air Filtration Systems on Personal Exposure to Fine Particulate Matter and Blood Pressure Among Residents in a Low-Income Senior Facility
A Randomized Clinical Trial
JAMA Intern Med. Published online September 10, 2018. doi:10.1001/jamainternmed.2018.3308


被検者40名、平均(SD)年齢 67(8)歳、男性 62%

個別PM2.5暴露は、空気フィルターにて有意減少 平均(SD)

  • sham フィルター  15.5 (10.9) μg/m3 
  • LEフィルター 10.9 (7.4) μg/m3
  • HEフィルター  7.4 (3.3) μg/m3 


shamフィルターに比べ、どちらの空気フィルターも上腕収縮期血圧、上腕拡張期血圧減少
各々、 3.2 mm Hg (95% CI, −6.1 to −0.2 mm Hg、 1.5 mm Hg (95% CI, −3.3 to 0.2 mm Hg)

3-day期間中

  • LEフィルターでも持続的低下 平均   3.4 mm Hg (95% CI, −6.8 to −0.1 mm Hg)、 2.2 mm Hg (95% CI, −4.2 to −0.3 mm Hg)

  • HEフィルターでの低下  2.9 mm Hg (95% CI, −6.2 to 0.5 mm Hg) 、 0.8 mm Hg (95% CI, −2.8 to 1.2 mm Hg)


セカンダリアウトカムはどれも有意改善に至らず



PM2.5捕獲効果が前提なはず、安価な・・・と書かれているが・・・


それと、オゾンなど産生してくれる喘息増悪装置を変なネーミングで売ってる大企業もあるし・・・油断ならねぇ



消臭は今回のテーマとズレるが、この動画ほんとだろうか?
一流メーカーでも、危険なオゾン濃度となる製品がある
 ↓

転倒高リスク高齢者に太極拳は通常運動より有効



高齢者転倒予防に対する、太極拳 vs ストレッチ運動対照比較

単盲検3群平行群ランダム臨床トライアル

  • TJQMMB(Tai Ji Quan: Moving for Better Balance) :修正法 太極(tai ji, taichi) 週2回、60分クラス、24週間
  • MME(multimodal exercise)プログラム:integrating balance、エアロビクス、strength、柔軟運動
  • ストレッチ運動

主要アウトカム:6ヶ月後の転倒頻度

Effectiveness of a Therapeutic Tai Ji Quan Intervention vs a Multimodal Exercise Intervention to Prevent Falls Among Older Adults at High Risk of Falling A Randomized Clinical Trial
Fuzhong Li, et al.
JAMA Intern Med. Published online September 10, 2018. doi:10.1001/jamainternmed.2018.3915


ランダム化 670名、年齢平均(SD) 77.7(5.6)歳、 女性 436(63.5%)、白人 617 (92.1%)、アフリカ系 31(4.6%)

転倒 TJQMBB群 152(85名)、 MME群 218 (112名)

6ヶ月時点での進展運動比較の罹患率比(incidence rate ratio)はTJQMBB群で低値 (IRR, 0.42; 95% CI, 0.31-0.56; P < .001) 、 MME 群も低値 (IRR, 0.60; 95% CI, 0.45-0.80; P = .001)

転倒は、TJQMBB群ではMME群比較で31%減少 p (IRR, 0.69; 95% CI, 0.52-0.94; P = .01)


結論・知見:転倒高リスク地域在住高齢者において治療的にテイラー化した太極拳バランストレーニング介入は通常の運動アプローチに比べ転倒頻度減少へより有効なアプローチ



単盲検試験ということだが、こういう種の研究デザインというのは難しそう

evidence map報告されているが、一般健康状態、心理状態、高齢者、バランス、高血圧、転倒予防、認知機能など全般的にpromisingなmapとなっている

An evidence map of the effect of Tai Chi on health outcomes
https://doi.org/10.1186/s13643-016-0300-y





2018年9月9日日曜日

シムビコートSMART療法・システマティックレビューに疑義

問題の論文
Association of inhaled corticosteroids and long-acting β-agonists as controller and quick relief therapy with exacerbations and symptom control in persistent asthma: a systematic review and meta-analysis.
SobierajDM,WeedaER,NguyenE,etal.
JAMA. 2018;319(14):1485-1496. doi:10.1001/jama .20 18.2769




【既報】今年3月
喘息:SMART療法を褒めまくるシステマティック・レビュー&メタアナリシス
https://kaigyoi.blogspot.com/2018/03/smart.html

やっぱりおかしいと思う研究者や専門家、多かったんだろう





SMART in the Management of Patients With Persistent Asthma
Yang Xia, MD, PhD1; Lexin Xia, MS1; Huahao Shen, MD1
JAMA. 2018;320(9):933-934. doi:10.1001/jama.2018.8573
https://jamanetwork.com/journals/jama/article-abstract/2698914

Fig. 3の図では2つしか含めておらず pooled RR 0.77 (95% CI, 0.60-0.98)かなりしんどい信頼区間、ほぼ null effectの境界。

しかも、。この2トライアルの一つは、初回重症急性増悪までの期間延長を示さないうえでの、急性増悪回数の減少という結論報告。

3つの除外トライアルの一つを対照群の迅速緩和治療としてSABAの代わりにふぉるめてロール使用したという理由で除外。2つの除外トライアルは初回重症急性増悪までの期間有意差ないもので、SMARTと対照で重症急性増悪率同等。
(要するに、意図的除外があったと疑われる?)


 ”We would like to know if the conclusions remain the same when the excluded trials, which were negative, were included and if any unpublished data were taken into consideration.”


SMART in the Management of Patients With Persistent Asthma—Reply
Diana M. Sobieraj, PharmD1; William L. Baker, PharmD1
Author Affiliations
JAMA. 2018;320(9):934. doi:10.1001/jama.2018.8577
https://jamanetwork.com/journals/jama/article-abstract/2698920



SMART療法に関しては一定の症例では有効だと思うが、やや強引な結論付けレビューには辟易

日本では、初期、患者主導という名の使用乱用懸念(シムビコートを渡して好きな時に吸ってくれという患者説明がなされている多くの事例があるなど)批判があったが、批判とんど聞かなくなった。
根拠論文・分析にまだ疑義があることを念頭に入れてほしいものだ、各医療関係者

それと、スポンサー癒着真っ黒な講師の話は聞く必要もない

2018年9月7日金曜日

褐色脂肪組織(BAT)発現関連H19遺伝子 imprintingは母から・・・


long noncoding RNAs (lncRNAs) はまだ不明瞭
だが、 褐色脂肪細胞組織(BAT)は母体で発現し、imprinting IncRNA H19は寒冷刺激で活性化し、肥満で減少する

LincRNA H19 protects from dietary obesity by constraining expression of monoallelic genes in brown fat
Nature Communicationsvolume 9, Article number: 3622 (2018)
https://www.nature.com/articles/s41467-018-05933-8


解説:
https://www.sciencedaily.com/releases/2018/09/180906100438.htm


gene H19の機能を新発見、我々の遺伝子の1%
片親からimprintingという現象で独占的に発現し、体重減少、細胞増殖に関わる
問題は妊娠中にgenome imprintingされるわけで、母由来が大きく関与


さらには、父由来に遺伝子が、白色脂肪組織の増生と関連し、胃や大腿、腰背部に見いだされた


確かに、父・息子の背格好は似てくる

一方、母からは、肥満保護作用がimprintingされるわけで・・・

スタチン使用有益性:75歳以上では糖尿病無ければ不要、糖尿病存在しても90歳以上は不要

後顧的研究だから、文句つけ放題だけど・・・


74歳超で2型糖尿病なしの場合、スタチン治療は動脈硬化性心血管疾患や全原因死亡減少を示さない。動脈硬化性心血管疾患の頻度がスタチン使用提案閾値リスクを超えていたとしても同様。 
糖尿病の存在は、スタチン使用が統計学的に動脈硬化性心血管疾患頻度減少や全原因死亡減少率減少と統計学的有意である。ただ、85歳以上でその効果は減弱し、90歳以上でその効果は消失する。




Statins for primary prevention of cardiovascular events and mortality in old and very old adults with and without type 2 diabetes: retrospective cohort study
BMJ 2018; 362 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.k3359 (Published 05 September 2018)
Cite this as: BMJ 2018;362:k3359

スペイン,2006-15年、Catalan primary care system(SIDIAP)
後顧的コホート研究

結論だけ

46,864名(平均年齢 77歳;女性 63%;フォローアップ中央値 5.6年間)


糖尿病なし・スタチン治療で
75-84歳では、動脈硬化性CVD 減少 ハザード比 0.94 (95% 信頼区間 0.86 to 1.04)、全死亡率 0.98 (0.91 to 1.05)
85歳以上では、各々  0.93 (0.82 to 1.06) 、 0.97 (0.90 to 1.05)

糖尿病患者・スタチン治療で
75-84歳では、動脈硬化性CVD 減少 ハザード比  0.76 (0.65 to 0.89)
85歳以上では、各々 0.82 (0.53 to 1.26) 、1.05 (0.86 to 1.28),


同様に、 スプラインを用いた連続スケールでの年齢の効果分析は、74歳糖尿病なしの被検者での動脈硬化性心血管疾患および全原因死亡への有益なスタチン効果の欠如が裏付けられている。糖尿病患者では、動脈硬化性心血管疾患および全原因死亡への予防的効果示され、85歳以上ではその効果は減弱し、90歳以上では消失。


COPD健康状態に関するMCIDのシステマティック・レビュー/メタアナリシス 治療効果でしか使えない現状

HRQoLや機能評価におけるMCIDについては治療効果検証では意味がある数字が存在するが、自然経過など悪化の方のMCID評価されたツールは存在しないというのは目からうろこであった







序文に、MCIDの解説
臨床的明瞭な変化を意味する閾値、Jaeschkeらの定義:問題ある副作用無く、コスト増大無く、患者管理を変化しうるという条件の下ベネフィットとして患者が知覚しうる、対象ドメインのスコア最小差”で、MCIDは、介入や薬物治療後、対照と比較した上で臨床的明確な変化を患者のパーセンテージで比較したもので、サンプルサイズの決定、臨床的評価に用いられる。MCIDが不当に高ければ治療介入などの過小評価、低すぎれば過大評価を導く。健康状態評価とそのMCIDがCOPDにおいて特に注目されるのは医師にとってはスパイロメトリ指標、血液ガス分析などだが、患者にとってはQOLと無関係。QOLは患者の満足・不満足で個別観点から重要。HRQOL指標、身体機能、メンタル機能の標準化法としてMCIDは重要。
測定方法としては、 anchor-based、distribution-based、opinion-based アプローチがあり、それぞれ賛否ある。anchor-based、distribution-basedの複合が用いられることが推奨されている。COPDにおけるHRQOLおよび健康状態ツールのMCID報告多くし、様々な説明がそれぞれの著者からなされている。

多くの研究で最近updateが乏しく、MCID methodologyの質評価も、triangulationもなされてない。COPD以外ではPROsや機能評価のMCID研究盛んで、システマティック・レビューや要約、質検証などなされている。
そこで、様々なHRQoL指標のMCIDエビデンスをシステマティック・レビューし、方法論としての質評価を行い、メタアナリシスとしてトライアンギュレーション:triangulation(三角測量)検証




Clinically relevant differences in COPD health status: systematic review and triangulation
ERJ Express. Published on August 23, 2018
as doi: 10.1183/13993003.00412-2018

12種類のCOPD HRQoLと健康状態ツール、MCIDmethodology、質、推定値を含む、21研究

例えば、CAT, CCQ, (SF)CRQ, eDiary, EQ-5D, FT, QOLRIQ, SF-6D, SF-36, SGRQ, VSRQ

全般的質やバイアスリスクは、平均的〜良の評価で、1つはexcellent、2つはpoor



トライアンギュレーション: MCIDs:改善指標

  • COPD Assessment Test (CAT) −2.54
  • Clinical COPD Questionnaire (CCQ)  −0.43
  • St. George's Respiratory Questionnaire (SGRQ) −7.43

セッティングの違いand/orフォローアップ期間の構造差を伴わない検証であった


他のツールでは検討数が少なく、種類多すぎて検討できず


悪化に関するMCIDの研究は、すべてのツールにおいて、乏しく、存在しないといえる



気管支拡張症:その曖昧さ そりゃ臨床トライアルがうまくいかないはずだ・・・

ERS そろそろなので、そろそろ騒がしくなると思われ・・・


そもそも呼吸器系の病名は曖昧なのが多い
慢性気管支炎がその代表だが、
気管支拡張症も形態病理所見なのか病態診断名なのか治療上の診断名なのかはっきりしない・・・まぁその種の切り口




「気管支拡張症」という病名は局所的・永続的な気道拡張で、様々な疫学的、臨床的、レントゲン的、機能的、微生物学的な意味Iではかなり異なる異質な疾患群
「気管支拡張症」という病名では、生物学や治療応答を考慮されない、すなわち、根本のエンドタイプをが考慮されない。本来なら、免疫不全、ciliary dyskinesia、感染(細菌感染、非結核性抗酸菌など)で、潜在的治療ターゲットとなるべきなのである。
気管支拡張という臨床的phenotypeに限定された以前の研究が治療可能性をミスリードしている可能性ある。
気管支拡張症の主な治療目標は、症状改善、急性増悪予防、肺機能減少、そして死亡率低下であるが、軽度の影響しか与えていない。例えば、抗生剤吸入療法は少しばかりの急性増悪、QOL改善で、気道感染以外のendotypeの病因的役割が示唆された。
さらに、併存する気道疾患が多く、喘息、COPD併存が50%程度まで存在する。

"treatable trait"という概念は 2016年,AgustiらによりERJ誌で提案。
現在の気道疾患病名は不正確で、overlapや経験治療を誘発しているとし、biomarker-directed approachで、臨床的phenotypeやendotypeの認識が個別化治療オプションとして臨床アウトカム改善に直結する可能性があるとした。
"treatable trait"の元の原稿では、喘息、COPDの診断ラベル患者について特に言及しているようである。


  • COPD-気管支拡張overlap(BCO)
  • 喘息-気管支拡張overlap(ACO)
  • 全ての疾患合併:ABCO


この主張に対して、喘息やCOPDという疾患自体が種々endotypeの塊で欠陥だらけ、さらに、欠陥を増やすだけと主張

ただ、このアイディアは認めていて
気道感染が気管支拡張の治療可能な特性の一つに過ぎず、上気道感染、好酸球増加、真菌アレルギーやその合併などの"treatable trait"を引き起こす症例には気道感染治療が効果あるはずもない。故に、そういう症例を"treatable trait"を考慮すべきと

Treatable traits in bronchiectasis
European Respiratory Journal 2018 52: 1801269; 
DOI: 10.1183/13993003.01269-2018


びまん性汎細気管支炎を無視しているのはさすがです。ERJ (皮肉・・・)


このようなphenotype-endotypeの報告があるが・・・こういうのは治療開発につながるのだろう・・・phenotypeだけで研究もどきやってても治療にはつながらないのかもしれない

COPDの"慢性粘液過剰産生”において 鍵となる"miRNA-mRNA ネットワーク"(miRNAとmRNAの統合解析)が存在するらしい
 miR-134-5p, miR-146a-5p and let-7 family, along with their potential target genes including KRAS and EDN1, as potential key miRNA–mRNA networks regulating CMH in COPD.
microRNA–mRNA regulatory networks underlying chronic mucus hypersecretion in COPD
European Respiratory Journal 2018 52: 1701556;
 DOI: 10.1183/13993003.01556-2017


2018年9月6日木曜日

コホートpropensity analysis:SGLT-2阻害剤全般下肢切断リスク増加 ;ただし比較対照による差存在

CANVAS と Canagliflozin Cardiovascu- lar Assessment Study–Renal (CANVAS-R) 研究にて、SGLT-2阻害剤の下肢切断リスク増加示され、SGLT-2全般なのか、特定SGLT-2iと関連するか、はたまた、偶発的結果なのか議論されている



後顧的コホート研究(Truven Health MarketScan Commercial Claims and Encounters data)


Association Between Sodium-Glucose Cotransporter 2 Inhibitors and Lower Extremity Amputation Among Patients With Type 2 Diabetes
JAMA Intern Med. 2018;178(9):1190-1198. doi:10.1001/jamainternmed.2018.3034


200万名の登録候補から953,906名(女性 516046 、男性 437 860 ; 平均 [SD] 年齢, 51.8 [10.9] 歳)を最終検討
新規使用:SGLT-2阻害剤  39 869 (4.2%)、 DPP-4阻害剤 105,023  (11.0%)、GLP-1アゴニスト39 120   (4.1%)
観察期間中央値 GLP-1 99日間、メトホルミン、SU剤、TZD  127日間
粗死亡率 1万人年対 4.9名(メトホルミン、SU剤、TZD)からSGLT-2阻害剤 10.53


propensity score荷重、住民指標・糖尿病重症度・合併症・薬剤重症度補正で、SGLT-2阻害剤新規使用は統計学的には有意でない下肢切断リスク増加
SGLT-2i vs DPP-4i  (adjusted hazard ratio, 1.50; 95% CI, 0.85-2.67)
SGLT-2i vs GLP-1 agonist  (adjusted hazard ratio, 1.47; 95% CI, 0.64-3.36)

SU剤、メトホルミン、TZD系と比較した場合、SGLT-2i新規使用は統計学的に有意な増加
(adjusted hazard ratio, 2.12; 95% CI, 1.19-3.77);感度分析で不変



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We defined 5 outcomes: foot and leg amputation, peripheral arterial disease, critical limb ischemia, osteomyelitis, and ulcer.

These outcomes were defined using administrative codes after a comprehensive literature review to identify the most accurate administrative codes associated with these conditions.

Four of 5 outcomes came from a validation study identifying diabetes-related complications,and the predictive positive value was 0.85 for amputation, 0.89 for ulcer, 0.64 for osteomyelitis, and 0.64 for peripheral vascular disease; critical limb ischemia was also similarly identified with a κ coefficient of 80.11


さて、どう解釈する・・・ と、思考停止

ARDS治療:スタチン治療有効性の高い抗炎症性phenotype



炎症過剰phenotype:hypeinflammatory phenotypeとしては "sTNFr-1高値、IL-6高値、血小板数減少"、昇圧剤使用が特徴的・・・これらがスタチン使用によるベネフィット可能性高い



Acute respiratory distress syndrome subphenotypes and differential response to simvastatin: secondary analysis of a randomised controlled trial
The Lancet Respiratory Medicine, vol. 6, (9), P691-698, SEPTEMBER 01, 2018


non-US患者群と薬物療法への反応性の違いに関してARDSのsubphenotypeが存在するかどうか?

HARP-2コホートにおける、ARDS subphenotypeの2群決定

hyperinflammatory subphenotypeでシンバスタチン vs プラシーボで生存率改善差あり、 シンバスタチンとプラセボの比較で生存率改善示され、救急医療臨床試験でのさらなる予測的進化的戦略追求必要性示唆。

方法:

  • HARP-2 :多施設、ランダム化対照トライアル
  • 全般ICU、UK・アイルランド国内、ARDS発症後48時間内:シムバスタチン(80mg) vs プラシーボ
  • プライマリアウトカム:無人工換気日数
  • セカンダリアウトカム:肺以外臓器不全無し日数、死亡率
  • HARP-2セカンダリ解析:、アウトカム考慮無しの状況でベースラインデータへclass analysisを行い、subphenotype同定、
  • d they compared clinical outcomes across subphenotypes and treatment groups.



Results
540名、1名同意なし、539名研究
two-class(2つのsubphenotype)モデルは、one-class modelより良好 p<0.0001

  • hypoinflammatory subphenotype群 363(65%)
  • hyperinflammatory subphenotype群 186(35%)

class追加でもmodel fit改善せず

2つのsubphenotypeの臨床的、生物学的特性は今までの研究と類似

hyperinflammatory subphenotypeはhypoinflammatory subphenotypeより

  • 無人工換気日数少ない( 中央値 2日間 [IQR 0-17] vs 18 [IQR 0-23]; P<0.0001)
  • 非呼吸器臓器不全無し日数も少ない  (15 [0–25] vs 27 [21–28]; p < 0·0001)
  • 28日死亡率増加   (73 [39%] vs 59 [17%]; p < 0.0001


治療・subphenotypeによる患者層別横断的に有意な生存率差あり(p < 0.0001)
しかし、HARP-2ではプラシーボとシンバスタチンで28日生存率差を認めず

hyperinflammatory subphenotype群では、シンバスタチン治療患者は、プラシーボ群より、有意に28日生存率高い(p=0.008)
 同様なパターンが90日生存率でも認める







we fitted latent class models in Mplus v8 using baseline demographics (age and sex), available baseline clinical data (direct and indirect ARDS risk factors, bilirubin, creatinine, platelet count, PaO2 to FiO2 ratio, plateau pressure, tidal volume, and use of vasopressors),and baseline interleukin6 and sTNFr1 as class-defining variables (appendix). Fewer clinical and biomarker variables were available for these analyses than in our previous studies.


Muthen LK, Muthen BO. Mplus. Statistical analysis with latent variable. User’s Guide. Los Angeles, CA: Muthén and Muthén, 2017.

2型糖尿病:心不全への他血糖降下剤比較でSGLT2i圧勝ってことらしいが・・・ほんまかいな?

”CANVAS, EXSCEL, SUSTAIN-6, LEADER, TECOS, EMPA-REG Outcome, ELIXA, SAVOR-TIMI 53,EXAMINE”を含めメタ・アナリシス

解説:
https://www.medpagetoday.com/cardiology/diabetes/74931

Comparison of new glucose-lowering drugs on risk of heart failure in Type 2 Diabetes: A network meta-analysis
Retnakaran R, et al
JACC Heart Fail 2018.

SGLT-2阻害剤評価限定トライアルのpooled analysisで対プラシーボにて有意な心不全入院リスク減少  (RR 0.56, 95% CI 0.41-0.77, P=0.067, I2=70.2%)

GPL-1、DPP-4限定の2つのpooled analysisではどのクラスでも有意なリスク減少認めず

  • GLP-1 agonists: RR 0.94 (95% CI 0.84-1.04, P=0.74, I2=0.0%)
  • DPP-4 inhibitors: RR 1.11 (95% CI 0.95-1.30, P=0.177, I2=42.4%)


良いんだけど、HbA1cだけで比較してもバックグラウンド全然違うんだけど・・・
”CANVAS, EXSCEL, SUSTAIN-6, LEADER, TECOS, EMPA-REG Outcome, ELIXA, SAVOR-TIMI 53,EXAMINE”を

こんなの比較して良いのだろうか?




【コホート報告】ボルタレン使用と心血管リスク

ボルタレン(ジクロフェナク)というのはかなり問題ある薬剤で、これ以外に腎障害との関連性もあるはず・・・




厳格なデザインクライテリアに類似したデンマーク国内コホート
悪性疾患・統合失調症・認知症、心血管疾患・腎疾患・肝疾患・潰瘍性疾患無しの対象者

Diclofenac use and cardiovascular risks: series of nationwide cohort studies
BMJ 2018; 362
doi: https://doi.org/10.1136/bmj.k3426 (Published 04 September 2018)

ジクロフェナク開始者の副事象イベント発生頻度比 

  • 対 非使用者 50%増加 , 95% 信頼区間1.4 to 1.7)
  • 対 パラセタモール、イブプロフェン開始者 比較 20% 増加(both 1.2, 1.1 to 1.3)
  • 対 ナプロキセン 比較 30%増加 (1.3, 1.1 to 1.5)



非使用者比較の複合エンドポイントの何れのコンポーネントでもイベント発生率比増加

  • 心房細動: (1.2 (1.1 to 1.4) 
  • 虚血性卒中:1.6 (1.3 to 2.0) 
  • 心不全:1.7 (1.4 to 2.0) 
  • 心筋梗塞:1.9 (1.6 to 2.2)
  • 心臓死:1.7 (1.4 to 2.1) 


ジクロフェナク低用量でも同様


副事象心血管イベントはベースラインリスク低・中等度(例えば糖尿病など)で最も大きく、絶対リスクではベースラインリスク高値(例えば、心筋梗塞・心不全既往)ほど高い

ジクロフェナク開始は、また、30日めで上部消化管出血リスク増加し、非開始者の4.5倍、イブプロフェン・パラセタモール開始者の2.5倍、ナプロキセン投与とは同程度





震災 心からお見舞い申し上げます。道内全域停電とCrash Syndromeなど心配しております。直下型であった阪神淡路大震災が前例でしょうが、これほどの広域&孤立したの大停電は未曾有の災害で医療機関など非常用電源の燃料など底をつかないかと心配しております。25年前の13号台風の時に5日間ほど通電無かった医療機関にいた経験があり、心痛の至りです。

2018年9月4日火曜日

体内時計ノックアウトマウスでも、時間制限食事法にて肥満・メタボリックシンドローム予防効果

10時間食事しない時間を作りなさい ・・・ と!



biological clockノックアウトマウス実験で肥満・メタボリック疾患予防上健康代謝に必要と改めて確認

細胞は全て概日リズム制御下にあり、例えば、夜間細胞修復に充てられ、消化管運動は目覚め前から活動する。
"Time - Restricted Eating”(時間制限食事法)が、"clock-less"マウスにおいても有効であることを検証

高脂肪食レジメン
1)いつでも食事可能
2)10時間のみ制限窓

さらに、"clock-less"マウスで同様検討

"clock-less"マウスも"Time - Restricted Eating”(時間制限食事法)により健康的な状況となった。




示唆的な実験だが、あくまでも動物実験



Time-Restricted Feeding Prevents Obesity and Metabolic Syndrome in Mice
Lacking a Circadian Clock
Amandine Chaix, et al.
Cell Metabolism 30 Aug. 2018
https://doi.org/10.1016/j.cmet.2018.08.004

概日時計変異マウスは代謝性疾患罹患感受性増加し、これは、"molecular clock"(分子時計)が代謝ホメオスタシス上必要とのアイディアとなっている。しかしマウスは通常の食事(給餌)/空腹サイクルではない事が多い。
"Time - Restricted Eating”(時間制限食事法):TRFが肥満、メタボリックシンドローム予防に役立つか、whole-body Cry1;Cry2、肝特異的Bmal1、Rev-erba/βノックアウトマウスで検証。
ad libitum食(自由給餌)で、急激に体重増加、遺伝子型特異的メタボリック障害出現。
TRF(暗期間10時間食事アクセス制限)で同様給餌、体重増加、メタボリック疾患予防
Transcriptome、metabolome解析で、TRFは肝脂肪蓄積減少、メタボリック・ストレスへの細胞防御促進。
結果は、概日時計が摂食および絶食における毎日のリズムを維持し、栄養素と細胞ストレス反応とのバランスを維持することによって代謝ホメオスタシスを維持することを示唆している。

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note