2022年10月5日水曜日

遺伝性アルツハイマー病:髄液Aβ42濃度高いほど認知機能正常→治療ターゲットの変更すべき時機なのかもしれない

" アルツハイマー病:ADの原因となる遺伝子変異を有するアミロイド陽性者では、CSF Aβ42レベルが高いほど認知機能が正常である"という治療ターゲット変更を示唆する研究


High Soluble Amyloid-β42 Predicts Normal Cognition in Amyloid-Positive Individuals with Alzheimer’s Disease-Causing Mutations
Sturchio, Andreaa, et. al.
Keywords: Alzheimer’s disease, amyloid-β , atrophy, cognition, FDG-PET
DOI: 10.3233/JAD-220808
Journal: Journal of Alzheimer's Disease, vol. Pre-press, no. Pre-press, pp. 1-15, 2022
https://content.iospress.com/articles/journal-of-alzheimers-disease/jad220808

背景
アルツハイマー病(AD)リスクのあるアミロイド陽性者では、可溶性42-アミノ酸アミロイドβ(Aβ42)の高値が正常な認知機能と関連している。この関係が遺伝的コホートにおいて縦断的に適用されるかどうかは不明である。

目的
アルツハイマー病(AD)原因変異(APP、PSEN1、PSEN2)を有するアミロイド陽性者において、高Aβ42が、脳アミロイド、脳脊髄液(CSF)リン酸化タウ(p-tau)、総タウ(t-tau)の低レベルよりも高い程度に正常認知機能を維持するという仮説を検証することである。

方法
認知機能の進行は、3年間の臨床的認知機能評価(CDR=0:正常認知、0.5:超軽度認知、1:軽度認知)の上昇と定義された。アミロイド陽性は、ピッツバーグ化合物B陽電子放射断層撮影法(PiB-PET)による標準取り込み値比(SUVR)≧1.42と定義された。相対リスク(RR)の推定には修正ポアソン回帰モデルを用い、発症年齢、性、教育、APOE4状態、追跡期間を調整した。結果は、Cox回帰を含む複数の感度分析で確認された。

結果
232人の突然変異体保有者のうち、108人がベースラインでPiB-PET陽性であり、3.3±2.0年後に43人(39.8%)が進行の基準を満たした。可溶性Aβ42値は、CDR非進行者ではCDR進行者より高かった。Aβ42の高値は、SUVRの低値(RR, 0.81; 95% CI, 0.68-0.96; p = 0.018)よりも低い進行のリスクを予測した(調整後RR, 0.36; 95% CI, 0.19-0.67; p = 0.002)。進行リスクの低さを予測するCSF Aβ42値は、SUVR値が高いほど増加した。

結論
ADの原因となる遺伝子変異を有するアミロイド陽性者では、CSF Aβ42レベルが高いほど認知機能が正常であることが予測される。


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