2012年3月6日火曜日

チューリップ :肺疾患のシンボル?




 喘息、COPD、肺がんなどの肺疾患

関心を向けさせ、基金を募る、カナダの"the Lung Association"の企画


http://www.on.lung.ca/Page.aspx?pid=424
 



心エコー検診:無症候性小児突然死心疾患のための・・

診断学授業のような話・・・


小児のECG単独および、エコーを含む検査による検診に関して、マス・スクリーニングとしては感度が高いが、故に、NPVが高い、しかし、PPVや偽陽性率に関してはばらつきが大きい。

あとは、コストと、検診に関わるリスク(偽陽性だったが、精査・治療をしてしまうことのリスク) の問題。


Rodday AM, et al
"Electrocardiogram screening for disorders that cause sudden cardiac death in asymptomatic children: a meta-analysis"
Pediatrics 2012; 129: 1-12.


遺伝性疾患への無症状子供への検診は最優先事項という訳ではなさそう。

心電図・心エコーによる肥大型心筋症 と long QT syndromeの頻度は少なく、除外診断としてのNPV(陰性適中率)はほぼ100%だが、PPV(陽性的中率)はカットオフ値により感度・特異度にばらつき。
頻度の少なさと、偽陽性率のばらつきにより、コスト、比較有効性解析が必要。

10万人の無症状子供に対し
・ 肥大型心筋症 45(95% CI 10-79)
・ long QT syndrome 7(95% CI 0-14)
・ WPW症候群 136(95% CI 55-218)

肥大型心筋症、long QT syndrome除外のためのECG、エコー、ECG/エコーのNPVはほぼ100%

対し、PPVは1%未満で、1人見つけるための検討数は、2611(エコー利用)から16592(long QT syndrome検知のための心電図利用)。

偽陽性数が389-2323で、10万あたりの偽陰性数は7から1

エコー単独の方が肥大型心筋症検知のためには有効

最大特異度99%と特異性に重きを置いたとき、PPVは2%から21%となり、NPVはこのとき、0.9999から0.9996(肥大型心筋症のための心電図)、0.9998(エコー and/or エコー/ECG)
 特異性に 重きをおくと、1例を見いだすための必要数が劇的に増大し、偽陽性は減るが、偽陰性が増加する。

・・・

AUCにより、心電図 and/or エコーは統計学的に許容される検診方法であるが、 住民ベースの話だと、検査コスト、及びそれに伴う不要な治療が絡んでくる。



この報告の限界は、アウトカムを死亡率としておらず、突然死を起こす可能性のある疾患を見いだすことだけということ。




参考:

Recommendations and Considerations Related to Preparticipation Screening for Cardiovascular
Abnormalities in Competitive Athletes: 2007 Update
A Scientific Statement From the American Heart Association Council on Nutrition, Physical Activity, and Metabolism Endorsed by the American College of Cardiology Foundation
http://circ.ahajournals.org/content/115/12/1643.full.pdf


高度運動若年女性:ビタミンD摂取と疲労骨折抑制効果 カルシウム・乳製品は関連せず





Vitamin D, Calcium, and Dairy Intakes and Stress Fractures Among Female Adolescents
Kendrin R. Sonneville et. al.
Arch Pediatr Adolesc Med. Published online March 5, 2012. doi:10.1001/archpediatrics.2012.5


7年フォローアップ、  疲労骨折3.9%

乳製品、カルシウム摂取は疲労骨折発症リスクと関連せず

しかし、ビタミンD摂取は、疲労骨折と逆相関 


ビタミンD摂取 最高vs最小5分位 多変量補正ハザード比にて、   0.49 (95% CI, 0.24-1.01; Ptrend = .07)


層別化解析で、少なくとも高密度運動1時間/日では、ビタミンD摂取と疲労骨折の相関性が推定され、ビタミンD摂取が多いと疲労骨折少ない  (Ptrend = .04)





牛乳・乳製品の過剰宣伝のせいか、スポーツマンは牛乳を過信している人が多い気がする。

カルシウム+ビタミンDサプリメントの効果・・・骨折予防効果なし、腎結石増加、直腸癌予防効果なし 2006年 02月 16日

上記ごとく、カルシウムと骨折予防、必ずしも一致したエビデンスはない。



全年齢的な検討で、乳製品カルシウム摂取量と骨折リスクは軽度U字型
カルシウムもとればとるだけ良いというわけではない。

Dietary calcium intake and risk of fracture and osteoporosis: prospective longitudinal cohort study
BMJ 2011; 342 doi: 10.1136/bmj.d1473 (Published 24 May 2011)
Cite this as: BMJ 2011;342:d1473


ACP:直腸結腸がん検診ガイダンスステートメント



Qaseem A, et al "Screening for colorectal cancer: A guidance statement from the American College of Physicians" Ann Intern Med 2012; 156: 378-386.
Guidance Statement 1: ACP recommends that clinicians perform individualized assessment of risk for colorectal cancer in all adults. :全成人への個別リスク評価

Guidance Statement 2: ACP recommends that clinicians screen for colorectal cancer in average-risk adults starting at the age of 50 years and in high-risk adults starting at the age of 40 years or 10 years younger than the age at which the youngest affected relative was diagnosed with colorectal cancer. :平均リスクでは50歳で検診、高リスクでは40歳、若年関連リスクではそのリスクの10歳下
Guidance Statement 3: ACP recommends using a stool-based test, flexible sigmoidoscopy, or optical colonoscopy as a screening test in patients who are at average risk. ACP recommends using optical colonoscopy as a screening test in patients who are at high risk. Clinicians should select the test based on the benefits and harms of the screening test, availability of the screening test, and patient preferences. :便潜血、S状結腸ファイバー、光学コロノスコピーを検診ツールに。高リスクでは光学コロノスコピーを。有益性と有害性を考慮し選択を
Guidance Statement 4: ACP recommends that clinicians stop screening for colorectal cancer in adults over the age of 75 years or in adults with a life expectancy of less than 10 years. :75歳を越えたら/もしくは生命予後10年未満では検診せず


推奨頻度より頻回にに行ってアウトカム改善、がん関連死亡減少するというエビデンスは存在市内。医療コスト増大を配慮している。
ACPは American Cancer Society、 U.S. Multisociety Task Force on Colorectal Cancer、 American College of Radiology (ACR)、USPSTF、Institute for Clinical Systems Improvementと一致

American College of Gastroenterologyは、光学コロノスコピーを検診モダリティーとして評価。ACRは、平均リスク患者での初期検診異常なし後、5年毎のCTコロノグラフィーあるいは二重造影バリウム注腸造影を推奨。

ACPの委員会は既存ガイドラインと自らのガイドラインの要約化を行った次第。


日本の「がん対策推進基本計画」とやらは、案の定、エビデンスなき暴走が続いている
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/gan_keikaku.html

検診率だけを問題にして、層別化とかコストに関して議論poor過ぎる・・・
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000008fcb.html#shingi1


“対がん対策”といえばコスト無視しても良いかのごとき議論の進め方


「75歳以上どころか、90歳でも」、そして、「がんどころか一次予防項目」をスクリーニングする日本の検診制度

医療機関に、コスト意識が全くないと、ステレオタイプなマスコミは批判するが、いびつな検診制度こそ・・・

米国:増加する人工膝関節置換術 真のニーズ評価を

Carr A, et al "Knee replacement"  
Lancet 2012; DOI:10.1016/S0140-6736(11)60752-6. 



the Lancetで、人工膝関節置換術に関する4つの方向性
  • 手術患者の選択を厳格に
  • 患者中心のアウトカム・再置換手術をエンドポイントとして長期モニタリング
  • コスト効果、臨床的有用性を示す大規模ランダム化トライアル後初めて新しいデザインを認可する
  • 関節炎早期のマネージメント改善で置換術必要性回避を


長期データとして、再置換手術のデータに限定されており、アウトカムとして残存疼痛・障害のようなアウトカムに関して十分なデータを提示できてない。
従来のアウトカム測定では、不必要な再置換術などにつながり、疼痛残存・機能障害などの問題点を過小評価につながる。 

現時点の膝置換術は、疼痛、障害、レントゲン的重症度と関連していない 。理想的には、夜間持続疼痛や運動荷重時薬物・運動療法で6ヶ月間改善しない患者に対して推奨されるべきだが、手術選択すべき症状重症度に関するコンセンサスが行われてない。


現時点での膝関節置換適応で一番多いのは変形性関節炎で、この報告でこの手術のリスク要素の疫学 をレビュー
55歳未満の症例増加があり、意思決定が、ニーズのに応じて行われいるか、さらに改善が必要。

小児:軽度頭部外傷でも注意力・認知・記憶障害に影響を与える

子供の場合、軽度の頭部外傷でも注意力や記憶障害に悪影響を与える可能性がある


Reliable Change in Postconcussive Symptoms and Its Functional Consequences Among Children With Mild Traumatic Brain Injury
Keith Owen Yeates et. al.
Arch Pediatr Adolesc Med. Published online March 5, 2012. doi:10.1001/archpediatrics.2011.1082
頭部外傷(TBI: traumatic brain injury)(n=186)、整形外科的外傷(n=99) 8歳、15歳

軽度頭部外傷歴のある子供は、整形外科的外傷既往の子供に比べ、認知症状、身体症状増加を示す。

信頼尤度群間差は身体症状に対しては時間と共に少なくなるが、認知症状は12ヶ月後も持続する。

軽度頭部外傷歴のある子供では、意識消失や神経画像異常を有する子供では、より増加。

症状の増加は、健康関連QOL低下と相関し、教育介入尤度の増加と関連する。



King-Devick 検査:ボクシング・格闘技関連頭部外傷・脳しんとう検査の妥当性 2011年 05月 02日
http://intmed.exblog.jp/12507173/


広汎脱分極所見:頭部外傷後アウトカムを予測 2011年 11月 05日
http://intmed.exblog.jp/13945462/


中等度・重度頭部外傷:受傷前スタチン使用にて生存率、長期機能的アウトカム改善 2011年 10月 12日
http://intmed.exblog.jp/13795497/


フットボールにもボクシングのような反復頭部外傷による認知機能、軸性障害など・・・遅発性明らかに 2010年 09月 24日
http://intmed.exblog.jp/11325950/



SSRIと妊娠:子供へのリスクと治療ベネフィット

妊娠中の女性の約6%が抗うつ薬を服用しているそうだ。
妊娠中抗うつ薬使用の便フィットとリスクに関して論じた報告。



無治療、うつ女性の子供は子供の成長抑制を示し、頭囲減少を示す。
一方、SSRI服用女性の子供は、頭囲減少を示すが、成長そのものは正常。
頭囲の意味するところは不明だが、後の行動異常や精神的異常と関連するという報告もある。

一方、妊娠中うつは女性にとってやっかいな問題で、子供の育児や子供そのものとのつながりとの関連もあり、治療ベネフィットも存在する。

バランスの問題となるが、妊娠中抗うつ治療は現在精神科医療の大きな議論の的となっている。


Maternal Use of Selective Serotonin Reuptake Inhibitors, Fetal Growth, and Risk of Adverse Birth Outcomes
Hanan El Marroun et. al.
Arch Gen Psychiatry. Published online March 5, 2012. doi:10.1001/archgenpsychiatry.2011.2333



妊娠中母体のSSRI使用による胎児成長・生下時アウトカム検討

胎児の生命に関わる前向き住民基本調査 Generation R Study

出生前うつ症状ありの母からの 胎児は、成長減少 (β = –4.4 g/wk; 95% CI: –6.3 to –2.4; P < .001) 、頭部成長減少 (β = –0.08 mm/wk; 95% CI: –0.14 to –0.03; P = .003)

SSRI使用母は、臨床的症状変動範囲内よりうつ症状少ない。


出生前SSRI使用は成長減少と関連しないが、胎児頭部成長減少と関連   (β = –0.18 mm/wk; 95% CI: –0.32 to –0.07; P = .003)

SSRI暴露児は、早期産リスク高い (odds ratio = 2.14; 95% CI: 1.08 to 4.25; P = .03)

米国:アナフィラキシー 16名に1人、 トリガーは薬物>食べ物>虫 反復例でも自己注準備されず

16名に1人、約6%が、電話調査によると、アナフィラキシー反応をいずれかの時点で有する




AAAAI: medpage http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/AAAAIMeeting/31490

Source reference:
Boyle J, et al "Anaphylaxis in America -- results from a national telephone survey" AAAAI 2012; Abstract 501.


2万を超す電話調査

アレルギーを有する場合の18%で、少なくとも1回はアナフィラキシー反応を1回でも経験。

そのうち、42%が15分以内に生じ、もっとも多いトリガーは薬物(33%)、食物(28%)、虫刺(21%)、他(15%)、不明(7%)、ラテックス(3%)

アナフィラキシー経験の内、38%がERケア、28%が抗ヒスタミン剤自己治療、13%が診療所、13%が自己投与エピネフリン

2回以上のエピソードが57%、18%のみがエピネフリンを準備



noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note