2013年10月3日木曜日

ICU利用後認知機能障害は長期間にわたり継続する:1年後も、軽度アルツハイマー病相当認知障害4名に1人、中等度頭部外傷相当3名に1人

anderbilt Universityの研究だが、ICU利用から800名以上の患者を検討したところ、1年後にも、75%には認知機能の問題が残存する。うち、3名に1人はアルツハイマー病と同様な認知機能問題が出現する。

Long-Term Cognitive Impairment after Critical Illness
P.P. Pandharipande, et. al.
for the BRAIN-ICU Study Investigators
N Engl J Med 2013; 369:1306-1316
October 3, 2013
DOI: 10.1056/NEJMoa1301372

登録検討 821名のうち、ベースラインでの認知機能異常 6%、 入院期間でのせん妄発生 74%。

3ヶ月時点で、全般的認知機能スコア(中等度頭部外傷後障害患者のスコアと同等) 一般住民の1.5SD未満は40%
一般住民2SD未満のスコア(軽度アルツハイマー病患者のスコアと同等)は26%

全患者のうち、12ヶ月時点での評価で、高齢、若年を含め、中等度頭部外傷後スコア同等 34%、 軽度アルツハイマー病患者相当は 24%存在。

せん妄期間が長いことが、3ヶ月、12ヶ月後の全般認知機能と独立して相関する( p = 0.001、 p=0.004)
そして、遂行機能障害と関連する (P=0.004 and P=0.007).

鎮静剤、鎮痛剤使用は、必ずしも、3ヶ月後、12ヶ月後の認知機能障害と相関せず

呼吸不全、心原性ショックは脳血流などの問題、敗血症は生体反応による組織障害の問題など、特に、敗血症はせん妄が長期出現し、認知機能への問題と関連することが示唆される。また、鎮静剤使用も関与していると考えられるが、検討では相関性が見られなかった。

降圧剤ARBはがん治療補助的役割がある? :solid stress改善性に働く

がん治療の時、降圧剤であるARB(ここでは、ロサルタン;ニューロタンなど)が補助的に働く可能性
がん細胞や間質細胞は、腫瘍血管を圧迫するsolid stressという外的物理的・力として働く。腫瘍間質マトリックスもまたsolid stressとして、hyaluronanがプライマリなマトリックス分子として、膨張し、血管圧迫に関与する。hyaluronanがコラーゲン豊富な腫瘍血管のみを圧迫し、コラーゲンとhyaluronanが腫瘍血管をdecompresssさせるターゲットとなることを意味する。
angiotensi抑制剤、この場合はロサルタンが、間質コラーゲン、ヒアルロン酸産生を抑え、TGF-β1、CCN2、ET-1というprofibrotic signalの発現を抑制し、angiotensi-II受容体-1抑制のダウンストリームを減少させ、solid stressを減少させ、血管還流増加をもたらす。この生理機序により、ロサルタンは、腫瘍への薬剤・酸素供給を改善し、化学療法効果促進、乳がん、膵がんモデルの低酸素減少を改善する。

Angiotensin inhibition enhances drug delivery and potentiates chemotherapy by decompressing tumour blood vessels
Vikash P. Chauhan,  et. al.
Nature Communications 4, Article number: 2516 doi:10.1038/ncomms3516
Received 05 July 2013 Accepted 29 August 2013 Published 01 October 2013

全エクソーム解析:遺伝子疾患異常可能性患者の1/4同定可能に


全エクソーム解析にて、遺伝的異常可能性がある場合、連続検討にて、うち25%で遺伝子異常を同定できる。
関連医師オーダーの250のprobandデータ。そして、遺伝性原因を示唆するphenotypeのレンジを有する患者で、神経学的phenotypeを有する約80%の子供。確立した遺伝子検査のそれと同程度の保険対応状況。
250名の患者のうち62名で原因と強く考えられる、86の変異alleleを同定、分子診断率 25%(95%信頼区間, 20−31%)
62名の患者のうち、33名が常染色体優性疾患で、16名が常染色体劣性遺伝、9名がX伴性疾患。

2つの非オーバーラップ分子学的診断を受けた4つのprobandで、病歴・身体所見からなされた臨床診断に影響を与えるものである。

常染色体優性遺伝子異常alleleの83%、X-伴性遺伝子異常alleleの40%はde novoで生じる。

再発性臨床的phenotypeは、同じ遺伝子で原因となる可能性がある変異患者で生じ、遺伝子的に異質な疾患との異なる遺伝子による受容性の違いが存在する。



Clinical Whole-Exome Sequencing for the Diagnosis of Mendelian Disorders
Yaping Yang, et. al.
NEJM October 2, 2013
DOI: 10.1056/NEJMoa1306555



疑われる遺伝子疾患に対して分子学的異常を同定する方法としての、Whole-exome sequencing(全エクソーム解析)
ゲノムの 1-2% の領域を占めるスプライシング反応で残るエクソン領域のみを解析することで効率的にエクソン上の変異(SNV (SNP)/InDel)を検出する手法、既知変異だけでなく未知変異についても同定可能で、希少疾患遺伝子同定に威力を発揮する(http://www.dna-chip.co.jp/services/sequence_exome.html)


noteへ実験的移行

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