2012年8月27日月曜日

CTによる非侵襲的心筋血流予備量比(FFR)測定


Noninvasive FFR computed from CT (FFRCT)

冠動脈CT血管造影は非侵襲的解剖学的検査だが、真に虚血を生じている狭窄かどうかは判断出来ない。心筋血流予備量比:fractional flow reserve (FFR)は生理学的測定方法であり、狭窄の有無にかかわらない冠動脈潅流量を表現する方法であるが、侵襲的手技による検査である。

非侵襲的CTによるFFR計算法は新しいやり方で、冠動脈疾患(CAD)の生理学的意義を決定する方法。しかし、その能力に関して確立していなかった。



Diagnostic Accuracy of Fractional Flow Reserve From Anatomic CT Angiography  
James K. Min,  et. al.
JAMA. Published online August 26, 2012. doi:10.1001/2012.jama.11274

CT、侵襲冠動脈造影(ICA)、FFR、FFRCTを2010年10月から2011年12月まで盲検的施行
虚血定義をFFR、FFRCT 0.80以下とし、解剖学的CAD閉塞をCTとICA50%以上と定義

プライマリ研究アウトカムを、FFRCT+CTで per-patient診断正確性を改善するかというもので、めやすを70%推定片側95%信頼区間境界下限以下とした

結果は、ICAによるFFR異常は137(54.4%)

FFRCT+CTに関し、診断accuracy、sensitivity、speicificity、PPV、NPVは 73% (95% CI, 67%-78%)、 90% (95% CI, 84%-95%)、 54% (95% CI, 46%-83%)、 67% (95% CI, 60%-74%)、84% (95% CI, 74%-90%)

CT単独診断閉塞性CAD(area under the receiver operating characteristic curve [AUC], 0.68; 95% CI, 0.62-0.74)すると、FFRCTは、有意に識別能改善(AUC, 0.81; 95% CI, 0.75-0.86; P < .001)


結論としては、事前設定プライマリアウトカムにはper-patient診断正確性までは至らなかったが、非侵襲的FFRCT+CTは、CAD疑い・既知安定期患者では、ICA時のFFRをスタンダードとした場合、それより診断正確性・識別能を改善する。
   

JAMA解説記事: 西ナイル熱

日本では厚労省サイト:ウエストナイル熱・脳炎Q&A 平成14年10月23日 (平成18年1月12日改訂)を参考にすべきなのだろうが・・・一応、JAMAにフリーのまとめあり


日本でも、“西ナイル熱、米で41人死亡 再流行を警戒(朝日 2012年8月23日)”など報道されつつある。


Controlling Urban Epidemics of West Nile Virus Infection
Robert W. Haley, MD
JAMA. Published online August 24, 2012. doi:10.1001/2012.jama.11930

アカイエカ:Culex pipiensによる媒介が主
都市部環境の滞留水で、身近なところに存在する。
ウェストナイルウィルス(WNV)は、トリと蚊の感染サイクルで存在し、蚊の唾液腺から未感染とりへの伝播で広がる。 
感染した鳥はWNV発症を発症し、数日で血中で大量循環し、次の蚊へ媒介する。
感染蚊はほ乳類に食いつき、ウィルスを伝播する。
多くの鳥・ほ乳類は蚊由来のWNVだが、死ぬのはアオカケス(blue jay)やカラス、馬、ヒト。
ウィルスは夏ど真ん中で鳥や蚊の危険閾値に達し、夜間の温度が下がると共に9月ごろ減少する。

蚊からかまれた後の症状発症までの潜伏期2-14日間
感染者の約80%は無症状(子供や若年者健康状態良好状態を含む)、20%が熱と頭痛(West Nile Fever: WNF)。
150名に1人程度が脳や神経系炎症を生じ、様々な神経学的症状を来す。多くが見当識障害、認知障害、stiff neck、筋力低下、パーキンソン様運動異常、さらに、昏睡などとなり、West Nile neuroinvasive disease (WNND)を呈し、典型的には50歳超で出現する。
稀に、ポリオ様症状となり、前角細胞ニューロン障害に由来する弛緩性麻痺の場合もある。
WNND農地、症例致死率は4%-18%(ダラスでは今夏8%)で、医療状況下高齢者が目立つ。WNND患者は多くは完全回復するが、長期・永続的障害を残すこともあり、うつ、疲労、認知機能低下、運動疾患、麻痺を生じることがある。


WNFの診断は、6-9月までの原因不明の熱で、見当識障害を伴う発熱、stiff neck、神経学的障害がWBBDを示唆する。確認は血液検査、脳脊髄液、IgG、 IgM抗体で、PCRによるWNV抗原同定であり、地域の医療部門で行われる。

WNF患者の多くは対症的治療で入院不要。しかし、WNNDは腰椎穿刺、他の病因除外、神経学的所見観察、一般的サポートケアのため入院すべき。呼吸筋筋力障害のための進行性呼吸不全の場合呼吸補助必要。
神経障害予防・改善のための薬物治療、長期障害尤度・死亡改善のための薬物治療は存在しない。



患者のためのページ:Patient Page
West Nile Virus
Denise M. Goodman, et. al.
JAMA. Published online August 24, 2012.
doi:10.1001/2012.jama.11678


2005年に日本で初めての当該疾患患者が報告されている。
http://www.pref.aichi.jp/eiseiken/67f/wn.html


これ以降、日本では報告は無いようだが、渡航者向け注意が喚起されている。
北米地域:ウエストナイル熱・脳炎
http://www2.anzen.mofa.go.jp/info/pcwideareaspecificinfo.asp?infocode=2012C226

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