2012年3月19日月曜日

ホーノキオール(厚朴の成分):脳炎症性ダメージを抑制


厚朴(こうぼく)の成分らしいが、ホーノキオール
http://www.qlife-kampo.jp/clinic/crude-drug/entry804.html


microgliaは、感染からの脳を守る最前線である。一方、microgliaの過活動により 制御不能な炎症を脳内で生じ、神経ダメージを生じる可能性がある。
対し、honokiol (HNK)が、Klf4経由でDNAを調性し、microglia内のこの炎症細胞惹起性サイトカイン産生、炎症性酵素ををdown-regulationする。

http://www.eurekalert.org/pub_releases/2012-03/bc-tjt031612.php

LPSによるmicroglia 刺激で、炎症誘発性サイトカイン、TNFαなどを放出し、NO、COX-2産生刺激する。神経変性疾患、アルツハイマー病やパーキンソン病、多発硬化症などでこのmicroglia過活動がみられる。Klf4による炎症性反応はKlf4による介在があり、DNAへ直接transcription factorとなる。
 HNKは活性化を減少し、サイトカイン分泌減少を生じ、Klf4活性化をdown-regulateする。
 

Therapeutic targeting of Kruppel-like factor 4 abrogates microglial activation
Deepak K Kaushik, Rupanjan Mukhopadhyay, Kanhaiya L Kumawat, Malvika Gupta and Anirban Basu
Journal of Neuroinflammation (in press)

COPD:バイオマーカー利用で死亡率予測改善効果

COPD予後推定として、IL-6などのバイオマーカーがどの程度寄与するか?

Inflammatory Biomarkers Improve Clinical Prediction of Mortality in Chronic Obstructive Pulmonary Disease
Bartolome R Celli, et. al.
Am. J. Respir. Crit. Care Med. March 15, 2012 rccm.201110-1792OC
ECLIPSE study登録者の1843名、3年間フォローアップ
死亡 168/1843  (9.1 %) 
非生存者は、高齢で、気流制限より重症、呼吸苦強く、高BODEスコア、気腫強く、合併症率高く、入院既往多い場合。
年齢、BODEスコア、入院歴を含む臨床変数が、最も確実な死亡率の予測要素 (C-statistic of 0.686, p<0.001)。
バイオマーカーは一つ、IL-6が、C staticsを0.708へ改善し、他のバイオマーカーを加えた場合、0.726へ改善。

COPDはlow-gradeの炎症が特徴で、従来の死亡予後因子に、炎症性パラメータを加えることで、死亡率予測改善されるのではないかという仮説の立証

検討したのは、白血球巣、血中・血清フィブリノーゲン、ケモカインリガンド18、SP-D、CRP、 Clara cell secretory protein-16、 interleukin-6 と -8、TNFα。

老人医療:医療情報リテラシーはその後の死亡率と関連する

英国では、老人の1/3が、基本的な記載情報に関連した医療上の知識読み取り・理解能力に欠けており、その能力低下は高死亡率と関連する。リテラシー能力低下は、高齢者の医療サービス提供・デザインに関し重要な意味を持つ

Research
Association between low functional health literacy and mortality in older adults: longitudinal cohort study
BMJ 2012; 344 doi: 10.1136/bmj.e1602 (Published 15 March 2012) Cite this as: BMJ 2012;344:e1602


 University College London studyで、高齢者health literacyと死亡リスクへの関連

アスピリン錠剤服用記載項目に関する理解度評価4つの項目試験


Health literacy を高(最高スコア 67.2%)、中等(1つの過誤 20.3%)、低(2つ以上の過誤)に分ける

フォローアップ平均5.3年間で、621名死亡

リテラシー 分けで、高カテゴリーでは321(6.1%)、中間 143(9.0%)、低 157(16.0%)

個別特性、社会経済的ポジション、ベースライン健康状況、健康行動補正後、全原因死亡率は、低health literacyでは、高リテラシー群に比べ、死亡ハザード比  1.40 (95% 信頼区間 1.15 ~ 1.72)、中間health literacyでは、 1.15 (0.94 to 1.41)

認知能力補正後で、低health literacyのハザード比減少 1.26 (1.02 ~ 1.55)。


 高齢者にわかりやすい、薬物を含めた医療情報パンフレットや動画などを利用した情報提示が必要。患者自身が自分の健康管理をおこない、ポジティブなライフスタイル選択を行うよう誘導するために、わかりやすい、理にかなった情報提供を常に行う必要がある。

肥満:BDNF遺伝子とニューロン相互情報伝達の関連

brain-derived neurotrophic factor gene、BDNF遺伝子発現に問題がある場合、ニューロン同志の相互情報伝達無効となり、インスリン、レプチンのシグナルは無効となる。

BDNF発現促進薬剤が開発されれば体重コントロールの手助けになるだろう、また、遺伝による2個体の体重差の40-70%は遺伝子により左右される(http://www.bbc.co.uk/news/health-17398746)となると、この種の中枢での遺伝子発現研究の重要性が増す。


Dendritically targeted Bdnf mRNA is essential for energy balance and response to leptin
Nature Medicine(2012)doi:10.1038/nm.2687 Received 15 December 2011 Accepted 24 January 2012 Published online 18 March 2012 

 Bdnf遺伝子変異は、ヒト肥満と関連する、short or long 3′ untranslated regions (3′ UTRs)のtranscript ともたらす。
long 3′ UTR Bdnf mRNAは視床下部ニューロン樹状細胞に豊富で、インスリン・レプチンが樹状突起でのtranslationを促進する。視床下部でのlong 3′ UTR Bdnf mRNAウィルス発現マウスで完全にreverseする。

これらのマウスでは、 レプチン受容体の正常活性化にもかかわらず、レプチンの視床下部ニューロン活性化能力、食事摂取抑制が、損なわれる。

視床下部の介入による体重調整中にレプチン活性からBDNF発現する新しいメカニズムは判明し、この過程に樹状突起タンパク合成が関連しているという新しい知見が見いだされた。


喘息:ゾレア26週間プラシーボ対照化RCT ;ACT、IGETで有意差認めず

あくまで個人的意見だが、ゾレアに効果ある一群は確かに存在するという臨床的な印象がある。その値段と比べあまねく効果があるかというとやはり疑問がある。

26週間というやや長期の検討結果でも、持続性アレルギー性喘息すべての人に有効という分けではなさそう。有効性を示すサブグループ選別にはベースラインでのACTスコアが一つの目安かもしれない。



オマリズマブ26週ランダム化二重盲検対照化多施設研究

A 26-Week, Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled, Multicenter Study to Evaluate the Effect of Omalizumab on Asthma Control in Patients with Persistent Allergic Asthma

Bardelas, Jose et. al.
Journal of Asthma, Volume 49, Number 2, March 2012 , pp. 144-152(9)

NHLBI step 4以上の持続性アレルギー性喘息コントロール不良例での効果

二重盲検プラシーボ対照化で、12年以上の患者で、 24週間で2-4週毎omalizumab(n-136)、プラシーボ(n=135)に割り付け

プライマリ有効性変数は、ACT総スコア、Investigator's Global Evaluation of Treatment Effectiveness (IGETE, secondary efficacy variable) のベースラインからの変化

ACTスコアはomalizmabでプラシーボより改善  (最小2乗法 [LSMs]: 5.01, 4.36);しかし、その差は有意差無し  (p == .1779)

同様に、 IGETEでも有意差なし  (p == .1177)、しかし、IGETE "Excellent"該当とされたのは、omalizumab  (26/127, 20%%) vs placebo (19/131, 15%%)

有意ベネフィットが見られたのは、ベースラインACTスコア15点以下のvery poorly controlledの状態のサブグループで、 24週目 ACT score (LSMs: 6.66, 5.27; p == .0334) 、 IGETE (p == .0321)。

ベースラインでのFEV1予測 80% サブグループでは有意差無し

薬物関連副作用・死亡を含め 副事象は両群同様


効果確定的なサブグループの存在をしめさなければ、意義が問われるのは必須なはず。
サブグループを付記した論文発表になった訳も分かる。


Rett症候群:野生種microgliaマウス移植実験で改善 ・・・ microglia貪食能の重要性認識

骨髄移植によりRett症候群モデルの免疫系を置き換え

 Rett geneによりencodeされる蛋白、methyl-CpG binding protein 2 (Mecp2)のmicrogliaでの機能障害

Rett症候群とは、X-linked 自閉症スペクトラム障害:autism spectrum disorderを伴う身体障害を多く有する疾患で、MECP遺伝子のrandom mutationに起因する疾患。主に女児で、6-18ヶ月で症状出現し、言語発達障害、手指運動異常などを来す。換気障害、パーキンソン症候群的振戦、重度不安、痙攣、消化器系・循環器系、自律神経系、整形的異常などをもたらす。
Noël C. Derecki, James C. Cronk, Zhenjie Lu, Eric Xu, Stephen B.G. Abbott, Patrice G. Guyenet and Jonathan Kipnis. Wild type microglia arrest pathology in a mouse model of Rett Syndrome. Nature, March 18, 2012 DOI: 10.1038/nature10907

放射線暴露Mecp2-null宿主へのwild-type骨髄移植により、宿主由来のmyeloid cellの脳実質 でのmicroglial phenotypeが広がり、疾患進展が停止された。
しかし、頭部放射線はシールドでブロックした場合、microgliaの広がりは防がれ、疾患も停止出来なかった。 同様に、myeloid cellでのMECP2発現は、Mecp2-nullバックグラウンドでLysmcreによりなされ、著明な疾患症状減弱が認められた。  多面的アプローチによるMecp2-発現microgliaにより疾患病態の多面的異常を軽減した。
生存期間延長、換気パターン正常化、無呼吸軽減、体重増加、運動活動性改善など
Mecp2+/− メスは、有意に改善し、野生種のmicrgliaの広がりにまで改善した。
wild-typemicroglia導入によるこれらの効果は、phagocytic activityを薬物的に阻害したときに減少する。則ち、annexin Vを用いて、アポトーシス目標に対しphosphatydilserineのブロックを行い、 組織内存在phagocyteのrecognitionやengulfmentを減弱させた効果。

これらの結果は、Rett症候群に於けるmicrogliaの貪食能の重要性を示唆する。

noteへ実験的移行

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