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2020年10月13日火曜日

“高トリグリセリド血症性急性膵炎(HTG-AP)”へのトリグリセライド管理

“高トリグリセリド血症性急性膵炎(HTG-AP)”へのトリグリセライド薬物治療に関して意外とクリアなエビデンスは無いのかもしれない



Clinical Review State of the Art Review

Management of hypertriglyceridemia

BMJ 2020; 371 

doi: https://doi.org/10.1136/bmj.m3109 (Published 12 October 2020)

https://www.bmj.com/content/371/bmj.m3109.short?rss=1

 高トリグリセリド血症はかなり一般的な臨床状態であるが、その影響と管理についてはかなりの議論が続いている。

高トリグリセリド血症性急性膵炎(HTG-AP)の診断は比較的簡単なように見えるが、臨床家はかなりの数の難問に直面している。

  • 高トリグリセリド血症は急性膵炎の原因なのか、それとも結果なのか?
  • 以前の非空腹時血清トリグリセリド値は高トリグリセリド血症の診断や将来のリスク評価に有効なのか?
  • 患者の高トリグリセリド血症の原因は何か:原発性の遺伝子異常か、それとも糖尿病とエストロゲンの使用による二次的なものか?
  • 遺伝子検査は有益か?
  • 高トリグリセリド血症に対する最適な治療計画は何か?
  • 高トリグリセリド血症はアテローム性動脈硬化性心血管病(ASCVD)の長期的なリスクを増加させますか?
  • 特に「ケトジェニック」な食事に対する嗜好の観点から、推奨されるべき最適な食事は何ですか?ス
  • タチン、フィブラート、オメガ3脂肪酸、ナイアシン、またはそれらの組み合わせのいずれの薬物治療が最も効果的でしょうか?







Metabolism of triglyceride-rich lipoproteins (TGRL) 

2つの主要 l TGRLである chylomicrons (CHYLO) と very low density lipoproteins (VLDL) は各々腸管、肝臓で分泌される。脂肪組織や骨格筋で主に発現されているlipoprotein lipase (LPLで加水分解され、これら組織に遊離脂肪酸として流し込み、カイロミクロンレムナント(CR)、VLDLレムナント (VLDLr)やintermediate density lipoproteins (IDL)へ流れる。 

CR、VLDLr、IDLは LDL receptor related proteins (LRP)で除去されるか、さらにはhepatic lipase (HL)で加水分解されLDL分子形成に導かれる。 

LDLと同様、RLPも血管内へ取り込まれ、血管炎症や動脈硬化原性に働く 

LPL活性のpositiveとnegativeのinfluencerとしての働きが示されているが、インスリンは脂肪組織hormone sensitive lipase (HSL)を抑制する役割がある

Refer to table 2 for details of these and other key molecules involved in metabolism of TGRLs. 

ANGPTL 3/4=angiopoetin-like proteins 3 and 4; Apo=apolipoprotein; A-V=apolipoprotein A-V; C=apolipoprotein C; CE=cholesteryl ester; E=apolipoprotein E; GPIHBP1=glycosylphosphatidylinositol-anchored high density lipoprotein binding protein-1; LMF=lipase maturation factor; TG=triglycerides

高TG血漿の原因 : Box2 参照


管理:ここでは

Management of severe hypertriglyceridemia in patients with acute hypertriglyceridemic pancreatitis

減量 

食事変容

運動

アルコール

薬物治療

血清トリグリセリドが500mg / dLを超えると膵炎のリスクが高まるため、ほとんどのガイドラインでは、このリスクを軽減するためにフィブラート、オメガ3脂肪酸、またはナイアシンによる治療を推奨しています。ただし、これらの推奨事項は主に観察研究に基づいています。4万人以上の患者を対象とした7件のフィブラート試験のメタアナリシスでは、プラセボと比較して膵炎のリスクの低下を示すことができませんでした(リスク比1.39、95%信頼区間1.00〜1.95)。ただし、これらの試験のベースライントリグリセリド濃度は118〜187 mg / dLの範囲であったため、より重度の高トリグリセリド血症の人々におけるHTG-APのリスクは考慮されていません。興味深いことに、同じメタアナリシスは、スタチン療法による膵炎のリスクの低下を示しました(リスク比0.77、0.62から0.97)。これは、スタチン治療による胆汁コレステロール濃度の低下に関連している可能性がありますが、フィブラートは胆汁コレステロール濃度と胆石のリスクを高めます。しかし、重度の高トリグリセリド血症の患者におけるフィブラートのトリグリセリド低下効果は、膵炎のリスクのより大きな決定要因である可能性が高く、これらの状況下での使用を正当化します。同様に、オメガ-3脂肪酸療法またはナイアシンによる膵炎のリスクの低下を示した臨床試験はありませんが、前者はおそらくその抗炎症効果のために、急性膵炎のいくつかの転帰を改善することが示されています。ただし、血清トリグリセリドを30〜50%減少させることが示されているため、HTG-APのリスクを減少させるという仮定は妥当です。

 <hr>


以下の薬剤がどのような臨床的役割を果たすか?いまのところ、日本ローカルな薬剤に過ぎないのでエビデンス構築困難とは思うが・・・


フィブラート系新薬パルモディア(一般名:ペマフィブラート)

Pemafibrate (K-877), a novel selective peroxisome proliferator-activated receptor alpha modulator for management of atherogenic dyslipidaemia

https://cardiab.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12933-017-0602-y


核内受容体の選択的調節がSPPARMの概念をどのように支えているかを示す模式図。異なるリガンドの核内受容体への結合は、異なる構造変化を誘導し、それが補因子の親和性に影響を与えます。異なるリガンドは補因子を共有し、結果として生物学的応答を共有する(a)が、補因子と受容体の結合プロファイルには明確な違いがある(b)かもしれない。このように、リガンドのユニークな受容体-界面活性剤結合プロファイルは、受容体結合の特異性と効力を決定する重要な要素であり、その結果、遺伝子および組織の選択的効果を調節します。




2016年11月8日火曜日

非空腹時高トリグリセライド血症は急性膵炎リスク


"Plasma levels of nonfasting triglycerides (n = 116 550), lipase (n = 15 856), and pancreatic amylase (n = 92 672) were mea- sured on fresh blood samples with use of standard hospital as- says. Nonfasting triglycerides are maximally increased by 26 mg/dL (0.3 mmol/L) after intake of habitual meals com- pared with fasting triglycerides"と書かれている以外、採血タイミング記載分からない(渡しが見逃してるだけかもしれないが・・)


Nonfasting Mild-to-Moderate Hypertriglyceridemia and Risk of Acute Pancreatitis
Simon B. Pedersen,  et. al.
JAMA Intern Med. Published online November 7, 2016. doi:10.1001/jamainternmed.2016.6875


前向きコホート研究:Copenhagen General Population Study(2003 to 2015 )とCopenhagen City Heart Study (開始: 1976 to 1978 ):フォローアップ 1981-1983年、2001-2003年
フォローアップ中央期間: 6.7 年間 (interquartile range, 4.0-9.4 年間)
トリグリセライド測定 116,550名 (Copenhagen General Population Study (n = 98 649),Copenhagen City Heart Study (n = 17 901))

イベント、死亡、移住、フォローアップ終了 (November 2014)までいずれかまでをフォローアップとする

暴露:非空腹時血糖値

主要アウトカム・測定: ハザード比:急性膵炎(n=434)、心筋梗塞 (n=3942)

全体的に、この研究では116,550名を含み(年齢中央値[IQR] 57 [47-66]歳)
血中トリグリセライド(TG) < 89 mg/dLに比べ、急性膵炎多変量補正ハザード比(HRs)

  • 89 mg/dL to 176 mg/dL (1.00 mmol/L-1.99 mmol/L) 1.6 (95% CI, 1.0-2.6; 4.3 イベント/1万人年)
  • 177 mg/dL to 265 mg/dL (2.00 mmol/L-2.99 mmol/L) 2.3 (95% CI, 1.3-4.0; 5.5 イベント/1万人年)
  • 366 mg/dL to 353 mg/dL (3.00 mmol/L-3.99 mmol/L) 2.9 (95% CI, 1.4-5.9; 6.3 イベント/1万人年)
  • 354 mg/dL-442 mg/dL (4.00 mmol/L-4.99 mmol/L) 3.9 (95% CI, 1.5-10.0; 7.5 イベント/1万人年)
  • 443 mg/dL (≥5.00 mmol/L)以上 8.7 (95% CI, 3.7-20.0; 12 events/10 000 人年)
  • (trend, P = 6 × 10−8)


 同様に心筋梗塞HRs

  • 1.6 (95% CI, 1.4-1.9; 41 イベント/1万人年)
  • 2.2 (95% CI, 1.9-2.7; 57 イベント/1万人年)
  • 3.2 (95% CI, 2.6-4.1; 72 イベント/1万人年)
  • 2.8 (95% CI, 2.0-3.9; 68 イベント/1万人年)
  • 3.4 (95% CI, 2.4-4.7; 78 イベント/1万人年) (trend, P = 6 × 10−31)



 急性膵炎多変量補正HRは
 89 mg/dL (1 mmol/L)増加あたり 1.17 (95% CI, 1.10-1.24)

 性別、年齢、教育、喫煙、高血圧、スタチン使用、研究コホート、糖尿病、BMI補正、アルコール、胆石疾患層別化後、この結果は相互作用統計学的エビデンスみとめず






2014年4月10日木曜日

サルモネラ菌は膵炎の原因になる・・・マウスモデル

持続性サルモネラ症が膵炎の原因となる・・・



マウスの実験で、サルモネラ属 Salmonella enterica のseroverである、S. typhimuriumが膵炎を生じさせることが示された

Persistent Salmonellosis Causes Pancreatitis in a Murine Model of Infection
Kathleen E. DelGiorno et. al.
PlosOne Published: April 09, 2014DOI: 10.1371/journal.pone.0092807

2013年3月5日火曜日

経口ステロイドでも、急性膵炎リスク増加 投与4-14日めがリスク最大

GLP-1アナログ製剤も、DPP4阻害剤も急性膵炎入院と関連 2013年02月26日 の同月同雑誌記載の報告

経口ステロイドでも、急性膵炎リスク増加

住民ベース症例対照研究
6161名の急性膵炎と、61637名の対照
急性膵炎リスクは経口ステロイド現行使用vs非使用者で、オッズ比 1.53:95% CI, 1.27-1.84
薬剤使用4日〜14日で最もリスクが高い(オッズ比 1.73、95%CI, 1.31-2.28)で、その後はリスク減少
最近ステロイド使用とか、かつての使用とかは、リスク増加と関連せず

Association of Oral Glucocorticoid Use With an Increased Risk of Acute PancreatitisA Population-Based Nested Case-Control Study
Omid Sadr-Azodi, et. al.
JAMA Intern Med. 2013;():1-6. doi:10.1001/jamainternmed.2013.2737.


2013年2月26日火曜日

GLP-1アナログ製剤も、DPP4阻害剤も急性膵炎入院と関連

住民ベース症例対照研究で、2005年2月1日から2008年12月31日

この場合のGLP-1関連薬剤とは、exenatide(バイエッタ)だけでなく、DPP4阻害剤も含めての問題
日本では糖尿病学のリーダーがへんなため、国際的基準薬を無視して、DPP4阻害剤が実質的に第一選択とされることも多くなっているため、使用の際、注意が必要だろう。

exenatide(バイエッタ)とsitagliptin(ジャヌビア/グラクティブ)の急性膵炎入院数への影響報告

Glucagonlike Peptide 1–Based Therapies and Risk of Hospitalization for Acute Pancreatitis in Type 2 Diabetes Mellitus
A Population-Based Matched Case-Control Study
ONLINE FIRST
Sonal Singh, et. al.
JAMA Intern Med. 2013;():1-6. doi:10.1001/jamainternmed.2013.2720.


症例:平均年齢52歳、男性57.45%
症例では有意に高中性脂肪血症 (12.92% vs 8.35%)、アルコール使用 (3.23% vs 0.24%)、胆石 (9.06% vs 1.34)、たばこ依存(16.39% vs 5.52%)、肥満 (19.62% vs 9.77%)、胆道系・膵がん (2.84% vs 0%)、嚢胞性線維症 (0.79% vs 0%)、他の悪性新生物 (29.94% vs 18.05%)が多い

寄与要素・メトホルミン使用補正後膵炎入院オッズ比
30日内GLP-1ベース治療現行使用は有意に高い2.24 [95% CI, 1.36-3.68])
直近30日・2年未満使用でも同様 (2.01 [1.37-3.18])

感度分析で
直近 30 日間: (aOR 2.01, 95% CI 1.19 - 3.38, P=0.01)
直近 2 年間: (aOR 1.95, 95% CI 1.21 - 3.14, P=0.01)
使用有無: (aOR 2.02, 95% CI 1.31 - 3.01, P=0.01)


エディトリアルでは、慢性膵炎だけでなく、膵がんリスクについても言及。

いずれにせよ、長期副作用に関してはやはりまだ安全正確にされてない薬剤だけに、日本での第一選択薬的使用法は変だ。

2012年8月22日水曜日

スタチンは膵炎リスク減少作用? 一方、フィブラートは増加リスク懸念

観察研究の結果スタチン治療と膵炎の関連性指摘報告があり、スタチン・フィブラートと膵炎発症に関する大規模ランダム化トライアルの関連性調査



Lipid-Modifying Therapies and Risk of PancreatitisA Meta-analysis
JAMA. 2012;308(8):804-811. doi:10.1001/jama.2012.8439

113800名登録者の、16のプラシーボ、標準化ケア対照化スタチントライアル

加重平均フォローアップ4.1(SD, 1.5)年間で、309名膵炎発症(スタチン割り付け 134、対照割り付け175) (RR, 0.77 [95% CI, 0.62-0.97; P = .03; I2 = 0%])

4.8(SD, 1.7)年間の5つの投与対照スタチントライアルで、156名膵炎発症(強化量割り付け 70、中等量割り付け 86) (RR, 0.82 [95% CI, 0.59-1.12; P = .21; I2 = 0%])

21のスタチントライアルすべての複合結果では、 RR 0.79 (95% CI, 0.65-0.95; P = .01; I2 = 0%)

7つのフィブラートトライアル(40162例、5.3(SD, 0.5)年間)では膵炎発症 144
(フィブラート割り付け 84、プラシーボ割り付け 60)(RR, 1.39 [95% CI, 1.00-1.95; P = .053; I2 = 0%])


膵炎リスクの少ない試験集団検討になってしまっている。
高トリグリセリド値そのものが膵炎リスクである。
フィブラート割り付けは妥当に行われたのか疑念があるが、この報告に従えば、フィブラートより膵炎減少についてはスタチンの方が効果的となっている。

HPVワクチンをめぐる日本の"失われた8年"と、私たちが検証すべきこと

「子宮頸がんワクチン」という呼び方に、以前から違和感があります。 HPVワクチンが子宮頸がん予防に重要であることは間違いありません。日本では女子への定期接種として導入され、子宮頸がん予防を中心に説明されてきたため、この名称が広まった経緯も理解できます。 しかし、このワクチンが...