2019年10月17日木曜日

市中肺炎:マイコプラズマ 循環抗体分泌細胞(ASC)反応による正しい?診断

序文から
マイコプラズマ肺炎(Mp)は米国内小児入院市中肺炎で最も多い細菌学的病因
だが、現在の診断検査法では、上気道PCRを含め、血清学的にも、Mp感染なのか、キャリアなのかは鑑別できない
上気道キャリア状態が健康小児の53%に見られ、IgG抗体4倍以上が未だにMp感染確定のため多くの施設で用いられているが感度は低いし、急性期診断に役立たない。
正確な診断検査がないまま、抗生剤の有効性の研究やメタアナリシスでの効果が小児において結論的でないのは当然なのかもしれない




循環抗体分泌細胞:antibody-secreting cell (ASC)反応は抗体反応に比べ、より迅速でより短期間しか生存しない
ということで、Mp-IgM-ASCsを測定してELISpot assayをマイコプラズマ市中肺炎診断の最新検査法として評価


Gold-standardがない診断だから、感度特異度検定できず・・・




Diagnosis of Mycoplasma pneumoniae Pneumonia with Measurement of Specific Antibody-Secreting Cells
 Patrick M. Meyer Sauteur ,et al.
 https://doi.org/10.1164/rccm.201904-0860LE       PubMed: 31251669
AJRCCM  Vol. 200, No. 8 | Oct 15, 2019


PCRによるMp-DNA では、CAP患者 29%(n=44/152)、対照 8% (n=12/156) p 0.001未満
63名のCAPと対照 21で検証、胸部レントゲン 95% 60名/63でCAP患者施行、WHOクライテリアで肺炎診断合致 98%(n=59/60)

CAP連続症例にて、Mp-DNA 51%(32名)、MP-IgM-ASC DLISpot assay 46%(29名)

咽頭拭い及び血液サンプル、n=52,  内、CAP 41名、 対照 11名

小児2回超受診 42 (81%)、3回超受診 27 (52%)で、2週間未満施行 n=43、2週間から2ヶ月(38名)
Mp-IgM-ASCsに対し、症状発症後6週間内のみ見いだされ、Mp-DNA and/or Mp-IgM持続4ヶ月以上はCAP患者で 7名(11%)に見られた
Mp-IgM-ASCs陽性患者の10名で4倍以上のMp-IgG抗体増加あり、一方、19名、66%ではMp-Ig抗体増加は初期血液サンプルで既に見られ、4倍以上の増加はあり得ない状況






そもそも、異型肺炎で、Mp治療効果ありと思う例でもマイコプラズマLAMP陰性例も多く、なんだかなぁ・・・と思うことの多い市中肺炎診療


今ゴールドスタンダードとされている診断法、実はまやかしというのは実は多い



百日咳でもコロナイゼーションあるような・・・

The Potential Role of Subclinical Bordetella pertussis Infection in Epilepsy
. 2019; 9: 302.
As subclinical BP colonizing infections are prevalent in highly BP-vaccinated populations, and non-human primate studies demonstrate the failure of DTP and DTaP to prevent nasopharyngeal BP colonization (Warfel et al., 2014), evidence suggests that current pertussis vaccines do not prevent nasopharyngeal BP colonization. 


アジア・レジストリ報告:心不全の肥満パラドクス

筋肉太り・脂肪太り、内臓脂肪量の意義が次第に明らかになってきたこの時代。なのに、肥満をBMIだけで判断するから、肥満パラドクスなる現象が生じるわけで、肥満指数を放棄すべき時期


(以下、ヘフレフうるさい関連学会を再現してみた)




Association of obesity with heart failure outcomes in 11 Asian regions: A cohort study
Chanchal Chandramouli, et al, on behalf of ASIAN-HF Investigators
Published: September 24, 2019https://doi.org/10.1371/journal.pmed.1002916
https://journals.plos.org/plosmedicine/article?id=10.1371/journal.pmed.1002916

背景:アジア人は心不全傾向のあるphenotypeである。'obesity paradox'のデータは西洋人で報告されているがアジアではデータ乏しく、BMIという古典的分類に限定されている。
(BMIと腹囲測定による)肥満と心不全アウトカムのアジアにおける関連調査

研究方法と結果
Asian Sudden Cardiac Death in Heart Failure (ASIAN-HF) registry(台湾、香港、中国、インド、マレーシア、タイ、シンガポール、インドシナ、フィリピン、日本、韓国;46センター;2012年10月1日〜2016年10月)
有症状心不全 5,964名(平均年齢 61.3 ± 13.3 歳,女性 26%, 平均 BMI 25.3 ± 5.3 kg/m2, 左室駆出率(LVEF)が低下した心不全(heart failure with reduced EF:HFrEFヘフレフ)16%  [LVEFが保持された心不全(heart failure with preserved EF:HFpEFヘフペフ; ejection fraction ≥ 50%])を用い、前向きにWHtR測定データを有する2051名、女性 24%、平均BMI , HFpEF 7%も検討
患者をBMI4分位、WHtR4分位と BMIとWHtRの組み合わせ (low, <24 .5="" and="" fat="" high="" kg="" lean="" low="" m2="" nbsp="" obese="" or="" p="" thin="" whtr="">

Cox比例ハザードモデルを用いt、1年複合アウトカム(心不全入院・死亡)検証


BMI4分位横断的に、BMI高値は複合アウトカムリスク低下と相関  (ptrend < 0.001).
対照的に、WHtR高値は複合アウトカム高リスクと関連

lean-fat群、すなわち、低BMI&高WHtR(13.9%)群は、女性でより多く (35.4%) 、低所得国 (主に南・東南アジア)で多い (47.7%)、さらに糖尿病率が高い(46%)、QOLスコア悪化が多いs (63.3 ± 24.2)、複合アウトカム率が高い (51/232; 22%)(全て p< 0.05)


多変量補正後、lean-fat群は、obese-thin群(BMI高値、WHtR低値)に比べ複合アウトカム補正リスク高い (ハザード比 1.93, 95% CI 1.17–3.18, p = 0.01),

結果は心不全サブタイプ(ヘフペフ、ヘフレフ)横断的に同様 Pint =0.355
多国籍観察レジストリーのため、選択バイアスと残存寄与要素の可能性



結論
心不全アジア人のコホートにおいて、「obesity paradox」がBMI、WHtR用いた定義で複合アウトカムとの関連性で観察され、
Lean fat患者(WHtR高値・低BMI)がもっともアウトカムとしては悪い
WHtR高値と複合アウトカムとの直接の相関性がヘフペフ、ヘフレフで明らか

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