かくして 偏った考えが固着する
- ・善玉”A”という成分が入っている食物Bはきっとからだによいはず・・
- ・善玉”A”を効率的に摂取するにはサプリメントを購入し摂取すれば良いはず・・・
「高カルシウム血症」は比較的日常診療で遭遇し、ビタミンDやPTHなど測定しその原因精査をすることは珍しいことではない。そのときに「高カルシウム血症」を説明すると患者は当惑したように「カルシウムは高いことは悪いことなのですか」 と質問してくる。
事ほどさように、「カルシウム=善玉」が世間に広まっているようで、困ったもの
合理的結論は、カルシウム高摂取したければ、サプリメントで取るよりカルシウム含有食品で摂取すること。
From a cardiovascular perspective, dietary calcium intake by eating foods high in calcium appears safer than calcium loading with supplements.
「食品 ≠ サプリメント」
Calcium supplementation and cardiovascular risk: A rising concern
Aurel Tanekeu ,et al.
JCH First published: 2 May 2017Full publication history
DOI: 10.1111/jch.13010 View/save citation
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jch.13010/full
カルシウムサプリメントと心血管リスクの関連性
適切なカルシウム摂取は骨の健康やいくつかの生理学的機能にとって重要であることが言うまでも無いが、カルシウム・サプリメントの健康への影響は議論の余地があるところだ。
Xiao らの50−71歳38万8千名ほどの男女での前向きコホートではカルシウム 1000mg/日超投与で、12年感フォローアップ・心血管死亡 リスク増加(多変量相対リスク [RR] 1.20 , 95% CI 1.05, 1.36)、Yangらの13万3千ほどの前向き研究、17.5年間において男女合わせたときの全死亡ではリスク増加関連認めなかったが、男性において、カルシウムサプリメント1000mg/日超投与で全原因死亡率増加y (RR, 1.17; 95% CI, 1.03–1.33)、心血管特異的死亡率増加 (RR, 1.22; 95% CI, 0.99–1.51)。女性では総カルシウム摂取量と死亡率の逆相関。
カルシウム・サプリメントと冠動脈石灰化
寄与要素補正後5分位による冠動脈石灰化(CAC)発症相対リスクは、参照群を1として 0.95 (0.79–1.14)、1.02 (0.85–1.23)、 0.86 (0.69–1.05)、 0.73 (0.57–0.93)。総カルシウム摂取量は長期フォロ−アップでは動脈硬化リスクを減少するのかもしれない。一方、サプリメントとしてのカルシウムに関してはCAC発生を22%増加する (RR, 1.22; 95% CI, 1.07–1.39)
Anderson JJ, Kruszka B, Delaney JA, et al. Calcium intake from diet and supplements and the risk of coronary artery calcification and its progression among older adults: 10-year follow-up of the Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis (MESA). J Am Heart Assoc. 2016;10:5(10).Liらの報告だと、11年間フォローアップにて、カルシウムサプリメント使用は統計学的有意に心筋梗塞リスク増加 (HR, 1.86; 95% CI, 1.17–2.96)、サプリメントのみ強く関与 (HR, 2.39; 95% CI, 1.12–5.12).
Li K, Kaaks R, Linseisen J, Rohrmann S. Associations of dietary calcium intake and calcium supplementation with myocardial infarction and stroke risk and overall cardiovascular mortality in the Heidelberg cohort of the European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition study (EPIC-Heidelberg). Heart Br Card Soc. 2012;98:920-925.