2013年2月7日木曜日

薬物治療抵抗性うつに対して、認知行動療法は有効

これまでは、大規模ランダム化対照トライアルでは、薬物療法不応患者の次期ステップとして、認知行動療法(CBT)を抗うつ薬治療効果促進のため有効というエビデンスはなかったとのこと。

CBTを通常ケアに付随して行うことが有効な治療で、この群のうつ症状減少効果が証明された。

Cognitive behavioural therapy as an adjunct to pharmacotherapy for primary care based patients with treatment resistant depression: results of the CoBalT randomised controlled trial
Nicola Wiles et. al.
The Lancet, Volume 381, Issue 9864, Pages 375 - 384, 2 February 2013

469名、18−75歳の治療抵抗性うつ患者(6週間以上の抗うつ薬で、Beckうつ調査表 14点、ICD-10クライテリア を満たす)の2つの平行群多施設RCT

通常ケア vs 認知行動療法(CBT)+通常ケア
12ヶ月フォローアップ

プライマリアウトカムは治療反応(BDIスコア6ヶ月でベースライン比較で50%少なくとも減少)

2008年11月4日から2010年9月30日まで、通常ケア 235名、 CBT+通常ケア 234名

6ヶ月まで 422名(90%)、 12ヶ月まで396(84%)、

介入群 95名(46%) vs 通常群 46名(22%)
(オッズ非 3.26、 95%CI 2.1−5.06 p<0.001)


 

酒の値段ちょっとあげるだけで死亡率減少、酒屋の出店制限で死亡率減少?

アルコール値段を2倍に上げれば、死亡率 35%、交通事故死 11%、性行為感染症 6%、暴力 2%、犯罪 1.4%減少するというシステマティック・レビューがすでにある。
Effects of Alcohol Tax and Price Policies on Morbidity and Mortality: A Systematic Review
Am J Public Health. 2010 November; 100(11): 2270–2278.
doi: 10.2105/AJPH.2009.186007



ロイターでの報道
http://www.reuters.com/article/2013/02/07/health-alcohol-pricing-idUSL5N0B639V20130207

Journal Addictionに木曜掲載
原著:The Relationship between Minimum Alcohol Prices, Outlet Densities and Alcohol Attributable Deaths in British Columbia, 2002 to 2009
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/add.12139/abstract
カナダの 研究者たちは、2002年から2009年のブリティッシュ・コロンビア西部地区で、アルコール値段が微増したとき死亡率が低下し、酒屋(private alcohol store)が開店したらアルコール関連死亡が増加したという報告。
この知見は、アルコール施策者側にとって重要な吟味事項なはず・・・と

シェフィールドのBritain's University アルコール研究グループはStockwellの研究を評価し、アルコール価格による飲酒量制限は有害・危険レベルの飲酒を減少させることになると述べている。

Stockwellは、アルコール最小規模値上げは即時的、実質的、有意なアルコール寄与死亡を減少させ、10の値上げで32%の死亡率減少をもたらしたという。
長期的および総数的にアルコール関連死減少は、この値上げ後、2−3年で観察された。
同時、private liquor store数10%増加したものは2%の急性的、慢性的、総数的死亡率増加と関連した。


 そういえば、日本は、自由競争ということで酒店出店規制を撤廃したのでは?
国民の健康無視、経済界優遇路線施策といわれても仕方がない。なんでも規制撤廃というのは誤りだろう。免許世襲制が問題なら許認可時限性で良かったわけで・・・
アルコール消費をあおるビール消費量ニュース定期的にあるが、あの存在意義もわからない。シェア争いなど一般庶民にはニュース価値ないはずなのに・・・
酒造業界・酒販売に関して、日本では不思議なことが多い。


喫煙擁護意見のワンパターンに、「飲酒」の有害性を引き合いに出す詭弁が ある。
反論側が、「飲酒」も有害という前提に立てば、この詭弁は崩れる・・・

昨日も焼酎1合半ほど飲んでしまった

虚血性卒中急性期:血管内治療 vs t-PA静注 ・・・無障害生存率 有意差なし

発症後4.5時間以内の急性虚血性卒中362名を対象に、血管内治療 vs intravenous t-PAの比較

前者の血管内治療は、血管造影を血管内治療ガイドのため用い、ヘパリン5000単位ボーラス注入後500単位/時間毎注入。インターベンション施行者が薬物的な方法を選ぶか、機械的な方法を選ぶか選択。薬物的血管内治療は、マイクロカテーテルを使用しマイクロガイド使用で血栓の直近で、0.9mg/kg体重を超えない量のt-PA投与し、1時間以内に投与(患者体重100kgでも90mgを超えない)。再開通完全なら最大投与量前に終了。機械的血管再建はオプションで、施行者判断。
結果を見れば、信頼区間の幅が大きく、対象を限定すれば、血管内治療の方がよい場合のあるのかもしれない。

 プライマリアウトカムは、3ヶ月時点での無障害生存率

Endovascular Treatment for Acute Ischemic Stroke
Alfonso Ciccone, et. al.
for the SYNTHESIS Expansion Investigators
N Engl J Med. Feb. 6, 2013 
DOI: 10.1056/NEJMoa1213701

血管内治療 181名、 t-PA注射 181名 割り付け

卒中発症から治療開始までの中央時間は、それぞれ 3.75時間、2.75時間(p<0.001)

3ヶ月時点無障害生存は血管内治療 55名(30.4%) vs t−PA治療 63名(34.8%)
(年齢・性・卒中重症度・ベースライン心房細動補正オッズ比 0.71:95%信頼区間 0.44ー1.14;p=0.16)

7日以内の致死的・非致死的有症状頭蓋内出血は、各群 6%。群間に重大副事象イベント発生率有意差認めず。

Lp(a)値に影響する LPA locus内の遺伝子変異が大動脈弁石灰化

大動脈硬化は良性経過と考えられるが、臨床的動脈狭窄進行、心血管合併症死亡率との関連性の可能性がある。僧帽弁輪石灰化は心血管疾患リスクと関連し、約50%ほどリスク増加させるとされる。弁疾患進行予防対策は今のところない。
遺伝子要素の関連性が明らかとなれば、その対策もできるだろう・・・ということでの遺伝子との関連性研究。




Lp(a)値に影響する LPA locus内の遺伝子変異が大動脈弁石灰化と、多民族横断的に相関するという新しい知見が見いだされた

アジア人種に関する検討はないので、日本人に、即、適応できない話。
Lp(a)は、脂質だが、線溶系 とも関連し、冠動脈疾患や脳血管疾患とも関連するため、興味深い。


Cohorts for Heart and Aging Research in Genome Epidemiology (CHARGE) consortium 内の調査

Genetic Associations with Valvular Calcification and Aortic Stenosis
George Thanassoulis, et.al.
for the CHARGE Extracoronary Calcium Working Group
N Engl J Med 2013; 368:503-512

lipoprotein(a) (LPA) locus (rs10455872) のSNPで、大動脈弁石灰化genomewideの有意性認めた(odds ratio per allele, 2.05; P=9.0×10−10)。この傾向はヨーロッパ、アフリカ系アメリカ人、ヒスパニック系アメリカ人コホートでも再現。

遺伝的決定されたLp(a)値は、LPA genotypeで予測され、大動脈弁石灰化とも関連し、Lp(a)の原因的役割もあることを支持する所見である。

前向き解析では、LPA genotypeは、大規模なスウェーデン人コホートにおいて、大動脈狭窄発症と相関  (hazard ratio per allele, 1.68; 95% confidence interval [CI], 1.32 to 2.15) 、そして大動脈弁置換術 aortic-valve replacement (hazard ratio, 1.54; 95% CI, 1.05 to 2.27) とも相関。これは、独立したデンマーク人コホートでも再現。

2つのSNP (rs17659543 、 rs13415097)は、炎症惹起遺伝子 IL1F9の近傍にあり、僧帽弁石灰化に関しgenomewideに有意的  (P=1.5×10−8 、P=1.8×10−8,)、しかし、この所見は、常に再現された訳ではない。

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