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2015年3月12日木曜日

パーフェクト・ストーム モデル:ストレスとうつ同時にあるとき、冠動脈性心疾患患者予後不良になる

「パーフェクト・ストーム」って映画だよなぁ・・・と
災難が同時に起きることを表してるのだろうか・・・




ストレスと重度うつの組み合わせは有意に死亡・心発作を増加させる

REGARDS治験参加者、45歳以上の冠動脈疾患4487名検討


自宅での調査・自己報告による打つ、孤独、悲嘆、嘆きなどの調査、さらにストレスレベル調査

高度ストレス、高度うつは約6%


Concurrent Stress and Depressive Symptoms Increase Risk of Myocardial Infarction or Death
Carmela Alcántara,  et. al.
CIRCOUTCOMES.114.001180
Published online before print March 10, 2015,

背景—うつとストレスは、それぞれ、冠動脈疾患患者の予後不良と関連。心理的Perfect Storm概念モデル、仮説として、ストレスとうつ症状同時存在そのリスクの増幅が生じるというモデルの提唱。この仮説を米国冠動脈疾患大規模モデルで検証。

方法と結果—Participants included 4487 adults with coronary heart disease from the
REasons for Geographic and Racial Differences in Stroke studyからの冠動脈疾患を有する4487名の成人被験者。前向きコホートを3万239名の黒人・白人で行った。Cox比例ハザード回帰を心筋梗塞・死亡組み合わせアウトカムで行い、住民統計・臨床・行動要素で補正。
全体で6.1%で、高度ストレス・高度うつ症状のベースラインあり。
フォローアップ中央値5.95年間で、1337イベント発生。
フォローアップ初期2.5年間で高度ストレス・高度うつ存在は、心筋梗塞・死亡リスク増加と関連する (低ストレス・低うつ症状比較補正ハザード比, 1.48 [95% 信頼区間 1.08–2.02])
対して、ストレスとうつ同時存在しない場合は、そのリスクは高くない。
低ストレスと高度うつ症状では ハザード比, 0.92 [95% 信頼区間, 0.66–1.28])
高ストレスと低うつ症状では、 ハザード比, 0.86 [95% 信頼区間 0.57–1.29])
心筋梗塞と死亡は、初期2.5年フォローアップ後有意でなくなる  (ハザード比, 0.89 [95% 信頼区間 0.65–1.22])

結論—この結果は、概念モデルである心理的パーフェクト・ストームを初期的サポートするもの;鬱症状とストレスのコンフルエンスは、冠動脈性心疾患病的予後の上で短期的に破壊的に働く。



解説:
http://blog.heart.org/perfect-storm-of-stress-depression-may-raise-risk-of-death-heart-attack-for-heart-patients/


Perfect Storm モデル

The ‘Perfect Storm’ and Acute Coronary Syndrome Onset: Do Psychosocial Factors Play a Role?
Volume 55, Issue 6, May–June 2013, Pages 601–610




自然災害・人的災害が生じたとき、うつ管理が必要で、とくに、grave careはもっと協調されて良いと、震災のニュースを見て思う

2014年2月26日水曜日

配偶者との死別と急性心血管イベント

家族・配偶者の死別だけじゃなく、配偶者離別は、心理的だけじゃ無く、身体的悪影響を与える。

配偶者の入院により死亡率増加2006年 02月 16日
肉親死後悲嘆の“段階説(stage theory)”2007年 02月 21日
愛する人との別れ:”複雑性悲嘆”治療 2013/07/24

事故・病死を経験した家族・配偶者にはその急性期特段の配慮が必要だろう。できればシステマティックにと思うのだが、その致死性イベント頻度が明らかでなければ、どの程度の介入深度・頻度で効果的となるかも不明。心筋梗塞・卒中などの心血管疾患絶対的イベント頻度は0.2%以下となる。

論文の結論は、配偶者死別から数週間から数ヶ月は重大心血管イベントリスク増加 するというものだが、絶対的頻度としてはかなり少ないといえる。

英国プライマリケア・データベースのマッチ化コホート (401のGP、2005年2月から2012年9月)、60-89歳の30,447名の配偶者喪失後開始(年齢、性別、GPマッチ化対照群 83,588比較)

Increased Risk of Acute Cardiovascular Events After Partner BereavementA Matched Cohort Study
Iain M. Carey, et. al.
JAMA Intern Med. Published online February 24, 2014. doi:10.1001/jamainternmed.2013.14558 

プライマリアウトカムは、遺族配偶者の配偶者喪失30日内致死性・非致死性心筋梗塞(MIR)、卒中
セカンダリアウトカムは、遺族配偶者・非致死性ACS/肺塞栓
全アウトカムは事前設定配偶者喪失後30,90、365日


配偶者死後30日内で、遺族配偶者群 MI/卒中 50 (0.16%) vs 対照 67(0.08%)
 (IRR:Incidence rate ratios (IRRs) , 2.20 [95% CI, 1.52-3.15]).

遺族配偶者男女とも、30日後リスクは減少。


個別アウトカムに対し、それぞれ増加リスクは、MI (IRR, 2.14 [95% CI, 1.20-3.81])、卒中  (2.40 [1.22-4.71])


稀事象相関も死別後存在し、90日目非MI・ACS  (IRR, 2.20 [95% CI, 1.12-4.29]) 、肺塞栓 (2.37 [1.18-4.75])



IRR(Incident rate ratio)
 Closed studyでは、incidence rateと、cumulative incidenceを測定できますが、前者は各々観察期間が分かっていなくてはなりませんし、後者は追跡不能者が少なく、competing riskがなく、観察期間中のexposure riskが同じで有り、対処が皆同じ期間観察sれなくてはなりません。 cumuulative incidenceを使うと発生頻度が多い場合、食中毒や急性感染症流行期などに向きます。・・・・

Closed cohort studyにおいて経過観察が長期化すれば途中死亡や経過追跡不能が増え、観察が困難になってきます。そのような場合person-timeに基くrateを考慮しなくてはなりません。

Incidence rate difference = X1 / T1 – X0 / T0
Incidence rate ratio = ( X1 / T1) / ( X0 / T0)
ここで、Tは、person-timeであらわされます。
http://dr-urashima.jp/pdf/eki-8.pdf


2013年11月20日水曜日

ランダム化対照:急性心筋梗塞患者:「短期ヒューマニスティック実存的心理療法」新規心臓イベント抑制などかなり効果認める

標準心臓病学的治療+短期ヒューマニスティック−実存(主義)的心理療法(short-term humanistic–existential psychotherapy (STP) ) vs 標準心臓病的治療

AMI治療のため緊急・待機的血管形成術後、70歳以下、101名


プライマリ複合エンドポイントは、新規心臓病イベント(梗塞再発、死亡、卒中、再度血管再検、生命危機心室性不整脈、典型的・臨床的狭心症再発)と臨床的有意新規合併症の組み合わせ
セカンダリエンドポイントは個別組み合わせ(プライマリアウトカムに心血管疾患再入院、NYHA分類、心理学的スコア)

このNNT数だと、かなりの効果のようだ


One-year results of the randomized, controlled, short-term psychotherapy in acute myocardial infarction (STEP-IN-AMI) trial
Adriana Roncella et. al.
International Journal of Cardiology 
Received 17 April 2013; received in revised form 14 August 2013; accepted 29 August 2013. published online 18 November 2013.

1年時点で、94名解析。2治療群はベースライン特性同等。

フォローアップ時、STD患者ではプライマリエンドポイント発生低下(21/49 vs 35/45 p=0.0006; NNT 3)

狭心症再発(14/49 vs 22/45, NNT=5)・新規合併症頻度低下(5/49 vs 25/49 , NNT=3)

STP施行患者は統計学的有意に再入院、NYHA分類、QOL、うつスコア改善


Four schools of theory and therapy
理論的方向性とテクニックにより数百の種類がある心理療法

以下4つを解説:http://psychcentral.com/therapy.htm
・Psychodynamic (and psychoanalytic)
・Cognitive-behavioral (and behavioral)
・Humanistic (and existential)
・Eclectic

「人間性・実存・トランスパーソナル心理学」「実存主義的心理学」
「アメリカではすでに精神分析が定着しつつあったが、その一方では、行動変容を中心とした心理療法(行動療法)が急速に強まりつつあった。しかし、実存的ア プローチをアメリカに紹介した一人であるロロ・メイは、行動療法は人々をますます体制順応主義者にしてしまい、個性を破壊してしまう危険性があると述べて いる。そして、この問題の根は近代以降の合理主義や観念論、主客二元論にあるという。つまり、主観や理性ばかりを重視したため、情動や意志が分離(無視) され、個人としての自己自身を体験することができなくなっていることが、現代の不安の原因だというのである。そこで、こうした近代的な理性を批判する考え 方として、キルケゴールやニーチェの実存思想が重要になると、ロロ・メイは主張する。」「「不安は、ある可能性――自己の実存を充足させるある可能性――がその人に向かってあらわれてくる、その時点で起こるものなのです。しかし、まさにこの可能性そのものが、現在の安定感を破壊する可能性をも含んでいて、その安定感の方を得ようとすると、新しい可能性が否定されてしまうという傾向も生まれてく るわけです」(ロロ・メイ『存在の発見』)。」「人間は新しい可能性を現実化する自由を持っているからこそ、不安を体験するのであり、新しい可能性と現在の安定感のどちらを選ぶか、この葛藤が不安には含 まれている。そして、この可能性を現実化することに失敗するとき、罪の意識が生じてくる強迫神経症者の罪悪感は、安定感を維持するために強迫的な行為を選び、新たな可能性に向かわないことから生じているのだ。」 ロゴセラピー、クライエント中心療法、フォーカシング、ゲシュタルト療法。「行動療法と対照的な、内面重視型クライエント自身からみた内部重視。自己への気づき、自己一致、自己了解。」「仮説が多すぎる問題」「無意識の否定なのに実体化を促し、潜在性を結果的に認めている自己矛盾の多い心理学分野との批判は当然出てくる」
http://yamatake.chu.jp/02psy/2thera/4.html

2013年8月14日水曜日

雇用不安は冠動脈性心疾患発生のリスク要素

雇用不安:job insecurity

職業関連ストレスと心身疾患の関連性の文献によると(BioPsychoSocial Medicine 2010, 4:4 doi:10.1186/1751-0759-4-4)、日本国内調査では、最も多いストレッサーは、職業関連諸問題で、次に健康関連、そして、経済的諸問題である。職業関連書問題としては、多くの問題、過労、失業・雇用不安、労働・家族のバランス欠如である。

雇用不安が冠動脈疾患のリスク要素であるという報告。

Perceived job insecurity as a risk factor for incident coronary heart disease: systematic review and meta-analysis
BMJ 2013; 347 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f4746 (Published 8 August 2013)
Cite this as: BMJ 2013;347:f4746
文献検索の結果4つのコホート研究、個別登録データを含む13のコホート研究を合わせ、メタアナリシス174,438名、9.7年間、冠動脈性心疾患 1892症例 
雇用不安の高低による、この年齢補正相対リスクは 1.32 (95% 信頼区間 1.09 〜 1.59) 
社会住民統計因子・リスク要素補正後の雇用不安による、この相対リスクは、 1.19 (1.00 〜 1.42)

性、年齢(50歳未満  v 50歳以上)、国内失業率、福祉レジーム、失業不安項目との相関に関して有意な差は認めず

Forest plot:雇用不安とCHDイベント発生(男女、年齢補正モデル)



多変量解析モデル


2013年7月24日水曜日

愛する人との別れ:”複雑性悲嘆”治療

複雑性悲嘆(complicated grief)ってことになってるけど、なんだかしっくりこない訳と感じてる。 PTSDもそうだが、日本語訳のため、無駄な議論が日本だけ続いた気がする。
この場合の"complicated"とは、”合併症”存在の意味だと思う。故に、brief reaction(悲嘆反応)に終わらない、心的病理的部分を含む心身合併症とともにある状況を指すと思う・・故に、「複雑性」という表現は・・・

精神・心理範疇では昔から誤訳がめだつ。「place phobia」などは「広場恐怖」じゃなく、本来は「場所恐怖」だし・・・

死別した家族への配慮というのが医療関係者に求められる傾向もある。いかなるアプローチが正しいか、一つの課題だろう。

Treating Complicated Grief
Naomi M. Simon, et.al.
JAMA. 2013;310(4):416-423. doi:10.1001/jama.2013.8614.
研究重要性  愛する人の死というのは人生最大、不変のストレッサーで、臨床的介入無く遺族の大部分は適応に成功する。遺族の一部に、死別悲嘆に他の問題が重なり、治癒困難となる。この複雑性悲嘆(complicated grief)にともなう症候群により、重要なdistressや機能障害が死別数年間でも継続する場合があるが、それへの介入時期・方法に関しては未だに解決してない。


研究目的 様々な診断、リスク要素、complicated griefの管理について、利用可能エビデンス及び臨床観察結果に基づき議論


Evidence Review  MEDLINE を1990年1月から2012年10月まで検索。選別研究リファレンス・レビュー記事から追加引用。complicated griefに対する有益治療研究を含む。



結果  強力な文献検索で、DSM-5によるcomplicated griefを参照
( 意味合いは、特異な外傷・ストレッサー関連疾患のサブタイプとして持続的複雑性死別疾患)するも、今後より多くの研究がフォーマルに要求される状況であり、適切な命名、診断クライテリアについて未だ議論進行中の病状である。

信頼性のあるスクリーニング法は利用可能で、推定発生率は死別の7%

ランダム化対照データにより、ターゲット化心理療法の有効性が支持され、それはcomplicating problemの改善を促進し、自然治癒プロセスを育てるエレメントを含む。

予備研究にて、うつ治療薬物も有用な可能性


結論・意義  健康アウトカムに多大な悪影響を有する複雑性悲嘆者を診断し、自殺リスクを評価し、他の病的状況合併状況、うつ、PTSDなどを評価し、治療を考慮すべきである。

2013年5月2日木曜日

「リラクセーション反応」のトランスクリプトームへの影響:ミトコンドリアATPase、インスリン、NF-κBのfocus hub判明

ストレス、すなわち、fight-or-flight responseの反対の心理学的・心理状態は、リラクセーション反応(弛緩反応):relaxation response (RR)である。心身相関に関連する様々な介入にて慢性のストレス減少介入や、リラクセーション反応を誘発するwellnessの促進介入などがなされている。結果、ストレスによる臨床的悪影響に対する効果が、高血圧、不安、不眠、糖尿病、リウマチ、加齢などで示されている。

リラクセーション反応は、言語、音、フレーズ、繰り返しの祈り、動作、悟りなど含まれる。瞑想、ヨガ、念仏、祈りなども含まれる。これらは、生物化学的同調的な変化、すなわち、酸素消費量を減らし、炭酸ガス排泄を減らし、心拍・呼吸数を減少させ、ノルエピネフリン反応を減少させ、心拍変動を減少させ、脳の皮質・皮質下領域の変化をもたらす。

リラクセーション反応により生じる、エネルギーメカニズム、インスリン、炎症性経路へのトランスクリプトーム変化の研究


Relaxation Response Induces Temporal Transcriptome Changes in Energy Metabolism, Insulin Secretion and Inflammatory Pathways
Bhasin MK, et. al.,
PLoS ONE 8(5): e62817. doi:10.1371/journal.pone.0062817


リラクセーション反応(RR)は、ストレス反応の逆。数千年も前から、リラクセーション反応は実践されていた。瞑想、ヨガ、祈祷の繰り返し。
高血圧、不安、不眠、加齢などの病的状態でのストレスの臨床的悪影響に対抗して、RRを治療介入として行おうとする動きはあるが、基礎となる分子メカニズムは未だ不明。

数年ものリラクセーション反応実践健康被験者と、RRトレーニング8週間前後初心者の、1セッションのRR実践中のrapid time-dependent (temporal) genomic changeの評価のため、RR-誘発、健康教育CD視聴の前、直後、15分後の末梢血transcriptome測定

短期間・長期間実践者ともに、有意名遺伝子発現変化が見られ、初心者に比べ後ほど明確になる。

RR実践は、エネルギー代謝、ミトコンドリア機能、インスリン分泌、テロメア維持と相関し、炎症性反応やストレス関連経路に関わる遺伝子発現を減少させる。

RR-関連経路のinteractive network analysisにて
ミトコンドリアATP synthaseとインスリンが、トップのupregulateされた分子(focus hubs)
NF-κB経路遺伝子が、トップのdownregulateされたfucus hubsとして同定された

結果、リラクセーション反応参加すること、特に、長期間継続後、特に、そのdownstream的健康ベネフィットをもたらす。それは、ミトコンドリア・エネルギー産生、しそて、ATPaseとインスリン機能のupregulationを通して、ミトコンドリアのresirency(弾性)促進的に働くためである。
ミトコンドリア弾性は、また、リラクセーション反応による促進を、ストレスを緩和するNF-κB関連upstream及びdownstreamターゲットによりもたらす。

高血圧への瞑想法の有効性 ・・・ 薬剤服用遵守性改善だけの効果? H24/11/05

well-being、共感、患者中心ケアへの態度の改善が見られた、念的瞑想を含む医師生涯学習 2009年 09月 24日

心血管疾患既往患者: 瞑想法により心血管アウトカム改善 H24/11/15 

マインドフルネスベースストレス軽減トレーニング:老人の孤独さ改善し、炎症惹起軽減効果も?H24/12/07


HPVワクチンをめぐる日本の"失われた8年"と、私たちが検証すべきこと

「子宮頸がんワクチン」という呼び方に、以前から違和感があります。 HPVワクチンが子宮頸がん予防に重要であることは間違いありません。日本では女子への定期接種として導入され、子宮頸がん予防を中心に説明されてきたため、この名称が広まった経緯も理解できます。 しかし、このワクチンが...