2012年3月22日木曜日

急性高山病:イブプロフェンが予防に役立つ


Ibuprofen Prevents Altitude Illness: A Randomized Controlled Trial for Prevention of Altitude Illness With Nonsteroidal Anti-inflammatories 
Annals of Emergency Medicine  published online 22 March 2012.
http://www.annemergmed.com/article/S0196-0644%2812%2900090-X/abstract

急性高山病

低地居住健康成人ボランティア、イブプロフェン600mg vs プラシーボ 1日3回

1240mから3810mへ6時間で移動

主要アウトカム測定は、急性高山病の発生率と重症度(Lake Louise Questionnaire acute mountain sickness score)

87名完遂
イブプロフェン 44(62%)、 プラシーボ 42(49%)、2群に住民統計学的な差認めず

急性高山病 イブプロフェン群 43%、プラシーボ群 69%
(オッズ比 0.3, 95% 信頼区間 0.1 ~ 0.8; number needed to treat 3.9, 95% 信頼区間 2 ~ 33)

重症度はプラシーボ群(4.4 [SD 2.6]) がイブプロフェン群 (3.2 [SD 2.4]) より高い (mean difference 0.9%; 95% 信頼区間 0.3% ~ 3.0%).。





魔法の薬というわけではなさそう。


acetazolamideが通常使われると思うが、その比較は?対象薬として同薬剤を使わなかった倫理的問題点は?

Efficacy and harm of pharmacological prevention of acute mountain sickness: quantitative systematic review
BMJ 2000; 321 doi: 10.1136/bmj.321.7256.267

介入方法、比較など異なるが、やはり予防効果NNTはNNT 2.9 (2.0 ~ 5.2)が記載されている。

IDSA:急性細菌性鼻副鼻腔炎ガイドライン(成人・小児)

副鼻腔感染の80-98%は抗生剤に反応しない、処方前に熟慮必要。

細菌感染の可能性
・症状・所見は持続的で、少なくとも10日間臨床的症状改善所見ない場合
・高熱(少なくとも39度)と膿性鼻汁、顔面痛が3-4日間続く発症所見
・典型的ウィルス性上気道感染後の新規発熱、頭痛、鼻汁増加で、5-6日間続き、改善傾向にある場合

もともと細菌感染の確率は少なく、ガイドラインは上記可能性を考慮の上での抗生剤使用を推奨している。


初期治療としては、クラブラン酸、βラクタマーゼ阻害剤を アモキシシリンに加えることを推奨。アジスロマイシン(ジスロマック)、クラリスロマイシン、STなどは通常の治療としては推奨せず。
投与期間は6-7日間で耐性無ければ治療として十分としている。

IDSA Clinical Practice Guideline for Acute Bacterial Rhinosinusitis in Children and Adults
Clin Infect Dis. (2012) doi: 10.1093/cid/cir1043 First published online: March 20, 2012 








細菌感染とウィルス感染は自然史で鑑別可能。は7-10日間以上続く症例での成人例での副鼻腔吸引による細菌検査確率は60%程度

Schematic characterization of the natural history and time course of fever and respiratory symptoms associated with an uncomplicated viral upper respiratory infection (URI) in children



急性卒中治療RCT:テネクテプラーゼ>アルテプラーゼ

75名の急性卒中、phase 2Bトライアル
tenecteplaseは、alteplaseより、再潅流・臨床的改善という面で24時間時点での優位性を示した。


recombinant tissue plasminogen activatorである、alteplaseは、急性卒中にてベネフィットがあるが、理想からほど遠く、不完全で、再潅流として遅い。遺伝子工学的に作られたtenecteplaseは、tPAであり、リスク・ベネフィットのバランスからも期待されている薬剤
 


A Randomized Trial of Tenecteplase versus Alteplase for Acute Ischemic Stroke
Mark Parsons, et. al.

急性卒中後6時間内に
alteplase (0.9 mg/kg体重) 
tenecteplase (0.1 mg/kg体重 or 0.25 mg/kg体重) 

クライテリアは、血栓溶解治療からのベネフィット選別のため、梗塞領域コア部分の20%以上最低限度とする。

3治療群25名ずつ

ベースラインからのNIHSSスコア平均(±SD) 14.5±2.6、治療までの時間 2.9±0.8時間

2つのtenecteplase群は、4時間時点で、再潅流領域大きく   (P=0.004) 、臨床的改善が見られる (P<0.001)。頭蓋内出血や他の副作用に関し群間差認めず。
tenecteplase(0.25mg/kg)投与量が低用量やalteplaseより効果的アウトカムあり
90日目の重篤なdisability非存在( 72% vs alteplase; =0.02)を含む効果を認めた。

Anti-PCSK9抗体:LDL治療薬 phase I

serine proteaseのひとつである、Proprotein convertase subtilisin/kexin 9 (PCSK9)は、LDL受容体に結合し、分解促進し、LDLコレステロール増加を生じる

PCsK9へのモノクローナル抗体のP1研究


Effect of a Monoclonal Antibody to PCSK9 on LDL Cholesterol
Evan A. Stein, et. al.

 中止に結びつく副作用なし

REGN727 は有意にLDLコレステロール値低下

 50、100、150m投与では、アトルバスタチン併用で、  77.5 mg /dL (2.00 mmol /L)、 61.3 mg/dL (1.59 mmol  /L)、53.8 mg/dL (1.39 mmol  /L)で、ベースラインからの差は −39.2、 −53.7、 −61.0%
 (P<0.001 for all comparisons).



P2発表の話
Sanofi and Regeneron Report Positive Preliminary Phase 2 Program Results for Anti-PCSK9 Antibody in Hypercholesterolemia
http://www.prnewswire.com/news-releases/sanofi-and-regeneron-report-positive-preliminary-phase-2-program-results-for-anti-pcsk9-antibody-in-hypercholesterolemia-133590188.html

https://ruo.mbl.co.jp/product/cyclex/pcsk9.html

男性型脱毛症:PGD2、PGD2-GPR44系の役割 ・・・ 治療ターゲットとして有望

テストステロンは男性型脱毛症と関連があり、AGA:アンドロゲン過剰症性脱毛症と称せられてはいるが、毛髪現象のメカニズムは不明。
脱毛症の場合、prostaglandin D2 synthase (PTGDS)は、脱毛症の無い場合に比較して、mRNA、蛋白レベルで増加。PTGDS enzyme activity産生産物、PGD2も同様に増加。

マウスの毛包サイクル中、Ptgds、PGD2値は、regression phaseに先行し増加、毛髪成長の抑制的影響を示唆する。PGD2が毛髪の成長を抑制することが、ヒトでも、マウスでも認められた。


毛髪成長抑制には、PGD2受容体G蛋白(heterotrimeric guanine nucleotide)–coupled receptor 44 (GPR44)は必要だが、 PGD2 receptor 1 (PTGDR)は要しない。
K14ーPtgs2がprostaglandin-endoperoxide synthase 2皮膚発現をターゲットとしていることをトランスジェニックマウスで見いだし、皮膚のPGD2増加が禿、毛包縮小、皮脂腺過形成というAGAの所見につながることを見いだした。

AGAの毛髪成長抑制因子としての、PGD2役割を見いだし、PGD2-GPR44経路が治療のターゲットとしての可能性を見いだした。


Research ArticleHair Loss
Prostaglandin D2 Inhibits Hair Growth and Is Elevated in Bald Scalp of Men with Androgenetic Alopecia
Sci Transl Med 21 March 2012:  Vol. 4, Issue 126, p. 126ra34 Sci. Transl. Med. DOI: 10.1126/scitranslmed.3003122

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