2013年8月28日水曜日

冠動脈性心疾患:健常者で関連せず2型糖尿病でのみ関連するグルタミン酸代謝関連SNP

冠動脈性心疾患との関連性が糖尿病患者では見られるが、正常者ではみられない、SNP(rs10911021)、これは、グルタミン酸代謝と関連する部位で、メカニズム的なリンクを示唆する。



Association Between a Genetic Variant Related to Glutamic Acid Metabolism and Coronary Heart Disease in Individuals With Type 2 Diabetes
Lu Qi, et. al.
JAMA. 2013;310(8):821-828. doi:10.1001/jama.2013.276305.

Nurses’ Health Study、Health Professionals Follow-up Study、Joslin Heart Study 、Gargano Heart Study、Catanzaro Study 被験者を検討

全員2型糖尿病で、CHD症例 1517名、CHD-negative症例 2611名
糖尿病患者の結果を、非糖尿病CHD症例 737名と、非糖尿病非CHD 1637名で比較

冠動脈性心疾患を定義として、致死性・非致死性心筋梗塞、CABG、PCI、冠動脈病変の有意狭窄血管性エビデンス

染色体異常1q25 (rs10911021)は、一貫して、糖尿病登録者のCHDリスクと相関し、
リスクallele頻度は 症例 0.733 、対照 0.679
(オッズ比 1.36 [95% CI, 1.22-1.51]; P = 2 × 10−8)
非糖尿病患者では、変異とCHDの相関認めず、リスク allele 頻度 症例 0.697、対照   0.696 (odds ratio, 0.99 [95% CI, 0.87-1.13]; P = .89)
CHDリスクにおいて、遺伝子x糖尿病関連性が一貫して有意にみられる  (P = 2 × 10−4)

防御的allele homozygote比較で、rs10911021 risk allel homozygoteは、近傍のヒト血管内皮細胞グルタミン酸−アンモニア リガーゼ(GLUL)遺伝子 の発現を32%減少 (p = .0048)
ピログルタミン酸とグルタミン酸との血中γ-glutamyl cycleの血中濃度比率減少が、risk allele homozygotesで認められた (P = .029)



今後、この関連性研究がいかに展開されるか ・・・ 

GLUL
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/2752
グルタル酸・アンモニアからグルタミンを合成する酵素で、グルタミン酸により細胞増殖、アポトーシス、細胞シグナル化と関連。



【健康的肥満?】代謝的に健康な肥満者:それは炎症レベルに左右される 

肥満患者の代謝的健康は、炎症のレベルにより左右される?


"metabolically healthy obese" と言う言葉最近よく見聞きする。
健康的肥満という言葉さえ医学上も存在するようになった。
日本ではそういうものが存在するのかさえ議論されてないと思う・・・

Does Inflammation Determine Metabolic Health Status in Obese and Nonobese Adults?
The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism August 26, 2013 jc.2013-2038


症例対照研究で、肥満だが、代謝的に健康な場合、CRP、TNF-α、IL-6といった炎症性マーカーが低い、BMI数値に無縁に、炎症性特性良好な場合、健康な代謝特性である

2047名のアイルランド人男女(45-74歳、肥満・非肥満(カットオフ値 BMI 30))の横断研究

全体的にみれば、代謝的健康な肥満・非肥満では、病的なそれより、補体C3、CRP、TNF-α、IL-6、PAI-1濃度が低く、adiponectin量は高く、白血球数は少ない。



ロジスティック回帰分析にて、代謝的健康肥満者の尤度は、いくつかの炎症性マーカーの低レベル患者でその尤度が高い。特異的には、C3濃度より低いほど2−3.5倍代謝的に健康であるが、その定義にもよる。

CRPレベルは、下50パーセンタイルで、代謝的健康の多くで正相関で、1.10-1.76倍リスク増加し、adiponectin増加は肥満かつ代謝的健康例で2.6〜4倍の尤度

代謝的健康・肥満オッズは、IL-6濃度低下、TNF-α低値、PAI-1低値の場合に多い。



非肥満者において、代謝的健康オッズは、C3値低値でより高く (オッズ比レンジ 1.39 〜 3.62)、PAI-1低値 (OR range 1.11〜 2.93)、 adiponectin濃度高値 で高い(OR range 1.04 〜 2.46)

CRPレベルのボトム50パーセンタイルと、低IL-6濃度が、代謝的健康と相関(OR ranges 1.19 〜 1.78 、 OR 0.98 〜 1.57)し、TNF-αボトム50パーセンタイルとも相関する(OR range 0.96 〜 2.18)





混合診療拡大なら、この種の炎症性マーカー、随分検査されるようになるかも・・・

type 1 HCV肝炎 ・・・インターフェロンさよなら?: Sofosbuvir+リバビリン(体重ベース vs 低用量)治療ベネフィットみとめる 




"Sofosbuvir ribavirin for hepatitis C genotype 1 in patients with unfavorable treatment characteristics"
Anuoluwapo Osinusi, , et al
JAMA 2013; 310(8): 804-811; DOI: 10.1001/jama.2013.109309.

単一施設ランダム化2部分オープンラベル第2相試験
HCV genotyp 160名の治療naiveのC型肝炎患者登録

介入
part 1 : 中等度肝線維症10名を sofsbuvir 400 mg/d + ribavirin 体重ベース投与量 ×24週間

part 2 : 肝線維症全ステージ患者50名を 1:1配分
・sofosbuvir + ribavirin 体重ベース投与量 もしくは ribavirin 600 mg/dの低用量


主要アウトカムと測定:プライマリ研究エンドポイントは、治療完遂24週後のHCVウィルスload検出不能患者比率(SVR24)


part 1研究、9名 SVR24 (90%, 95% CI 55%-100%)
part 2研究、体重ベース投与量群 7名(28%) 、低用量群 10(40%)で、治療完遂後再発。 SVR24率はそれぞれ68% (95% CI, 46%-85%)、48% (95% CI, 28%-69%; P = .20) 。


20名のpharmakokinetic-viral kinetic substudy において、SVR群より再発群では、感染ウィルス消失率緩徐(clearance, 3.57/d vs 5.60/d; P = .009)


最頻度副事象は、頭痛、貧血、疲労、吐き気

grade 3イベント (貧血、好中球減少、吐気、低リン血症、胆石、膵炎) 7例
副作用による中止なし

【結論】今までの治療反応予測要素で不良と想定される患者群で、このsofosbuvir+体重ベース・低用量ribavirinのSVR24はそれぞれ68%、48%

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