2013年4月16日火曜日

水俣病問題は社会全般の疫学無視の問題でもある ・・・ 司法の暴走も怖い

いろんな解釈があると思うが・・・

国の基準には合理性があるが、行政が認めない場合は、裁判所が独自に患者 を認定することができる」とする統一判断
という表現は、フジテレビ系列以外目立たない。事実なら、司法と行政との力関係はかなり崩れたことになる。医学的判断の経験の裁判官たちが、ゴールデンスタンダードに基づく情報学上に確立する診断学の基礎知識、現時点であるはずもない。彼らは病理学的な事象学に対してはある程度理解するかもしれないが、情報論理判断ができるのだろうか・・・危惧を感じる。そして、彼らはややもすると直感的一方的な判断を行うのだろう・・・それはそれで恐ろしい気がする。



ただ、水俣病でも、病理至上主義で主張を通してきた行政側やJT・企業側主張に対して
司法から以下の見解からはまっとうと思える判断がでてきたことはうれしいことと思う。


医学生や医師や健康施策に関わる行政、司法、インフォーマルな活動に参加する者が疫学・統計学に関する基礎知識を持つことを必要条件にしなければならないことを痛感する。
マスコミたちはどのような報道をするだろうか?今回も、疫学・統計学の問題を無視して、情緒的報道を繰り返すだけだろうか?


最高裁 水俣病と認める判決 4月16日 15時25分  
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130416/t10013953751000.html
 最高裁判所第3小法廷の寺田逸郎裁判長は、「国の現在の認定基準には一定の合理性があるが、それ以外のケースでも個別に判断して水俣病として認定する余地はある。裁判所は証拠に基づいて具体的に検討し、水俣病かどうか判断ができる」と指摘し、女性を水俣病と認めた判決が確定しました。

以下の意見に、共感を覚える部分がある

衛藤光明氏による平成19年3月1日付意見書の 問題点について
平成 19年 7月 7日 岡山大学大学院環境学研究科・教授 津田敏秀

http://www.okayama-u.ac.jp/user/envepi/dl/15_20120217.pdf



病理学はここの有無を判断しているだけで、右向き矢印 で示し因果判断に関しては情報を与えない


上記部分なのだが部分をみて、タバコ裁判おける横浜市立大学名誉教授蟹澤成好「病理学的には証明されていない」を思い出す。

津田教授は、今回と同様に、「横浜地裁判決の根本的問題点-高校生レベルの科学の誤解 」と称している。

http://www.okayama-u.ac.jp/user/envepi/dl/07_20120217.pdf





2006年・JT訴訟の時、声がないのが不思議だった・・・疫学・統計・公衆衛生など専門家たちの反論

「“原因”は病理によってのみ確定されるのであり、“疫学”によっては確定されないのである」2006年 10月 28日
http://ntmed.exblog.jp/4585565/

今後の「因果関係」に関する裁判に、疫学的判断・統計学的判断が加味されることを願う。司法関係者の中にも、ベイズ理論に詳しい方たち多かったような気がするのだが・・・






表-1  52年判断条件の解説図
水俣病の範囲に考える症候野組み合わせ

症状の
組合せ
感覚運動平衡機能求心性中枢性中枢性その他
障害失調障害視野狭窄眼科障害聴力障害組合せ
○:認められる △:疑いがある
水俣病の医学ー病像に関するQ&Aー  ぎょうせい 1995年刊
水俣病医学研究会(編):荒木淑郎・井形昭弘、衛藤光明 著

市中肺炎患者におけるTh17細胞:肺胞洗浄液、末梢血とも増加



Respiratory infection Original article T helper 17 cells are involved in the local and systemic inflammatory response in community-acquired pneumonia
Thorax 2013;68:468-474

マウスモデルにて、IL-17AとIL-22産生を特徴とする、T helper(Th) 17細胞が免疫病態生理と関連する
ヒトの市中肺炎(CAP)にて、Th17細胞の関与を検討

CAP患者のBALで、IL-17A、IL22単一陽性群、IL-17A/IL-22重複陽性CD4 T細胞健康対象者で増加


非重症・重症CAP患者において、BALにおけるIL-17A/IL-22重複陽性CD4T細胞比率有意増加。肺炎球菌、非肺炎球菌性肺炎でも増加。
入院時末梢血では、有意に、IL-17A/IL-22重複陽性CD4T細胞比率増加

入院1週後、この比率は、健康対照比較で、CAPで有意に増加のまま



IL-17ファミリー
http://www.rs.tus.ac.jp/iwakuralab/pdf/il17family.pdf

STOP:喫煙関連疾患入院患者に対するランダム化トライアル バレニクリン+カウンセリング vs カウンセリング単独


Smoking Termination Opportunity for inPatients (STOP): superiority of a course of varenicline tartrate plus counselling over counselling alone for smoking cessation: a 12-month randomised controlled trial for inpatients
Thorax 2013;68:485-486


外来での禁煙介入はコスト効果的であることが示されている。このエビデンスを信じて、入院患者開始後、バレニクリン+ Quitline-counsellingをQuitline-counselling単独と比較


方法 3つの病因で喫煙と関連する疾病で入院した成人患者 (18–75 歳)
12週間のランダム割り付け
・varenicline tartrate plus Quitline-counselling, (n=196)
・Quitline-counselling alone, (n=196)
12ヶ月フォローアップ


結果 ITT解析にて、持続禁煙比率はバレニクリン+カウンセリング群の方が、カウンセリング単独群より高い  (31.1%, n=61 vs 21.4%, n=42; RR 1.45, 95% CI 1.03 to 2.03, p=0.03).


結論 バレニクリン+カウンセリング併用は、入院での禁煙開始にて、12ヶ月フォローアップにて禁煙持続させることができる。
喫煙関連疾患入院での喫煙患者にたいし、治療チャンスである。

日本じゃ、喫煙関連疾患で入院しても、入院から禁煙治療開始するのは不可ですけどね・・・

CTによる骨粗鬆症評価 :DXA以上のパフォーマンス

あくまでも、たままた写したCTでの評価。

メタボリックシンドロームの診断目的として、研究目的外に腹部CT検査しても倫理性が問われない国・・・日本とは違う。


CTによる骨塩定量評価をDXAと比較

Opportunistic Screening for Osteoporosis Using Abdominal Computed Tomography Scans Obtained for Other Indications
Ann Intern Med. 16 April 2013;158(8):588-595


横断研究、CTとDXA 1867名 (n=2067対) 10年間6ヶ月間

測定: T12からL5椎体骨・骨梁CT-attenuation value (in Hounsfield units [HU])、L1では強調(study test)、DXA BMD測定(参照値)
Sagittal CT images assessed for moderate-to-severe vertebral fractures.
結果:
DXA定義骨粗鬆症患者では、CT減衰値(attenuation value)は、全脊椎レベルで、有意に低値   (P < 0.001)

L1のCT減衰閾値 として 160 HU以下定義の場合、感度 90%
閾値 110 HUの場合、骨粗鬆症とosteopenia、正常BMDとを鑑別する特異度90%超となった。

L1の減衰閾値 100 HU未満とする場合、骨粗鬆症の陽性予測値 68%
200 HU以上とする場合、陰性予測値は99%

最低1個の中等症・重症椎体骨骨折 119名のうち、非骨粗鬆症 T-score (DXA偽陰性)は62 (52.1%)であったが、L1あるいはT12-L5平均 145 HU以下の減衰はほとんどであった。

全ての椎体レベルで、同様のパフォーマンス認め、静注造影剤からの影響認めず。


Limitation:  様々な同定閾値を用いたベネフィット・コストに関して正式には評価されてない

結論: たまたま撮られた腹部CT画像では、腰椎椎体で、骨粗鬆症と正常BMDを、余計な放射線被曝やコスト増加なく、評価できる。

COPD薬剤 マネーゲーム中

Breoは、fluticasone furoateと新しい長期作用性βアゴニスト(LABA)である、vilanterolの合剤で、Elliptaと呼ばれる手のひらサイズの吸入グッズ使用

FDA/CDER/PADACの予定
http://www.fda.gov/downloads/.../UCM347924.pdf


Bloombergとか、Businessweekとかの報道も多く・・・なんだかなぁ




COPD薬剤は心血管系への懸念宿題あるのに、治療目標ターゲットの敷居が低く、製薬業界としてはマネーゲームしやすい状況。
COPD治療って、いまや、シェールオイル・ガス並みのいんちきマーケット素材といったら言い過ぎか・・・

Anoro (LABAであるvilanterol と LAMAであるumeclidinium)も・・・



結果:Mixed Messages on COPD Drug, FDA Review Finds
 http://www.medpagetoday.com/Pulmonology/SmokingCOPD/38501


Breo Elliptaは、vilameterol単独を凌駕するというベネフィットデータ示せず
トラフFEV1平均で、単剤より改善したという2つのトライアル、それぞれ、 48ml ,p=0.082 、 45ml, p=0.093

肺機能改善としてはさほど大きくなく、有意差もなかった


FUL/SAL vs SALの日本の治験でも似たようなものだったと思うのだが・・・
FDA関係のおえらいさんたちはFEV1至上主義に陥ってるらしく・・・

ICS適応は、急性増悪減少にあるはずなので、そのベネフィット立証が必要と思う。

慢性心房細動:CKD指標をCHADS2、CHA2DS2-VAScスコアに付加しても予後予測改善せず

慢性腎臓病(CKD)は卒中リスク層別化スキームに対して独立した予後情報を与える価値があるか?CHADS2スコアやCH2DS2-VAScスコア地震が腎障害と関連するのでこのような疑問が出てくる。

結論から言えば、CHADS2 and CHA2DS2-VASc scoreに、CKD評価を加えても独立した、予測因子とはなり得ない。

Does chronic kidney disease improve the predictive value of the CHADS2 and CHA2DS2-VASc stroke stratification risk scores for atrial fibrillation?
Thromb Haemost. 2013 Mar 21;109(5).

978名(男性 49%、年齢中央値 76歳)のpermanent or 発作性心房細動、経口抗凝固薬使用中の連続患者を検討

875(IQR 706-1059)日間フォロー後、心血管イベント 113名 (4.82%/年)、卒中 39 (1.66%/年)、 急性冠症候群  43 (1.83%/年)、急性心不全 32 (1.37%/年)
死オブ 102 (4.35%/年)、31例(1.32%/年)が血栓性イベント


C-統計・integrated discrimination(IDI)にて、CKDはCHADS2、CHA2DS2-VAScスコア改善せず



CKDの予後指標は、ESRDや死亡率なので、異なる結果予測をしてるわけで別に驚くべきことではないと思う。

米国FDA:DMAA(ジェラナミン、ジェラニウム・・・)含有サプリメントの危険性

ジェラナミン、ジェラニウム、DMAA含有サプリメントの個人輸入を謳ったサイト、今でも利用可能なまま放置されている。


Stimulant Potentially Dangerous to Health, FDA Warns
http://www.fda.gov/ForConsumers/ConsumerUpdates/ucm347270.htm

米国FDAは、あらゆるツールを使って、DMAAのサプリメントが市場で一般消費者に販売するための配布と使用できる状態にないことを確認しつつある。


DMAA、ジメチルアミルアミン
DMAAは、メチルヘキサンアミン、メチルヘキサナミン、ジェラナミン、ホルサン、ホルタンなどとも呼ばれる化学物質。ゼラニウム植物油由来の“天然成分”と宣伝されている場合があるが、そのような事実は確認されていない。俗に「ダイエットによい」、「運動能力向上によい」、「筋肉増強によい」などといわれているが、ヒトでの有効性については十分な情報が見当たらない。


 米国FDAが安全性についての根拠のないジメチルアミルアミンを含む製品に注意喚起 (120507)
http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail1926.html
DMAAは血管収縮作用をもち、血圧を上昇させて息切れや心臓発作などの心血管系イベントを誘発する可能性がある。米国FDAにはこれまでDMAAを含む製品による有害事象が42例報告されている。因果関係は確立されていないが、その中には心疾患、神経系疾患、精神疾患及び死亡が含まれる。 更に、ダイエタリーサプリメントに含まれ、しばしば「天然」覚醒剤とされる1,3-ジメチルアミルアミン、メチルヘキサンアミン、ゼラニウム抽出物についても言及。


ジメチルアミルアミン(DMAA)を含む いわゆる健康食品の取扱いについて
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/hokenkinou/dl/dmaa.pdf 


<論文紹介> 「興奮剤DMAA(ジェラナミン)はゼラニウム由来の天然物」はウソ - 成分分析で明らかに
http://www.wiley.co.jp/blog/pse/?p=8618

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