2012年2月29日水曜日

薬品:賦形剤ゼラチン :患者側は使用控えたいという希望が半数、 食事指導と矛盾処方も・・・

日本人は薬に含まれる動物由来ゼラチンに対し毛嫌いをするだろうか?ゼラチンアレルギーの人はともかく、さほど気にしない人が多いと思うけど?

ベジェタリアンやイスラムとか宗教上の理由や、BSEへの極度の恐れなど

Ethics and law
Inadvertent prescription of gelatin-containing oral medication: its acceptability to patients
Postgrad Med J doi:10.1136/postgradmedj-2011-130306


医薬品賦形剤(excipient) というのは錠剤・カプセルの塊を作る成分で、医師たちは処方時、薬物の“作用物質”のみに関心を示すことが多い。
多くの薬物には賦形剤としての ゼラチンが含まれ、それはほぼ動物由来である。
泌尿器系薬剤もほぼ100%動物由来のゼラチン賦形剤、2010年1月から6月に行った、innter-cityの人種るつぼ地域でのアンケート調査で、代替法なくても動物由来の賦形剤使いたくないという希望があった。
食事制限されてるのに51%の下部尿路症状を持つ場合でもゼラチン入り製品を処方されていた。
(プリン体の問題?)
賦形剤に関する医療従事者の教育と、食事性嗜好についての患者に聞くことで、不用意な賦形剤ゼラチン処方を防ぐことが出来るかも?


ゼラチン含有に関しては、ワクチンに関しては注意されるが、内服薬などはあまり気にされない。

添付文書検索(http://www.info.pmda.go.jp/psearch/html/menu_tenpu_base.html)すると、 992件もの“ゼラチン”記載があるようだ。


ちょっと調べただけで、プルセニドとかプロヘパールユーエフティー配合カプセルドプスカプセル100mg/ドプスカプセル200mgアミノレバンEN配合散ユベキノンメフェナム酸カプセルなど。


賦形剤ゼラチン含有の有無は複雑で、

・ドプスなんて、錠剤には含まれないが、カプセル剤型には含まれる。

・先発薬 ザイロリックには含まれないが、後発品である アロプリノール錠100mg、「アロプリノール錠50mg「杏林」/アロプリノール錠100mg」、 アロプリノール錠50mg「アメル」/ アロプリノール錠100mg「アメル」は含む。



尿中ビスフェノールA濃度と、冠動脈疾患に相関

bisphenol A (BPA)は、食品産業のプラスティックとして存在する化学物質で、心疾患との関連が報告されている。BPAと虚血生心疾患関連性を示す3つめの報告(Association of Urinary Bisphenol A Concentration with Heart Disease: Evidence from NHANES 2003/06 PLoS One. 2010 Jan 13;5(1):e8673. 、Circulating levels of bisphenol A and phthalates are related to carotid atherosclerosis in the elderly. Atherosclerosis. 2011 Sep;218(1):207-13. Epub 2011 May 10.  )であり、ラットやマウスで安全性試験がなされているが、人では腎排泄であり、齧歯類での安全性試験がなされていることに対する疑問が存在する。飲水、歯のシーラント、皮膚暴露、家庭内粉じん吸入などから暴露される可能性。


Urinary Bisphenol: A Concentration and Risk of Future Coronary Artery Disease in Apparently Healthy Men and Women  
Circulation. 2012;CIRCULATIONAHA.111.069153published online before print February 21 2012
758名の冠動脈疾患(CAD)発症例と861名の対照を10.8年フォローアップ
European Prospective Investigation of Cancer - Norfolk UK

40-74歳、ベースラインでのCAD・卒中・糖尿病無しのスポット尿中サンプル

尿中(u)BPA 濃度(中央値 1.3 ng/ml)は低く、uBPA SDあたり (4.56ng/ml)増加で、年齢、性別、尿中Cr補正モデルで、CAD発症と相関 (n=1919, OR=1.13 95% CI 1.02 to 1.24, p=0.017)

CADリスク要素補正(教育、職業的社会階層、BMIカテゴリー、収縮期血圧、脂質濃度、運動)でも同様だが、両側有意差やや消失  (n=1744 OR=1.11 95% CI: 1.00 to 1.23, p=0.058).

完全補正モデル感度分析にて、早期CAD(3年以上フォローアップ)、BMI≧30、腎機能障害、ビタミンC負荷補正、CRP、アルコール摂取を除外後、同様な推定となり、すべて相関性を示した(p≦0.05)。



BPAは内分し攪乱物質として、ホルモン調整の阻害をもたらす。エストロゲン拮抗作用、アンドロゲン拮抗作用などが知られてきたが、他に、肝障害、膵β細胞障害、甲状腺細胞障害、肥満促進効果なども記載されている。BPAが摂取され、可溶性代謝物となった場合、成人男女では5.3時間の半減期で、腎排泄型。倫理的事情で、暴露実験が出来ないが、ラットでは、非抱合BPAがbisphenol A-glucuronideとなり、尿排泄されていると考えられる。尿中排泄濃度高値なら人への影響、肝臓・インスリン関連、心血管疾患、肥満への影響があるはず。そういうことで、尿BPA濃度が重視されている。


BPAは Maxi-Kチャンネルを活性化し、毒性を示す可能性(Br J Pharmacol. 2010 May;160(1):160-70. Epub 2010 Mar 19.)

厚労省:ビスフェノールAについてのQ&A
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/kigu/topics/080707-1.html

WHO・米国FDA :2012-2013インフルエンザワクチン ウィルス株 決定

次期インフルエンザワクチン:2012-2013 trivalent vaccine(2012-2013 3価ワクチン)の話題


米国FDAワクチン・関連生物的製剤助言委員会は、18-0で全員一致で、California H1N1 strainをキープしたまま、H3N2をPerth strainをVictoria strainに置き換え、Bに関しては、データ不充分ということで、17-1で、Brisbane/Victoria strainをWisconsin/Yamagata strainに置き換え


WHOは、California and Victoria influenza A strain と、California and Victoria influenza A strainを北半球・2012-2013シーズンワクチンとする推奨を示した。

情報:http://www.medpagetoday.com/InfectiousDisease/Vaccines/31413

安定狭心症:初期治療としての冠動脈ステントは薬物治療を上回るベネフィット認めず

Initial Coronary Stent Implantation With Medical Therapy vs Medical Therapy Alone for Stable Coronary Artery Disease
Meta-analysis of Randomized Controlled Trials
Kathleen Stergiopoulos, MD, PhD; David L. Brown, MD

Arch Intern Med. 2012;172(4):312-319. doi:10.1001/archinternmed.2011.1484




メタアナリシスでも、安定冠動脈疾患(CAD)治療アウトカム関し、PCI(経皮的冠動脈インターベンション) vs 薬物療法比較で、異なる結果が示されている。

しかし、以前のシステマティック・レビューの多くは、バルーン血管形成を薬物療法と比較し、現行のインターベンションや薬物療法を反映していない。

初期治療として、冠動脈ステント挿入と、薬物療法を比較した全ランダム化臨床トライアルのメタアナリシスを施行し、死亡への影響、非致死的心筋梗塞、計画にない血管再建、狭心症持続を評価。



結果は、8つのトライアル7229名。

3つのトライアルは心筋梗塞(MI)後安定、6研究は負荷試験安定狭心症/虚血症例。

平均荷重フォローアップ期間4.3年、ステント挿入と薬物治療の死亡イベント率は、8.9%、9.1% (OR, 0.98; 95% CI, 0.84-1.16); 非致死的MI 8.9% 、 8.1% (OR, 1.12; 95% CI, 0.93-1.34); 計画にない血管再建 21.4% 、 30.7% (OR, 0.78; 95% CI, 0.57-1.06); 狭心症持続  29%、 33% (OR, 0.80; 95% CI, 0.60-1.05)

結論としては、安定CADに対し、初期治療としての薬物療法と比較して、初期治療としてのステント挿入は、死亡予防、非致死的MI、計画にない血管再建、狭心症予防へのベネフィットエビデンス認めず。




非専門家の解析で、ステントのベネフィットを見逃されていると主張もある。しかし、現行ガイドラインには、上記メタアナリシスの主張が採用され、アスピリン、スタチン、ACE阻害剤/ARBをライフスタイル介入と共に推奨されている。

死亡率・狭心症改善を示した以前の報告とは反しているが、高齢者を含む以前の解析ではその薬物治療の有効性が低く、PCIが大きな役割を果たしたと考えられる。


解説:http://www.medpagetoday.com/Cardiology/PCI/31402






Stents Overused in Stable Heart Patients
Study Finds No Benefit of Stents Over Using Medications First

USで、安定狭心症患者の待機的冠動脈形成術・ステント過剰治療が問題になっている

日本での現状は、安定狭心症へのステント過剰治療問題、議論さえ見聞きできないのだが・・・私の情報収集能力不足?

睡眠薬と死亡率の関連 ;年18回分処方ですら死亡率増加


Pharmacology and therapeutics
Hypnotics' association with mortality or cancer: a matched cohort study
BMJ Open 2012;2:e000850 doi:10.1136/bmjopen-2012-000850



睡眠薬処方されている場合、18錠/年未満でさえ、3倍の死亡ハザード増加
この相関は、いくつかの通常使用睡眠薬個別解析、あるいは、新規短期作動薬剤でも同様に観察される。
健康状態の悪い患者への睡眠薬の選択的処方にするよう制御することでは、この超過死亡増加を説明出来ない。


・比例ハザード回帰モデルを用いたマッチ化コホートデザイン研究で、現行通常睡眠薬特異的死亡リスク推定
・現行通常睡眠薬とがんリスク相関
・睡眠薬と関連するリスクが寄与要素・合併症で影響?


ゾルピデム(マイスリー)、テマゼパムなど処方患者も、睡眠薬なしの対照に比べ4倍の死亡率

1年に18回の睡眠薬未満の処方患者でさえ、死亡リスクは高く、投与量に応じて死亡率増加する

睡眠薬処方患者の内、がん頻度はいくつかの特異的がんで増加し、睡眠薬処方投与量が多い場合35%ほど全体的にがん増加

この研究の限界は、寄与要素除外できてないこと、サーベイランスのインバランス、処方患者に関わるバイアスが存在する。







年齢階層別・睡眠薬無処方比較の睡眠薬処方患者生存曲線




解説記事:http://blogs.wsj.com/health/2012/02/28/study-suggests-a-link-between-sleeping-pills-early-death/

FDA:スタチン副作用として記憶障害を警告

ほんとに稀なのかどうか?一応2%未満ではあるとされるが・・・


FDA announces safety changes in labeling for some cholesterol-lowering drugs
FDA NEWS RELEASE
For Immediate Release: Feb. 28, 2012
http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm293623.htm
 スタチン服用患者では、投与前肝酵素検査と、定期的肝酵素モニタリングを推奨し、重篤な肝障害は稀だが、予測不能。稀な副作用完治のための定期的モニタリングは有効ではないと矛盾した記載。疲労感・全身倦怠、虚弱、食欲低下、上腹部痛、尿濃黄染、皮膚・目の黄染などあれば即医療関係者相談


認知機能への影響が、特定の患者に認められることも警告。記憶喪失と混乱で、スタチン中止で改善するが、医療関係者に警告されている。

他、血糖増加、ロバスタチンの場合の筋障害(myopathy/rhabdomyolysis)に警告。




Statin-Associated Memory Loss: Discussion
http://www.medscape.com/viewarticle/458867_4


別のスタチンと異なり、アトルバスタチンは脳脊髄関門を通過しないという報告があるが、記憶・認知症に影響があるなら、スタチンによる防御的あるいは逆の副事象的悪影響をニューロンに与えることになるということで、関心が向けられた。

"statin-associated memory loss"という状況は、短期記憶障害で蟻、スタチン服用後2-3ヶ月、投与量増加後出現との報告。

MedWatchからの頻度推定は困難だが、全レポートの2%程度、或いはそれ以下とも推定。稀ではないとも考えられる。


「リピトール」添付文書を見ると

精神神経系
0.1~5%未満 
めまい、不眠(症)、四肢しびれ(感)
精神神経系
0.1%未満 
眠気
精神神経系
頻度不明 
勃起障害、健忘症
 ・・・とある。
日本ではほとんど報告されてないようだ。用法用量・実際の処方量が違うせいかもしれないが、高用量の時には注意が特に必要だろう。



・・・にしても、後発だらけになると、こういう副作用情報ますます入手しがたくなりますねぇ。
後発品促進というなら、後発メーカーへの製品薬剤情報提供強制化すべきだと思うのだけど・・・
優遇してるメーカーにはとことん甘くなる日本の行政。それから利益を得ようとする役人・OB・・・そういうのがエルピーダ破綻にもつながったと思う。

昨今の経済状況により、長期処方・採血検査回避を患者側が希望することがある。 スタチンに関わる副作用チェック受けにくくなっている現状がある。受診時は、定期的採血を進めることと、記憶障害エピソードなど聞き取ることが必要。




Wall Street Journal(http://well.blogs.nytimes.com/2008/02/13/do-statins-make-you-stupid/)で報道された症例
69歳女性は、物忘れが過ぎて、アルツハイマー病検査を娘から求め、孫娘の世話をするのさえ拒否されていた。 スタチン服用をやめると、8日で、正常となり、劇的な変化であった


新聞やテレビは、スポンサーシップを配慮して、ファイザーやアストラゼネカや塩野義などに遠慮して日本では報道しないのかな?

医師や教育病院への製造会社報酬提供明確化

医師や教育病院への製造会社報酬提供明確化

“Transparency Reports” on Industry Payments to Physicians and Teaching Hospitals
JAMA. Published online February 14, 2012. doi: 10.1001/jama.2012.21


Patient Protection and Affordable Care Actの"Sunshine" 条項により、  Centers for Medicare  Medicaid Services (CMS)は2013年9月までに、製造会社の支払いを"transparency report"を、パブリックウェブサイト上公表しなければならなくなった。

2012年2月27日までパブリックコメントを求め、提案した内容要約



2012年2月28日火曜日

ω3脂肪酸血中濃度が低いと2年分に相当する脳の構造的加齢現象が生じる

ω3脂肪酸血中濃度が低いと2年分に相当する脳の構造的加齢現象が生じる

Red blood cell omega-3 fatty acid levels and markers of accelerated brain aging
Neurology February 28, 2012 78:658-664

赤血球中DHAレベル最小4分位(Q1)は、他の4分位(Q2-Q4)比較において、トータルの脳の減少があり、さらに、白質のhyperintensity volumeの増加が見られ、多変量解析にて総脳容積と持続下相関が見られる(model A:基本モデル<年齢・性別・教育レベル補正>: β ± SE = −0.49 ± 0.19; p = 0.009, 0.12 ± 0.06; p = 0.049)

DHAとω-3指数(赤血球DHA+EPA)レベル(Q1 vs Q2+4)では、model Aで、有意に視覚記憶スコア低く   (β ± SE = −0.47 ± 0.18; p = 0.008),、遂行能力が低く (β ± SE = −0.07 ± 0.03; p = 0.004)、抽象的思考弱い (β ± SE = −0.52 ± 0.18; p = 0.004)
そして、他のすべてのモデルでも有意差が残る(model B: APOE ε4 、血中ホモシステイン、 model C:運動・BMI、model d:従来の血管リスク要素補正)

白人が主で他の人種では検討されてない。


研究基金:National Heart, Lung, and Blood Institute and the National Institute on Aging

フットボールによる高体温症:体の大きなラインマン、熱指数警戒レベル以下でも注意必要

1994年から2009年の間に、熱関連フットボール死が3倍になったと University of Georgeaの研究者の発表

中学高校生がfatal heat injuryに最も弱いことを認識すべきで、ジョージア州は6倍にもなっている。気候データベースと、研究期間中の高体温症死亡58名の身長体重、体組成記録を調査。

死亡はUSの東四分円、時期は8月に集中。朝に半数死亡が生じ、高湿度が多い。アスリートは一般に大きく(BMI>30が79%)で、linemanのポジションが86%とほとんど。気象条件は異常に暑く、そして湿気があることが死亡と関連。さらに、死亡全症例で、WBGTを用いたAmerican College of Sports Medicine定義の高値・極端値に該当し、heat index(熱指数)によるthreat level(警戒レベル)以下であった。

着衣分(フルフットボールユニフォーム、練習用ユニフォーム、スポーツ)に基づく、フットボール特有な閾値の検討が必要 。アスリート着用のユニフォームからのデータにマッチさせた閾値が必要で、スポーツと一括するのは問題。full padのアスリートは少なすぎるので結論づけ出来ない。
 コーチは注意深く、プライヤーをモニターし、特に、体の大きなラインマン、プレシーズン早期の湿潤、"high"・"extreme"WBGT環境では注意が必要。

A retrospective analysis of American football hyperthermia deaths in the United States.Grundstein AJ et. al.
Int J Biometeorol. 2012 Jan;56(1):11-20. Epub 2010 Dec 15.




解説:
http://news.uga.edu/releases/article/morning-temperatures-thought-to-play-a-role-in-football-deaths-022712/

米国心理学研究:上層階級は非倫理的行為に走りやすく、詐欺的・他者からの奪取行為・強欲傾向が強い

マスメディアがいっぱい取り上げてる。
google news: http://bit.ly/xZnFxW



ベ ンツやBMW・トヨタプリウスのような高級車に乗る人は運転中法律を破りやすい・・など、上層階級はウソをつきやすく、インチキをしやすいという7つのシ リーズ研究をUniversity of California Berkeley や University of Toronto の心理学者が研究発表。


Higher social class predicts increased unethical behaviorPaul K. Piffa,, Daniel M. Stancato, Stéphane Côté, Rodolfo Mendoza-Denton, and Dacher Keltner

PNAS February 27, 2012 

7つの研究で、実験的な方法、自然観察法を用い、上層階層の行動が、下層階層に比べ非倫理的であるかを示した研究。

study 1、2は、上層階級が如何に運転中違法行為をするか、下層階級と比較。

フォローアップ検査室検査で、上層階級は、非倫理的意思決定傾向となってるか(study 3)、
さらに他者から価値あるものを奪う傾向にあるか (study 4)
ネゴシエーション上ウソをつくか(study 5)
賞金獲得チャンス増加のため詐欺的行為を働くか(study 6)
そして労働時非倫理的行動をとるか (study 7)
以上を下層階級と比較。


mediator や moderator dataにより、上層階級者の非倫理的傾向が示され、強欲(greed)傾向が強い。



社会階層が固定している国との比較したらどうなるのだろう。米国のような社会階層が流動的な社会では上層階級を目指すなら強欲的・私利的にならざるえないのでは?

米国の金持ちは非倫理的行いの言い訳として、 慈善活動や一部反捕鯨などへ金を使い、偽善行為を尽くす・・・そういう考えも成り立ちそう。


日本のマーケット市場主義者たちも似たような傾向があるような・・・ 法律を犯すことをさほど悪と考えてない、エルピーダにおけるインサイダー役人、ほりえもん・・・

PCI後心筋梗塞判断閾値: トロポニン > CK-MB

PCI後のトロポニンCKMB増加は、1年後の死亡率と関連。同じイベント頻度・死亡率閾値に関しては、CKMBよりトロポニンの方がより閾値が高い。





なぜ、この問題が論文で検討されたか・・・"Troponin Criteria for Myocardial Infarction After Percutaneous Coronary Intervention"
Myocardial Infarction Due to Percutaneous Coronary Intervention
Abhiram Prasad, M.D., and Joerg Herrmann, M.D.
N Engl J Med 2011; 364:453-464 February 3, 2011
Do we need to routinely screen patients for periprocedural myocardial infarction?
Which patients should be observed in the hospital for a prolonged period after periprocedural myocardial infarction?
What are the therapeutic implications, and what should we tell patients who sustained a periprocedural myocardial infarction despite an otherwise successful procedure?
Is a periprocedural myocardial infarction prognostically equivalent to a spontaneous myocardial infarction?
Is periprocedural myocardial infarction a valid end point in clinical trials? 
上記PCI後心筋梗塞に関わる疑問が臨床実地上出現しているから・・・



Troponin Criteria for Myocardial Infarction After Percutaneous Coronary Intervention
Victor Novack et. al.
Arch Intern Med. Published online February 27, 2012. doi:10.1001/archinternmed.2011.2275


心筋梗塞のユニバーサル定義は、CK-MB区画(CKMB)もしくはトロポニンが用いられている。その基準は、PCI後の診断としては、トロポニンを用い、正常参照上限値の99パーセンタイルの3倍超をもって指標としている。

EVENT (Evaluation of Drug Eluting Stents and Ischemic Events)の一部を用い、1年後死亡率とPCI後CKMBあるいトロポニン術後評価検討したもの

心筋梗塞はCKMBクライテリアで7.2%、トロポニンクライテリアで24.3%発症。

CKMBとトロポニンは持続指標として、1年後死亡率と相関  (ハザード比 [HR], 1.38; 95% CI, 1.22-1.55 vs  1.35; 95% CI, 1.18-1.54) 


3倍超での死亡率影響は、トロポニンよりCKMBの方が大きい (補正 HR, 2.5; 95% CI, 1.5-4.vs 1.7; 95% CI, 1.1-2.5)

トロポニン閾値を20倍超とした場合、CKMB 3倍と同程度の頻度(7.0%)及び死亡率リスク (補正 HR, 2.6; 95% CI, 1.6-4.3)


トロポニンと1年死亡率回帰スプラインモデルで、死亡率ハザードはトロポニン3倍で1.02、20倍で1.67となる。





骨粗鬆症薬物:アドヒアランス改善のための電話動機づけインタビューは有効性乏しい

慢性疾患に関して薬物へのアドヒアランスが問題。アドヒアランス改善のための介入が試みられているが少ない。電話による動機づけインタビュー介入に関し、骨粗鬆症の薬剤アドヒアランス改善するかの研究。


Osteoporosis Telephonic Intervention to Improve Medication Regimen Adherence
A Large, Pragmatic, Randomized Controlled Trial
Daniel H. Solomon et. al.

Arch Intern Med. Published online February 27, 2012. doi:10.1001/archinternmed.2011.1977




被験者は“メディケア”保険者主導的プログラム(保険者が医療阻害的な動きをする日本とは対照的) 

医療というのは患者の意志が最優先されるべきものであり、医療機関からの働きかけは最小限であるべきという考えがある一方、こういった、医療機関から患者への積極的働きかけというのがどの程度是認されるか?在宅酸素や薬物の存在がクリティカルである患者が来院しない場合は、やはり、連絡を取らざるえない場合もある。


患者への電話というのは本人への事前了解があれば良いのだろうが、運用次第では、受診の半強制となる場合がある。

高齢化率極限の地域で開業していると、移動手段の問題が大きい。限られた輸送手段の中で、自覚症状のない病態、高血圧・糖尿病などは後回しで、腰痛・頚肩痛などを優先ってのは当たり前なのかもしれない。また、医療リソース過剰地域では、輸送サービス合戦となっているところも・・・。患者のニーズを無視した状況も生まれかねない状況となっている。


医療アドヒアランスに関する、患者宅への医療機関側の働きかけ、医療行政の方で、なんらかのガイドラインなど提示されてしかるべきと思うのだが・・・

肥満臨床下生活習慣指導:腹囲を少ししか減らせず、効果は男性に限られる

Trial of Prevention and Reduction of Obesity Through Active Living in Clinical Settings
A Randomized Controlled Trial
Robert Ross et. al.
Arch Intern Med. Published online February 27, 2012. doi:10.1001/archinternmed.2011.1972


肥満減少に対し、健康食とともに、運動を行うことの有効性は確立している。しかし、プライマリケアの状況での肥満減少に対する有効なライフスタイル戦略のtranslationについての知識は乏しい。

2年間習慣化運動・食事プログラムの肥満減少臨床実践内に組み込み、その有効性を検討

通常ケア(n=241):肥満減少戦略としてライフスタイルについての医師からの助言
習慣介入(n=249) :健康食+運動促進に関して健康教育専門家からの個別カウンセリングを加える

プライマリアウトカムはウェスト径

396名の被験者でトライアル完遂 80.8%

介入群で、通常ケアに比べ、有意なウェスト径への影響を認め(P<0.001)、24ヶ月持続する(平均[SE], -0.9[0.4] vs 0.2 [0.4] cm; P=0.05)

セカンダリ解析では、有意にウェスト径変化は、男性(P = .009)および女性 (P = .02)で認める。

男性において、24ヶ月時点でのウェスト平均(SE)減少は習慣介入群が通常ケア群より大きく (–1.6 [0.6] vs 0.1 [0.6] cm; P = .049)、女性においては、行動介入群で、通常ケアに比較し、ウェスト径の差と6ヶ月、12ヶ月時点で相関性を認める(P ≦ .01) が、24ヶ月では認めない (P = .10)


結論: 2年研究で、肥満に対し、臨床状況下で習慣への介入によりウェスト径をほんの少し減少、しかし、介入効果は男性に限られる。

 



“メタボ検診”義務化したが、行政側&誤用(御用)専門家たちが一方的にその効果に関して自画自賛し、さらに、その範囲の拡大を画策しているというか、決めつけている。


メタボ健診:肥満以外も指導 血圧や血糖、検査値高めなら対象
http://mainichi.jp/life/today/news/20120228ddm008040066000c.html

見直しでは、腹部肥満を第1条件とする現制度の枠組みは変えないが、非肥満者への対応を医療保険者や市町村などに追加で求める予定。国内外の研究で は、非肥満者でも血圧や血糖などの値が高めの場合、心筋梗塞(こうそく)など心血管疾患の危険性が高まることが分かっている。このため、現制度では抜け落 ちてしまう非肥満者への対応が求められていた。  また検討会は、腎臓病の検査値「血清クレアチニン」を、特定健診の検査項目に加える方向で合意した。慢性腎臓病患者には肥満でない人も多く、現制度では腎機能低下の兆候を見落とす恐れがあった。
メタボ対策に重きを置きすぎたため日本は国際CKD年を無視した。その愚策・厚労省が、今頃、“血中クレアチニン値”を検診項目に入れ込んできた。

世界に冠たる慢性腎臓病国・・・日本 2011年 08月 15日
そのことは、遅すぎたとは言え、まぁ評価しよう。


腹囲にこだわり続けている、強権的・非科学的日本の検診制度は今後も続く・・・
なんという国なのだろう・・・
お恥ずかしい厚労省検診・保健指導”腹囲基準”問答 H24.2.3

高齢者インフルエンザワクチン有効性:バイアス除去で死亡率単独では有効性示せない

Estimating Influenza Vaccine Effectiveness in Community-Dwelling Elderly
Patients Using the Instrumental Variable Analysis Method
     Kenny Wong; Michael A. Campitelli; Therese A. Stukel; Jeffrey C. Kwong
     Arch Intern Med Published online February 27, 2012.
     doi:10.1001/archinternmed.2011.2038
     http://archinte.ama-assn.org/cgi/content/abstract/archinternmed.2011.2038?etoc


オンタリオの行政データベースとリンクして、65歳超の地域住民のインフルエンザワクチンと全原因死亡率を検討

1262180人・インフルエンザシーズン観察で、ロジスティック回帰にて、インフルエンザ時全原因死亡率補正オッズ比 0.67(95% CI、0.62-0.72)、インフルエンザ非流行時のインフルエンザ期間後0.85(0.83-0.86)で、バイアスの存在が示唆するも、Instrumental Variable(IV) analysisでは、インフルエンザ時期で補正オッズ比0.94(95%CI、0.84-1.03)、インフルエンザシーズン後は1.13(1.07-1.19)。

肺炎・インフルエンザによる入院・死亡の複合検討に対し、ロジスティック回帰により、補正オッズ インフルエンザシーズンオッズ比 0.74(95%CI、0.70-0.78)、インフルエンザシーズン後0.88(0.87-0.90)
一方、IV analysisでは補正オッズ比は0.86(95%CI、0.79-0.92)、1.02(0.97-1.06)

インフルエンザワクチンは肺炎・インフルエンザ入院と全原因死亡複合に対し減少効果あるが、死亡率単独では減少効果示せない。
標準モデル化に比較し、IV analysisはワクチン有効性に対し、よりバイアスの少ない推定が可能である。



操作変数法(IV)について多くの解説が検索される。http://www.econ.hit-u.ac.jp/~bessho/lecture/06/econome/060616IV1.pdf 高齢者の重大アウトカムへのインフルエンザワクチン有効性に関し、不適切なバイアスの存在が議論されていた。
Hottes TS, Skowronski DM, Hiebert B, Janjua NZ, Roos LL, et al. (2011) Influenza Vaccine Effectiveness in the Elderly Based on Administrative Databases: Change in Immunization Habit as a Marker for Bias. PLoS ONE 6(7): e22618. doi:10.1371/journal.pone.0022618

2012年2月27日月曜日

気流制限・肺機能と、心不全発症リスクの関連 : COPDと心不全の関係

大規模住民ベース研究で、肺機能・慢性閉塞性肺疾患は心不全リスク増加と強く、独立した関連を有する。非喫煙でもこの関連は明らかで、喫煙補正後も この相関は残存。

 心不全発症長期リスクはスパイロメトリーによる肺機能低下時増加し、これは基礎心疾患・心血管リスク要素(喫煙を含む)補正でも変わらない。

Atherosclerosis Risk in Communities (ARIC) studyという住民ベースの米国研究で、NHLBIスポンサー研究で、約16000名の成人(45-64歳)平均15年間フォローアップ研究。

COPDは心不全患者の合併症として多く、逆も、真。しかし、ごく最近まで、先行するCOPDが心不全の長期リスク要素として認められてなかった。

肺における気流閉塞病態自体が心不全の大きなリスク要素という仮説を強化する研究とエディトリアルでは述べている。


Airflow obstruction, lung function and risk of incident heart failure: The atherosclerosis risk in communities (ARIC) study.
Agarwal SK, Heiss G, Barr RG, et al. 
Eur J Heart Fail 2012; doi:10.1093/eurjhf/hfs016 


  標準化スパイロメトリーによる肺容量と共変数情報を15792のARIC(Atherosclerosis Risk in Communities)コホート被験者(1987-89)で収集。13660名を2005年まで心不全発症頻度をカルテ・死亡記録で確認。

平均フォローアップ14.9年で、新規発症心不全1369(10%)
心不全・年齢、身長補正ハザード比(HRs)は、単調にFEV14分位減少毎に増加し、両性、人種群、喫煙状態とも横断的に増加。
心血管リスク・身長による多因子補正後、FEV1最小vs最高比較で、ハザード比[95%信頼区間(CIs)]は、白人女性 3.91 (2.40–6.35)、 白人男性 3.03 (2.12–4.33) 、 黒人女性 2.11 (1.33–3.34)、黒人男性 2.23 (1.37–3.59)
相関は弱く、炎症の全身性マーカー補正後も統計学的に有意差残存
多変量補正心不全発症は、FEV1/FVC <70% vs ≧ 70%において、男性 1.44(95%CI 1.20-1.74)、 女性 1.40(1.13-1.72)
心不全に対する一致した陽性の相関が肺気腫・COPD自己報告診断で認められるが、喘息に対しては見られず。


喫煙などを含め遺伝的・環境的な説明要素の存在が議論されている。


気流制限が心不全へ影響を与えている証拠がNEJMで報告されており、議論されている。CTによる評価からみると、重症気流制限が結果的に左室充満を阻害し、心機能を低下させる機序が考えられた。

非重症肺気腫でも、気流制限・肺気腫の程度が左室機能・形態へ影響を及ぼす 2010年 01月 21日
 Barr RG, Bluemke DA, Ahmed FS, et al. Percent emphysema, airflow obstruction, and impaired left ventricular filling. N Engl J Med 2010; 362: 217-227.

NEJMの報告がなければ、さほど、注目されない現象だったのかもしれない。

Nintendo Wii 運動増加に寄与せず

Baranowski T, et al "Impact of an active video game on healthy children's physical activity" Pediatrics 2012; 129: e636-e642.
3月分:http://pediatrics.aappublications.org/content/future/129/3


Impact of an Active Video Game on Healthy Children’s Physical Activity
Published online February 27, 2012  (doi: 10.1542/peds.2011-2050) 
free pdf

Nintendo Wiiは、身体活動性増加に役立たないという当たり前の報告

12週時点で、じっとしたままのビデオゲームと同程度の運動量しかない


 

noteへ実験的移行

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