2014年1月15日水曜日

ロタウィルスワクチン:腸重積リスク極小だが存在

米国の研究で、ロタウィルスワクチン(メルク Rota Teq(RV5)GSW Rotarix(RV1))での腸重積小リスク判明


Risk of Intussusception after Monovalent Rotavirus Vaccination
Eric S. Weintraub,  et. al.,
N Engl. J. Med. January 14, 2014DOI: 10.1056/NEJMoa1311738
ワクチン接種投与20万回の前向きライセンス後研究で、投与7日内の腸重積6例
超過数は0.72で、相対リスクは8.3



Intussusception Risk after Rotavirus Vaccination in U.S. Infants
W. Katherine Yih,  et. al.
N Engl. J. Med. January 14, 2014DOI: 10.1056/NEJMoa1303164

2世代ロタウィルスワクチン:Rota Teq (RV5、5価ワクチン)、 Rotarix(RV1、単価ワクチン)後の腸重積リスク
RV5は、ワクチン10万接種1.5(95% CI 0.2 to 3.2)の腸重積超過症例。RV1の二次分析だと検出パワー不足だが、寄与リスク示唆。


ロタウイルスワクチン作業班 中間報告書 2013年11月18日
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000029637.pdf 

FACSトライアル:直腸結腸がんフォローアップ戦略:強化的モニタリングにて再発手術数増加するも生存率への影響乏しい?

直腸結腸癌フォローアップ:強化的スケジュールは有効か?

 原発性直腸結腸がん根治手術治療後、強化的なモニタリング(CEA、CT、CEA・CT組み合わせ)を用いると、最小限の症状出現時フォローアップのみに比べ、再発(根治)手術症例数は増える。ただ、死亡率減少アドバンテージはあっても乏しい。



Effect of 3 to 5 Years of Scheduled CEA and CT Follow-up to Detect Recurrence of Colorectal Cancer
The FACS Randomized Clinical Trial
John N. Primrose, et. al.
; for the FACS Trial Investigators
JAMA. 2014;311(3):263-270. doi:10.1001/jama.2013.285718.

・ CEA only (n = 300)
・ CT only (n = 299)
・ CEA+CT (n = 302)
・ minimum follow-up (n = 301) : 症状出現時のみ検査

血液CEAは3ヶ月毎3年間、その後3年間は6ヶ月毎
CTスキャンは胸部・腹部・骨盤腔内を6ヶ月毎2年間、その後1年毎3年間

プライマリアウトカムは、治癒内容の再発手術治療
セカンダリアウトカムは、死亡率(がん全部・直腸結腸がん)と治癒的再発治療後生存率



観察期間平均 4.4 (SD, 0.8) 年間、がん再発 総数 199 (16.6%; 95% CI, 14.5%-18.7%)l; 治癒内容再発治療 71/1202  (5.9%; 95% CI, 4.6%-7.2%)  、Dukes stagingと若干異なる (stage A, 5.1% [13/254]; stage B, 6.1% [34/553]; stage C, 6.2% [22/354])


再発病変治癒手術率は
・ 最小限フォローアップ群 2.3% (7/301)
・ CEA群 6.7% (20/300)
・ CT群 8% (24/299)
・ CEA+CT群  6.6% (20/302)


最小フォローアップ群と比較し、治癒治療患者との絶対的差
・ CEA群 4.4% (95% CI, 1.0%-7.9%; adjusted odds ratio [OR], 3.00; 95% CI, 1.23-7.33)
・ CT群 5.7% (95% CI, 2.2%-9.5%; adjusted OR, 3.63; 95% CI, 1.51-8.69)
・ CEA+CT群 4.3% (95% CI, 1.0%-7.9%; adjusted OR, 3.10; 95% CI, 1.10-8.71)


死亡数は、強化モニタリング群全体と最小フォローアップ群と有意差認めず (CEA, CT, and CEA+CT; 18.2% [164/901]) vs the minimum follow-up group (15.9% [48/301]; difference, 2.3%; 95% CI, −2.6% to 7.1%)




慢性自己免疫疾患:EBVによるautoreactive Bリンパ球仮説

EBウィルス(HHV4)と自己免疫疾患の関連性は長年のパズル・・・


 1971年にさかのぼるそうだが、ウィルス感染が自己免疫疾患のトリガーとなる可能性、EBウィルスと自己免疫疾患の関連性が提案されている。 EBウィルスは、ヒトヘルペスウィルス4として、成人の90%から95%に経口・鼻粘膜上皮感染し、B細胞内でlatent状態で存在する。
 多発硬化症やループスでは、EBV血清陽性99%超が陽性ということでその関連性示唆されるが、血清抗体陽性という事実は、単に先行感染が必要条件ということを示唆するだけ。他の要素が必須なわけで、病因的・分子的パズルの解明が必要。

 EBウィルスによるautoreactive Bリンパ球感染により生じるという仮説。

”CD8+ T-Cell Deficiency, Epstein-Barr Virus Infection, Vitamin D Deficiency, and Steps to Autoimmunity: A Unifying Hypothesis”

Infection of autoreactive B lymphocytes with EBV, causing chronic autoimmune diseases.
Trends Immunol. 2003 Nov;24(11):584-8.

 ヒト慢性自己免疫疾患は、EBウィルスによるautoreactive B リンパ球感染をベースに生じるとしその後のシナリオを仮定する。 
 プライマリ感染中、EBVによりautoreactive B細胞は感染し、増殖し、メモリーB細胞にlatent感染を生じる。これは、正常B細胞ホメオスタシス中のアポトーシス抵抗性となる。ウィルスエンコード抗アポトーシス分子により生じる現象。EBウィルスによるB細胞感染の影響の遺伝的感受性により、latent感染autoreactive memory B細胞の大多数に影響を与え、ターゲット抗原発現し抗原存在細胞として働く臓器に、この細胞が居座る。 
 ターゲット臓器内で抗原認識したCD4+T細胞は感染物質の交叉反応によるリンパ組織内で活性化されると、ターゲット臓器内へmigrateするが、感染B細胞からのco-stimulatory survival signalを受け活性誘導アポトーシスを受けない。autoreactive T細胞は増殖し、サイトカインを産生し、他の炎症細胞を誘引し、結果的にターゲット臓器障害をもたらし、慢性自己免疫疾患を生じる。


おおむね目新しい話ではないようだが・・・
http://www.sys.eng.shizuoka.ac.jp/~takeuchi/MOSEHP/RIwami.pdf


Medpageに周辺解説


Autoimmunity and a Wily Virus: Is There a Link?
http://www.medpagetoday.com/Rheumatology/GeneralRheumatology/43797


エビデンス評価としては、システマティック文献レビュー&メタアナリシスで、25の症例報告研究
Systematic review and meta-analysis of the sero-epidemiological association between Epstein-Barr virus and systemic lupus erythematosus
Peter Hanlon,  et. al.
Arthritis Research & Therapy 2014, 16:R3  
doi:10.1186/ar4429
Published: 6 January 2014 

抗-VCA(viral capsid antigen)抗体・血清抗体研究(15研究)で、ループス患者で95%が陽性、対照は88.7%、オッズ比 2.08 (95% CI, 1.15 to 3.76)
抗-EA(early antigen)抗体研究(7研究)で、オッズ比 5.76(95% CI 3 to 11.6)
ただ、研究の質heterogeneityとvariationが存在し、解釈上注意が必要とする。下越としては、結局、anti-VCA IgG抗体抗出現で示唆されたもの



Published: Jan 14, 2014Autoimmune Diseases
Volume 2012 (2012), Article ID 189096, 16 pages
http://dx.doi.org/10.1155/2012/189096


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