2016年9月28日水曜日

スタチン vs 非スタチン(LDL受容体upregulation作用) :LDL減少効果と血管イベント抑制効果の関連概ね同等

LDL受容体のup-regulationは、血中LDLコレステロールをコントロールするkey mechanism


LDL受容体発現upregulationに作用する非スタチン介入
(ie, 食事、胆汁酸排泄促進剤、ileal bypass、エゼチミブ)


“スタチン系薬物はコレステロール合成の重要酵素であるヒドロキシメチルグルタリルCoA還元酵素を阻害し,これはLDL受容体のアップレギュレーションおよびLDLクリアランスの亢進”に関与。また、“胆汁酸陰イオン交換樹脂は腸管からの胆汁酸再吸収を阻害し,肝LDL受容体のアップレギュレーションを起こさせて循環血液中のコレステロールを胆汁合成に動員する”
(http://merckmanual.jp/mmpej/sec12/ch159/ch159b.html)

エゼチミブは肝臓へのコレステロール供給を全体的に減少させ、肝臓内コレステロールを減少させ、SREBP(sterol regulatory element-binding protein)の遊離増加、ひいてはLDL-受容体upregulationを生じる

食事に関しては、肝臓へのコレステロール供給阻害食


LDL受容体upregulation関与非スタチンとスタチン群で、心血管イベント発生抑制効果差があるか?LDL減少効果や到達値と薬剤種類との関連性を評価

スタチンでなければならない・・・というわけではなさそう


Association Between Lowering LDL-C and Cardiovascular Risk Reduction Among Different Therapeutic Interventions
A Systematic Review and Meta-analysis
Michael G.
Silverman,  et. al.
JAMA. 2016;316(12):1289-1297. doi:10.1001/jama.2016.13985.



意義  LDL-コレステロール低下非スタチン治療の臨床的ベネフィットは未だ不明

目的  様々なスタチン・非スタチン治療横断的検討:LDL-C低下と相対的心血管リスク減少関連性評価

データ源・研究選択  MEDLINE と EMBASE データベースを検索 (1966-July 2016)
key inclusion criteriaは、ランダム化臨床トライアル、心筋梗塞を含む臨床的アウトカム報告
6ヶ月未満、60臨床イベント未満の研究除外
LDL-C受容体アップレギュレーション関与:9種類

データ抽出と作成  2名の著者が独立してデータ抽出・標準化データシートに入れデータをメタ回帰分析


主要アウトカムと測定  絶対的LDL-C減少値による主要心血管イベント(心血管死、急性心筋梗塞や他急性冠症候群、冠動脈再検、卒中)相対リスク(RR);主要冠動脈イベント5年発生率のLDL-C到達値との相関


結果  312,175名(平均年齢 62歳;女性 24%; ベースラインLDL-C 3.16 mmol/L[122.3 mg/dL)、49トライアル、39,645名主要血管イベントを含む


LDL-C値 1-mmol/L(38.7 mg/dL)減少あたりの主要血管イベント減少相対リスク
スタチン 0.77 (95% CI, 0.71-0.84; P < 0.001)
LDL受容体発現upregulationに作用する非スタチン介入(ie, 食事、胆汁酸排泄促進剤、ileal bypass、エゼチミブ) 0.75 (95% CI, 0.66-0.86; P = 0.002)
(between-group difference, P = 0.72)

これら5種治療組み合わせだと、LDL-C値 1-mmol/L(38.7 mg/dL)減少あたりの主要血管イベント減少相対リスクは  0.77 (95% CI, 0.75-0.79, P < 0.001)

他の介入に関して、LDLコレステロール減少程度に対する、観察相対リスク vs 予想相対リスクは

ナイアシン  0.94 (95% CI, 0.89-0.99) vs 0.91 (95% CI, 0.90-0.92) (P = 0.24)
フィブラート 0.88 (95% CI, 0.83-0.92) vs 0.94 (95% CI, 0.93-0.94)  (P = 0.02) ・・・これは、予測 (ie, greater risk reduction)よりかなり低い効果
cholesteryl ester transfer protein inhibitor 1.01 (95% CI, 0.94-1.09) vs 0.90 (95% CI, 0.89-0.91)  (P = 0.002)・・・これは予測 (ie, less risk reduction)より高い効果
proprotein convertase subtilisin/kexin type 9 inhibitor 0.49 (95% CI, 0.34-0.71) vs 0.61 (95% CI, 0.58-0.65)   (P = 0.25)


一次予防トライアルに関して、到達レベル絶対的LDC-Cは、主要冠動脈イベント(冠動脈疾患死あるいは心筋梗塞を含め、11,301イベント)絶対的発生率と有意相関
(1.5% lower event rate [95% CI, 0.5%-2.6%] per each 1-mmol/L lower LDL-C level; P = 0.008)
二次予防トライアルに関しては、4.6% lower event rate [95% CI, 2.9%-6.4%] per each 1-mmol/L lower LDL-C level; P < 0.001)

結論と知見  このメタアナリシスにおいて、スタチンと、LDL受容体発現upregulation作用非スタチン治療では、LDL-C値変化あたりの主要血管イベントの相対リスクは同等
LDL-C達成値は、主要冠動脈イベント発生率低下と相関する

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note