2014年2月26日水曜日

COPD救急部門受診時リスク予測スケール Ottwa COPD リスクスケール

Clinical characteristics associated with adverse events in patients with exacerbation of chronic obstructive pulmonary disease: a prospective cohort study
CMAJ February 18, 2014 First published February 18, 2014,
doi: 10.1503/cmaj.130968


6ヶ所のカナダの学術救急部門(ED)受診34名重度副事象イベントあり、945名を登録

多変量モデルにて、56の変数;挿管経験、初回心拍 110/分以上、重症のため歩行困難、Hb 10g/dL未満、尿素 12 mmol/L(25.7 mg/dL)以上

これらと他5つの臨床変数を組み込んだ予備リスクスケールで、以下のリスク予測が示された。



配偶者との死別と急性心血管イベント

家族・配偶者の死別だけじゃなく、配偶者離別は、心理的だけじゃ無く、身体的悪影響を与える。

配偶者の入院により死亡率増加2006年 02月 16日
肉親死後悲嘆の“段階説(stage theory)”2007年 02月 21日
愛する人との別れ:”複雑性悲嘆”治療 2013/07/24

事故・病死を経験した家族・配偶者にはその急性期特段の配慮が必要だろう。できればシステマティックにと思うのだが、その致死性イベント頻度が明らかでなければ、どの程度の介入深度・頻度で効果的となるかも不明。心筋梗塞・卒中などの心血管疾患絶対的イベント頻度は0.2%以下となる。

論文の結論は、配偶者死別から数週間から数ヶ月は重大心血管イベントリスク増加 するというものだが、絶対的頻度としてはかなり少ないといえる。

英国プライマリケア・データベースのマッチ化コホート (401のGP、2005年2月から2012年9月)、60-89歳の30,447名の配偶者喪失後開始(年齢、性別、GPマッチ化対照群 83,588比較)

Increased Risk of Acute Cardiovascular Events After Partner BereavementA Matched Cohort Study
Iain M. Carey, et. al.
JAMA Intern Med. Published online February 24, 2014. doi:10.1001/jamainternmed.2013.14558 

プライマリアウトカムは、遺族配偶者の配偶者喪失30日内致死性・非致死性心筋梗塞(MIR)、卒中
セカンダリアウトカムは、遺族配偶者・非致死性ACS/肺塞栓
全アウトカムは事前設定配偶者喪失後30,90、365日


配偶者死後30日内で、遺族配偶者群 MI/卒中 50 (0.16%) vs 対照 67(0.08%)
 (IRR:Incidence rate ratios (IRRs) , 2.20 [95% CI, 1.52-3.15]).

遺族配偶者男女とも、30日後リスクは減少。


個別アウトカムに対し、それぞれ増加リスクは、MI (IRR, 2.14 [95% CI, 1.20-3.81])、卒中  (2.40 [1.22-4.71])


稀事象相関も死別後存在し、90日目非MI・ACS  (IRR, 2.20 [95% CI, 1.12-4.29]) 、肺塞栓 (2.37 [1.18-4.75])



IRR(Incident rate ratio)
 Closed studyでは、incidence rateと、cumulative incidenceを測定できますが、前者は各々観察期間が分かっていなくてはなりませんし、後者は追跡不能者が少なく、competing riskがなく、観察期間中のexposure riskが同じで有り、対処が皆同じ期間観察sれなくてはなりません。 cumuulative incidenceを使うと発生頻度が多い場合、食中毒や急性感染症流行期などに向きます。・・・・

Closed cohort studyにおいて経過観察が長期化すれば途中死亡や経過追跡不能が増え、観察が困難になってきます。そのような場合person-timeに基くrateを考慮しなくてはなりません。

Incidence rate difference = X1 / T1 – X0 / T0
Incidence rate ratio = ( X1 / T1) / ( X0 / T0)
ここで、Tは、person-timeであらわされます。
http://dr-urashima.jp/pdf/eki-8.pdf


生ワクチンMMR接種は、不活化ワクチンに比べ、全原因感染症入院減少に寄与する

低所得国での生麻疹ワクチンによる他疾患原因死亡率減少効果が示されているが、高所得国ではワクチンの非特異的死亡率減少効果は示されてなかった。


デンマークに於けるMMR生ワクチンによる感染症入院率への効果、主要アウトカムとしては、全感染症入院のDTaP-IPV-Hibと比較した、MMR接種者のIRR(Incidence rate ratio)
on time MMR接種あたりのリスク、リスク差、ワクチン必要数


不活化ワクチン DTaP-IPV-Hibに比べ、生ワクチン MMR接種は、入院率減少に寄与する。


Live Vaccine Against Measles, Mumps, and Rubella and the Risk of Hospital Admissions for Nontargeted Infections
Signe Sørup, et. al.
JAMA. 2014;311(8):826-835. doi:10.1001/jama.2014.470.


509,427人年あたりの全感染症入院56,889件、 49,9587名の小児 (発生率, 100人年あたり 11.2 )


推奨スケジュール遵守、DTaP-IPV-Hib3回め投与後MMR接種456,043名の子供に対し、MMR 100人年あたり 8.9 、DTaP-IPV-Hib3回投与 12.4で、全感染症あたり補正IRR 0.86 (95% Ci, 0.84 - 0.88)


シークエンス外ワクチン19,219名存在。補正IRRは、 0.87 (95% CI, 0.80 - 0.95)
DTAP-IPV-HIB2回投与(100人年 15.1)後、MMR接種(100人年 9.9)


MMR後に3回目のDTaP-IPV-Hib3回ワクチン接種後 (100人年 12.8 )の1981名では、IRRは感染入院多い (感染入院 IRR  adjusted IRR, 1.62 [95% CI, 1.28 - 2.05])


16ヶ月から24ヶ月の感染症入院リスクは、MMR後 4.6% (95% CI, 4.5%-4.7%) 、MMR非接種後 5.1% (95% CI, 5.0%-5.2%)



リスク差は、0.5%(95% CI, 0.4 - 0.6)、1入院防止のためのMMRワクチン必要数 201 (95% CI, 159-272)



日本がワクチン後進国になったのは、かつての3大新聞社・主要全国ネットテレビ局までも反ワクチン運動に荷担し、情緒的報道を行い、世論をミスリードしたことが主因と私は思う。ワクチンの功罪の「功」の部分を矮小化し、国民の健康を阻害している日本のマスコミ。Hibワクチンや小児肺炎球菌ワクチンの効果がそろそろまとまってきているようで、某政党あたりが自分たちのおかげと主張しているのも腹立たしい。HPVワクチンを子宮頸がんワクチンと称し、偽の装飾を行い、コンジローマなどのアウトカムを無視する非科学性に荷担してるくせに・・・



noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note