2014年4月22日火曜日

糖尿病合併症20年間の推移:合併法比率は減少するも、糖尿病発生数増加に伴い住民あたりの合併症の変化乏しい 

米国の国内サーベイ(the National Health Interview Survey, the National Hospital Discharge Survey, the U.S. Renal Data System, and the U.S. National Vital Statistics System)によるデータ


糖尿病合併症の頻度は、ここ20年間、減少している。しかし、糖尿病有病率増かのためか、住民あたりの合併症自体の有病率はさほど減少してない。

Changes in Diabetes-Related Complications in the United States, 1990–2010
Edward W. Gregg, et. al.
N Engl J Med 2014; 370:1514-1523April 17, 2014
DOI: 10.1056/NEJMoa1310799



全5つの合併症率は1990年から2010年まで減少

比率最大減少は、急性心筋梗塞 (−67.8%; 95% confidence interval [CI], −76.2 to −59.3) 、高血糖クリーゼによる死亡 (−64.4%; 95% CI, −68.0 to −60.9)で、卒中、下肢切断が続き、約半数(−52.7% 、−51.4%)

最も減少効果が少ないのは、   end-stage renal disease (−28.3%; 95% CI, −34.6 to −21.6)



最大絶対的減少効果を示したのは、急性心筋梗塞  1万あたり 95.6  95% CI, 76.6 to 114.6)減少。最も少ないのは、高血糖クリーゼ 1万あたり−2.7; 95% CI, −2.4 to −3.0。


発生率減少は非糖尿病成人より糖尿病成人で最も多く、糖尿病関連合併症の相対リスク減少が主な理由であろう。

発生率変化が合併症率変化にも影響を与えるとし、住民全体の発生率として表現したとき、急性心筋梗塞、高血糖クリーゼ死亡は1万人あたり、2.7、0.1減少した。足切断、卒中、ESRDでは差を認めない。








AAN2014予告記事:無症候頸動脈狭窄症:記憶、認知機能低下と関連

 頸動脈の狭窄は卒中予測だけではなく、全般性記憶・思考力悪化予測と関連。

67名の(無症候性頸動脈狭窄:asymptomatic carotid stenosis (ACS))症例

頸動脈径50%狭窄と、狭窄無しの血管リスク要素ありの症例を比較

ACS群は、有意に、全般記憶機能、認知機能低下



Narrowing of Neck Artery Without Warning May Signal Memory and Thinking Decline
https://www.aan.com/PressRoom/Home/PressRelease/1270
EMBARGOED FOR RELEASE UNTIL 4 PM ET, April 21, 2014



システマティックレビュー:インクレチン・ベース治療(GLP−1受容体アナログ、DPP4阻害剤)と膵炎の関連性 認めず

インクレチン・ベース治療(GLP−1受容体アナログ、DPP4阻害剤)と膵炎の関連性研究

60研究、35万症例超(55のRCT 3万3千超)の検討
膵炎増加の可能性認めず

Incretin treatment and risk of pancreatitis in patients with type 2 diabetes mellitus: systematic review and meta-analysis of randomised and non-randomised studies
BMJ 2014; 348 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.g2366 (Published 15 April 2014)
Cite this as: BMJ 2014;348:g2366



SGLT-2阻害剤は内在性ブドウ糖産生亢進&グルカゴン産生亢進作用あり → 血糖状況不良で脱水・尿路系感染リスク増加可能性

 SGLT2阻害剤にはインスリンを会する組織ブドウ糖消費機能の改善期待がもたれてるが、内因性ブドウ糖産生亢進的に働くようだ。さらに、内因性グルカゴン増加、それに伴うブドウ糖産生亢進作用ももたらす。

 この種の新薬には、このパラドキシカルな反応に注意が必要である。

 glucotoxity hypothesisとしてのブドウ糖毒性改善効果による血糖改善効果のみ。危惧されるのは、高血糖状態において、SGLT2阻害剤をつかうと、かえって、ブドウ糖毒性悪化し、尿中へのブドウ糖排出促進および尿路感染症などの悪化及び脱水悪化などもたらす可能性がある。


尿中ブドウ糖排泄を促進することで無理矢理血糖を降下する機序・・・グルカゴン・ブドウ糖増加というあらたな状況・・・これはノーマライゼーションと言えるのだろうか?


新薬はやはり慎重に・・・という印象をうける





"Dapagliflozin improves muscle insulin sensitivity but enhances endogenous glucose production"
Merovci A, et al
J Clin Invest 2014; DOI: 10.1172/JCI70704.


"Metabolic response to sodium glucose cotransporter 2 inhibition in type 2 diabetic patients"
Ferrannini E, et al
J Clin Invest 2014; DOI: 10.1172/JCI72227.

"Paradoxical insights into whole body metabolic adaptations following SGLT2 inhibition"
Cefalu WT.
J Clin Invest 2014; DOI: 10.1172/JCI74297.

エディトリアルでも、SGLT2阻害に内在性ブドウ糖産生減少期待と裏腹の現実、巣案和知、血糖降下作用と逆に働く機序も働いてることに懸念が示されている。


素人の直感で参考にしてほしくはないのだが、グルカゴン抑制させた上で使用すべき薬剤なのではと・・・

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