2013年10月24日木曜日

ST上昇型心筋梗塞:血栓吸引術 ・・・ 死亡率改善効果認めず

確かに、血栓をみれば、吸引したくなるだろうなぁと、専門外ながら思う。

多施設前向きランダム化対照オープンラベル臨床トライアルで、その臨床的アウトカムとしての30日目全原因死亡率差が認められなかったわけだが・・・

Thrombus Aspiration during ST-Segment Elevation Myocardial Infarction
Ole Fröbert, et. al.
N Engl J Med 2013; 369:1587-1597October 24, 2013DOI: 10.1056/NEJMoa1308789

STEMI症例 7244名

死亡率比較
血栓吸引+PCI : 103/3621
PCIのみ : 110/3623

ただ・・・

心筋梗塞再発では、 0.3% vs 0.9% : ハザード比 0.61 (95% CI, 0.34 to 1.07 p = 0.09)

ステント血栓発生は、 0.2% vs 0.5%  : ハザード比 0.47 (95% CI, 0.20 to 1.02; p = 0.069

プライマリアウトカム設定次第、この辺の項目を複合アウトカムとして設定すれば、意味があるという結論になったのかもしれない

米国FDA、CFC含有吸入完全phase-out

米国FDAは、吸入製品からCFCを2013年12月31日までに完全phase-out
Combivent Inhalation Aerosol と Maxair Autohalerというのが残ってたそうで・・・
http://www.pharmpro.com/news/2013/10/fda-complete-phase-out-chlorofluorocarbon-inhalers



当たり前だが、日本では、クロロフルオロカーボン(CFC)含有吸入器を「添付文書」検索すると・・・以下の薬剤名があがる。
これは、代替吸入製品前のデータをそのまま臨床効果として記載しているということで、この名前が記載されている。
CFCとHFA製剤にバイオアビリティー上の差はないのか、各製品の情報担当者に聞く必要があろう。ちなみに、ストメリンDすら、HFAに代替されているようだ。





IGT・糖尿病でない場合でも、高血糖は記憶能力低下させ、海馬微小構造異常をもたらす

糖尿病や糖代謝異常(IGT)でない高齢者といっても平均60歳代、少なくとも、この世代では、高血糖は記憶機能低下、海馬の容積減少・微小構造変化による変化をもたらす。

血糖低値保持は、認知機能温存することになる。


Higher glucose levels associated with lower memory and reduced hippocampal microstructure
Lucia Kerti,  et. al.
Published online before print October 23, 2013, 
doi: 10.1212/01.wnl.0000435561.00234.ee
Neurology 10.1212/01.wnl.0000435561.00234.ee

目的: 横断研究にて、高HbA1c高いほど、血糖レベルが高いほど、記憶パフォーマンスや海馬容積・微小構造へ悪影響を与えるか明らかにするため認知症無しの健康・高齢・非糖尿病対象で検討 
方法: 141 名 (女性 72 , 平均年齢 63.1 歳 ± 6.9 SD)、記憶は、 Rey Auditory Verbal Learning Testで評価。空腹時HbA1c、血糖、インスリン、3テスラーMRIスキャンを行い、海馬容積、灰白質barrier密度評価微小構造評価のため施行。線形回帰・simple mediationモデルで記憶、糖代謝、海馬パラメータの関連性検討。 
結果: HbA1c、血糖低いほど、有意に、遅延想起機能、学習能力、記憶固着能力は良好。
多変量解析モデルにて、HbA1cは、記憶パフォーマンスとの相関性保持。
さらに、mediation解析にて、低HbA1cの記憶機能へのベネフィット効果は、海馬容積・微小構造変化に起因するものと考えられた。 
結論: この結果から、2型糖尿病・糖代謝異常なくても、高血糖が認知機能へ悪影響を与え、特に学習関連領域での脳の構造変化を介しての変化をもたらすことが明らかになった。
故に、戦略的には、正常範囲でも、可能な限り低血糖維持することで、高齢者の認知機能へ好影響をもたらすこととなる。この仮説は介入トライアルで確認されるべき。

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