2013年2月21日木曜日

H.ピロリ除菌:内視鏡確認・慢性胃炎への適応拡大

上部内視鏡したら、大概、慢性胃炎所見は存在するのだが・・・  大丈夫なのだろうか?
e.g. )30-40歳以上にむしろ正常所見は少ない
http://ir.twmu.ac.jp/dspace/bitstream/10470/15052/1/3807000001.pdf


 「ヘリコバクター・ピロリ除菌療法」に、「ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎におけるヘリコバクター・ピロリの除菌」が追加承認されたとのこと。

 追記として・・・
ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎に用いる場合は、ヘリコバクター・ピロリが陽性であること及び内視鏡検査によりヘリコバクター・ピロリ感染胃炎であることを確認すること。
ヘリコバクターピロリ感染の確認に関しては、患者毎に、(1)及び(2)の両方を実施する必要があります。
(1)ヘリコバクター・ピロリの感染を以下のいずれかの方法で確認する。
迅速ウレアーゼ試験、鏡検法、培養法、抗体測定、尿素呼気試験、糞便中抗原測定
(2)胃内視鏡検査により、慢性胃炎の所見があることを確認する。
なお、感染診断及び除菌判定の詳細については、各種ガイドラインなどを参照してください。

だが、


現時点では・・・

http://recenavi.net/2012/etc/herico.html


除菌前の感染診断
ヘリコバクター・ピロリ感染の診断及び治療に関する取扱いについて

1 対象患者   ヘリコバクター・ピロリ感染症に係る検査については、以下に掲げる患者のうち、ヘリコバクター・ピロリ感染が疑われる患者に限り算定できる。
①内視鏡検査又は造影検査において胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の確定診断がなされた患者
②胃MALTリンパ腫の患者
③特発性血小板減少性紫斑病の患者
④早期胃癌に対する内視鏡的治療後の患者


普通に考えれば、検査も可能なはずだが、内視鏡確認胃炎だけで、上記除菌前感染診断ができるか、確認を急ぎたい。

「ヘリコバクター・ピロリ感染の診断及び治療に関する取扱いについて」の一部改正について(H25.2.21)
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/iryouhoken15/dl/tuuchi-h24-0221-31.pdf

ヘリコバクター・ピロリ感染症に係る検査については、以下に掲げる患者のうち、ヘリコバクター・ピロリ感染が疑われる患者に限り算定できる。
① 内視鏡検査又は造影検査において胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の確定診断がなされた患者
② 胃MALTリンパ腫の患者
③ 特発性血小板減少性紫斑病の患者
④ 早期胃癌に対する内視鏡的治療後の患者
内視鏡検査において胃炎の確定診断がなされた患者
ただ、レセプト記載に注意


7 診療報酬明細書への記載について
(1)1の対象患者①及び⑤において、内視鏡検査等で確定診断した際の所見・結果を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
(2)1の対象患者①及び⑤において、健康診断として内視鏡検査を行った場合には、診療報酬明細書の摘要欄にその旨を記載すること。

知らなかったが・・・
除菌判定に関しては、除菌終了後4週間以上経過した患者に対して、2に掲げる検査法(迅速ウレアーゼ試験、鏡検法、抗体測定、尿素呼気試験、糞便中抗原測定)のうちいずれかの方法を実施した場合は1項目に限り算定できる。異なる検査法で再度検査した場合は、さらに1項目に限り算定できる
 除菌確認は2種類検査できることになっている。不思議なのはそのまんま読めば抗体法さえ除菌確認に利用されると読める。定量比較なら一応判定可能らしいという記載もあるが、抗体測定持続の問題であまり推奨されてなかったと思う。時代が変わったのだろうか?


二次除菌も承認を同時に受けたということ
(e.g. ランサップだけじゃなく、ランピオンも同時承認とのこと)

参考
ヘリコバクター・ピロリ学会
http://www.jshr.jp/
「ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎も保険適応に」
「ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎」に対する効能・効果追加の公知申請が、平成25年2月21日に承認されて、同月22日より除菌治療が可能となりました。
今回は除菌治療に関係する薬品の効能・効果の追加だけですので、感染診断、除菌判定、そして除菌治療法は従来と変わりません。しかし、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎の内視鏡診断が必要であり、下記の解説を参考にした適切な対応が求められます。
【使用上の注意】
ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎に用いる際には、ヘリコバクター・ピロリが陽性であること及び内視鏡検査によりヘリコバクター・ピロリ感染胃炎であることを確認すること。
【解説】
ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎の確認に際しては、患者ごとに、(1)及び(2)の両方を実施する必要があります。
(1)ヘリコバクター・ピロリの感染を以下のいずれかの方法で確認する。
迅速ウレアーゼ試験、鏡検法、培養法、抗体測定、尿素呼気試験、糞便中抗原測定
(2)胃内視鏡検査により、慢性胃炎の所見があることを確認する。
なお、感染診断及び除菌判定の詳細については、各種ガイドライン等を参照してください


ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎における
プロトンポンプ阻害剤を含む3剤併用によるヘリコバクター・ピロリ除菌療法の適応追加承認取得について
http://www.takeda.co.jp/news/2013/20130221_5658.html  



乳酸菌飲料の過剰宣伝の結果と思うが、ネットで見ると、乳酸菌飲料で除菌可能と思われている節があり、かなり気になる

関連論文には、”抑制”と書かれてるが、irradiation(除菌)とは書かれてない。
J Gastroenterol Hepatol. 2006 Sep;21(9):1399-406.
Suppression of Helicobacter pylori-induced interleukin-8 production in vitro and within the gastric mucosa by a live Lactobacillus strain.
 ミスリードを目的とした過剰宣伝の疑いがある。

 明治のR1と同様・・・乳酸菌関連企業は過剰宣伝やステマなど倫理性に欠ける

急性むちうち:救急部門での積極的マネージメントは効果なく、理学療法パッケージに軽度効果?

日本で行われている治療と異なり、急性状況のむちうち症って、治療積極的にする価値がないというのが一般的だとおもうが・・・
むちうち症は 積極的に治療するほど 回復が遅れる 2005年 10月 25日

早期積極的治療法がむち打ち症の回復を遅らせる 2007年 05月 29日
今回の報告では・・・ 救急部門でのスタッフにトレーニングを施し、積極マネージメントコンサルテーションを行い、その価値があるかどうか?(ステップ1)
そして、理学療法パッケージが、単回助言より効果があるかの検討(ステップ2)

結果は・・・
積極的マネージメントコンサルテーションに付加的ベネフィット無し
理学療法パッケージで、持続性症状の軽度早期回復ベネフィット軽度あるかもしれない
というもの

Emergency department treatments and physiotherapy for acute whiplash: a pragmatic, two-step, randomised controlled trial
Sarah E Lamb DPhil, et. al.
The Lancet, Volume 381, Issue 9866, Pages 546 - 556, 16 February 2013 Published Online: 18 December 2012

ステップ1:12のNHS Trust病院、15のEDでの、grade I-IIIの急性むち打ち症状 プラグマティック、クラスターランダム化トライアル
積極的治療群 vs 通常ケアコンサルト

ステップ2:入れ子個別ランダム化トライアル、6回の理学療法セッション or 単回助言セッションで、センターにより層別化

研究者マスク化けアウトカムを4、8、12ヶ月後評価

ステップ1では、6952名登録中3851名が同意
割り付けとしては、通常ケア 1598、積極治療 2253
2704/3851*70%)で12ヶ月データ取得可能

NDIスコアは、積極治療群と、通常コンサルトで差を認めず
(12 ヶ月時点差 0.5, 95% CI −1.5 〜 2.5)

ステップ2では、599名ランダム割り付けで、助言のみ 299名、 理学療法パッケージ 300名、12ヶ月データ取得可能は479(80%)
理学療法4ヶ月で軽度助言よりベネフィット認め、NDI差 3.7 , -6.1〜-1.3)
積極マネージメントコンサルト・理学療法パッケージは、通常ケア・単回セッション助言より高額

重篤な副事象・死亡認めず


肥満手術は、種類問わず、コスト効果のエビデンス無し

肥満手術は医療コスト全般を軽減することはない
どのタイプの減量手術のも、そのエビデンスは存在しない。

Impact of Bariatric Surgery on Health Care Costs of Obese PersonsA 6-Year Follow-up of Surgical and Comparison Cohorts Using Health Plan Data
Jonathan P. Weiner,  et. al.
JAMA Surg. 2013;():1-8. 
doi:10.1001/jamasurg.2013.1504

手術藷年時、医療コストは平均$8905、比較群では$9908
3-4年で、手術群の方のコストが上回る
Year 3 -- $9,211 versus $9,041
Year 4 -- $9,051 versus $9,232
Year 5 -- $9,386 versus $8,966
Year 6 -- $9,259 versus $8,714


日本で、肥満手術保険適応化判断・・・独自に、コスト効果解析の上、行うべき

肺がん低放射線量CT検診対象者篩い分け指標: PLCO/M2012  ・・・それにしても・・・日本・地方の悲惨さ

National Lung Screening Trial (NLST) で、低放射線量CTを用いた肺がん検診で、肺がん死亡率を20%減少させることが示されたことは大きい話題であった。高リスク対象者での臨床的実践としての肺がん検診の推奨が今始まったわけだ。

どこの県とは言わないが・・・リスク層別化せず、農協関係の団体が、放射線被曝リスク説明せず、県知事がテレビでそれを勧めるあほなところが存在するが・・・ 鹿**県

そういう馬鹿なところを除き、多くの場合推奨は「55-74歳で、喫煙歴 30 pack-yearsで、禁煙歴15年未満」 ただ、連続データの2分割で、多くのリスク変数情報が除外されてしまっていることが多い。リスク変数を再定義することで肺がん検診発見者あたりの検診必要数を減少させるべく、その工夫の論文


Prostate, Lung, Colorectal and Ovarian (PLCO) Cancer Screening Trialのときのデータを用い、肺がん検診効率化・見逃し少なくするよう工夫したリスク変数評価 
Selection Criteria for Lung-Cancer Screening
Martin C. Tammemägi, et. al.
N Engl J Med 2013; 368:728-736
February 21, 2013
DOI: 10.1056/NEJMoa1211776

修正PLCOM2012
・年齢/1歳増加毎 1.081(1.057-1.105) 
・人種・民族 白人 1.000、 黒人 1.484(1.083-2.033)、 アジア 0.475(0.195-1.160)、 アメリカ系インディアン・アラスカ原住民 1、ハワイ原住民・太平洋島原住民 2.793(0.992-7.862) 
・教育レベル1つ上がる毎 0.922(0.874-0.972) 
・BMI -1毎  0.973(0.955-0.991)

・COPD (yes or no)  1.427(1.162-1.751)

・がん既往(yes or no) 1.582(1.172-2.128)

・がん家族歴(yes or no) 1.792(1.472-2.200)

・喫煙状態(current or former) 1.297(1.047-1.605)

・喫煙強度

・喫煙期間-1年増加毎 1.032(1.014-1.051)

・禁煙期間-1年増加後 0.970(0.950-0.990)

NLSTクライテリアとPLCOM2012比較
AUCは、開発データで 0.803、評価データで 0.797

NLSTクライテリアに比べ、PLCは、
感度改善 (83.0 T vs 71.1% p<0 .001="" p="">PPV 4.0% vs 3.4% p=0.01
特異性消失なし 62.9% vs 62.7% p=0.54
41.3% ほど肺がん見逃し低下
NLST検診効果はPLCOM2012リスクによりばらつき少ない

財務省・厚労省の予算構築ってのは実に不思議
Efficacyを考慮しないずさんな行政施策というのが根本
検診というのは見逃しが存在しないという妄想が、官民ともにあり、いつまでも、無駄な検診で、血税垂れ流しがいつまでも続き、むしろ、拡大傾向にある
地方行政に目を向けると、もっと悲惨で、効果期待できない検診までも、受けない人間を罵倒する事態し強制することもある。
日本国中が検診性善説に毒されているが、その弊害を知っていながら、批判・忠告もしない全国の医師たちも同罪である。

逆流性食道炎に対するmagnetic sphincter

逆流性食道炎に対するmagnetic sphincter
 




原著ウェブに動画解説がリンクされている。

Esophageal Sphincter Device for Gastroesophageal Reflux Disease
Robert A. Ganz,  et. al.
N Engl J Med 2013; 368:719-727 February 21, 2013
DOI: 10.1056/NEJMoa1205544

前向きに100名のGERD患者に対し、sphincter augmentationを用いた前後の評価
プライマリアウトカムは、食道酸暴露の正常化、もしくは、食道酸暴露1年間の50%以上の減少
64%(95%信頼区間[CI], 54-73%)の患者でプライマリアウトカム到達

GERD関連QOL50%以上改善・PPI使用50%以上減少をセカンダリアウトカムとする場合、PPI使用50%以上減少は50%、QOLスコア50%以上改善は92%

最大の副作用は嚥下困難(手術直後68% 、1年時点で11%、3年時点で4%)

対照治験ではなく、前後比較であり、通常治療とベネフィット差、コスト
差が討議されてない。

フォローアップ研究が必要、特に長期安全性に関しては不明。



noteへ実験的移行

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