- 性別で、低レベルのアルコール摂取量でアルコールと高血圧の関係の関連性異なる
- 黒人はアジア人や白人に比べて高血圧リスクが高い
- 高血圧リスクはアルコール飲料の種類によって異なる
エタノール摂取量5.1-10g/日では有意差は無かったが、それ以外ではワイン、ビールとリキュール類では高血圧リスクが異なる
他、アジア人種にこだわれば、エタノール摂取少なくても影響が大きいようだ
Race- and sex-specific association between alcohol consumption and hypertension in 22 cohort studies: A systematic review and meta-analysis
Feiyan Liu, et al
Nutrition,Metabolism & Cardiovascular Diseases
https://www.nmcd-journal.com/article/S0939-4753(20)30100-9/fulltext
DOI: https://doi.org/10.1016/j.numecd.2020.03.018
https://www.nmcd-journal.com/article/S0939-4753(20)30100-9/fulltext
【背景と目的】アルコール依存症と高血圧の関係はよく知られているが、女性が保護効果を持つのか、それとも人種や飲用飲料の種類が影響を与えるのかは不明なままである。性と人種の影響を考慮して、総飲酒量または飲料別飲酒量と偶発的な高血圧の関係を定量化すること。
【研究方法と結果】PubMedおよびEmbaseデータベースに掲載された論文のうち、公開日に制限のないものを対象とした。プールされた相対リスク(RR)と95%信頼区間(CI)をランダム効果モデルを用いて計算した。
制限3次スプライン回帰モデル(restricted cubic spline regression model)で量反応関係モデル化
22論文(31研究)、414,477名の被験者
高血圧リスクは、エタノール摂取 5.1-1.0g/日の量で、liquor(蒸留酒)、ワイン、ビールで各々異なるリスク (P-across subgroups = 0.002).
高血圧リスクは、摂取量 10g/日の量あたりで、男性 vs 女性でも異なる (RR: 1.14, 95% CI: 1.07, 1.20 vs 0.98, 95% CI: 0.89, 1.06)
白人、黒人、アジア人種において、摂取量 10g/日の量あたりで、アルコールと高血圧の線形関連 (P-linearity = 0.017、0.035、<0.001)で、高血圧リスク比:RRは、アジア人種 1.06 (95% CI: 1.04, 1.08)、黒人 1.14 (95% CI: 1.01, 1.28)、白人 1.06 (95% CI: 1.01, 1.10)
【結論】
摂取量少ないレベルでは性別によりアルコールの高血圧相関性を影響を受け、女性に於けるアルコール摂取の防御的効果のエビデンスを見いだせず
黒人はアジア人種、白人より高血圧リスクを同量のエタノール摂取でも受けやすい
アルコール群のサンプルが不足していたり、用量反応解析のデータがなかったりしたため、飲料別のアルコール摂取量と高血圧の関連をカテゴリー別に解析した(表1)。高血圧のRRは、ワインやビールの摂取量が少ないと非飲酒者に比べてわずかに低下した。1日の純エタノール摂取量が15gを超えると、ワインやビールの消費に伴う高血圧のRRは著しく増加した。しかし、酒類摂取量が少ない場合でも高血圧のRRは増加した。高血圧のRRは、エタノール消費量のカテゴリーごとに、ビールやワインよりも酒類の方が高くなっていた。これらの飲料別のRRの差は、サブグループ5.1e10g/dを除いて統計的に有意ではなかったが(P-クロスサブグループZ 0.002)、これらの結果は、少なくとも低レベルのアルコール消費量では、酒類はワインやビールよりも高血圧のリスクが高いことを示唆している。