2012年11月6日火曜日

PHSII: マルチビタミン 心血管疾患予防効果認めず

ビタミン健康効果妄想は非常に強固に世間に広まり定着してしまっている。


Multivitamins in the Prevention of Cardiovascular Disease in Men:  The Physicians' Health Study II Randomized Controlled Trial  
Howard D. Sesso, et al.
JAMA. 2012;308(17):1751 doi:10.1001/jama.2012.14805


ランダム化二重盲検プラシーボ対照化トライアル(1997年治療開始、2011年6月11日までフォローアップ):Physicians' Health Study II
14641名の男性米国医師(開始時50歳以上(平均 64.3[SD 9.2]歳)、754名のCVD既往を持つ

主要アウトカム測定:重大心血管イベント(非致死的心筋梗塞、非致死的卒中、CVD死亡率)組み合わせをプライマリ、心筋梗塞・卒中それぞれをセカンダリとした。

フォローアップ中央値11.2年(IQR 10.7-13.3)年、重大心血管イベント確認 1732名

プラシーボ比較にて、マルチビタミンの主要心血管イベントへの有意な効果認めず
(マルチビタミン 11.0 vs プラシーボ 10.8 イベント/1000 人年; ハザード比 [HR], 1.01; 95% CI, 0.91-1.10; P = .91

さらに、連日マルチビタミンは総心筋梗塞イベント(3.9 vs 4.2 イベント/ 1000 人年; HR, 0.93; 95% CI, 0.80-1.09; P = .39)、総卒中イベント (4.1 vs 3.9 1000 人年; HR, 1.06; 95% CI, 0.91-1.23; P = .48)、CVD死亡率(5.0 vs 5.1 1000 人年; HR, 0.95; 95% CI, 0.83-1.09; P = .47)に影響認めず

マルチビタミン連日投与は総死亡率との関連性認めず(HR, 0.94; 95% CI, 0.88-1.02; P = .13)

重大心血管イベントへの効果はCVD既往の有無で相異認めず (P = .62 for interaction).



NIHコンセンサスステートメント: マルチビタミン・ミネラルサプリメント(MVM) 2006年 08月 01日

SELECT研究: ビタミンE 前立腺がんリスク増加 [ 2011-10-12 08:15 ]

閉経後女性:サプリメントで死亡リスク増加 マルチビタミン、ビタミンB6・・・(カルシウムは例外)[ 2011-10-11 14:46 ]

抗酸化物質だけを大量にとると酸化促進物質として溜まる [ 2011-06-09 16:16 ]

入院患者の喫煙頻度と、その状況分析

禁煙であるはずの病院で、5名に1人が、かまわず喫煙してる状況

禁煙カウンセラーを設けてる場合だろう、そこを受診して、ニコチン補充療法行っても当初少しは喫煙量減少するが、全期間としてみれば影響なし。




Prevalence and Predictors of Smoking by Inpatients During a Hospital Stay
Arch Intern Med. 2012;():1-5.


たばこカウンセラー訪問成人喫煙者の観察研究

2007年5月1日から2010年4月31日(!)まで、5399名の喫煙者のカウンセリング施行
入院から訪問まで14.9%が喫煙。フォローアップ同意あった3555名のうち、2185名対象

入院期間中、時間かまわず喫煙してたのは18.4%、冬季が少ない

いつでも喫煙という状況は、50歳以上で少ない、心臓ユニット受診は少ない、退院後禁煙するという主張を持つ人が多く、入院期間長いほど多く、たばこをほしがる経験が多い

NRTオーダーの場合、カウンセラー訪問までに比べ喫煙本数減少する(ARR, 0.83; 95% CI, 0.72-0.96)が、入院期間中全部には影響を与えない。

たばこというのは泥沼・・・ 薬物治療でクリアカットに行かないし、喫煙者側に頑強な動機づけがないかぎり心理的介入も必ずしもうまくいくわけでもない・・・ 

たばこやめるつもりのない患者が、禁煙環境に置かれた場合、どうにかしてたばこを求める 医療機関側とのコンフリクトは日常茶飯事

冠動脈由来細胞治療:早期治療は効果認めず、虚血性心筋症では効果? 採取法・投与法も対象も投与時期もばらばらな現状

心筋梗塞後の骨髄由来細胞治療の安全性、エンドポイント候補への影響に注目した2つの研究

TIMEトライアルとPOSEIDONトライアル
前者は,心筋梗塞3-7日という直近の120名で、インターベンション時冠動脈ルートautologous mononuclear cells (MNCs) のday 3、day 7の冠動脈内投与で、主な目的はMNC治療のタイミングと、かかる心筋梗塞アウトカムへの影響検討したもの
結論だけみると、STEMI患者へのBMCsのday3、day7投与とも、左室の全般的・部分的な効果認めなかった。
Effect of the Use and Timing of Bone Marrow Mononuclear Cell Delivery on Left Ventricular Function After Acute Myocardial Infarction:  The TIME Randomized Trial  
Jay H. Traverse, et. al.
for the Cardiovascular Cell Therapy Research Network (CCTRN)
JAMA. Published online November 06, 2012. doi:10.1001/jama.2012.28726



後者は、対象が心筋梗塞から時間のたった虚血性心筋症(ischemic cardiomyopathy (ICM))で、 autologous or allogeneic mesenchymal cells (MSCs)を注入カテーテル経由の心筋注入
プラシーボコントロールなしで、治療関連重大副作用(SAE)は免疫学的副作用を含め少ない。患者の機能、QOL、左室リモデリングに好影響をもたらした。

Comparison of Allogeneic vs Autologous Bone Marrow–Derived Mesenchymal Stem Cells Delivered by Transendocardial Injection in Patients With Ischemic Cardiomyopathy:  The POSEIDON Randomized Trial  
Joshua M. Hare, et. al.
JAMA. Published online November 06, 2012. doi:10.1001/jama.2012.25321





Editorial
Mixed Results for Bone Marrow–Derived Cell Therapy for Ischemic Heart Disease  
Eduardo Marbán, MD, PhD; Konstantinos Malliaras, MD
JAMA. Published online November 06, 2012. doi:10.1001/jama.2012.64751 


スタチン不耐性患者へのモノクローナルPCSK9抗体治療 ・・・ ゼチーアがゴミのようだ



といっても、臨床的アウトカムの検討じゃないから・・・まだ海のものとも山のものともつかぬ

2015年までに上市を目指すそうだが、この種の薬剤の開発競争はげしいらしい(http://www.nytimes.com/2012/11/06/business/new-drugs-for-lipids-set-off-race.html?_r=0




PCSK9抗体の話題

Anti-PCSK9抗体:LDL治療薬 phase I H24/03/22
高コレステロール血症治療: 抗PCSK9抗体治験 (+スタチンでの効果)H24/11/01
こんどは、スタチン不耐性対象の治験



Effect of a Monoclonal Antibody to PCSK9 on Low-Density Lipoprotein Cholesterol Levels in Statin-Intolerant Patients:  The GAUSS Randomized Trial
David Sullivan,  et. al.
JAMA. Published online November 05, 2012. doi:10.1001/jama.2012.25790 


5群比較
・ AMG145単独(280 mg、 350 mg 、 420 mg;)
・ AMG145  420 mg +  ezetimibe(ゼチーア) 10 mg
・ ezetimibe(ゼチーア) + placebo

12週間ランダム化二重盲検プラシーボ、エゼチミブ対照化、用量rating研究

プライマリエンドポイントは、ベースラインから12週目のLDLコレステロール値
他、安全性・耐用性検討

236名スクリーンし、160名をランダム化(平均年齢 62歳、 女性 64%、 平均ベースラインLDL 193mg/dL)

全例、筋肉イベントにてスタチン受容性無し

12週後、平均LDL値の変化
・AMG145 280mg −67 mg/dL (−41%; 95% CI, −49% to −33%)
・AMG145 350mg −70 mg/dL (−43%; 95% CI, −51% to −35%)
・AMG145 420mg  −91 mg/dL (−51%; 95% CI, −59% to −43%)
・AMG145 420mg + エゼチミブ 10mg  −110 mg/dL (−63%; 95% CI, −71% to −55%)
・エゼチミブ + プラシーボ  −14 mg/dL (−15%; 95% CI, −23% to −7.0%)
(P < .001)

4つの重度副作用イベント報告: 冠動脈疾患、急性膵炎、股関節骨折、失神
筋痛は最も多い副事象イベントで、 28mg群 5名(15.6%) 、 350mg群 1名(3.2%)、420mg群 1名(3.1%)、 AMG 420mg/エゼチミブ群 6名(20%)、プラシーボ/エゼチミブ群 1名(3.1%)
 (−15%; 95% CI, −23% to −7.0%) 

LDLコレステロールは、幹細胞表面のLDL受容体と結合したとき、血中から除去される。或いは細胞内に取り込まれる。PCSK9(proprotein convertase subtilisin/kexin type 9 )がLDL受容体と結合すると、LDLとともに受容体も破壊される。PCSK9が結合しない場合は、細胞表面に受容体発現し、よりコレステロールを除去する方向に進む。
http://ki.se/ki/jsp/polopoly.jsp?d=41703&a=137891&l=en


長寿傾向子孫は、低ビタミンD濃度を示す遺伝子特徴


高齢者の子孫では、“高ビタミンD値と関連するCYP2R1遺伝子”変異頻度が少なく、2つの最頻度genotypeに一致したビタミンD濃度低値を示す。


Levels of 25-hydroxyvitamin D in familial longevity: the Leiden Longevity Study
CMAJ November 5, 2012 cmaj.120233

少なくとも1人の90歳代生存子孫である90歳代を対象にビタミンD濃度の検討
加齢関連疾患が少なく、加齢到達率の高いことがしられている一群
この人たちは、対象に比べ、寄与要素と無関係にビタミンD濃度は低かった (64.3 nmol/L vs 68.4 nmol/L; p = 0.002)
副甲状腺ホルモン値でも、差を認めず
対照群と比べ、 CYP2R1 gene (rs2060793)の遺伝的変異頻度少ない (p = 0.04)
高齢者子孫と対象とのビタミンD値群間差は、このSNPのうちの2つの最頻度genotypeの違いに一致する。

OPERA : ω3脂肪酸は術後心房細動予防効果無し

術後心房細動は心臓手術後の最も頻度の高い合併症であり、死亡率や医療リソース増加の元となる。


n-3不飽和脂肪酸(PUFA)が、周術的AF減少するかの検討


Fish Oil and Postoperative Atrial Fibrillation: The Omega-3 Fatty Acids for Prevention of Post-operative Atrial Fibrillation (OPERA) Randomized Trial
Dariush Mozaffarian, et. al. ; for the OPERA Investigators
JAMA. Published online November 05, 2012. doi:10.1001/jama.2012.28733


30秒超の心房細動が主要アウトカム

64(SD 13)歳、男性 72.2%、 待期的弁膜症手術 51.8%

プライマリエンドポイント:
・n-3不飽和脂肪酸(PUFA) 227(30.0%)
・プラシーボ 233(30.7%)
(オッズ比 0.96 95%信頼区間[CI] 0.77-1.20 p=.74)

  Image not available.



セカンダリエンドポイント(1時間超の術後心房細動継続、症状、除細動治療、術後心房粗動外の心房細動、初回術後心房細動までの期間、患者あたりの心房細動数、入院、主要副事象心血管イベント、30日死亡率、出血、その他の副事象)でも有意差無し



noteへ実験的移行

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