2012年10月3日水曜日

ベンゾジアゼピン系使用で認知症リスク増加


Benzodiazepine use and risk of dementia: prospective population based study
BMJ 2012; 345 doi: 10.1136/bmj.e6231 (Published 27 September 2012)
Cite this as: BMJ 2012;345:e6231


1063名男女(平均78.2歳)での認知症発症リスク


スタートアップから3-5年前の観察研究を含む


15年間のフォローアップ期間で、253名で認知症発症
多変量補正ハザード 1.60, 95%信頼区間 1.08-2.43

ベンゾジアゼピン新規使用は認知症リスク増加と相関 (多変量補正ハザード比  1.60, 95% 信頼区間 1.08 - 2.38)

うつ症状存在を考慮下感度分析で、同様の相関 ハザード比 1.62, 1.08 - 2.43)

ベンゾジアゼピン開始患者のフォローアップ・評価累積コホート二次解析にて認知症発症相関評価。

新規ベンゾジアゼピン利用5つのコホート累積ハザード比は 1.46 (1.10 - 1.94)

補完的nested症例対照研究の結果ベンゾジアゼピン使用経験は、非使用者に比べ、50%ほど認知症リスク増加 (adjusted odds ratio 1.55, 1.24 - 1.95)

過去使用者でも同様 (オッズ比 1.56, 1.23 - 1.98) 、直近使用でも (1.48, 0.83 to 2.63)同様。ただ、過去使用者のみ有意差に到達。


フォローアップ5年(cohort T5)、8年、10年、13年、15年
width=500


ベンゾジアゼピン新規使用とPAQUIDの認知症発症の相関


コホートT5,T8,T13,T15と認知症累積相関






高齢者に対してベンゾジアゼピン系使用制限すべきだと思う。

Benzodiazepine withdrawal sydrome; アメリカ家庭医協会
Addiction: Part I. Benzodiazepines—Side Effects, Abuse Risk and Alternatives
http://www.aafp.org/afp/2000/0401/p2121.html

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ホイットニー ヒューストン :ベンゾジアゼピン系薬剤の有害性 2012/02/21



GABAに関して一般の方もその名前を知るようになった。抗ストレス効果などとあおっているが、GABAを含む他の神経伝達物質ドパミン、アセチルコリンなどやそれの作動するニューロンの場をみればそれほど簡単なものでは無いとすぐ分かるはず。
GABA作動系は脳全般的には不安減少、行動脱抑制、鎮静、多幸をもたらす、GABAを通して辺縁系協同的に働く。辺縁系の抗不安作用が働くところは、報酬系へも影響をもたらす。GABAはドパミン系報酬系modulation関与し、薬物・薬剤乱用と関連し、薬剤乱用における薬剤はGABA受容体のニューロン過分極へ働く。ニューロンが過分極のため、ニューロンの点火抑制であり、車のブレーキのようなもの。
ニューロンが神経伝達物質放出するよう点火している時、DOAはこれらのニューロンを抑制し、GABA分泌減少させる。
ベンゾジアゼピン系を急激中断・減量すると、薬剤適応状態の破綻を来す。
特に、トレランスを獲得している状態では、GABAの抑制性機能の活動性低下により、興奮性神経活動性を急激に亢進させ、ベンゾジアゼピン離脱症状を来す。

http://ibgwww.colorado.edu/cadd/a_drug/essays/essay4.htm

健康成人: ビタミンDサプリメント投与、気道感染減少効果認めず

健康成人対象のビタミンDサプリメントの気道感染効果の確認報告で、結果的に、その予防効果みとめなかった。


Effect of Vitamin D3 Supplementation on Upper Respiratory Tract Infections in Healthy AdultsThe VIDARIS Randomized Controlled Trial FREE David R. Murdoch, et. al.
JAMA. 2012;308(13):1333-1339. doi:10.1001/jama.2012.12505.


ランダム化二重盲検プラシーボ対照化トライアル
ニュージーランドの Christchurch

ビタミンD投与群 20万単位経口投与、1ヶ月後同量、その後、10万IU月単位(n=161)
vs
プラシーボ

18ヶ月


ベースライン25-OHD濃度は 29 (SD, 9) ng/mL. 
 ビタミンDサプリメント投与にて、血中濃度 48 ng/mL超で維持

上気道感染(URTI)エピソードは、ビタミンD群 593、 プラシーボ群 611
被験者あたりのURTIエピソード数は統計学的差認めず (ビタミンD群 平均, 3.7 /被験者 vs  プラシーボ 3.8 /被験者、 リスク比, 0.97; 95% CI, 0.85-1.11)、 URTIによる休業日数  (両群とも平均, 0.76 日, 1.03; 95% CI, 0.81-1.30)、 エピソードあたりの症状期間 (両群とも平均 12日間i; risk ratio, 0.96; 95% CI, 0.73-1.25),、 URTIエピソード同様。


β遮断剤:心発作・卒中予防効果認めず?

観察研究なので解釈は慎重に!

その一方で、β遮断剤の有効性は確定事項のごとく使われているが、非ランダム研究だけで、しらにしうるランダム化トライアルがなされず、カルシウム拮抗剤、ACE、ARBなどに凌駕され、取り残されてきた経緯がある。
社会通念とも言える、β遮断剤役割、今後、この解釈に関してはもめそう。この結果から、β遮断剤を即中止するようなことはやめてくれとのこと。

β-Blocker Use and Clinical Outcomes in Stable Outpatients With and Without Coronary Artery Disease
Sripal Bangalore, et. al. ; for the REACH Registry Investigators
JAMA. 2012;308(13):1340-1349. doi:10.1001/jama.2012.12559.
 Reduction of Atherothrombosis for Continued Health (REACH)

長軸的観察研究

・心筋梗塞既往 (n = 14 043),
・心筋梗塞既往無しのCAD (n = 12 012)
・CAD risk factorのみ (n = 18 653)

プライマリアウトカム:心血管死亡・非致死心筋梗塞、非致死卒中
セカンダリアウトカム:プライマリアウトカム+入院(動脈硬化血栓イベント、血管再建施行)

Propensity score matchingをプライマリ分析で使用
合致した21860(44708中)を分析、44ヶ月のフォローアップ中央値(IQR, 35-45ヶ月)、イベント率はβ遮断剤使用・未使用で有意差無し、心筋梗塞既往コホートにおいても見られず (489 [16.93%] vs 532 [18.60%]; ハザード比 [HR], 0.90 [95% CI, 0.79-1.03]; P = .14).

MI無し・CADコホートでは、β遮断剤使用・未使用で関連イベント有意差無し (391 [12.94%]) vs (405 [13.55%]) (HR, 0.92 [95% CI, 0.79-1.08]; P = .31)
セカンダリアウトカムでは高率 (1101 [30.59%] vs 1002 [27.84%]; オッズ比 [OR], 1.14 [95% CI, 1.03-1.27]; P = .01) 、入院三次アウトカム(870 [24.17%] vs 773 [21.48%]; OR, 1.17 [95% CI, 1.04-1.30]; P = .01)

CADリスクのみコホートでは、イベント率はβ遮断剤で高率 (467 [14.22%]) vs without β-blocker use (403 [12.11%]) (HR, 1.18 [95% CI, 1.02-1.36]; P = .02),
セカンダリアウトカムでも高率 (870 [22.01%] vs 797 [20.17%]; OR, 1.12 [95% CI, 1.00-1.24]; P = .04) 、しかし心筋梗塞三次アウトカムでは有意差無し (89 [2.82%] vs 68 [2.00%]; HR, 1.36 [95% CI, 0.97-1.90]; P = .08) 、卒中三次アウトカム (210 [6.55%] vs 168 [5.12%]; HR, 1.22 [95% CI, 0.99-1.52]; P = .06).

しかし、recent MI(1年以下)患者では、β遮断剤は、セカンダリアウトカム頻度低下と相関  (OR, 0.77 [95% CI, 0.64-0.92])

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