2013年9月4日水曜日

心筋梗塞後:食事の質で、死亡率影響



Better Diet Quality and Decreased Mortality Among Myocardial Infarction Survivors

Shanshan Li,  et. al.

JAMA Intern Med. Published online September 02, 2013. doi:10.1001/jamainternmed.2013.9768


米国内でも心筋梗塞後の患者増加にかかわらず、心筋梗塞後の食事と死亡の情報は限られている。
心筋梗塞後生存者のうちの心筋梗塞前・後の心筋梗塞後の食事の質と変化と全死亡率・心血管死亡率の変化

NHS女性 2258名、 HPFS男性 1840名

フォローアップ中、全原因死亡 女性 682名、男性 451名
初回心筋梗塞後からの生存期間中央値は、女性 8.7年、 男性 9.0年間

食事の質を Alternative Healthy Eating Index 2010 (AHEI2010)で判定
慢性疾患リスクと関連する食事・栄養素評価


結果をプールし補正ハザード比を求めると、POST-MI AHE2010両端5分位比較で、全原因死亡率では 0.76(95% CI, 0.60-0.96) 、心血管死亡率は 0.73(95% CI 0.51-1.04)

AHEI2010スコア増加するほど、6分位両端比較で、全原因死亡率(pooled HR, 0.71; 95% CI, 0.56-0.91)、心血管死亡率減少(pooled HR, 0.60; 95% CI, 0.41-0.86)。

心梗塞後AHEI2010の補正ハザード比は全死亡率 0.73(95% CI, 0.58-0.93)、 心血管死亡率は 0.81 (95% CI, 0.64-1.04)で、アルコール除外。


冠動脈疾患・高血圧前症・・・ラジレス:動脈硬化進展抑制示せず

ラジレス(アリスキレン) これもがっかり薬剤の一つだなぁと・・・確かに、prehypertensionで臨床的有意差でにくい状況なのは同情するが、ただ、その利用に活路を見いだそうとしているわけで、この薬剤の限界を感じる。


二重盲験ランダム化多施設トライアル
AQUARIUS:Aliskiren Quantitative Atherosclerosis Regression Intravascular Ultrasound Studyトライアル

冠動脈疾患、収縮期血圧 125−139(prehypertension)、2つの心血管リスク要素
IVUS施行
アリスキレン 300mg n=305 vs プラシーボ n=308  x104週間
IVUS再施行:72週超過後

主要アウトカム測定:ベースラインからのアテローマ容積比率(PAV)変化、セカンダリ有効性パラメータ指標は、総アテローマ容積(TAV)と動脈硬化病変退縮比

458名の被験者、74.7%でベースライン・フォローアップでの画像データ評価可能

プライマリIVUS効果指標であるPAVではアリスキレン群とプラシーボの差認めず (−0.33%; 95% CI, −0.68% to 0.02% vs. 0.11%; 95% CI, −0.24% to 0.45%) (between-group difference, −0.43% [95% CI, −0.92% to 0.05%]; P = .08)

セカンダリIVUS有効性指標である、TAVでも差認めず (−4.1 mm3; 95% CI, −6.27 to −1.94 mm3 vs −2.1 mm3; 95% CI, −4.21 to 0.07 mm3) (between-group difference, −2.04 mm3 [95% CI, −5.03 to 0.95 mm3]; P = .18)

PAV退縮比率でも差認めず (56.9% vs 48.9%; P = .08)
TAV退縮比率でも同様 (64.4% vs 57.5%; P = .13) 



Effect of Aliskiren on Progression of Coronary Disease in Patients With Prehypertension
The AQUARIUS Randomized Clinical Trial
Stephen J. Nicholls, et. al.
JAMA. Published online September 03, 2013. doi:10.1001/jama.2013.277169


COMPAREトライアル:マルファン症候群大動脈径拡大抑制効果 ロサルタン

COMPARE トライアル (Cozaar in Marfan Patents Reduces Aortic Enlargement) 

Groenink M et al, "COMPARE: Effect of losartan on aortic dilatation rate in adults with Marfan Syndrome" ESC 2013; Abstract 2757.
http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/ESC/41336


以前、取り上げたことがある 、ロサルタンの大動脈病変への効果
マルファン症候群の大動脈起始部病変治療にARB有効2008年 06月 26日


3年間治療にて、対照群 2.35mmに比較して、ロサルタン群 0.77 mmの拡大と抑制

職場介入プログラム:運動量増加させるには、単にジム利用だけではだめ、教育・時間付与が必要

職場で、運動量を増加するためには、単にジム利用を勧めるだけではだめで、教育・時間付与をしてはじめて効果がある。

A Randomized Prospective Trial of a Worksite Intervention Program to Increase Physical Activity.
Julie A. Gazmararian,  et. al. (2013)
American Journal of Health Promotion: September/October 2013, Vol. 28, No. 1, pp. 32-40.
doi: http://dx.doi.org/10.4278/ajhp.110525-QUAN-220

積極的に運動しない非専門性被雇用者410名を、9ヶ月間行った、身体活動性・ライフスタイルのランダム化研究


介入としては、対照、ジムのみ、ジム+ 運動教育、ジム+労働日時間付与、義務・教育・労働日時間付与


対照と比較して、ジム単独では改善認めず (相対リスク [RR] 1.22 [.90 - 1.67])
しかし、ジム+教育、ジム+時間付与、ジム+時間付与+教育では、対照より有意に改善l (RR 1.51 [1.15, 1.98], RR 1.46 [1.13, 1.88], RR 1.28 [1.01, 1.62])で、9ヶ月続く。

先進国:国民は、体重増加続くグループと、肥満抵抗性グループに2大別される

先進国では、肥満傾向群と、肥満抵抗性群と2大別される傾向にあるようだ。

しかも、後者が多いというのは、体重増加に悩む人たちにとって気分的に良くない情報だろう。

Slowing down of adult body mass index trend increases in England: a latent class analysis of cross-sectional surveys (1992-2010)
M Sperrin, et. al.
International Journal of Obesity (2 September 2013) | doi:10.1038/ijo.2013.161
http://www.nature.com/ijo/journal/vaop/naam/pdf/ijo2013161a.pdf


イギリスでは、男性 3/4、女性 2/3で、BMI増加に対し抵抗的で有り、西側諸国ではBMI増加傾向は鈍ってきていることに対する説明要素である。


ターゲット化肥満減少アプローチは、住民ベースの介入よりより有効であるかもしれない


超過体重をBMI25と定義し、この比率は数十年来増加してきていたが、鈍化が観察される報告も出てきていた。


 20−74歳、男性 76,382名、女性 87,773名のBMIデータ


19年間研究で、BMI中央値に関し、
男性 25.6 kg/m2 (1992)  → 27.5 kg/m2(2010)
女性 24.5 kg/m2  → 26.5 kg/m2



しかし、spline regression解析によると、2001が、転換点であるpivot yearで、増加率は男性、女性でそれぞれ 0.140、 0.139とそれまで増加していたが、以降、− 0.038 、 0.055 25 kg/m2と減少もしくは増加鈍化( P< 0.0001)。



BMI高値 群は男性で23.5%、このメンバーは年々増加するも、残り76.5%はBMI増加としては最小を保つ。女性ではBMI高値 群は33.7%で、残りは66.3%。



男性では、BMI高値 群は、平均身長 1.83mに対し、年々 0.6 kg〜1.02kg増加
同様に、女性では、平均身長 1.63mに対し、年々 0.27〜0.62kg増加。

一方、BMI正常群では、男性 0.16 kg、女性 0.08 kg/年増加となっている。

私は、今、BMIほぼ正常化したから、抵抗なく、この文献紹介できる (我ながら、やな奴)

UMPIREトライアル:ポリピル ・・・ 一律治療はアドヒアランス良好だが、治療効果不十分

Use of a Multidrug Pill in Reducing Cardiovascular Events (UMPIRE)トライアル

治療必要性があり、2つの重大CVDリスク要素である収縮血圧、LDLコレステロール治療対象者

アスピリン、スタチン、2つの降圧剤を含むポリピル(polypill)【<アスピリン75mg、 シンバスタチン 40mg、 リシノプリル 10mg、 アテノロール 50mg>、あるいは、<アスピリン 75mg、 シンバスタチン 40mg、 リシノプリル 10mg、 HCTZ 12.5mg>】

薬物療法のアドヒアランス改善(86% vs プラシーボ 65% , p < 0.001)するが、その効果である、降圧効果、LDL低下限定的 (収縮期血圧減少 4.0 vs 1.1 mmHg, p <  0.001 、 LDL減少 6.6  vs 1.9 mg/dL , p <  0.001)

さらに、アドヒアランス良好な患者でも心筋梗塞、卒中といった重度副事象減少効果明確でないという報告。

"Effects of a fixed-dose combination strategy on adherence and risk factors in patients with or at high risk of CVD"
Thom S, et al
JAMA 2013: 310(9) 918-929.


個別化治療が基本と考えられるが、なぜ、ポリピル的一律治療でそのアドヒアランスの良さにかかわらず、治療効果を上げないのか、説明が必要であろう。
降圧治療として、HCTZもしくはβ遮断剤単独が用いられており、不十分治療によるところが大きいのかもしれない。

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