2013年3月4日月曜日

無症候性非破裂脳動脈瘤検診推奨って・・・

 なんたらドッグという言葉・・・個人的には大嫌いだが、世間様は好きな方が多いようだ

 昨日、「たかじんの・・・委員会」で、森田 豊(医療ジャーナリスト)という方が、条件など言わず、「脳ドッグは受けた方が良い」と述べていた。 医者の資格をもってるらしいが、あえて、医療ジャーナリストと名乗るのは、なぜかよくわからないが・・・医療ジャーナリストだから、科学性のない論評して良いというものでもないはず。

 EBM上の言葉に転換すると、「unruptured intracranial aneurysm screeningは、利益/有害性のエビデンスがある」と断言したということだ。

 いつのまに、そういうエビデンスができたのだろう。

 日本のなんたらドッグ学会というのは全く信用できないので、pubmed検索したが、どうもそれらしいものもなく、直近でも、Polycystic Kidney Diseaseに関して検診勧めた方が良いかの議論がされていて、現時点ではあまねく推奨するようなものではないと判断できる。

 米国のそれらしい組織 Brain Aneurysm Foundationの無症候性未破裂動脈瘤検診推奨(http://www.bafound.org/node/45)でさえ、検診に関しては紡錘型の動脈瘤家族歴を対象とするという
「Screening in the setting of a family history of fusiform aneurysm」
「 If two or more members of the family are affected with brain aneurysms, then aneurysm screening (with brain MRA or brain CTA) is usually recommended for at least the first degree relatives over the age of 25 of those affected. 」 
要するに、家族歴主体の検診の推奨である。

Mayo Clinicの無症状未破裂動脈瘤検診推奨は
The use of imaging tests to screen for unruptured brain aneurysms is generally not recommended.
However, you may want to discuss with your doctor the potential benefit of a screening test if you have:
 A parent or sibling who has had a ruptured brain aneurysm, particularly if you have two such first-degree family members with brain aneurysms
 A congenital disorder that increases your risk of a brain aneurysm
これも、基本的には、未破裂動脈瘤検診のための画像検査使用は推奨しない。しかし、両親のどちらか、兄弟など1st degree(親等と違う)家族に動脈瘤破裂、もしくは、脳動脈瘤関連先天異常あるなら、ベネフィットに関して相談と、書かれている。


 ところが、日本の「脳ドッグガイドライン」(http://jbds.jp/doc/guideline2008.pdf)とやらは、未破裂動脈瘤検診の適応を詳しく語らず、治療への適応について多くをまとめている。脳ドッグ適応に関して記載がほぼなし。


 すこし、弁護すれば、テレビっていうのは、編集権出演者にないため、森田氏の真の言い分が割愛された可能性があるが・・・

 脳ドッグとやらは・・・

 以前この学会メタアナリシスと名乗りながら、当時のスタンダードであったPeto法など用いず、単に足し算してた報告を見てから、信用してないのだが・・・(私が信用しなくても、何の影響もないのご安心を) 。一応、ここの学会事務局には問い合わせしたら、ガイドラインを送るだけだったことを思い出した。

乳児血管腫:プロプラノール pII/III研究 消失率顕著

Léauté-Labrèze C, et al. "Propranolol in infantile hemangiomas: Resuslts from an international randomized, placebo controlled, multidose, adaptive phase II/III study" AAD 2013.

http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/AAD/37635


乳児血管腫 では、プロプラノール治療6ヶ月により、完全・ほぼ完全改善率高い

456名のランダム化患者で、6ヶ月完遂319例、ドロップアウトは、治療効果不十分と自己判断が主。プラシーボの34.5%がトライアル完遂し、プロプラノール治療は63%-65%3ヶ月レジメン割り付けとなった

24週の継続治療後、clearance rate は、プロプラノール治療群 60.4%、 プラシーボ 3.6%
6ヶ月間の1-3mg/kg体重/日で、安全性特性十分で、最大限・6ヶ月で有効性レベル高い

5年前、Léauté-Labrèzeらが、少数の乳児血管腫での有効性を記載 (N Engl J Med 2008; 358: 2649-2651)

2年前、Pediatrics誌で、小児血管腫へのプロプラノロール投与にて容積・色素とも改善 2011年 07月 27日

血管収縮、血管新生抑制・アポトーシス促進が作用機序として考えられるとのこと

現実のニキビ治療期間は臨床トライアル対象とした期間よりかなり長い

アメリカの医療というと、臨床トライアルに基づく臨床ガイドライン通りに行うものと思ってたが、にきび治療に関しては違うようだ。

American Academy of Dermatology meeting で報告の、現実
http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/AAD/37633


Huang K, et al "The duration of acne treatment" AAD 2013.

座そう治療期間後顧的研究で、治療期間平均は0.79年(約9ヶ月)で、患者の方は0.44年で通院を中断する。

多くの臨床トライアル(ClinicalTrials.gov)は12週から3ヶ月程度である
 57%が一回のみの受診で、43%が多数回受診
受診1年後もつづけてたのは25%

 日本では、3−4週間の治療期間でも「わぁーわぁー」の状態だが、 アメリカの医療制度とも関係しているようで、アカデミック・クリニックとプライベート・クリニックの差、米国の薬剤refill制度が関係しているのではないか? 公的保険でなければ、 期間延長に関して、医療側が鈍感になるのかもしれない。TPPによる混合診療導入で濃厚診療促進的。

 尋常性座そうだけを考えれば、治療期間長くても良いのだろうが、耐性をはじめ、様々な問題があると思う・・・

 尋常性座瘡治療のためのガイドライン
Guideline of Care for Acne Vulgaris Management
http://www.aad.org/File%20Library/Global%20navigation/Education%20and%20quality%20care/Guidelines-Acne-Vulgaris.pdf

抗生剤全身投与は、中等から重症尋常性座そう標準治療、ドキシサイクリンとミノサイクリンはテトラサイクリンより有効。エリスロマイシンは有効だが、妊娠では付加。ST合剤などは一時的には有効だが、多剤使えないときのみ使用すべき。
 A major problem affecting antibiotic therapy of acne has been bacterial resistance, which has been increasing.  For this reason, it is the opinion of the work group that patients with less severe forms of acne should not be treated with oral antibiotics, and where possible the duration of such therapy should be limited. Resistance has been seen with all antibiotics, but is most common with erythromycin.
The use of oral antibiotics for the treatment of acne may be associated with adverse effects. Vaginal candidiasis may complicate the use of all oral antibiotics. Doxycycline can be associated with photosensitivity. Minocycline has been associated with pigment deposition in the skin, mucous membranes and teeth particularly among patients receiving long-term therapy and/or higher doses of the medication. Pigmentation occurs most often in acne scars, anterior shins, and mucous membranes. Autoimmune hepatitis, a systemic lupus erythematosus-like syndrome, and serum sickness- like reactions occur rarely with minocycline.


ちなみに、日本のガイドライン
http://drmtl.org/data/118101893j.pdf ← 閲覧できなかった
http://clinic-n.mitelog.jp/blog/files/118101893j.pdf
抗菌剤内服は中等症以上、軽症は抗菌剤外用とその他外用
レチノイド外用(ディフェリンゲル:アダバレン)、抗菌薬内服ないし外用は、治療中断でしばしば再発認められる。しかし、再発予防のために抗菌薬の外用や内服を長期に継続することは耐性菌を出現させる危険性も有り避けるべきである。
痤瘡(炎症性皮疹)に対して,抗菌薬内服を強く推奨するとあるが、治療期間に関して明確な記載認めず、12週間を上限とした報告しか見当たらない。


デュフェリン出現以来、ニキビ治療には近づかないことにしている
http://www.differin.jp/doctor/pdf/prescription_guide.pdf

進行性特発性膜性腎症:サポート治療後、プレドニゾロン・クロラムブチル交互治療が望ましい


Immunosuppression for progressive membranous nephropathy: a UK randomised controlled trial
Andrew Howman MMath , et. al.
The Lancet, Volume 381, Issue 9868, Pages 744 - 751, 2 March 2013Published Online: 09 January 2013


腎生検による特発性膜性腎症(18-75歳)

 Cr 300μmol/L以下、直前2年間でeGFR20%最低減少


    ・supportive treatmentのみ n=38

    ・supportive treatment + 6ヶ月のプレドニゾロンとchlorambucil交互治療 n=33

    ・supportive treatment+12ヶ月のciclosporin治療 n=37



プライマリエンドポイントであるベースラインからの腎機能低下20%に到達するまで、最低3年間までフォローアップ

腎機能20%低下比率は、プレドニゾロン・chlorambucil群では、supportive care群より有意に低下  (エンドポイント到達 19 [58%] / 33  vs 31 [84%] / 37, ハザード非 [HR] 0·44 [95% CI 0·24—0·78]; p=0·0042); ciclosporinと、suppotive治療群で差認めず (29 [81%] / 36) vs HR 1·17 [0·70—1·95]; p=0·54)

全てのグループ群で有意な差あり  (p=0·003)



重篤な副作用イベントは、3群とも頻回で、prednisolonge・chlorambucil群で、suppotive careのみ群より多い  (56  vs 24; p=0·048)


ネフローゼ症候群診療指針 日腎会誌 2011'53(2):78-122
http://www.jsn.or.jp/jsn_new/iryou/free/kousei/pdf/53_2_078-122.pdf



MINDS
第10章 ネフローゼ症候群
(特発性膜性腎症,一次性巣状分節性糸球体硬化症)
http://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0067/G0000189/0089

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note